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第8話 フレンド
5 約束
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警察署を出ると、外はすっかり夜になっていた。
多少暑くても厚めの上着を着てきてよかった。ポケットに両手を突っこみながら鬼頭は思った。
「街で偶然会った幼なじみの家を訪ねて……っていうのは、やっぱりちょっと苦しかったな」
言われる前に自分からそう切り出したが、雅美は容赦なく冷然とこう切り返してきた。
「おまけに、名前も覚えてなかったしな。何の迷いもなく言ってるから、てっきりやっと思い出したもんだと信じこんでたよ。まさか、部屋の表札を見てだとは思わなかった」
――そうなのだ。
あのとき、鬼頭が口にした〝ハラ・ミツオ〟という名前は、単にあの部屋の表札にあった〝原満男〟をそのまま読んだだけのことだったのだ。
しかも、それを見ても、まだ鬼頭にはあの男の名前だと確信が持てなかった。
さらに、それはあの男の名前ではなく、たとえば部屋の前の住人の名前である可能性も充分あった。
しかし、それはあの男も同じだったのだろう。もしかしたら、そこに名前が書いてあることにすら気づいていなかったのかもしれない。あくまでも、あの男は鬼頭の口から自分の名前が聞きたくて、そうである以上、あのときの鬼頭に迷っている時間はなかったのだ。
警察の話によると、男はまさしく〝原満男〟で、死後一週間は経過していたという。両腕が切断されていたことから、殺人の可能性もあると言われたが――鬼頭はもちろん、自分たちが発見したときにはすでにその状態だったと主張した――死因自体は衰弱死だったようだ。男の話が事実なら、あのアパートが燃えた頃、あの男も死んだわけだ。何やら因縁めいている。
中学を卒業した後、工場の作業員やパチンコ屋の住みこみなどをして各地を流れ歩き、二ヶ月ほど前にあのゴミ屋敷一歩手前のアパートに居ついたのだという。たぶん、その頃にはもう体はボロボロだったのだろう。
ちなみに、あのアパートの住人は〝原満男〟以外に一人しかおらず、その一人は現在行方不明だそうだ。そんなところに住んでいては、誰が死にかけていてもわかるまい。
そんな話を聞きながら、鬼頭がいちばん不思議に思ったのは、なぜ〝原満男〟は火事で燃えたというあのアパートではなく、その近くの似たようなアパートに住んだのだろうかということだった。
あのゴミアパートのほうが家賃が安かったのか。それとも、鬼頭と同じく〝原満男〟にとっても、あのアパートは触れがたいものだったのか。今となっては確かめる術はない。
おまけに、〝原満男〟の唯一の血縁者である母親は、今どこにいるかわからないそうだ。このまま母親が見つからなければ――あるいは、すでに母親も故人であれば――〝原満男〟は無縁仏となる。誰かが手を合わせることがあっても、それは〝名もなき死者〟に対してであり、〝原満男〟という個人に向けられたものではないのだ。
正直言って、鬼頭も〝原満男〟のことをよく覚えていない。過去の自分が彼に何を言ったのかさえも。彼には悪いが、当時の鬼頭にとってそれほど重要な存在ではなかったのだろう。
だが、あの男にとってはそうではなかった。自分の名前は忘れても、鬼頭のことだけは覚えていた。
それだけ憎まれていたということかもしれない。しかし今、鬼頭は一つの奇妙な考えにとらわれている。
もしかしたら――あの男は〝原満男〟であると同時に、今はないあのアパートそのものだったのではないか。自分の都合で完全に記憶の中から消し去ろうとした鬼頭を恨み、罵り、でも、最後には許して去っていった。――もう忘れてもいいのだと。
「ごめんな」
誰にともなく鬼頭は呟いた。
たぶん、もう少ししたら、おまえたちのことを懐かしいと思える日が来るだろうから。
もう少し――あと少し。
「何か言ったか?」
鬼頭の呟きを聞きとめた雅美が彼に顔を向けた。
「あ、いや、ごめんなって言ったんだ」
あわてて鬼頭は言いつくろう。
「今日は俺のせいで、おまえに嫌な思いをさせたから」
軽く目を見張ってから、雅美はかすかに笑った。
「それはあんただろう。俺は何とも思っちゃいない」
「……そうか」
鬼頭は苦く笑った。何とも思っていないことはないだろう。だが、今の鬼頭の気持ちを思いはかって、雅美はそう言うのだ。
もしかしたら、自分はこの雅美にずいぶん救われているのかもしれないと鬼頭は思った。命だけでなく、心も。
「じゃあ、帰るか。家まで送ってくよ」
鬼頭としては罪滅ぼしのつもりでそう言ったのだが、雅美はいかにも不満そうに眉間に縦皺を寄せた。
「もう帰るのか?」
「え?」
思わず固まってしまう。
「だって、もうずいぶん歩いたし……あんなこともあったし……」
「あの男のことは別だ。本当に、あんなものを見るためだけに、わざわざ俺を叩き起こしたのか?」
あんなものとは雅美の予備校のことだろう。確かに、鬼頭も夜中に電話で叩き起こされて、あげく自分の会社を見に行こうと言われたら、それは腹が立つ。
しかし、そもそも雅美を起こそうと思ったのは、単にどういう反応をするかを知りたかっただけであって、どこかに出かけようとしてではない。
(……なんて、今のこいつには、絶対言えないよな)
おまけに、あんなことのあった後だ。負い目は売るほどある。
「なら、おまえはどこに行きたいんだ? 今日の詫びだ。どこにでも好きなとこ連れてってやるよ」
困り果てた鬼頭は逆に雅美に訊ね返した。
「そうだな……」
そう呟いた雅美の目は、夜空を見上げていた。
「昼にしか、行けないところがいいな」
「は?」
「というわけだ。その権利は保留にしといてくれないか?」
「あ、ああ……」
「なら、帰ろう。飯が食いたいならつきあうが?」
――それって、連れてけってことだろ?
鬼頭は呆れたが、いかにも雅美らしくて笑ってしまった。
「よし、じゃあ、途中で弁当買って、おまえのうちで食う」
雅美を困らせるつもりでそう言うと。
雅美はまったく不意を突かれたように目を丸くした。
「いや、これはその――」
雅美の驚きぶりにひるんだ鬼頭が言い訳しようとした。と、それを制するように雅美は鬼頭を睨む。
「これは……何だ? 言っただろう。飯が食いたいならつきあうと。たとえそれがどこであろうと」
「……はい。そうですね」
冗談だったとはとても言えなかった。雅美は満足そうに鬼頭を見返すと、身を翻して歩き出した。
後ろ姿だけでも雅美は美しい。だが、そういえば最近、雅美の後ろ姿を見た記憶がない。なぜかと少し考えて、そうか、雅美はいつも自分より先に帰ることがないからだと思い当たった。
特に疑問にも思わなかったが、今ならわかる気がする。
きっと、帰りたくなかったのだ。あの孤独が棲まう、冷たい部屋に。
そして、誰かが訪ねてきてくれるのをずっと待っていた。
結局、名前を思い出してやることができなかった、あの男のように。
「なあ」
心なしか弾んでいるように見える背中にそう声をかけると、背中の持ち主は軽やかに鬼頭を振り返った。
「何だ?」
問い返すその顔はちょうど陰になって見えなかったが、たぶん、あの夏のパーティのときのように笑っているのだろうと鬼頭は思った。
「俺は、何があっても、おまえの名前だけは忘れないよ」
しばらく、雅美は何も答えなかった。しかし、前に向き直る直前、何気なく言った。
「あんたがそう言ってくれたことを、俺はずっと覚えているよ」
―END―
多少暑くても厚めの上着を着てきてよかった。ポケットに両手を突っこみながら鬼頭は思った。
「街で偶然会った幼なじみの家を訪ねて……っていうのは、やっぱりちょっと苦しかったな」
言われる前に自分からそう切り出したが、雅美は容赦なく冷然とこう切り返してきた。
「おまけに、名前も覚えてなかったしな。何の迷いもなく言ってるから、てっきりやっと思い出したもんだと信じこんでたよ。まさか、部屋の表札を見てだとは思わなかった」
――そうなのだ。
あのとき、鬼頭が口にした〝ハラ・ミツオ〟という名前は、単にあの部屋の表札にあった〝原満男〟をそのまま読んだだけのことだったのだ。
しかも、それを見ても、まだ鬼頭にはあの男の名前だと確信が持てなかった。
さらに、それはあの男の名前ではなく、たとえば部屋の前の住人の名前である可能性も充分あった。
しかし、それはあの男も同じだったのだろう。もしかしたら、そこに名前が書いてあることにすら気づいていなかったのかもしれない。あくまでも、あの男は鬼頭の口から自分の名前が聞きたくて、そうである以上、あのときの鬼頭に迷っている時間はなかったのだ。
警察の話によると、男はまさしく〝原満男〟で、死後一週間は経過していたという。両腕が切断されていたことから、殺人の可能性もあると言われたが――鬼頭はもちろん、自分たちが発見したときにはすでにその状態だったと主張した――死因自体は衰弱死だったようだ。男の話が事実なら、あのアパートが燃えた頃、あの男も死んだわけだ。何やら因縁めいている。
中学を卒業した後、工場の作業員やパチンコ屋の住みこみなどをして各地を流れ歩き、二ヶ月ほど前にあのゴミ屋敷一歩手前のアパートに居ついたのだという。たぶん、その頃にはもう体はボロボロだったのだろう。
ちなみに、あのアパートの住人は〝原満男〟以外に一人しかおらず、その一人は現在行方不明だそうだ。そんなところに住んでいては、誰が死にかけていてもわかるまい。
そんな話を聞きながら、鬼頭がいちばん不思議に思ったのは、なぜ〝原満男〟は火事で燃えたというあのアパートではなく、その近くの似たようなアパートに住んだのだろうかということだった。
あのゴミアパートのほうが家賃が安かったのか。それとも、鬼頭と同じく〝原満男〟にとっても、あのアパートは触れがたいものだったのか。今となっては確かめる術はない。
おまけに、〝原満男〟の唯一の血縁者である母親は、今どこにいるかわからないそうだ。このまま母親が見つからなければ――あるいは、すでに母親も故人であれば――〝原満男〟は無縁仏となる。誰かが手を合わせることがあっても、それは〝名もなき死者〟に対してであり、〝原満男〟という個人に向けられたものではないのだ。
正直言って、鬼頭も〝原満男〟のことをよく覚えていない。過去の自分が彼に何を言ったのかさえも。彼には悪いが、当時の鬼頭にとってそれほど重要な存在ではなかったのだろう。
だが、あの男にとってはそうではなかった。自分の名前は忘れても、鬼頭のことだけは覚えていた。
それだけ憎まれていたということかもしれない。しかし今、鬼頭は一つの奇妙な考えにとらわれている。
もしかしたら――あの男は〝原満男〟であると同時に、今はないあのアパートそのものだったのではないか。自分の都合で完全に記憶の中から消し去ろうとした鬼頭を恨み、罵り、でも、最後には許して去っていった。――もう忘れてもいいのだと。
「ごめんな」
誰にともなく鬼頭は呟いた。
たぶん、もう少ししたら、おまえたちのことを懐かしいと思える日が来るだろうから。
もう少し――あと少し。
「何か言ったか?」
鬼頭の呟きを聞きとめた雅美が彼に顔を向けた。
「あ、いや、ごめんなって言ったんだ」
あわてて鬼頭は言いつくろう。
「今日は俺のせいで、おまえに嫌な思いをさせたから」
軽く目を見張ってから、雅美はかすかに笑った。
「それはあんただろう。俺は何とも思っちゃいない」
「……そうか」
鬼頭は苦く笑った。何とも思っていないことはないだろう。だが、今の鬼頭の気持ちを思いはかって、雅美はそう言うのだ。
もしかしたら、自分はこの雅美にずいぶん救われているのかもしれないと鬼頭は思った。命だけでなく、心も。
「じゃあ、帰るか。家まで送ってくよ」
鬼頭としては罪滅ぼしのつもりでそう言ったのだが、雅美はいかにも不満そうに眉間に縦皺を寄せた。
「もう帰るのか?」
「え?」
思わず固まってしまう。
「だって、もうずいぶん歩いたし……あんなこともあったし……」
「あの男のことは別だ。本当に、あんなものを見るためだけに、わざわざ俺を叩き起こしたのか?」
あんなものとは雅美の予備校のことだろう。確かに、鬼頭も夜中に電話で叩き起こされて、あげく自分の会社を見に行こうと言われたら、それは腹が立つ。
しかし、そもそも雅美を起こそうと思ったのは、単にどういう反応をするかを知りたかっただけであって、どこかに出かけようとしてではない。
(……なんて、今のこいつには、絶対言えないよな)
おまけに、あんなことのあった後だ。負い目は売るほどある。
「なら、おまえはどこに行きたいんだ? 今日の詫びだ。どこにでも好きなとこ連れてってやるよ」
困り果てた鬼頭は逆に雅美に訊ね返した。
「そうだな……」
そう呟いた雅美の目は、夜空を見上げていた。
「昼にしか、行けないところがいいな」
「は?」
「というわけだ。その権利は保留にしといてくれないか?」
「あ、ああ……」
「なら、帰ろう。飯が食いたいならつきあうが?」
――それって、連れてけってことだろ?
鬼頭は呆れたが、いかにも雅美らしくて笑ってしまった。
「よし、じゃあ、途中で弁当買って、おまえのうちで食う」
雅美を困らせるつもりでそう言うと。
雅美はまったく不意を突かれたように目を丸くした。
「いや、これはその――」
雅美の驚きぶりにひるんだ鬼頭が言い訳しようとした。と、それを制するように雅美は鬼頭を睨む。
「これは……何だ? 言っただろう。飯が食いたいならつきあうと。たとえそれがどこであろうと」
「……はい。そうですね」
冗談だったとはとても言えなかった。雅美は満足そうに鬼頭を見返すと、身を翻して歩き出した。
後ろ姿だけでも雅美は美しい。だが、そういえば最近、雅美の後ろ姿を見た記憶がない。なぜかと少し考えて、そうか、雅美はいつも自分より先に帰ることがないからだと思い当たった。
特に疑問にも思わなかったが、今ならわかる気がする。
きっと、帰りたくなかったのだ。あの孤独が棲まう、冷たい部屋に。
そして、誰かが訪ねてきてくれるのをずっと待っていた。
結局、名前を思い出してやることができなかった、あの男のように。
「なあ」
心なしか弾んでいるように見える背中にそう声をかけると、背中の持ち主は軽やかに鬼頭を振り返った。
「何だ?」
問い返すその顔はちょうど陰になって見えなかったが、たぶん、あの夏のパーティのときのように笑っているのだろうと鬼頭は思った。
「俺は、何があっても、おまえの名前だけは忘れないよ」
しばらく、雅美は何も答えなかった。しかし、前に向き直る直前、何気なく言った。
「あんたがそう言ってくれたことを、俺はずっと覚えているよ」
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