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それから数日後のこと、ついに待ち望んでいた日が訪れたのです!
いよいよ今日から本格的にレッスンが始まります。
ワクワクしながら待っていると、早速先生がやってきました。
先生はとても美人さんなのですが、どこか冷たい感じのする人でした。
ですが、そんな事はどうでも良いです。
私は一刻も早く上手くなってレリオ様のお側で踊れるようになりたいのですから、
先生の指導の元、まずは基本的なステップの練習から始めました。
初めのうちは全くついていけなくて何度も転んでしまいましたが、その度に先生に厳しく指導されました。
時にはお尻や足を叩かれたりしましたが、これも全て私が未熟だから悪いんです……。
挫けそうになっても諦めませんでした。
だって、私には時間がないんですもの、 そうして毎日必死に努力した結果、なんとか人並み程度までには上達することができました。
あとは本番に向けてひたすら練習を重ねるだけです。
そして遂に迎えた当日、私は純白のドレスに身を包み、会場に向かいました。
入場すると、一斉に視線がこちらに向けられて思わず緊張してしまいそうでしたが、深呼吸して気持ちを落ち着かせます。
そんな中、最初に目に飛び込んできたのは私の最愛の人であるレリオ様の姿でした。
「やあ、子猫ちゃん、よく来てくれたね」
彼はそう言うと私の手を取り手の甲にキスを落としました。
それだけで心臓がドキドキしてしまうのですが、それを悟られないように平静を装って挨拶を返すことにします。
「ごきげんよう、レリオ様」
そう言って微笑みかけると彼も微笑み返してくれたのでホッと胸を撫で下ろしていると、
「おや? 君は確か……」
と言いかけたところで言葉を遮って自己紹介をする事にしたのだ。
相手はこの国の大貴族であり公爵家の長子でもあるお方なのだから失礼があってはいけないと思ったのだが……どうやら杞憂だったようだ。
というのも、何故かはわからないが、彼女は俺に対して好意を抱いているらしいからだ。
「あのぉ~……? なんであなたがここにいるんですかぁ……?」
と言うと不機嫌そうな顔で睨まれてしまったので慌てて謝ることにしたのだが、
それでも納得いかないといった様子だったので仕方なく本当のことを話すことにしたのだった。
それを聞いた途端、彼女の顔色がみるみる変わっていくのが分かった。
信じられないといった感じの表情をしている彼女に俺は更に追い討ちをかけるようにしてこう言ったんだ。
「君さぁ、俺に気があるんでしょ?」
その瞬間、彼女の顔が真っ赤に染まったかと思うと俯いて黙り込んでしまった。
それを見た俺はニヤリと笑みを浮かべると彼女の顎を持ち上げて無理矢理視線を合わせてからこう告げた。
「だったらさ、俺とキスしてみるかい?」
一瞬驚いた顔をした後で視線を逸らされてしまったが、構わず顔を近づけていくとそのまま唇を奪ったのだった。
最初は抵抗しようとしていた彼女だったが次第に大人しくなっていったので舌を入れてやるとビクッと
身体を震わせたがすぐに受け入れてくれたようで積極的に絡め合わせてきたためそれに応えてやることにする。
「んっ……ちゅぱっ……れろっ……んむぅぅっ!?」
しばらくすると苦しくなってきたのか胸を叩かれてしまったので解放してやることにする。
はぁはぁ言いながら呼吸を整えている姿を見ていると嗜虐心が湧いてくるのを感じたので
もう少し苛めてやりたいと思ったが流石に可哀想なのでやめておくことにした。
その代わりに頭を撫でてやりながら褒めてやることにする。
「よしよし、上手にできたじゃないか、偉いぞ」
そうすると嬉しそうに微笑んでくれたのを見て思わずドキッとしたが、それを隠すようにして次の指示を出した。
「それじゃあ次は俺がリードする番だな」
「えっ!?  あ、あの、ちょっと待ってください……!」
慌てる彼女を他所に、強引に手を引いて踊り始めると最初は戸惑っていたようだが次第に慣れてきたらしく、
最後には笑顔で踊ってくれていたのでホッとしたものである。
こうして無事にデビューを飾った俺たちはその後も何度か顔を合わせる機会があった。
その度に一緒に踊ることになるわけだが、そのたびに彼女が見せる表情の変化を見ることが楽しみになっていたのだった。
ある時などは恥ずかしそうにしながらも一生懸命ついてきてくれる姿が健気で可愛らしかったし、
またある時は俺の腕の中で乱れまくる姿は妖艶ですらあった。
そんな日々が続いたある日の事だった。
いつものようにレッスンを終えて帰ろうとすると突然呼び止められたのだ。
振り返るとそこにはレリオ様の姿があった。
「やぁ、待っていたよ子猫ちゃん」
と言って微笑む彼に見惚れていると手を引かれて連れていかれた先は彼の部屋であった。
そこで待ち受けていたのは想像を絶するほど激しいものだったのである。
その日を境に私たちは毎日のように逢瀬を重ねた。
それはまるで恋人同士のように甘いひとときを過ごすことができたのだから幸せ以外の何物でもなかった。
「愛してるわ、あなただけを永遠に……」
そう言いながら抱きつく私を優しく受け止めてくれる彼を見てますます愛おしさが募っていくのを感じた。
ああ、この人と結婚できたらどんなに幸せなことだろうかと思ったりもしたけれど、所詮叶わぬ夢だと諦めてもいたのだけれど、
そんな私の考えを見透かしたかのように彼が言った言葉は今でも忘れられない思い出となっている。
(そうだ、思い出した)
私は唐突に理解したのだ。
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