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6章 変な石とその後の話

第227話 外伝 子供達、学園編

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 前置きとして、本編からかなり後です。


「これが貴族学園……」
 貴族の子弟の特典として入学を招待されたのだが、入り口の門で早速気後れしていた。
「ほら、ウルザ、行くよ?」
 ヒカリ姉にお尻を叩かれてつんのめりつつ前に出て、学園の敷地に一歩を踏み入れた。
 因みにウルザは自分の名前、之でも貴族であるフォレスト領の正当な嫡男である。
 そしてヒカリ姉は、自分から見ると姪っ子に当たるのだが、若干年上で一緒に育った関係上、姉の様な者として定着してしまった、隣の領地、アグリカ領の嫡女に当るので、何だかんだで貴族枠に入る。更に血縁自体は無いので、何故か自分の婚約者候補のうちの一つとして数えられている
「私等の寮は何処だっけ? 一番奥?」
 更に雰囲気に呑まれて固まって居るのを、イリス姉がニヤニヤ笑いながら追い抜いていく。
 イリス姉も同じく、自分から見ると姪に当たるが、やはり若干年上で以下略、そして、何だかんだで二人共自分よりも色々な意味で強い為、結局頭が上がらない。
「まっ・・・・」
 背中にモフモフの毛玉の様な物がぶつかった。
「あれ? ウルザ? 未だここに居たの?」
「きょい」
 アカデ義母さんとあーさんだった、毛玉と言うか羽毛玉だったらしい。因みにアカデ母さんは学者と言うか研究者が正式な職業で、自分達が学園の入学を招待された事から、お目付け役を兼ねて、前々から打診されていた教師職を引き受けたと言う事らしい。
「アカデ義母さん? もう追いついたの?」
 呆然と呟く。こっちの方が乗合馬車で数日は先に出発した筈なのだが、後から出て来た筈のこのコンビに追いつかれてしまった。
「この子速いんだから」
 アカデ母さんの言葉に合わせてエッヘンと言った感じにあーさんが胸を張る。
 何だかんだでこの母と鳥は仲が良い。
 この人は母と言って居るが、義理の姉に当たる、母と同い年の姉、等と言う良く分からない存在である事に加え、学業を教えてくれたのがこの人である事から、母のような物として認識されて居る。そろそろ40も過ぎた頃の筈だが、現状うちの母達は見た目が若いので、外から見ると年齢不詳で謎の人物扱いされて居る。
 因みに先の二人、ヒカリ姉とイリス姉から見ると義母に当るので母で間違えてはいない、初めて母と呼んだ時には目を剥いて驚かれたが、何だかんだで嬉しそうで、結局其のまま呼び名が固定されて居る。
 更に言うと、ヒカリ姉もしくはイリス姉と自分が結婚すれば、問題無く違和感も無く義母に成ると言う事で、猛烈に結婚相手として推奨されて居たりする。
 両親のエリザ母さんとギル父さんからも、義理兄姉である和尚義兄と灯義姉やエリス義姉と言う面々からも、盛大に推されて居る為、外堀も内堀も埋まって居るのだ、結局最後の一押しは当人同士でと言う感じに無言で見守られて居るのだが、自分が最後の一押しが足り無いと言うか、そんな不意気に成らずに姉的な二人に引きずり回されて居ると言うのが現状なので、幼少期に刻まれた力関係と、現在でも勝てないと言う現状に、そんな雰囲気を出せると言う状況は存在しない。
 正直、目の上のたんこぶで在るのが正直な所だ。
 二人共何だかんだで美人で有る事もあってか、見合い話は何処からともなく飛んでくるのだが、貴族内の権力闘争には興味の無い面々が全て弾いて、なおかつ姉妹揃って父である和尚より強い人じゃ無いと嫌だと公言した為、最早行き遅れる事が確定している。あの人に一対一で勝てる人が思い付かない。家に居る草原のヌシ猫で有るぬーさんが唯一互角位の扱いだが、猫と結婚するのか? と言うツッコミに、寧ろぬーさんのほうが良いとか言い出しているので、最早どうしようもない。
 因みに、少し下のリーオは実質うちの猫シリーズの一匹『なーさん』とべったりセット扱いで、尚且つ、この『なーさん』が現状身内以外に心を許して居ない為、これまた行き遅れそうと言うのが周囲の見解である。


 部屋割りだが、4人揃って意外と立派な居室をあてがわれた、貴族枠で教師特権でアカデ母さんが押し込んだらしい、因みに、アカデ母さんに関しては論文の数と学会での貢献度が高い為、単独で女男爵位(バロネス)を得ているので、本気で凄い人である。和尚義兄さんと怪しい宝石、EXの手柄を分けてもらっただけだと言うが、あの二人?の良く分からない用語を此方に解るように見事に翻訳している分を見ても、立派な物だと思う。
 だが年頃の男女を一緒の部屋に?と言われそうだが、部屋数はそこそこ多く、元から同居していたので今更間違いなど起きよう筈も無い。
 虎猫『しーさんが』あーさんの荷物に紛れて入り込んでいた、猫欠乏でどうなるかと思った二人が思う存分モフモフスウスウと吸い込んでいた、流石に其処までするのは如何なのだろう?

 余談だが。
「其れも其れで問題だな?」
 と、後日、二人の父である和尚に何とも言えない表情で笑われた。

 因みに、授業内容だが、予習と称して和尚兄や、灯姉、エリス姉、アカデ義母さんに色々予め詰め込まれて居た結果、思ったより軽々と揃って優秀な成績を対外的にさらして一騒ぎとなった。
 更に、貴族は領地の民の為に剣を持つ者と言う事で、戦闘訓練の授業も有ったのだが、3人揃って学校入学前に冒険者をやって現場で稼いだ戦闘能力と知識、親達に詰め込まれた分も有って、トップ3を独占する形となってしまった。
 因みに、戦闘訓練ではヒカリイリス自分の順で、学科ではイリスヒカリ自分と成っている、結局勝てて居ない。
「空気を読んで目立たない様負けた方が良いのでは?」と思わず確認したのだが、口を揃えて「良いからやっちまえ(意訳)」と意見が揃って居たので、気にせずやらかした結果である、敵が増えそうだなと身構えたのだが。
 姉的な二人が文化侵略はお茶会からと言う事で、領地の名産品、鉛では無い安全なソーダクリスタルのガラスの食器、チョコレートにココア、その他色々な珍しい食材をふんだんに使ったお茶会によって根回しは完璧と言った状況で、田舎貴族なのに異様に影響力が強いと言う謎状況が出来上がった。

「悪い事は言わないから、この二人のどっちかで良いからちゃんと捕まえて置きなさい、外交の切り札になるから」
 アカデ義母さんにしみじみと言われた、言われなくても判るのだが、想像以上に女は怖い……
 完全に身内だけでやって居る内は異常なのしか居なかったので、比較対象が可笑しかったらしい。
 本気であの面々って何者なのだろう……

 追伸
 お察しの通り、ヒカリとイリスは親達と言うか教師陣が優秀過ぎて幾分チート臭いですが、ウルザは比較対象がアレなだけで、純粋に努力で追いかけて来てます、十分以上に優秀。
 ウルザの立ち位置がサザエさんのカツオに成っております、こうして文章に起こして説明すると何て面倒な家系。

 本作と並行して書いて居た。
「ゆびきりげんまん、約束のお狐様に押しかけ女房されました」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/979548274/613387207
が、無事完結しました、良かったら此方もよろしくお願いいたします。
 
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