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15.林間学校準備
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あれからさらに1週間がすぎた。
勉強しようと誓い合ったあの日から、姫歌も空も、他人にあほじゃないのかと言われるくらい暇があったら勉強している。
実はそれに亮も一緒に混ざって勉強していて、試験に向かって3人で頑張っている日々を送っていた。
亮の家庭は父が軍隊のお偉いさんらしく、軍事基礎知識はもう父親から叩き込まれているようで、勉強に関しての知識を提供してくれている。
かくいう姫歌も、もう軍事基礎知識自体は昔この学園の教師をしていた祖母によって叩き込まれているのだが、少し昔の知識もまざっているため、そこは都度亮に教えてもらい修正していった。
と、勉強しながら林間学校がそろそろだったのでその話題になる。
「そういえば今日の午後、林間学校の準備でしたね」
「うん、私と亮くんは運よく同じ班でよかった…」
「いいなぁ~。私まだよくわからないや~…」
実は入学式当日と数日後に魔物が近辺に現れたことで、学園側が林間学校を開催するかどうかを審議していた。
その期間により初めてのグループの発表や説明が2週間ほど後退していたのだが、今日初めて顔合わせをする予定なのだ。
お昼休みでの勉強をすませ、3人はそれぞれ割り当てられた部屋へと向かう。
姫歌と亮はMB-2(軍事戦略科)へと向かっていた。
クラスの中に入るとプレートがおいてあり、自分たちの班が座れる席が用意されている。
姫歌達の班の席にはもう、男子と女子がそれぞれ座っていた。
「こんにちは。一緒の班の桜川姫歌といいます。よろしくお願いします」
「こんにちは、同じく高澤亮といいますよろしくお願いします」
姫歌と亮が座る前に挨拶する。
すると座っていた二人から挨拶が返ってきた。
「おー、俺の名前は佐々木優介。23歳だからもしかしたらこの班では最年長かもな。よろしく」
「私は佐藤美奈です。14です。よろしくお願いします」
美奈は薄紫色の髪に緑色の目で、髪はミディアムロング。
優介は茶色の少しはねた髪に、灰色の目をした爽やか男性だ。
姫歌と亮が座って早々に4人で雑談をし始める。
二人は情報技術のクラスで、美奈がC優介がBクラスなのだそうだ。
美奈は姫歌や亮たちより半年前に入学したらしく、優介のほうは1年経っているらしい。
雑談をしていて15分くらい経っただろうか。
他の班の生徒たちもほぼ人数がそろったようだが、姫歌たちの班は4人欠けている。
「すみませーん、遅くなりました~!」
と…そこに現れたのは、水色の瞳に薄ピンク色の髪をツインテールにしている、亮と同じくらいの歳の女子だった。
「あれれ…私もちょっと遅れてしまったのに、あと3人足らなそうですね…。どうしましょう…」
座っている4人がきょとんとしながらその女子のほうを見ている。
「あ、そうですよね。誰かわらなくて当然です…。私はこの班の班長を任されました、聖歌Aランク宮永 愛莉(みやなが あいり)です。よろしくお願いします」
班長であることがわかると4人もそれぞれ自己紹介をはじめた。
自己紹介をする亮がいつもと違って愛莉の事を見て緊張している。
どうやら好みのタイプだったようだ。
それを見てわかってしまった姫歌がクスッとしている。
「それにしてもあと3人はどこに行ってしまったんでしょう……」
「いつになったら来るか分からない人を待って、内容が進まないより、先にある程度進めていた方がいいと思いまーす」
「そうですね、後から来る3人には会った時に説明しましょう」
そう言って5人で打ち合わせを始めた。
何時に出発するか、移動手段はどうするのか、荷物は何を持っていくのか。
幸い班の最年長である優介がアウトドアが趣味のため、必要な物を上げてくれた。
何かあった時も経験者がいた方が心強い。
「あー、すいませーん。俺らの班ってここっすかー?」
「うわー、もしかして班長って年下?ありえねぇー」
「こらこら、アレでも先輩なんでちゅから、言うこと聞いてあげてくだちゃいねー」
ある程度内容が決まり始めたころ、その場にいなかった3人が遅れてやってくる。
馬鹿にする3人の笑い声がクラスに響いた。
悪びれた様子もなく、むしろ他人を見下し軽蔑する3人の印象は悪い。
それぞれがとりあえずと言うように名前を名乗る。
メガネをかけた紫の髪を後ろで束ねている、黄緑色の目の男子が、軍事戦略Cの藤原真。
深緑色の片目を前髪で隠している、山吹色の目の男子が、軍事戦略Cの中川慎也。
金髪に赤のメッシュが入った、焦げ茶色の目の1番偉そうなやつが、軍事戦略B小宮直樹。
気に食わないが同じ班である事は事実なので、先程まで話し合い決定した事を伝える。
集合時間:AM8時
移動手段:電車、最寄り駅からは徒歩
キャンプに必要なものは宅急便
必需品は各自持ち歩き
買い出しについては行ける人達で
情報を聞くと3人は、はいはい分かりましたと言ってクラスから出ていってしまった。
班長やその場に座っているメンバーに合わせるつもりなどないように見える。
「感じ悪いですね…」
「そうだなぁ…、あれはちょっと頂けない」
部屋を出ていった3人の方を見ながら、亮と優介が愚痴をこぼす。
「はぁ……ちゃんとみんなたどり着けるといいのですけど…」
「班長さんの事、皆で支えます!」
「うんうん、1人で悩まないでくださいね!」
助け合うのは理想ではあるが、あの3人がそうなる確率は低い。
それならせめて、無事に終わる事を願うばかりだ。
そして話し合いが出来てから2日後、問題児である3人以外で買い出しに出かけた。
もちろん行くかどうかの確認は班長がしてくれたようだが、3人とも面倒くさいらしく、おまかせにされたようだ。
そんな中でも、優介が経験者であることで、買い出しもスムーズにやることが出来た。
キャンプに必要な物はだいたい優介が貸し出してくれるらしく、無駄な出費を抑えられたからこそ、宅急便で送るなんて事ができるのだ。
おそらく他の班の荷物から比べると、半分以下になる事だろう。
林間学校1日前、姫歌が部活の最中に白羽に話しかけられた。
もちろん横にはミルカ付で。
ミルカの存在を確認してから、必要なこと以外話さなくなった。
いや、話したくても話せないのだ。
ミルカがいつも横にいたら、彼女を刺激してしまうだろう。
姫歌は下手に何かして、学園生活に支障を出したくなかった。
「桜川の班の目的地どこ?」
「富山森林公園キャンプ場だよ」
「ふーん…」
「白羽くんは…?」
「富山自然湖キャンプ場。場所は違うが、近いは近い」
「そっか」
会話はそこで終わる。
特に2人の間におかしい所はないはずなのだが、ミルカだけは違うようだ。
「ねぇねぇ、なんで桜川さんの事気にしてるの?」
「は?」
「だって、白羽くんが他の女の子の事を気にするの珍しいし、桜川さんだって白羽くんに対して敬語じゃないじゃない?なんで?」
ミルカの言う事も間違ってはいない。
白羽はそもそも自分の親しい相手以外興味がない。
そして周りの人間は、Sクラス第1に気安く話しかけたりもしないし、余程でない限り敬語なのだ。
「俺がそうしろって言ったんだよ」
「え??なんで??」
「……お前、面倒くさいから話さない……」
「えぇーーっ?!なんでよーー!!」
白羽に教えて貰えず、ミルカが悔しがっている。
そんな光景でも、姫歌にとっては羨ましい。
『いいなぁ…気軽に話せて、羨ましい。お揃いの指輪もつけてるし…。カップルの特権だなぁー』
姫歌はのほほんとしているが、結果的に後で災難が起きる事をこの時はまだ知らない。
勉強しようと誓い合ったあの日から、姫歌も空も、他人にあほじゃないのかと言われるくらい暇があったら勉強している。
実はそれに亮も一緒に混ざって勉強していて、試験に向かって3人で頑張っている日々を送っていた。
亮の家庭は父が軍隊のお偉いさんらしく、軍事基礎知識はもう父親から叩き込まれているようで、勉強に関しての知識を提供してくれている。
かくいう姫歌も、もう軍事基礎知識自体は昔この学園の教師をしていた祖母によって叩き込まれているのだが、少し昔の知識もまざっているため、そこは都度亮に教えてもらい修正していった。
と、勉強しながら林間学校がそろそろだったのでその話題になる。
「そういえば今日の午後、林間学校の準備でしたね」
「うん、私と亮くんは運よく同じ班でよかった…」
「いいなぁ~。私まだよくわからないや~…」
実は入学式当日と数日後に魔物が近辺に現れたことで、学園側が林間学校を開催するかどうかを審議していた。
その期間により初めてのグループの発表や説明が2週間ほど後退していたのだが、今日初めて顔合わせをする予定なのだ。
お昼休みでの勉強をすませ、3人はそれぞれ割り当てられた部屋へと向かう。
姫歌と亮はMB-2(軍事戦略科)へと向かっていた。
クラスの中に入るとプレートがおいてあり、自分たちの班が座れる席が用意されている。
姫歌達の班の席にはもう、男子と女子がそれぞれ座っていた。
「こんにちは。一緒の班の桜川姫歌といいます。よろしくお願いします」
「こんにちは、同じく高澤亮といいますよろしくお願いします」
姫歌と亮が座る前に挨拶する。
すると座っていた二人から挨拶が返ってきた。
「おー、俺の名前は佐々木優介。23歳だからもしかしたらこの班では最年長かもな。よろしく」
「私は佐藤美奈です。14です。よろしくお願いします」
美奈は薄紫色の髪に緑色の目で、髪はミディアムロング。
優介は茶色の少しはねた髪に、灰色の目をした爽やか男性だ。
姫歌と亮が座って早々に4人で雑談をし始める。
二人は情報技術のクラスで、美奈がC優介がBクラスなのだそうだ。
美奈は姫歌や亮たちより半年前に入学したらしく、優介のほうは1年経っているらしい。
雑談をしていて15分くらい経っただろうか。
他の班の生徒たちもほぼ人数がそろったようだが、姫歌たちの班は4人欠けている。
「すみませーん、遅くなりました~!」
と…そこに現れたのは、水色の瞳に薄ピンク色の髪をツインテールにしている、亮と同じくらいの歳の女子だった。
「あれれ…私もちょっと遅れてしまったのに、あと3人足らなそうですね…。どうしましょう…」
座っている4人がきょとんとしながらその女子のほうを見ている。
「あ、そうですよね。誰かわらなくて当然です…。私はこの班の班長を任されました、聖歌Aランク宮永 愛莉(みやなが あいり)です。よろしくお願いします」
班長であることがわかると4人もそれぞれ自己紹介をはじめた。
自己紹介をする亮がいつもと違って愛莉の事を見て緊張している。
どうやら好みのタイプだったようだ。
それを見てわかってしまった姫歌がクスッとしている。
「それにしてもあと3人はどこに行ってしまったんでしょう……」
「いつになったら来るか分からない人を待って、内容が進まないより、先にある程度進めていた方がいいと思いまーす」
「そうですね、後から来る3人には会った時に説明しましょう」
そう言って5人で打ち合わせを始めた。
何時に出発するか、移動手段はどうするのか、荷物は何を持っていくのか。
幸い班の最年長である優介がアウトドアが趣味のため、必要な物を上げてくれた。
何かあった時も経験者がいた方が心強い。
「あー、すいませーん。俺らの班ってここっすかー?」
「うわー、もしかして班長って年下?ありえねぇー」
「こらこら、アレでも先輩なんでちゅから、言うこと聞いてあげてくだちゃいねー」
ある程度内容が決まり始めたころ、その場にいなかった3人が遅れてやってくる。
馬鹿にする3人の笑い声がクラスに響いた。
悪びれた様子もなく、むしろ他人を見下し軽蔑する3人の印象は悪い。
それぞれがとりあえずと言うように名前を名乗る。
メガネをかけた紫の髪を後ろで束ねている、黄緑色の目の男子が、軍事戦略Cの藤原真。
深緑色の片目を前髪で隠している、山吹色の目の男子が、軍事戦略Cの中川慎也。
金髪に赤のメッシュが入った、焦げ茶色の目の1番偉そうなやつが、軍事戦略B小宮直樹。
気に食わないが同じ班である事は事実なので、先程まで話し合い決定した事を伝える。
集合時間:AM8時
移動手段:電車、最寄り駅からは徒歩
キャンプに必要なものは宅急便
必需品は各自持ち歩き
買い出しについては行ける人達で
情報を聞くと3人は、はいはい分かりましたと言ってクラスから出ていってしまった。
班長やその場に座っているメンバーに合わせるつもりなどないように見える。
「感じ悪いですね…」
「そうだなぁ…、あれはちょっと頂けない」
部屋を出ていった3人の方を見ながら、亮と優介が愚痴をこぼす。
「はぁ……ちゃんとみんなたどり着けるといいのですけど…」
「班長さんの事、皆で支えます!」
「うんうん、1人で悩まないでくださいね!」
助け合うのは理想ではあるが、あの3人がそうなる確率は低い。
それならせめて、無事に終わる事を願うばかりだ。
そして話し合いが出来てから2日後、問題児である3人以外で買い出しに出かけた。
もちろん行くかどうかの確認は班長がしてくれたようだが、3人とも面倒くさいらしく、おまかせにされたようだ。
そんな中でも、優介が経験者であることで、買い出しもスムーズにやることが出来た。
キャンプに必要な物はだいたい優介が貸し出してくれるらしく、無駄な出費を抑えられたからこそ、宅急便で送るなんて事ができるのだ。
おそらく他の班の荷物から比べると、半分以下になる事だろう。
林間学校1日前、姫歌が部活の最中に白羽に話しかけられた。
もちろん横にはミルカ付で。
ミルカの存在を確認してから、必要なこと以外話さなくなった。
いや、話したくても話せないのだ。
ミルカがいつも横にいたら、彼女を刺激してしまうだろう。
姫歌は下手に何かして、学園生活に支障を出したくなかった。
「桜川の班の目的地どこ?」
「富山森林公園キャンプ場だよ」
「ふーん…」
「白羽くんは…?」
「富山自然湖キャンプ場。場所は違うが、近いは近い」
「そっか」
会話はそこで終わる。
特に2人の間におかしい所はないはずなのだが、ミルカだけは違うようだ。
「ねぇねぇ、なんで桜川さんの事気にしてるの?」
「は?」
「だって、白羽くんが他の女の子の事を気にするの珍しいし、桜川さんだって白羽くんに対して敬語じゃないじゃない?なんで?」
ミルカの言う事も間違ってはいない。
白羽はそもそも自分の親しい相手以外興味がない。
そして周りの人間は、Sクラス第1に気安く話しかけたりもしないし、余程でない限り敬語なのだ。
「俺がそうしろって言ったんだよ」
「え??なんで??」
「……お前、面倒くさいから話さない……」
「えぇーーっ?!なんでよーー!!」
白羽に教えて貰えず、ミルカが悔しがっている。
そんな光景でも、姫歌にとっては羨ましい。
『いいなぁ…気軽に話せて、羨ましい。お揃いの指輪もつけてるし…。カップルの特権だなぁー』
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