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73.呼び出し
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「姫の…騎士達…?」
確かに水晶はそう発言していた。
だが、その姫とやらの存在を認識しているわけでも、騎士になった覚えもなかった。
「話を聞かせてほしい、この遺跡の事、そして姫とは誰か…」
白羽がそう問いかけると、水晶は台座から浮かびあがり、その上に大きなスクリーンを展開する。
そのスクリーンに映し出されたのは…
「桜…川…」
「どうして…姫歌ちゃんが…」
「あなた方3人をお招きしたのは、他でもない…姫様と関わりの深い人物だからです」
「情報がまだあまり理解できていない…、この遺跡と桜川にどんな関係があるというんだ」
「今はまだ、姫様がおられません故詳しい事はお伝えできません。ですが、ここへ姫様をお連れしてくだされば、あなた方の仲間も含めてご説明いたしましょう」
「ここに…姫歌ちゃんを?」
「今日話すことは終わりです、次回会えるのを楽しみにしております」
水晶は光るのをやめ、元あった台座に収まった。
3人は顔を見合わせ考える。
「謎だらけだ…」
「一つ明確化したのは、桜川がこの遺跡と何らかの関係があって、ここに連れてこなければならないってことだ」
「仲間も含めてって言ってたよね…、という事はもしかしてここにいる3人以外でも入れる可能性があるって事じゃない?」
「その仲間ってどうやって判別するんだよ?」
「もしかしたら、桜川が仲間だと思っている必要があるんじゃないだろうか」
ここにいて話し合っていても仕方がないので、3人は遺跡の入り口へ戻ることにした。
だが一つ疑問ができる。
姫歌をここに連れてこなければならない理由を、素直に他の人に話をしていいかどうかだ。
確定で連れてくれば今後、遺跡の事や、もしかしたら魔物と対峙するうえでの有益な情報を得られるかもしれない。
連れてこないという選択肢はないが、仲間だと思っている人間以外への伝え方を3人は戻りながら話し合う事にした。
「遺跡の中にある水晶がそう言ったから、としか今は答えようがない気がするな」
「理由については俺達でもまだわからないんだ、連れて来た後にどこまで話すかが重要じゃないか?」
「そうだね、もしかしたら私達では想像がつかない事を語られるかもしれないし…」
「とりあえず桜川には俺から話す…」
姫歌もSクラスが今日、遺跡の調査を行っていることは知っている。
おそらく帰ってから、中はどうだった?と白羽に尋ねる事だろう。
その時に姫歌に遺跡についてきてほしいと言ったら、どういう反応をするのかいささか不安ではあったが、話さないわけにもいかない。
話してから、もし姫歌が不安になるのであれば、いつも通り白羽は姫歌を支える覚悟はできていた。
何があっても味方だと約束した。
その言葉に二言はない。
――――――――――
「あ、帰ってきた」
遺跡の入り口に帰ると、心配していたSクラスのメンバーが3人を取り囲む。
途中から連絡が取れなくなったと九条から聞いたが、中での出来事のせいで3人とも連絡がつかなくなっていた事などわかっていなかった。
案の定、中はどうだったのかと問われ、白羽は冷静に返した。
「廊下を進んださきに一つ部屋があった。その先に続くものはなく、その部屋には台座とそれにはめ込まれた水晶がある。その水晶に近づいたところで、その水晶から声がし、俺たちにとある人物をここに連れてきて欲しいとの依頼があった」
「水晶がしゃべったのか?!」
「で、誰を連れてこいって?」
「桜川…姫歌さん」
名前がいえない白羽のために、楓真が名前を言った。
Sクラスのメンバーも名前は聞いた事があるはずだ。
前回Sクラスメンバーが遠征で他県に出ている時に、学園が襲われ、そこで姫歌は活躍し魔物を退けてくれたのだ。
それに入学して早々あった事件等の絡みで、Bクラスにいるとは言え、名前は有名になっていた。
「どうして桜川さんが?」
「理由は私達にも聞かされてない。白羽が質問したんだけれどね、水晶が本人を連れてこないと話さないって言ったんだ」
「そうか…とりあえず今回わかったのは、長い廊下の先に一部屋水晶の部屋があるという事と、桜川さんを連れてくるように言われたという事だけか…」
「理由は不明だけれど、改めて桜川さんをつれてここに来るしかないみたいね」
一行は情報共有を済ませると遺跡を後にし、地上へと帰っていく。
学園に戻り報告をしているうちに、お昼になっていた。
――――――――
「今日の遺跡探索どうだった?」
帰り道、案の定姫歌にそう言われ、少し難しい顔をしてしまった白羽。
遺跡というよりは神殿の見た目をしていたことと、7体の石像、入り口はやはり通れない人がいた事を伝えた。
「桜川…いくつか大事な話がしたい。本館に来る前に少し家借りてもいいか?」
「え、うん。大丈夫だよ」
大事な話と言われて少しどきどきする。
告白…と一瞬頭をよぎったが、できるわけがないのでそのまま流した。
「それで…大事な話って…?」
家につくなりリビングでそう尋ねると、やはり白羽は難しい顔をしている。
帰り道では話さなかった遺跡の事を話してくれた。
実は白羽と楓真、そして徹が中に入れ進めた事。
長い廊下を進むとそこに一つ部屋があり、その中に台座にはめられた水晶があった事。
そしてその水晶が自分たちに話しかけてきて…
「桜川を…、遺跡に連れてきてほしいと…言われた」
「…わたし…?」
どれだけ前からあるかわからない遺跡に、来て欲しいと言われた事に姫歌は驚いた。
ただ夏休みに入る前、白羽に自分がDiva angelであると明かした時、新しく伝承が追加された事、名前がヒメカであった事は頭の片隅に置いていたので、きっとそういう事なのだろう。
自分が何者なのか、そしてこれから何をしなければいけないのか…。
それを探るためには遺跡に足を運ばなくてはならない。
「…一緒に…ついてきてくれる…?」
押し寄せる不安を取り除くように白羽に問う。
白羽は姫歌を見ながら、その不安を和らげるように微笑んだ。
「もちろん、一人になんてしない」
それに続いて嬉しかったのは、白羽だけでなく仲間を一緒に連れてきてもよさそうだという事だ。
白羽に誰を連れていきたいのか問われ考える。
「いつも一緒に行動してるメンバー…かな、夏休みにお出かけした皆がいい」
そう答えた。
それならと、グループに連絡をいれる。
そうなった経緯と、ついてきてくれるかどうかの確認だ。
確認するまでもないくらいに、すぐにメッセージが返信され、皆協力的だった。
「あぁ…、考古学観点から貴紀はどうだ…?」
白羽の口から貴紀の名前が出た事に姫歌は驚く。
悪い人ではない…というのが今の姫歌の中の貴紀。
一度関係が微妙になってしまっていたとはいえ、学園に来たのならこれから上に上がってくる逸材だ。
それに白羽の呪いの事も含め、お世話になるのなら皆に紹介してもいいかもしれない。
「いいけど…、私から連絡するのは…ちょっと躊躇しちゃうなぁ…」
「ふむ…なら俺から連絡しよう」
と白羽がスマホをいじっている。
連絡先を交換していたことに驚いた。
この間二人で話をしていた時に交換していたようだ。
白羽が連絡すると、貴紀も快く引き受けてくれた。
そしてその次の日、早々に仲間で集まり、貴紀の紹介と遺跡の説明を行った。
「いつ中に入るんですか?」
「予定は来週月曜午前中すぐだ。亮と貴紀はまだ変身できないだろうから、皆から離れないようにしてほしい」
「わかりました」
「了解っす」
確かに水晶はそう発言していた。
だが、その姫とやらの存在を認識しているわけでも、騎士になった覚えもなかった。
「話を聞かせてほしい、この遺跡の事、そして姫とは誰か…」
白羽がそう問いかけると、水晶は台座から浮かびあがり、その上に大きなスクリーンを展開する。
そのスクリーンに映し出されたのは…
「桜…川…」
「どうして…姫歌ちゃんが…」
「あなた方3人をお招きしたのは、他でもない…姫様と関わりの深い人物だからです」
「情報がまだあまり理解できていない…、この遺跡と桜川にどんな関係があるというんだ」
「今はまだ、姫様がおられません故詳しい事はお伝えできません。ですが、ここへ姫様をお連れしてくだされば、あなた方の仲間も含めてご説明いたしましょう」
「ここに…姫歌ちゃんを?」
「今日話すことは終わりです、次回会えるのを楽しみにしております」
水晶は光るのをやめ、元あった台座に収まった。
3人は顔を見合わせ考える。
「謎だらけだ…」
「一つ明確化したのは、桜川がこの遺跡と何らかの関係があって、ここに連れてこなければならないってことだ」
「仲間も含めてって言ってたよね…、という事はもしかしてここにいる3人以外でも入れる可能性があるって事じゃない?」
「その仲間ってどうやって判別するんだよ?」
「もしかしたら、桜川が仲間だと思っている必要があるんじゃないだろうか」
ここにいて話し合っていても仕方がないので、3人は遺跡の入り口へ戻ることにした。
だが一つ疑問ができる。
姫歌をここに連れてこなければならない理由を、素直に他の人に話をしていいかどうかだ。
確定で連れてくれば今後、遺跡の事や、もしかしたら魔物と対峙するうえでの有益な情報を得られるかもしれない。
連れてこないという選択肢はないが、仲間だと思っている人間以外への伝え方を3人は戻りながら話し合う事にした。
「遺跡の中にある水晶がそう言ったから、としか今は答えようがない気がするな」
「理由については俺達でもまだわからないんだ、連れて来た後にどこまで話すかが重要じゃないか?」
「そうだね、もしかしたら私達では想像がつかない事を語られるかもしれないし…」
「とりあえず桜川には俺から話す…」
姫歌もSクラスが今日、遺跡の調査を行っていることは知っている。
おそらく帰ってから、中はどうだった?と白羽に尋ねる事だろう。
その時に姫歌に遺跡についてきてほしいと言ったら、どういう反応をするのかいささか不安ではあったが、話さないわけにもいかない。
話してから、もし姫歌が不安になるのであれば、いつも通り白羽は姫歌を支える覚悟はできていた。
何があっても味方だと約束した。
その言葉に二言はない。
――――――――――
「あ、帰ってきた」
遺跡の入り口に帰ると、心配していたSクラスのメンバーが3人を取り囲む。
途中から連絡が取れなくなったと九条から聞いたが、中での出来事のせいで3人とも連絡がつかなくなっていた事などわかっていなかった。
案の定、中はどうだったのかと問われ、白羽は冷静に返した。
「廊下を進んださきに一つ部屋があった。その先に続くものはなく、その部屋には台座とそれにはめ込まれた水晶がある。その水晶に近づいたところで、その水晶から声がし、俺たちにとある人物をここに連れてきて欲しいとの依頼があった」
「水晶がしゃべったのか?!」
「で、誰を連れてこいって?」
「桜川…姫歌さん」
名前がいえない白羽のために、楓真が名前を言った。
Sクラスのメンバーも名前は聞いた事があるはずだ。
前回Sクラスメンバーが遠征で他県に出ている時に、学園が襲われ、そこで姫歌は活躍し魔物を退けてくれたのだ。
それに入学して早々あった事件等の絡みで、Bクラスにいるとは言え、名前は有名になっていた。
「どうして桜川さんが?」
「理由は私達にも聞かされてない。白羽が質問したんだけれどね、水晶が本人を連れてこないと話さないって言ったんだ」
「そうか…とりあえず今回わかったのは、長い廊下の先に一部屋水晶の部屋があるという事と、桜川さんを連れてくるように言われたという事だけか…」
「理由は不明だけれど、改めて桜川さんをつれてここに来るしかないみたいね」
一行は情報共有を済ませると遺跡を後にし、地上へと帰っていく。
学園に戻り報告をしているうちに、お昼になっていた。
――――――――
「今日の遺跡探索どうだった?」
帰り道、案の定姫歌にそう言われ、少し難しい顔をしてしまった白羽。
遺跡というよりは神殿の見た目をしていたことと、7体の石像、入り口はやはり通れない人がいた事を伝えた。
「桜川…いくつか大事な話がしたい。本館に来る前に少し家借りてもいいか?」
「え、うん。大丈夫だよ」
大事な話と言われて少しどきどきする。
告白…と一瞬頭をよぎったが、できるわけがないのでそのまま流した。
「それで…大事な話って…?」
家につくなりリビングでそう尋ねると、やはり白羽は難しい顔をしている。
帰り道では話さなかった遺跡の事を話してくれた。
実は白羽と楓真、そして徹が中に入れ進めた事。
長い廊下を進むとそこに一つ部屋があり、その中に台座にはめられた水晶があった事。
そしてその水晶が自分たちに話しかけてきて…
「桜川を…、遺跡に連れてきてほしいと…言われた」
「…わたし…?」
どれだけ前からあるかわからない遺跡に、来て欲しいと言われた事に姫歌は驚いた。
ただ夏休みに入る前、白羽に自分がDiva angelであると明かした時、新しく伝承が追加された事、名前がヒメカであった事は頭の片隅に置いていたので、きっとそういう事なのだろう。
自分が何者なのか、そしてこれから何をしなければいけないのか…。
それを探るためには遺跡に足を運ばなくてはならない。
「…一緒に…ついてきてくれる…?」
押し寄せる不安を取り除くように白羽に問う。
白羽は姫歌を見ながら、その不安を和らげるように微笑んだ。
「もちろん、一人になんてしない」
それに続いて嬉しかったのは、白羽だけでなく仲間を一緒に連れてきてもよさそうだという事だ。
白羽に誰を連れていきたいのか問われ考える。
「いつも一緒に行動してるメンバー…かな、夏休みにお出かけした皆がいい」
そう答えた。
それならと、グループに連絡をいれる。
そうなった経緯と、ついてきてくれるかどうかの確認だ。
確認するまでもないくらいに、すぐにメッセージが返信され、皆協力的だった。
「あぁ…、考古学観点から貴紀はどうだ…?」
白羽の口から貴紀の名前が出た事に姫歌は驚く。
悪い人ではない…というのが今の姫歌の中の貴紀。
一度関係が微妙になってしまっていたとはいえ、学園に来たのならこれから上に上がってくる逸材だ。
それに白羽の呪いの事も含め、お世話になるのなら皆に紹介してもいいかもしれない。
「いいけど…、私から連絡するのは…ちょっと躊躇しちゃうなぁ…」
「ふむ…なら俺から連絡しよう」
と白羽がスマホをいじっている。
連絡先を交換していたことに驚いた。
この間二人で話をしていた時に交換していたようだ。
白羽が連絡すると、貴紀も快く引き受けてくれた。
そしてその次の日、早々に仲間で集まり、貴紀の紹介と遺跡の説明を行った。
「いつ中に入るんですか?」
「予定は来週月曜午前中すぐだ。亮と貴紀はまだ変身できないだろうから、皆から離れないようにしてほしい」
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