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「それに……なんだか雰囲気が変わってないか?」
その言葉を聞いてドキッとしたが、平静を装って聞き返した。
「えっ? そうかな? そんなことないと思うけど……」
(ヤバい、バレた?)
内心焦りながらも必死に誤魔化そうとすると、今度は逆に質問されてしまった。
「じゃあ聞くけど、君って人なのかい? それとも魔族なのかい? どっちなんだい?」
そう聞かれて言葉に詰まってしまったが、正直に答えることにした。
俺は日とてもあり魔族でもあるのだと答えると、彼女は首を傾げながら言った。
「本当かなぁ……?」
疑いの眼差しを向けてくる彼女に冷や汗を流していると、突然後ろから声をかけられた。
振り返るとそこにはアリアが立っていた。
彼女はニッコリと笑って言った。
「大丈夫、あなたは私が守ります」
と言ってくれたのだ。
俺はその言葉を嬉しく思いながら頷いた。
そして、三人で話しながら歩いていると、あっという間に目的の場所に到着したようだ。
そこで目にしたのは大きな建物だった。
どうやらここが冒険者ギルドらしい。
中に入ると、中は多くの冒険者達で賑わっていた。
掲示板のようなものがあって、そこにたくさんの紙が貼られているのが見えた。
おそらくあれが依頼書なのだろう。
その中から自分に合ったものを選んで受付に持っていくことで依頼を受けることができるみたいだ。
なるほど、分かりやすいシステムだなと思いながら周囲を見回していると、ルミナスさんが声をかけてきた。
「さあ、着いたよ。ここが目的地さ」
そういって立ち止まった彼女の前にはカウンターがあり、その上には一枚の紙が置かれていた。
恐らくあそこに行けばいいのだろうと思って近づいてみると、案の定そうだったらしく手招きされたので近づいていくことにする。
近づくと、カウンターの向こう側にいた女性が笑顔で迎えてくれたので、こちらも会釈して挨拶しておくことにする。
女性は笑顔で頷くと話しかけてきた。
「こんにちは、本日はどういったご用件でしょうか?」
そう言われて少し迷ったが、素直に話すことにした。
というのも、どうせ隠していてもすぐにバレるだろうと思ったからである。
それならば最初から全部話した方が早いだろうと判断した結果だった。
(さて、どこから話せばいいものか)
と考え込んでいると、女性の方から助け舟を出してくれた。
「あの、もしよろしければ私から説明しましょうか?」
その申し出をありがたく受け入れることにした俺は、彼女の言葉に耳を傾けることにした。
話を聞く限り、どうやらこのギルドでは新人の教育も行っているようだ。
そこで、ちょうど今日が初めての研修を行う予定だったため、タイミングよく来てくれたことに感謝しているらしい。
しかも、いきなりAランクの冒険者が担当すると聞いて驚いていたようだ。
だが、実際に会ってみて納得がいったと言っていた。
それほどまでにルミナスは信頼されているということなのだろう。
実際、彼女は面倒見の良い性格のようだし、後輩からも慕われているようだからな。
俺も彼女には世話になっているので感謝の気持ちでいっぱいである。
そんなことを考えているうちに話がまとまったようで、
いよいよ実技試験が行われることになった。
「それでは早速、模擬戦を始めたいと思います」
と審判役の少女が宣言すると、目の前の少女は腰に差していた剣を抜き放った。
そして、両手で構えると鋭い視線を向けてくる。
対するこちらは無手で構えすら取っていない状態だ。それを見た対戦相手が苛立ったように声を上げる。
「ちょっと! どういうつもり!? 武器くらい出しなさいよ!」
そう言われて初めて気付いたとばかりに頷くと、右手を前に突き出し魔法を唱える。
――パチン!
指を鳴らす音と共に虚空から一振りの剣が現れた。
それを掴み取ると、目の前に掲げて見せる。
「これでいいか?」
そう言って笑みを浮かべると、相手の顔色が変わったのが分かった。
「なっ……!?」
驚愕のあまり言葉が出ないといった様子だ。
無理もないだろう、何せ今の彼女の姿はどこからどう見ても少女にしか見えないのだから。
そんな様子を見て、俺は内心ほくそ笑んでいた。
(ふふ、驚いてるみたいだな。ざまあみろってんだ)
内心で勝ち誇ると同時に更なる追い討ちをかけるべく口を開く。
「それじゃ、始めようか」
そう言って一歩踏み出すと、向こうは慌てて距離を取ろうとしたようだが間に合わず正面からぶつかってしまう形になってしまった。
そのまま組み伏せようとしたが、さすがにそう簡単にはいかなかったようだ。
素早い動きで身をかわすと、そのまま斬りかかってきたので、それを受け止める形で応戦する。
「やるな……!」
一瞬驚いたような表情を浮かべたものの、すぐにニヤリと笑うとそのまま連続で攻撃を繰り出してきた。
それらを捌いていくが徐々に押され気味になっていくのがわかる。
(くっ……! こいつ強いな……!)
そう思いながらもなんとか食らいついていく。
しばらく打ち合いが続いた後、不意に相手が動きを止めたかと思うと後ろに飛び退いた。
その言葉を聞いてドキッとしたが、平静を装って聞き返した。
「えっ? そうかな? そんなことないと思うけど……」
(ヤバい、バレた?)
内心焦りながらも必死に誤魔化そうとすると、今度は逆に質問されてしまった。
「じゃあ聞くけど、君って人なのかい? それとも魔族なのかい? どっちなんだい?」
そう聞かれて言葉に詰まってしまったが、正直に答えることにした。
俺は日とてもあり魔族でもあるのだと答えると、彼女は首を傾げながら言った。
「本当かなぁ……?」
疑いの眼差しを向けてくる彼女に冷や汗を流していると、突然後ろから声をかけられた。
振り返るとそこにはアリアが立っていた。
彼女はニッコリと笑って言った。
「大丈夫、あなたは私が守ります」
と言ってくれたのだ。
俺はその言葉を嬉しく思いながら頷いた。
そして、三人で話しながら歩いていると、あっという間に目的の場所に到着したようだ。
そこで目にしたのは大きな建物だった。
どうやらここが冒険者ギルドらしい。
中に入ると、中は多くの冒険者達で賑わっていた。
掲示板のようなものがあって、そこにたくさんの紙が貼られているのが見えた。
おそらくあれが依頼書なのだろう。
その中から自分に合ったものを選んで受付に持っていくことで依頼を受けることができるみたいだ。
なるほど、分かりやすいシステムだなと思いながら周囲を見回していると、ルミナスさんが声をかけてきた。
「さあ、着いたよ。ここが目的地さ」
そういって立ち止まった彼女の前にはカウンターがあり、その上には一枚の紙が置かれていた。
恐らくあそこに行けばいいのだろうと思って近づいてみると、案の定そうだったらしく手招きされたので近づいていくことにする。
近づくと、カウンターの向こう側にいた女性が笑顔で迎えてくれたので、こちらも会釈して挨拶しておくことにする。
女性は笑顔で頷くと話しかけてきた。
「こんにちは、本日はどういったご用件でしょうか?」
そう言われて少し迷ったが、素直に話すことにした。
というのも、どうせ隠していてもすぐにバレるだろうと思ったからである。
それならば最初から全部話した方が早いだろうと判断した結果だった。
(さて、どこから話せばいいものか)
と考え込んでいると、女性の方から助け舟を出してくれた。
「あの、もしよろしければ私から説明しましょうか?」
その申し出をありがたく受け入れることにした俺は、彼女の言葉に耳を傾けることにした。
話を聞く限り、どうやらこのギルドでは新人の教育も行っているようだ。
そこで、ちょうど今日が初めての研修を行う予定だったため、タイミングよく来てくれたことに感謝しているらしい。
しかも、いきなりAランクの冒険者が担当すると聞いて驚いていたようだ。
だが、実際に会ってみて納得がいったと言っていた。
それほどまでにルミナスは信頼されているということなのだろう。
実際、彼女は面倒見の良い性格のようだし、後輩からも慕われているようだからな。
俺も彼女には世話になっているので感謝の気持ちでいっぱいである。
そんなことを考えているうちに話がまとまったようで、
いよいよ実技試験が行われることになった。
「それでは早速、模擬戦を始めたいと思います」
と審判役の少女が宣言すると、目の前の少女は腰に差していた剣を抜き放った。
そして、両手で構えると鋭い視線を向けてくる。
対するこちらは無手で構えすら取っていない状態だ。それを見た対戦相手が苛立ったように声を上げる。
「ちょっと! どういうつもり!? 武器くらい出しなさいよ!」
そう言われて初めて気付いたとばかりに頷くと、右手を前に突き出し魔法を唱える。
――パチン!
指を鳴らす音と共に虚空から一振りの剣が現れた。
それを掴み取ると、目の前に掲げて見せる。
「これでいいか?」
そう言って笑みを浮かべると、相手の顔色が変わったのが分かった。
「なっ……!?」
驚愕のあまり言葉が出ないといった様子だ。
無理もないだろう、何せ今の彼女の姿はどこからどう見ても少女にしか見えないのだから。
そんな様子を見て、俺は内心ほくそ笑んでいた。
(ふふ、驚いてるみたいだな。ざまあみろってんだ)
内心で勝ち誇ると同時に更なる追い討ちをかけるべく口を開く。
「それじゃ、始めようか」
そう言って一歩踏み出すと、向こうは慌てて距離を取ろうとしたようだが間に合わず正面からぶつかってしまう形になってしまった。
そのまま組み伏せようとしたが、さすがにそう簡単にはいかなかったようだ。
素早い動きで身をかわすと、そのまま斬りかかってきたので、それを受け止める形で応戦する。
「やるな……!」
一瞬驚いたような表情を浮かべたものの、すぐにニヤリと笑うとそのまま連続で攻撃を繰り出してきた。
それらを捌いていくが徐々に押され気味になっていくのがわかる。
(くっ……! こいつ強いな……!)
そう思いながらもなんとか食らいついていく。
しばらく打ち合いが続いた後、不意に相手が動きを止めたかと思うと後ろに飛び退いた。
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