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91.300年ぶりの全員集合
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『最後に酒を交わしたのはいつだったか…。満月の夜に皆で集まり語り合った事を思い出す…。皆は…今どうしているだろうか』
はっきりしない意識の中で、新田勝重は過去の事を思い出していた。
自分で何かを考えること自体が久しぶりだ。
そしてそのことに自分で気付く…
『我は…意識が…あるのか…。あれからどのくらい経った…?』
だんだん覚醒していく意識…
そして自分の石像の目の前で、話している声が聞こえてきた。
「いやー、皆も変わってないじゃーん!」
「当たり前だ、寝ていたのだから!」
『この声は…喜三郎…清正…』
「う…」
自分の石像の前でうっすらと、それでも確実に勝重は実体化していった。
「おおーーー!!勝重の兄貴が起きた~!」
「一気に3人とは・・・」
「ほぉ…これで全員揃ったのう」
「ここは…」
最後に起きた勝重の周りに、先に起きていた6人が集まる。
封印された当時と同じ、何も変わらない仲間がそこにいた。
「勝重殿が最後であるぞ」
「また皆で集まれて嬉しいです」
「ま、今は皆人間じゃないけど」
「平蔵…小雪、それにあやめも…」
一番最初に起きた冬月から他の補足も交えつつ、最近の状況の説明を勝重は受けた。
現在が封印をしたあの時から300年後である事、リヒトは転生して今は名前が変わっている事。
ココを現在管理している施設にいる現代人が、修行としてここを利用していること等だ。
「あれ、なんかまた増えた!?」
そこにやって来たのは貴紀、暇があればこの遺跡にくるようになっていた。
それもほぼ毎日だ。
今まで知らなかった事、そして過去の謎解きや考察が彼にとっては至福の時間なのだろう。
新しく起きた3人に貴紀は挨拶を済ませ、少し前に頼まれていた保護するアイテムについて、現在開発中であることを伝えた。
「きっとまた皆が修行しにくると思うので、そしたら今起きた3人も協力してあげてほしいです」
「うむ、勝重も喜三郎も清正も実力者じゃ。訳を話せば理解してくれるじゃろう。それと保護するためのアイテムの件、感謝しておる」
「いいんですよ、俺は白羽先輩達に伝えただけなんですから。今の僕でもできる事があるなら嬉しいです」
そう言いながら貴紀は今日もデータをまとめに資料室へと入っていった。
貴紀の姿を見送りながら、今自分たちが来ている服とは全く違う事に今回目覚めた3人は驚いていた。
「我らの時代は着物が主流だったが、今は違うのだな」
「外に出れたら全然違う景色が見れそうだ!早く行きてー!」
「事前に情報収集したらどうだ?貴紀殿の仲間がくるのだろう?」
300年という時間は地球にとっては一瞬かもしれないが、人間が進化していく過程にとってはとても長い時間だ。
遺跡にいるメンバーは、現在の日本がどうなっているのかを知りたいと、後から来た静羽達に提案する。
修行を行う上での必要な訓練や技術を共有する代わりに、現代の服や技術、話を教えてもらうのだ。
そんな事でいいのであればと、そこにいる誰もが協力的だった。
そして今回目覚めた3人を含め、300年前のメンバーが全員集合したことで、何か祝い事をしたいと言う。
遺跡で修行しているメンバーを含めて、お互いを知るための時間も必要だろう。
現代の料理や飲み物、話を提供する場としても有効だ。
そうと決まればと、今度の週末に皆学生服でない私服でここにきて、見てもらい、曲を流し、パーティをしようという事になった。
――――――
週末、研究所のご厚意で机やいすを貸し出してくれ、遺跡の中へ運びこんだ。
300年前の英雄7人は、運び込まれてくる見た事もない物の数々に驚きっぱなしである。
手伝いたい気持ちはあるもののどう扱っていいかもまだわからず、準備をしている邪魔にならない位置で見守っていた。
ふと疑問に思って、亮が質問にくる。
「今はもう宝石として姿を変えている冬月さん達は、何かの物を口にしたりすることができるんですか?」
「ふふ、そうじゃな…疑問に思って当然であろう。今の我らの身体は奇妙でな、何か口に入れる事はできるが、排出はされぬ。食べた物や飲んだものはそのまま魔力として身体に蓄積されるじゃろう。考え方によっては便利かもしれぬの。まぁその変わり、本体が動かねば移動ができないんじゃが…」
「よかった、じゃあみんなで美味しいものを食べて飲んでができるんですね!」
せっかく用意した食べ物や飲み物を口にできなければ寂しい。
ちゃんと食べれる事を聞けた亮は嬉しかったようだ。
何も食べなくても大丈夫らしく、その事についても本体の宝石が壊れない限りは半永久に存在できる。
1時間ほど準備に時間をし、それぞれが席についた。
席についたところで誰が取りまとめるのか…という話になった。
「じゃ、俺司会やるから静羽ちゃん挨拶よろしくね!」
「えぇっ!私!?」
徹が司会を務めてくれるらしい。
こういう時の部長は頼もしいと思う一方、いきなり挨拶を振られた静羽は困惑している。
注目されることが苦手である静羽だが、300年前の仲間を迎え入れ、今のメンバーと楽しい時を過ごしてももらいたいという気持ちは伝えたかった。
ざわざわしていた会場を沈め徹が発言した後、乾杯の音頭を求めた。
「えっと…、ご指名をされました桜川静羽です。今回は300年前に一緒に戦った仲間が目覚め、また一緒に集まる事ができました。そして今転生できた私も、まだ力が足りず、修行していかなくてはなりません。今…学園にいる皆と一緒に、またここから世の中の脅威と戦っていくためにお互いを知り、親睦を深めていけたらと思います。せっかくのこの機会、楽しく食べて・飲んで・語れる事を願います!それでは…乾杯!」
「乾杯~~!」
グラス同士を軽く当て、綺麗な音が会場に響く。
会場に用意された料理は、その中のほとんどは白銀家で用意された物だ。
買ってきた物ももちろんあるのだが、朴木や美津子も手伝ってくれ家庭料理を味わってもらいたいとなんとノアとクラウディアまで呼び寄せて作成した。
大量に作った料理は、家から冷めないように静羽の扉を介して遺跡とつなぎ運び込んだ。
見た事もない料理、そして使ったことのない食器をぎこちないながら頑張って使おうとしている冬月達。
刺身、唐揚げ、ぬか漬けや煮物、酒やジュース、果物そしてケーキやムース。
美味しそうに食べてもらえる度、作った側も両方幸せになれる瞬間だ。
ある程度料理を堪能した後、お互いがそれぞれ自己紹介をすることになった。
名前、自分の戦闘方法、好きな事、やりたい事等を話していく。
Sクラス9名、他クラス4名、300年前のメンバー7名、計20人だ。
はっきりしない意識の中で、新田勝重は過去の事を思い出していた。
自分で何かを考えること自体が久しぶりだ。
そしてそのことに自分で気付く…
『我は…意識が…あるのか…。あれからどのくらい経った…?』
だんだん覚醒していく意識…
そして自分の石像の目の前で、話している声が聞こえてきた。
「いやー、皆も変わってないじゃーん!」
「当たり前だ、寝ていたのだから!」
『この声は…喜三郎…清正…』
「う…」
自分の石像の前でうっすらと、それでも確実に勝重は実体化していった。
「おおーーー!!勝重の兄貴が起きた~!」
「一気に3人とは・・・」
「ほぉ…これで全員揃ったのう」
「ここは…」
最後に起きた勝重の周りに、先に起きていた6人が集まる。
封印された当時と同じ、何も変わらない仲間がそこにいた。
「勝重殿が最後であるぞ」
「また皆で集まれて嬉しいです」
「ま、今は皆人間じゃないけど」
「平蔵…小雪、それにあやめも…」
一番最初に起きた冬月から他の補足も交えつつ、最近の状況の説明を勝重は受けた。
現在が封印をしたあの時から300年後である事、リヒトは転生して今は名前が変わっている事。
ココを現在管理している施設にいる現代人が、修行としてここを利用していること等だ。
「あれ、なんかまた増えた!?」
そこにやって来たのは貴紀、暇があればこの遺跡にくるようになっていた。
それもほぼ毎日だ。
今まで知らなかった事、そして過去の謎解きや考察が彼にとっては至福の時間なのだろう。
新しく起きた3人に貴紀は挨拶を済ませ、少し前に頼まれていた保護するアイテムについて、現在開発中であることを伝えた。
「きっとまた皆が修行しにくると思うので、そしたら今起きた3人も協力してあげてほしいです」
「うむ、勝重も喜三郎も清正も実力者じゃ。訳を話せば理解してくれるじゃろう。それと保護するためのアイテムの件、感謝しておる」
「いいんですよ、俺は白羽先輩達に伝えただけなんですから。今の僕でもできる事があるなら嬉しいです」
そう言いながら貴紀は今日もデータをまとめに資料室へと入っていった。
貴紀の姿を見送りながら、今自分たちが来ている服とは全く違う事に今回目覚めた3人は驚いていた。
「我らの時代は着物が主流だったが、今は違うのだな」
「外に出れたら全然違う景色が見れそうだ!早く行きてー!」
「事前に情報収集したらどうだ?貴紀殿の仲間がくるのだろう?」
300年という時間は地球にとっては一瞬かもしれないが、人間が進化していく過程にとってはとても長い時間だ。
遺跡にいるメンバーは、現在の日本がどうなっているのかを知りたいと、後から来た静羽達に提案する。
修行を行う上での必要な訓練や技術を共有する代わりに、現代の服や技術、話を教えてもらうのだ。
そんな事でいいのであればと、そこにいる誰もが協力的だった。
そして今回目覚めた3人を含め、300年前のメンバーが全員集合したことで、何か祝い事をしたいと言う。
遺跡で修行しているメンバーを含めて、お互いを知るための時間も必要だろう。
現代の料理や飲み物、話を提供する場としても有効だ。
そうと決まればと、今度の週末に皆学生服でない私服でここにきて、見てもらい、曲を流し、パーティをしようという事になった。
――――――
週末、研究所のご厚意で机やいすを貸し出してくれ、遺跡の中へ運びこんだ。
300年前の英雄7人は、運び込まれてくる見た事もない物の数々に驚きっぱなしである。
手伝いたい気持ちはあるもののどう扱っていいかもまだわからず、準備をしている邪魔にならない位置で見守っていた。
ふと疑問に思って、亮が質問にくる。
「今はもう宝石として姿を変えている冬月さん達は、何かの物を口にしたりすることができるんですか?」
「ふふ、そうじゃな…疑問に思って当然であろう。今の我らの身体は奇妙でな、何か口に入れる事はできるが、排出はされぬ。食べた物や飲んだものはそのまま魔力として身体に蓄積されるじゃろう。考え方によっては便利かもしれぬの。まぁその変わり、本体が動かねば移動ができないんじゃが…」
「よかった、じゃあみんなで美味しいものを食べて飲んでができるんですね!」
せっかく用意した食べ物や飲み物を口にできなければ寂しい。
ちゃんと食べれる事を聞けた亮は嬉しかったようだ。
何も食べなくても大丈夫らしく、その事についても本体の宝石が壊れない限りは半永久に存在できる。
1時間ほど準備に時間をし、それぞれが席についた。
席についたところで誰が取りまとめるのか…という話になった。
「じゃ、俺司会やるから静羽ちゃん挨拶よろしくね!」
「えぇっ!私!?」
徹が司会を務めてくれるらしい。
こういう時の部長は頼もしいと思う一方、いきなり挨拶を振られた静羽は困惑している。
注目されることが苦手である静羽だが、300年前の仲間を迎え入れ、今のメンバーと楽しい時を過ごしてももらいたいという気持ちは伝えたかった。
ざわざわしていた会場を沈め徹が発言した後、乾杯の音頭を求めた。
「えっと…、ご指名をされました桜川静羽です。今回は300年前に一緒に戦った仲間が目覚め、また一緒に集まる事ができました。そして今転生できた私も、まだ力が足りず、修行していかなくてはなりません。今…学園にいる皆と一緒に、またここから世の中の脅威と戦っていくためにお互いを知り、親睦を深めていけたらと思います。せっかくのこの機会、楽しく食べて・飲んで・語れる事を願います!それでは…乾杯!」
「乾杯~~!」
グラス同士を軽く当て、綺麗な音が会場に響く。
会場に用意された料理は、その中のほとんどは白銀家で用意された物だ。
買ってきた物ももちろんあるのだが、朴木や美津子も手伝ってくれ家庭料理を味わってもらいたいとなんとノアとクラウディアまで呼び寄せて作成した。
大量に作った料理は、家から冷めないように静羽の扉を介して遺跡とつなぎ運び込んだ。
見た事もない料理、そして使ったことのない食器をぎこちないながら頑張って使おうとしている冬月達。
刺身、唐揚げ、ぬか漬けや煮物、酒やジュース、果物そしてケーキやムース。
美味しそうに食べてもらえる度、作った側も両方幸せになれる瞬間だ。
ある程度料理を堪能した後、お互いがそれぞれ自己紹介をすることになった。
名前、自分の戦闘方法、好きな事、やりたい事等を話していく。
Sクラス9名、他クラス4名、300年前のメンバー7名、計20人だ。
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