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「嘘だと思うなら確かめてみますか?」
そう言って俺の手を掴んでくる彼女に対して俺は慌てて言った。
「ちょっ、ちょっと待ってよ!」
だが、それでも止まらない彼女に対して俺は必死に抵抗するが、結局、押し切られてしまうのだった。
~翌朝~ 目を覚ますと隣にはアリアが居た。しかも裸のままでだ。
(あれっ? なんで裸で寝てるんだ?)
そんな事を考えながらも起き上がると、彼女も目を覚ましたようだ。
眠そうに目を擦っている姿を見て可愛いと思った。
そんな時、不意に眩暈に襲われたかと思うと、その場に倒れてしまったのだ。
薄れゆく意識の中で最後に聞こえたのは、心配する両親の声と慌てる仲間達の声だった。
(ここは何処なんだろう?)
そんな事を考えながらも体を起こすと、そこは見知らぬ部屋だった。
(あれっ? おかしいな、確かさっきまで森に居たはずなんだけど……)
不思議に思っていると声をかけられた。
それは聞き覚えのある声だったので振り向くとそこには見覚えのある顔があった。
それは紛れもなく聖女だった。
(良かった、無事だったんだな)
安心すると同時に自分が今まで何をしていたのかを思い出した。
(あっ、そうか、俺、倒れたんだっけ)
自分の置かれている状況を理解すると共に、アリアが心配そうに話しかけてきた。
「あの、大丈夫ですか?」
そんな彼女に向かって俺は言う。
「ああ、大丈夫だ」
それから、俺は改めてアリアの顔を見た。
(やっぱり、綺麗な顔してるよな)
そんな事を考えていると、アリアが話しかけてきた。
「あの、私の顔に何か付いていますか?」
そう言われたので、咄嗟に首を横に振る。
「いや、何でもない」
そう言うと、俺はアリアから視線を逸らした。
(やばい、直視できない)
しかし、彼女は不思議そうに首を傾げながらも、俺に言った。
「そうですか? では、そろそろ朝食の準備をしますね」
それを聞いた俺は慌てて返事をする。
「お、おう、頼む」
すると、彼女は笑顔で頷いて部屋から出て行った。
(ふぅ、何とか乗り切ったか)
俺は安堵しながら胸を撫で下ろす。
(まさか、こんなに早く顔を合わせる事になるとはな)
そう、俺は昨日、アリアと初めて会ったばかりなのだ。
なのにいきなり二人きりで食事だなんて……はっきり言って心臓に悪い。
(でも、いつまでもこのままじゃいられないしな)
そう、いつかは決着をつけなければいけない問題なのだ。
ならば、今のうちに聞いておいた方が良さそうだ。
そう思い俺はアリアに話しかけた。
「なあ、一つ聞きたい事があるんだけどいいか?」
それに対してアリアは答えた。
「はい、なんでしょう?」
そして、俺は尋ねる。
「どうして君は俺の事を知っているんだ?」
すると彼女は答えた。
「実は私、未来予知の能力が使えるんです」
それを聞いた瞬間、俺は驚く。
(未来予知だと!?)
そんな能力を持った人間がこの世に居るはずがないと思ったからだ。
だが、彼女は続けて言った。
それを聞いて更に驚く事になるのだが、それはまだ知る由もない事であった。
(未来予知だって!?)
その事実を知った私は思わず驚愕する。
なぜなら彼女が口にした言葉は、かつて魔王討伐に失敗した際に聖女が残したとされる手記にあった記述だったからだ。
(もしかして本物なのか?)
そう思うと俄然興味が出てきたので聞いてみた。
「それって本当なのか?」
その質問に彼女は頷く。
そしてこう答えた。
「はい、本当です」
それを聞くと、俺はある事を考えた。
(だったら丁度いいじゃないか)
そう思った俺は言った。
「じゃあさ、もし良ければ、俺を雇ってくれないか?」
すると彼女は言った。
「構いませんよ」
それを聞いて俺は喜ぶのだった。
翌日、俺と聖女は早速旅の準備に取り掛かった。
と言っても荷物をまとめるだけなのだが、とりあえず、持てる分だけの食料と衣類などを鞄に詰め込む。
幸い、アリアのおかげで、収納用の魔法具があったので、かなり大きな鞄なのだが問題なく収まっていた。
後は旅に必要な物を買い揃えるだけである。
とりあえず、買い物に向かう為に宿を出ると、そのまま商店街へと向かう事にした。
~二時間後~ ようやく買い物を済ませて店を出た頃には既に日が暮れかけていた。
(まずいな、急いで戻らないと……)
そう思って急ぎ足で歩き出すと背後から声をかけられた。
振り返るとそこにはアギトが立っていた。
彼は言った。
「こんな時間に一人で出歩くなんて危険だぞ」
それを聞いて俺は首を傾げる。
(どうして彼がここに?)
「お前、魔王軍抜けたんだってな、魔王に捨てられたのか?」
その一言を聞いて俺はイラッとした。
だが、同時に納得もした。
どうやらこの男は勘違いしているらしい。
(まあいいか、いずれわかる事だしな)
そう思った俺は何も言わずにその場から立ち去ろうとする。
だが、そう上手くはいかないようだ。
腕を掴まれる感触を覚えて振り返ると、そこには不敵な笑みを浮かべた男の姿があった。
そして、そいつは言う。
「おい、無視すんなよ」
どうやら逃がしてはくれないようだ。
仕方がないので俺は答える事にした。
「何か用ですか? 勇者、アギト」
すると、笑いながらこう言われる。
「なぁ、愛しいお父上のクロード様は、お前が痛めつけられても助けに来ると思うか?」
……なるほど。それが用件らしいな。
この男、どこまでも汚い真似をしてくれるものだ。
まぁいい。どちらにせよやることは同じだ。
ここでコイツを殺せばいいのだから、そうと決まれば話は早い。
さっそく実行しようじゃないか!
そう決めた俺は即座に行動に移った!
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