19 / 236
19.
しおりを挟む
「ところでリュート様は、これからどうするつもりですか?」
そう聞かれて考える。
(うーん、とりあえずは、この世界を見て回りたいかな)
そう伝えるとアリアは言った。
「そうですか、なら、私も一緒に行っても良いですか?」
そう聞かれたので、もちろんと答えると嬉しそうにしていた。
すると、扉が開き、久々に、ルーティアが入ってきたのだ。
「これは、これは、ルーティア様ですわ」
そう言って挨拶をする彼女に続いて挨拶をしたのだが無視されてしまった。
そのまま無言で通り過ぎようとした彼女だったが、途中で立ち止まってこちらを振り向いたかと思うと口を開いた。
何を言われるのかと身構えていると予想外の言葉が飛び出してきた。
「ごめんなさいね、貴方のこと勘違いしてたわ」
いきなり謝られて困惑していると続けて言ってきた。
「さっき、聞いたんだけど、貴方が魔族になったのって、私のせいだったみたいね……」
そう言われて更に困惑する俺に彼女が言った。
「本当にごめんね、でも、もう大丈夫!これからは私が守ってあげるから!」
俺は溜息をつくとアリアに
「ごめん、姉様と話をしたいんだけど、アリアは外してくれる」
その言葉にうなずくと出て行った。
扉が閉まるとルーティアを無言で見つめる。
「あまりいい趣味とは、言えませんよ、父さん」
ルーティアである父親は、悪気が無いのか始終にこやかだ。
「ねぇ、父さんもさっきの言葉は何」
先程の発言について尋ねると返ってきた答えは予想していないものだった。
「何って、真実でしょう、ちゃんと責任をもって、守ってあげると言いに来たのよ」
そんなこと聞いてないと言いたげに俺は言った。
「いや、そうじゃなくて、何であんなこと言う必要があったの」
そう聞くと父さんは答えた。
「ん? ああ、あれか、それはな、お前があまりにも不甲斐ないからだ」
それを聞いてやっぱりかと思った。
(まぁ、確かに、さっきのは酷かったけどさぁ)
そう思いながらも一応抗議する。
「だとしてもさ、あれは言い過ぎだと思うよ」
そう言うと父さんは笑いながらこう言った。
「そうか? だが、これで分かっただろう、お前は弱い、だから、俺が守ってやろうと、父として当然では無いか?」
その姿で父と言われても、もう違和感はない。
(はぁ~仕方ないな)
そう思って諦めることにした。
(それにしても、この姿は一体どういうことなんだろう)
疑問に思っているとルーティアが微笑むと
「頼りになる姉が居た方が、お前も安心できるだろう?」
「お父さんの心遣いは感謝するけど、どうせ、あの、シエルって人も父さんなんでしょ?」
そう尋ねるとあっさり認めてしまった。
「ああ、その通りだ」
その答えを聞いて呆れてしまう。
(まったく、この人はいつもそうだ)
昔から何を考えているのかが分からない人だったが、まさかこんな形で出てくるとは思わなかった。
そう思っていると、父さんが言ってきた。
「さて、それじゃあ早速行くぞ」
そう言って転移魔法を発動すると次の瞬間には、見知らぬ場所に立っていた。
そこは、何処までも続く荒野だった。
そして、そこには、大きな城があった。
「ここが新しい家だ」
そう言われて見回してみると、戸惑う。
「ここには二人だけ、父親らしいことがたまにはしたくてな」
「アリアを排除して、ただ単に、自己満足がしたいだけ?」
そう言った瞬間ルーティアの身体から圧が放たれる。
それを受けて身体が硬直してしまう。
(怖い……これが本当の魔王の力なのか!?)
そんなことを考えているうちに意識が薄れていくのを感じた……。
~数時間後~ 目が覚めるとベッドの上に寝かされていた。
(ここは……?)
起き上がろうとすると全身に激痛が走る。
(痛いっ!!)
そんな痛みに悶えていると部屋の扉が開いた。
そこにいたのはルーティアだった。
彼女は俺を見ると駆け寄ってきて言った。
「目が覚めたのね、良かったわ」
そう言いながら俺の頭を撫でてくる彼女に戸惑いながらも尋ねた。
「ねぇ、父さん、何時までその格好なの? 言えばいいじゃん、最近態度が目に余るから、教育し直すのが目的だと」
そう言うと彼女は少し驚いたような顔をした後で笑い出した。
それを見て少しムッとしていると彼女は言った。
「ふふ、そうね、そうだったわね、でもね、それだけじゃないのよ」
そう言って近付いてくると耳元で囁いた。
それを聞いた俺は愕然とした。
何故なら彼女の言葉は、俺を絶望させるには十分だったからだ。
呆然としている俺を見て微笑みながら部屋を出ていく彼女を見送ることしか出来なかった。
それからしばらくして、ようやく落ち着いた俺は考えた。
(これからどうしようか?)
正直言って不安しかない。
それに何より、あの話が本当なら、俺は、勝手に、コノシロで永遠とルーティアと過ごさなくてはならない。
魔族同士の家族婚は魔族の中ではよくあるという事、だから、父親がこのタイミングでここに移したのは、俺を無理やり娶る為だろう。
しかし、そうなると問題なのはどうやってここから出るかだ。
そんな事を考えていると扉がノックされたので返事をするとルーティアが入ってきた。
そしてベッドに腰掛けると話しかけてきた。
「具合はどうかしら?」
それに対して問題ない事を伝えると安心したようだった。
そう聞かれて考える。
(うーん、とりあえずは、この世界を見て回りたいかな)
そう伝えるとアリアは言った。
「そうですか、なら、私も一緒に行っても良いですか?」
そう聞かれたので、もちろんと答えると嬉しそうにしていた。
すると、扉が開き、久々に、ルーティアが入ってきたのだ。
「これは、これは、ルーティア様ですわ」
そう言って挨拶をする彼女に続いて挨拶をしたのだが無視されてしまった。
そのまま無言で通り過ぎようとした彼女だったが、途中で立ち止まってこちらを振り向いたかと思うと口を開いた。
何を言われるのかと身構えていると予想外の言葉が飛び出してきた。
「ごめんなさいね、貴方のこと勘違いしてたわ」
いきなり謝られて困惑していると続けて言ってきた。
「さっき、聞いたんだけど、貴方が魔族になったのって、私のせいだったみたいね……」
そう言われて更に困惑する俺に彼女が言った。
「本当にごめんね、でも、もう大丈夫!これからは私が守ってあげるから!」
俺は溜息をつくとアリアに
「ごめん、姉様と話をしたいんだけど、アリアは外してくれる」
その言葉にうなずくと出て行った。
扉が閉まるとルーティアを無言で見つめる。
「あまりいい趣味とは、言えませんよ、父さん」
ルーティアである父親は、悪気が無いのか始終にこやかだ。
「ねぇ、父さんもさっきの言葉は何」
先程の発言について尋ねると返ってきた答えは予想していないものだった。
「何って、真実でしょう、ちゃんと責任をもって、守ってあげると言いに来たのよ」
そんなこと聞いてないと言いたげに俺は言った。
「いや、そうじゃなくて、何であんなこと言う必要があったの」
そう聞くと父さんは答えた。
「ん? ああ、あれか、それはな、お前があまりにも不甲斐ないからだ」
それを聞いてやっぱりかと思った。
(まぁ、確かに、さっきのは酷かったけどさぁ)
そう思いながらも一応抗議する。
「だとしてもさ、あれは言い過ぎだと思うよ」
そう言うと父さんは笑いながらこう言った。
「そうか? だが、これで分かっただろう、お前は弱い、だから、俺が守ってやろうと、父として当然では無いか?」
その姿で父と言われても、もう違和感はない。
(はぁ~仕方ないな)
そう思って諦めることにした。
(それにしても、この姿は一体どういうことなんだろう)
疑問に思っているとルーティアが微笑むと
「頼りになる姉が居た方が、お前も安心できるだろう?」
「お父さんの心遣いは感謝するけど、どうせ、あの、シエルって人も父さんなんでしょ?」
そう尋ねるとあっさり認めてしまった。
「ああ、その通りだ」
その答えを聞いて呆れてしまう。
(まったく、この人はいつもそうだ)
昔から何を考えているのかが分からない人だったが、まさかこんな形で出てくるとは思わなかった。
そう思っていると、父さんが言ってきた。
「さて、それじゃあ早速行くぞ」
そう言って転移魔法を発動すると次の瞬間には、見知らぬ場所に立っていた。
そこは、何処までも続く荒野だった。
そして、そこには、大きな城があった。
「ここが新しい家だ」
そう言われて見回してみると、戸惑う。
「ここには二人だけ、父親らしいことがたまにはしたくてな」
「アリアを排除して、ただ単に、自己満足がしたいだけ?」
そう言った瞬間ルーティアの身体から圧が放たれる。
それを受けて身体が硬直してしまう。
(怖い……これが本当の魔王の力なのか!?)
そんなことを考えているうちに意識が薄れていくのを感じた……。
~数時間後~ 目が覚めるとベッドの上に寝かされていた。
(ここは……?)
起き上がろうとすると全身に激痛が走る。
(痛いっ!!)
そんな痛みに悶えていると部屋の扉が開いた。
そこにいたのはルーティアだった。
彼女は俺を見ると駆け寄ってきて言った。
「目が覚めたのね、良かったわ」
そう言いながら俺の頭を撫でてくる彼女に戸惑いながらも尋ねた。
「ねぇ、父さん、何時までその格好なの? 言えばいいじゃん、最近態度が目に余るから、教育し直すのが目的だと」
そう言うと彼女は少し驚いたような顔をした後で笑い出した。
それを見て少しムッとしていると彼女は言った。
「ふふ、そうね、そうだったわね、でもね、それだけじゃないのよ」
そう言って近付いてくると耳元で囁いた。
それを聞いた俺は愕然とした。
何故なら彼女の言葉は、俺を絶望させるには十分だったからだ。
呆然としている俺を見て微笑みながら部屋を出ていく彼女を見送ることしか出来なかった。
それからしばらくして、ようやく落ち着いた俺は考えた。
(これからどうしようか?)
正直言って不安しかない。
それに何より、あの話が本当なら、俺は、勝手に、コノシロで永遠とルーティアと過ごさなくてはならない。
魔族同士の家族婚は魔族の中ではよくあるという事、だから、父親がこのタイミングでここに移したのは、俺を無理やり娶る為だろう。
しかし、そうなると問題なのはどうやってここから出るかだ。
そんな事を考えていると扉がノックされたので返事をするとルーティアが入ってきた。
そしてベッドに腰掛けると話しかけてきた。
「具合はどうかしら?」
それに対して問題ない事を伝えると安心したようだった。
0
お気に入りに追加
123
あなたにおすすめの小説
パーティーを追放された落ちこぼれ死霊術士だけど、五百年前に死んだ最強の女勇者(18)に憑依されて最強になった件
九葉ユーキ
ファンタジー
クラウス・アイゼンシュタイン、二十五歳、C級冒険者。滅んだとされる死霊術士の末裔だ。
勇者パーティーに「荷物持ち」として雇われていた彼は、突然パーティーを追放されてしまう。
S級モンスターがうろつく危険な場所に取り残され、途方に暮れるクラウス。
そんな彼に救いの手を差しのべたのは、五百年前の勇者親子の霊魂だった。
五百年前に不慮の死を遂げたという勇者親子の霊は、その地で自分たちの意志を継いでくれる死霊術士を待ち続けていたのだった。
魔王討伐を手伝うという条件で、クラウスは最強の女勇者リリスをその身に憑依させることになる。
S級モンスターを瞬殺できるほどの強さを手に入れたクラウスはどうなってしまうのか!?
「凄いのは俺じゃなくて、リリスなんだけどなぁ」
落ちこぼれ死霊術士と最強の美少女勇者(幽霊)のコンビが織りなす「死霊術」ファンタジー、開幕!
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第二章シャーカ王国編
【全話挿絵】発情✕転生 〜何あれ……誘ってるのかしら?〜【毎日更新】
墨笑
ファンタジー
『エロ×ギャグ×バトル+雑学』をテーマにした異世界ファンタジー小説です。
主人公はごく普通(?)の『むっつりすけべ』な女の子。
異世界転生に伴って召喚士としての才能を強化されたまでは良かったのですが、なぜか発情体質まで付与されていて……?
召喚士として様々な依頼をこなしながら、無駄にドキドキムラムラハァハァしてしまう日々を描きます。
明るく、楽しく読んでいただけることを目指して書きました。
万能チートで異世界開拓! 〜辺境スタートの最強転移者スローライフ〜
山猪口 茸
ファンタジー
スローライフを夢見る平凡な高校生、藤峰卓人(ふじみね たくと)。屍のように日々を暮らしていた彼がある時転移したのは、岩だらけの辺境の土地だった!
「手違いで転移させちゃった///。万能チートあげるから、ここで自由に暮らしていいよ。ごめんね!」
そんな適当な女神のせいで荒地に転移してしまったものの……これって夢を叶えるチャンスでは?
チートや魔法を有効活用しまくって、夢のスローライフを送ってやる!ついでに畑とか施設も作ってのんびり暮らそう!村なんか作っちゃってもいいかも!?
そんな彼の送る、目指せほのぼのスローライフ!
[投稿はかなり不定期です!小説家になろうにも同時にあげています]
追放された元勇者パーティーの最強魔術師、魔族の少女を拾って無双する
はる
ファンタジー
「今日でお前は追放だ!」
勇者パーティーの仲間およびリーダーである男に追放宣言をされた魔術師のアベル。
彼の言われるがままにパーティーを後にしたアベルは、これからどうしようかと考えていたところ、一人の魔族の少女と出会う。
そして、少女の口から出た言葉はアベルの驚くべきもので――
「んー、ま、いっか。どうせ暇だし」
そんなあっさりと決めてしまったアベル。この後のアベルと少女の運命は――!?
途中でざまぁが入ります。けど、そこまで重い話は出てきません。軽いです。軽いノリで敵を倒していきます。
誤字脱字は指摘するか、華麗にスルーされると……嬉しいな。
勇者パーティー追放された解呪師、お迎えの死神少女とうっかりキスして最強の力に覚醒!? この力で10年前、僕のすべてを奪った犯人へ復讐します。
カズマ・ユキヒロ
ファンタジー
解呪師マモル・フジタニは追放された。
伝説の武器の封印を解いたあとで、勇者パーティーに裏切られて。
深い傷と毒で、死を待つばかりとなったマモル。
しかし。
お迎えにきた死神少女との『うっかりキス』が、マモルを変えた。
伝説の武器の封印を解いたとき、体内に取り込んでいた『いにしえの勇者パーティー』の力。
その無敵の力が異種族異性とのキスで覚醒、最強となったのだ。
一方で。
愚かな勇者たちは、魔王に呪いを受けてしまう。
死へのタイムリミットまでは、あと72時間。
マモル追放をなげいても、もう遅かった。
マモルは、手にした最強の『力』を使い。
人助けや、死神助けをしながら。
10年前、己のすべてを奪った犯人への復讐を目指す。
これは、過去の復讐に燃える男が。
死神少女とともに、失ったはずの幼なじみや妹を取り戻しながら。
結果的に世界を救ってしまう、そんな物語。
逆転スキル【みんな俺より弱くなる】で、勝ち組勇者パーティーを底辺に堕とします
鬱沢色素
ファンタジー
底辺負け組アルフは勇者エリオットに虐げられており、幼馴染みも寝取られてしまう。
しかし【みんな俺より弱くなる】というスキルを使って、みんなに復讐することにした。
「俺を虐げてきた勇者パーティーのみんなを、人生ド底辺に堕としてやる!」
手始めにアルフは弱くなった勇者をボコボコにする。
その後、勇者はデコピン一発でやられたり、聖剣が重くて使えなくなったり、女達から徐々に煙たがられたり——と着実に底辺に堕ちていった。
今ここに血で彩られた復讐劇がはじまる。
題名に★マークが付いてるのは、勇者パーティー視点で彼等が底辺に堕ちていくまでの様を描いています
※小説家になろう様でも先行で連載しております。
死んだら男女比1:99の異世界に来ていた。SSスキル持ちの僕を冒険者や王女、騎士が奪い合おうとして困っているんですけど!?
わんた
ファンタジー
DVの父から母を守って死ぬと、異世界の住民であるイオディプスの体に乗り移って目覚めた。
ここは、男女比率が1対99に偏っている世界だ。
しかもスキルという特殊能力も存在し、イオディプスは最高ランクSSのスキルブースターをもっている。
他人が持っているスキルの効果を上昇させる効果があり、ブースト対象との仲が良ければ上昇率は高まるうえに、スキルが別物に進化することもある。
本来であれば上位貴族の夫(種馬)として過ごせるほどの能力を持っているのだが、当の本人は自らの価値に気づいていない。
贅沢な暮らしなんてどうでもよく、近くにいる女性を幸せにしたいと願っているのだ。
そんな隙だらけの男を、知り合った女性は見逃さない。
家で監禁しようとする危険な女性や子作りにしか興味のない女性などと、表面上は穏やかな生活をしつつ、一緒に冒険者として活躍する日々が始まった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる