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6章 変な石とその後の話

第257話 蟲糸(シルク)を求めて作戦会議

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「呼ばれました」
「筆不精な和尚さんが珍しいですね?」
「どうしました?」
「何かありました?」
 子供達より先に嫁達、灯とエリスとアカデとクリスの4人揃った、どうやら子供達は外に居るので遅れるらしい。悪戯で此方の反応を伺っていたわけでも無く、置いていって忘れただけっぽい。
「面白いモノが居たから」
 若干得意気に、机の引き出しに居た巨大な白イモムシを指さして答える。
「子供の悪戯にどやって如何するんですか……?」
 灯が流れは理解したけど呆れたと言う調子で返してくる。
「何だか子供っぽいですね?」
 エリスも続いて呆れ気味だ。
「其れはカブトムシではしゃいでた時に言うんだ」
 甲虫系ではしゃぐのは男の子の本能というモノなのでしょうが無い。
 子供っぽいのは認める。
 そして、大人になって蝶や蛾で興奮するのは変態の類いだ(偏見)。
「そもそも変なところで子供っぽいのはこの人の仕様ですし?」
 灯から微妙に酷いことを言われるのにも慣れた物だ。
「で、これってなんて生き物です?」
 エリスとアカデ辺りに向かって聞いてみる。
「ジャイアントモスの幼虫? ですね?」
 エリスが今一分からないと言う様子で首をかしげる。
「シルクジャイアントモスじゃないのかしら?」
 アカデが続ける、ジャイアントモスな辺りは合っているのか、そして、多分糸が取れるかどうかしか分類分けの必要が無い段階なのだろう。
「今回は如何するんです? 素焼き?」
 クリスが何とも言えない表情で繋げてきた、あんまり美味しくないんだよなあ的な感が顔に浮かんでいる。
「食べるの?」
 予想外だったので返してみる。
「結構食べました、毒は無い種類なんで、こう、串に刺して、たき火で……」
「程良く焦がすと香ばしくて美味しいのよね?」
「はい、生ではあんまり美味しくありませんから」
 アカデがクリスの言葉に同調する、成るほど、流石悪食担当。
「遠目の強火で焦げ目を付けつつパンパンに膨れたら食べ頃です、生焼けだと青臭いんで困りますけど」
「素焼きも結構技術必要だしな」
 魚の串焼きなんかでもコツが分からないと結構苦労するので、其れなりに納得する。
 灯が其れもあったかと目を点にしていた。
 因みに、灯も描写は無かったが最初に合流した頃、川虫(ざざむし)も炒めて喰わせていたのは余談だ。
 このメンバーは言うほど昆虫食に忌避感は無い。
 しかし、割と食に関しては合うらしい、横で見ていたカナデがギョッとしている辺りに、姉妹の差違を感じる。
 因みにヒカリがどや顔で持ってきた獲物シリーズ、トカゲに陸ガニ、カエルにヘビ、魚や木の実何かは安全を確認した後に安全なら料理して食べてみようが割と有るので、この流れは別に珍しくない。
 ゲテモノ系で騒ぐのはクリスと時々灯、元から都市部に居たらしいメイド達ぐらいなので、脅かすネタに成らないのだ。
 そもそも目下の人に身分を笠に着て悪戯するのは禁止しているため、子供達の悪戯ターゲットは自分がメインで有る。

「いや、食べない方向で、出来れば蟲糸、絹糸(シルク)を採って、繁殖させて名産にしたい」
 食べるにしても糸を取ってからだ。
「あれ? でもこの辺で蚕(かいこ)何て育ててましたっけ?」
 灯が首をかしげる。
「いや、無かったはず」
 領主としてこの土地の名産やら問題点やらざっと目を通しているが、蟲糸系は未だ見ていない。
「このシルクジャイアントモスは夏場暑いと育ちが悪いし、餌は何でも食べるけど、食べる割に余り育たないし、名産地は育て方秘伝にしてるから、後追いでやるにも難しいのよねえ」
 アカデが困り顔で呟く。
「大体人の頭ぐらいの大きさに成るから、木と言わず森の葉っぱも一部丸裸位に食べられちゃいますから、育てるにしても大変だと思いますよ?」
 クリスもこいつがどの程度食べるかは把握してる様子だ。と言うかコレ、既に手のひらサイズいっぱいいっぱい位だと思うが、これが終礼じゃ無く、もっとでかくなるのか。
「成るほど、糸取り文化がこの土地に無いのも当然と言う訳なんですね?」
「時々外で繭見つけたら回収して冒険者ギルドに買い取りに出す程度です」
 エリスが補足する。
「糸高くないか?」
 コストがエグそうだ。
「植物糸の方が安いですから、蟲糸なら高級品ですよ」
 私達のもコレですしと揃って自分の服の裾をつまむ。
 因みに、カナデはちゃっかり絹製品を身につけているので若干肩身が狭そうに肩をすくめた。
「だから蟲糸作れるなら良い儲けに成ります、知ってるんですよね?」
 エリスが儲け話は逃さ無いと言う様子で目を光らせた。



 追伸
 因みに、作中では蟲由来の糸は全部、蟲糸(シルク)と言われます、蜘蛛糸の場合も有るので、そんな呼び方。画面外で巨大蜘蛛も居たりします。
 すいません、夏バテで倒れていました、昔ぼやいたとおり、暑いのは意外と苦手です。
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