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彼は私の事を抱き締めてきた。
どうやら彼は疲れていたのか寝ているようである。
なので、起こすのも悪いと思った私は、 彼に寄り添うようにして、そのまま眠ってしまう。

「あの時は大変だったわよね」

そう言って苦笑いする彼女だったがその表情はどこか楽しげだった。
私は、彼女との思い出を振り返っていた。
すると、彼女はそんな私の事をじっと見つめていたのである。
私は、そんな彼女の視線に気づいて、慌てて誤魔化そうとした。

そんな私の様子に、彼女が、くすりと笑う。
そして、そのまま、私の顔を見つめていた。

「何で見つめているんですか?」

私が問いかけても返事がない。
しかし、その沈黙は私にとっては居心地が悪くなかった。
私は、彼女を見つめ返すと、そのまま、時間が過ぎていく。
彼女は、そんな私に近づいてきた。そして私の身体にそっと抱きつくとそのまま顔を擦り寄せてくる。

私は、彼女の温もりと匂いに包まれ、心が癒されていくのを感じた。
その瞬間、私の理性が吹き飛びそうになったが、
なんとか堪える。
だが、それがまずかったのか、私達は、そのまま、二人とも倒れ込む。

「痛た、大丈夫ですか?すみません、私が押し倒したような感じになってしまって」

「いいえ!私が悪いのです!それに貴方は何も悪くありません」

私の下になった彼女は痛そうな顔をしているものの、怪我はなかったようでほっとした。
それから起き上がるために離れようとした時だ、
ふわりと甘い香りが漂ってきて鼻腔をくすぐると同時に胸が高鳴ったのである。
まるで目の前の女性が愛しくて堪らないといった感情が沸き上がってきて戸惑ったのだ。

(どうして?)
「どうしたんですか?私の顔に何かついていますか?」

「いえ、なんでもないです」

慌てて離れようとするが腕が勝手に動いて彼女を抱きしめてしまう。
そして、私は、彼女にキスをしていた。自分から積極的に舌を入れていった。
その勢いに押される形で彼女はなす術もなく受け入れてしまっている。

その様子は、今まで見たことがないぐらいに弱々しいもので私はますます興奮していった。

「ごめんなさい」

私は、謝るが彼女からの反応はない。
どうやら気を失ってしまったようだ。
そんな彼女のことをベッドに運ぶと服を脱がしていく。
それから、彼女のことを見下ろすと私は彼女の身体に手を伸ばすのであった。

私は、自分のしてしまったことに戸惑いを感じていた。
しかし、後悔は全くしていない。何故なら彼女への思いが抑えられなかったからだ。
私は彼女に対して謝罪するが、反応が無い。
仕方がないので、服を着せることにした。

「本当にすみませんでした、どうか許してください」

「私にはわかりません、貴方が何者なのか、なぜこのようなことをしたのか、私には理解できないのです」

そう言いながら私から離れていこうとしたので私は思わず捕まえて引き留めてしまう。
それから、私は、今起きている出来事を説明した。

「信じられないかもしれないけど本当なんだ」

しかし、信じてもらえずに突き放されてしまいそうだったので咄嵯に引き止めるもあっさり振りほどかれてしまうのだった。
今度は私の方へ近付いてくるなり私の手を握りしめてくるではないか!?
(なにをするんだろ……まさか殴ったりしないよな)

などと思っていると次の瞬間に驚くべき行動に出たのだ!
私の手を自らの方へと引き寄せるとおもむろに胸に触らせてきたのだ!
私は予想外の展開に頭が混乱してしまうがそれでも手は離さずにいたのだ。
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