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そして彼は服を着ると私の方に向き直って話し始めたの。
私はメイドに連れられて、身支度を整えるために洗面所に向かったのだけれど、
その時に私は鏡を見て自分の容姿を改めて確認してみたの。
すると私の目には涙が浮かんできたのよね。
(これが私?)
と自分の変わり果てた姿を目の当たりにする。
以前は美しいブロンドヘアーだったのだが、今ではくすんでいた色に変化していて
手入れが行き届いてなかったから
枝毛も目立つようになっていた。
しかも髪はボサついてまとまっていない。
肌は乾燥と脂で荒れている状態。
目の下にはクマがあって頬もこけて痩せ細っていた。
更にはニキビもできていて酷い有様だった。
しかしそれでも私は綺麗になろうと頑張ったのよ。
その結果、少しだけではあるが元の自分を取り戻すことが出来たのだけれど、
まだまだ改善の余地はあると思うのですよね……。
「カルネ様。本日の予定はいかがいたしましょう」
と私専属の侍女であるマリアンが話しかけてきてくれた。
彼女の名前は本名ではなく、偽名であると以前本人の口から聞いたことがあります。
そして、私は彼女を信頼し切っており、私達は本当の姉妹のような関係でした。
私達が出会ったきっかけはある日の休日のことでした。
その日は珍しく、私はユリウス様と一緒に外出する予定を立てていたの。
だけど、待ち合わせの場所にユリウス様は現れませんでしたわね……。
それで1人で街中を散策していた時、
「あら、貴女も一人ぼっちなのね。良かったらお茶でもどう?」
と女性に声を掛けられた私は最初警戒して断ろうとしたが、女性の服装を見る限り質素であり、
あまり裕福には見えなかったため少し気になって誘いに乗ることに。
すると女性は嬉しかったのか私の手を取って近くのカフェに連れて行ってくれました。
そして注文を終え、お互いの名前を名乗ったところで私は彼女に違和感を覚えました。
「私の名前はマリーゴールドと申します。よろしくお願いしますね」
そう言って挨拶をする彼女と握手を交わすと私達は他愛もない会話を始めた。
そしてある程度打ち解けたところで彼女が私のことを褒め称えると、
「あの、私のこともどうか呼んで下さい。カルネと呼んでも良いでしょうか?」
と尋ねてきたので私は快諾。
そこから話が弾んだ私達は意気投合していき、私は自分の生い立ちや今の生活について包み隠さず話し始めました。
すると、
「ごめんなさい。私が余計な事を聞いたばかりにこんな事になっちゃうなんて。本当は私が守るべき立場なのに……」
そう彼女は謝罪を告げてきたので私は首を横に振って否定をした。
彼女との出会いは決して偶然ではないのだと、私の心の中では確信があった。
私はユリウス様と出会い、恋をし、結ばれ、結婚に至った。
だが、今の現状に不満を持っているわけではない。
むしろ幸せな日々を過ごして、毎日楽しく過しているのだから。
ただ、時折寂しい気持ちになることもあるのだけれども。
私の幸せはきっと長く続かないだろうと、
「あ、そうだ。せっかくだからさ、二人で一緒にお買い物に行こうよ」
「一緒にですの?」
「うん。二人で手を繋いでデートをしよう」
ユリウス様の提案に私は目を丸くさせてしまう。
「いくら夫婦といえど、ユリウス様とはデート何てしないし、手を繋ぐなんて恥ですわ!」
そう言いながら私はユリウス様の頬に何発も平手打ちするのです。
「痛い、カルネ。止めておくれ。僕達の間に遠慮はいらないんだ。カルネのしたいようにして欲しいんだ」
「うっ。そう言われても私とあなたは身分が違いますので」
そう言いつつ、私の心の片隅では彼を慕う思いも残っている。
私は結局のところ、まだ迷っているのだろう。
私はユリウス様の妻として社交界デビューをしておりました。
ユリウス様は当然の事のように私のエスコートを買って出てくれましたわ。
「今日は僕の妻を紹介するよ」
そう言って、私はとある少女に紹介されることとなりました。
その相手というのが私のライバル役の少女であるリディアーヌ様。
彼女はユリウス様の側近ダリウス様の従妹にあたる方。
「初めまして、カルネさん。今日はお招きいただきありがとうございます」
と言って頭を下げたので私は会釈を返しておく。
すると私の目の前に立つ人物は口を開いた。
「私はカルネ。これから宜しくね」
そう言って笑顔を向けるが、それが気に食わなかったのかもしれない。
私はメイドに連れられて、身支度を整えるために洗面所に向かったのだけれど、
その時に私は鏡を見て自分の容姿を改めて確認してみたの。
すると私の目には涙が浮かんできたのよね。
(これが私?)
と自分の変わり果てた姿を目の当たりにする。
以前は美しいブロンドヘアーだったのだが、今ではくすんでいた色に変化していて
手入れが行き届いてなかったから
枝毛も目立つようになっていた。
しかも髪はボサついてまとまっていない。
肌は乾燥と脂で荒れている状態。
目の下にはクマがあって頬もこけて痩せ細っていた。
更にはニキビもできていて酷い有様だった。
しかしそれでも私は綺麗になろうと頑張ったのよ。
その結果、少しだけではあるが元の自分を取り戻すことが出来たのだけれど、
まだまだ改善の余地はあると思うのですよね……。
「カルネ様。本日の予定はいかがいたしましょう」
と私専属の侍女であるマリアンが話しかけてきてくれた。
彼女の名前は本名ではなく、偽名であると以前本人の口から聞いたことがあります。
そして、私は彼女を信頼し切っており、私達は本当の姉妹のような関係でした。
私達が出会ったきっかけはある日の休日のことでした。
その日は珍しく、私はユリウス様と一緒に外出する予定を立てていたの。
だけど、待ち合わせの場所にユリウス様は現れませんでしたわね……。
それで1人で街中を散策していた時、
「あら、貴女も一人ぼっちなのね。良かったらお茶でもどう?」
と女性に声を掛けられた私は最初警戒して断ろうとしたが、女性の服装を見る限り質素であり、
あまり裕福には見えなかったため少し気になって誘いに乗ることに。
すると女性は嬉しかったのか私の手を取って近くのカフェに連れて行ってくれました。
そして注文を終え、お互いの名前を名乗ったところで私は彼女に違和感を覚えました。
「私の名前はマリーゴールドと申します。よろしくお願いしますね」
そう言って挨拶をする彼女と握手を交わすと私達は他愛もない会話を始めた。
そしてある程度打ち解けたところで彼女が私のことを褒め称えると、
「あの、私のこともどうか呼んで下さい。カルネと呼んでも良いでしょうか?」
と尋ねてきたので私は快諾。
そこから話が弾んだ私達は意気投合していき、私は自分の生い立ちや今の生活について包み隠さず話し始めました。
すると、
「ごめんなさい。私が余計な事を聞いたばかりにこんな事になっちゃうなんて。本当は私が守るべき立場なのに……」
そう彼女は謝罪を告げてきたので私は首を横に振って否定をした。
彼女との出会いは決して偶然ではないのだと、私の心の中では確信があった。
私はユリウス様と出会い、恋をし、結ばれ、結婚に至った。
だが、今の現状に不満を持っているわけではない。
むしろ幸せな日々を過ごして、毎日楽しく過しているのだから。
ただ、時折寂しい気持ちになることもあるのだけれども。
私の幸せはきっと長く続かないだろうと、
「あ、そうだ。せっかくだからさ、二人で一緒にお買い物に行こうよ」
「一緒にですの?」
「うん。二人で手を繋いでデートをしよう」
ユリウス様の提案に私は目を丸くさせてしまう。
「いくら夫婦といえど、ユリウス様とはデート何てしないし、手を繋ぐなんて恥ですわ!」
そう言いながら私はユリウス様の頬に何発も平手打ちするのです。
「痛い、カルネ。止めておくれ。僕達の間に遠慮はいらないんだ。カルネのしたいようにして欲しいんだ」
「うっ。そう言われても私とあなたは身分が違いますので」
そう言いつつ、私の心の片隅では彼を慕う思いも残っている。
私は結局のところ、まだ迷っているのだろう。
私はユリウス様の妻として社交界デビューをしておりました。
ユリウス様は当然の事のように私のエスコートを買って出てくれましたわ。
「今日は僕の妻を紹介するよ」
そう言って、私はとある少女に紹介されることとなりました。
その相手というのが私のライバル役の少女であるリディアーヌ様。
彼女はユリウス様の側近ダリウス様の従妹にあたる方。
「初めまして、カルネさん。今日はお招きいただきありがとうございます」
と言って頭を下げたので私は会釈を返しておく。
すると私の目の前に立つ人物は口を開いた。
「私はカルネ。これから宜しくね」
そう言って笑顔を向けるが、それが気に食わなかったのかもしれない。
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