214 / 274
6章 変な石とその後の話
第213話 和尚達の活躍(ロニ視点)
しおりを挟む
「おや、大分手荒れ酷いですね、洗濯ですか?」
先程灯と名乗った少女が話しかけて来る。
「見ての通りです、毎日今いる患者のシーツを交換して、タオルと着衣を洗って・・・」
洗いもの用の籠には山ほどの洗いものが山と成って居る、これで全部では無いのだが、どうやら衛生・清潔と言うのが大事だとサン先輩に指示を出されて居る、産婆仕事の際には色々洗う事や清潔が大事な事と実体験で体感しているらしいのと、何でも学会でアカデと言う人が論文を色々発表、出版してその筋では一般常識と成ったらしい。
そして患者が吐き出した物や、唾、よだれなども感染の元だとサン先輩が予測をして、汚れた物をひたすら洗えば、新たな感染を防ぎ、病気の悪化も防げる筈と言う事で、結果として私の仕事が病人の処置では無く、掃除と洗濯、食事作りがメインと成ってしまったのはしょうがない事だ、現在進行形で洗濯用の灰汁に負け、ヒビアカギレが酷くて、皮膚が割れて酷い事に成って居る、患者さんの治療の為に倒れる寸前までひたすら浄化と治療を使って居るので治療魔法を自分に使う余裕が無いのだ。
「オンコロコロ センダリマトウギ ソワカ・・・」
灯さんが私の手を取って小さく呟くと、あっという間にヒビアカギレが治った、治療術? それにしては聞き覚えなない呪文だったけど・・・
「あ・・・・有り難うございます、珍しい呪文ですね?」
思わずお礼を言いつつ、珍しい事を指摘する。
「どういたしまして、薬師如来の真言です、これ位なら私でもどうにかなりますね」
私の手を離し、灯さんが得意気に胸を張る。
「和尚さん、私とエリスちゃんはこっち手伝うんで、治療の方は任せました」
「了解、任せた」
灯さんが一言、和尚と呼ばれる人に断りを入れる、どうやらあの人がこの3人のリーダー格らしい。
「ひびが酷いって事は、洗濯は洗濯板ですか?」
「そうです」
最近は手荒れがあまりにも酷いので、こっそり足で踏み付けて洗濯しているが、それでも追い付かない。
「じゃあ、これ持って来たのも無駄に成りませんね?」
「和尚さん、アレ出してください、洗濯樽、セットで全部」
「了解、これで良いか?」
和尚さんと呼ばれた人が何か唱えると、唐突に不思議な台座と言うか、足つきの樽が4つ現れた。
何アレ?
「上出来です、洗剤とハンドクリームもお願いします」
「はいよ」
又何か唱えると、小さなタルと、大きめの二枚貝が取り出された、何でも出て来るんだなあの人・・・
深く考えるのは止めて置こうと頭が理解を拒む。
「で、洗濯するのは何処です? 運んじゃうんで」
私が入れるぐらいの結構大きめな樽なのだが、誰が運ぶのだろう?
「洗濯は裏庭の井戸の近くで・・・こっちです」
「了解、エリスちゃんもお願いしますね」
「はい」
指差して案内しようとすると、二人揃って両手に一つずつ軽々と樽を抱えてというか、掴んで持ち上げた。
何と言うか、持ち方が軽い。
見た目より軽いのだろうか?
「大丈夫ですか? その持ち方で? 手伝いましょうか?」
「大丈夫です、むしろ変に手を出される方が困ります」
「流石に戸はあけられませんけどね?」
エリスさんが手を出すなと言いつつ灯さんがおどける、流石に両手が塞がって居る見てのは見てわかるので、先行して戸を開ける。
「此処です」
「了解、よっと」
「ん」
ずずんと、軽い掛け声にそぐわない重い音で樽が置かれた。
(嘘だあ・・・)
内心で思わずそんな一言が浮かぶ、何気にその樽の一つを掴んで少しだけ動かして見ようとするが、樽本体はキイキイとあまり手ごたえも無く回るが、下の台座の部分はビクともしなかった。
さっき手を出したら確かに酷い事に成っていそうだ、私だったら確実に潰れる。
「水と洗濯物入れて回すんです、其れより台座が重く無いと回転が安定しませんから、初期型よりさらに重く成りました」
頼んでいないのだが、灯さんが得意気に補足説明をする、そもそも何をする物なのだろう?
と言うか、これを二つ、二人揃って軽々と持ち上げて運んでいたと?
「何ですその顔? ゴリラを見る様な目は?」
灯さんが楽しそうに此方を見て軽口を叩く、と言うかゴリラって何だろう?
「すいません、そもそもこれって何ですか?」
洗濯樽と言って居たが、何に使うのだろう?
「洗濯をする物の憧れ、今流行の足回し式洗濯機って奴ですよ」
「ああ、何だかお金持ちの人の間で流行ってるとか・・・・・」
最近、家のご主人様が買ってくれた、びっくりするほど洗濯が楽に成ったとか、あそこのご主人様は立派だとか、使用人が居るのなら、実質その使用人が洗濯機なんだから無駄遣いだとか、あーだこうだと噂が流れて来てはいたが、実物は見た事が無かったのだが、コレがそうなのか・・・・
「あのこれ・・・高いって・・・・」
噂では値段が金貨何枚とか聞いて居る、清貧を是とする教会の財政は火の車だ、そもそもこの土地は領主の財布の紐が渋い、便利だとしても、あまりそんな贅沢品は買えない。
「今コレの相場っていくらでしたっけ?」
灯さんが覚えていないと言う様子でエリスさんに聞く。
「一つ金貨2枚です、出来れば横の洗う用と縦の絞る用が両方欲しいですから、実質4枚ですね」
其れが4台だから金貨8枚? あわわわ・・・
「あの、そんなお金・・・・」
値段を聞いて眩暈がする、そんなお金は私の一存と言うか、この教会を逆さに振っても出て来ない、下手すると増えに増えた患者さんの食費ですっからかんだ。
「必要経費です、洗濯をするのは防疫の第一歩、今回私達の依頼主は結構太いですから請求はそっちです、此処の教会に押し売りしたりしませんからご安心を・・・」
その一言で安心して、ほうとため息を付く、心臓が止まるかと思った。
「そんな訳で、防疫戦線の第一歩、洗濯開始です」
灯さんが明るく言う、色々暗かった現状、その明るさはある意味救いだった。
・・・その後、この人達自体が救いそのものだったと私達が痛感する事と成る。
其れと、洗濯樽はものすごく便利だった。
先程灯と名乗った少女が話しかけて来る。
「見ての通りです、毎日今いる患者のシーツを交換して、タオルと着衣を洗って・・・」
洗いもの用の籠には山ほどの洗いものが山と成って居る、これで全部では無いのだが、どうやら衛生・清潔と言うのが大事だとサン先輩に指示を出されて居る、産婆仕事の際には色々洗う事や清潔が大事な事と実体験で体感しているらしいのと、何でも学会でアカデと言う人が論文を色々発表、出版してその筋では一般常識と成ったらしい。
そして患者が吐き出した物や、唾、よだれなども感染の元だとサン先輩が予測をして、汚れた物をひたすら洗えば、新たな感染を防ぎ、病気の悪化も防げる筈と言う事で、結果として私の仕事が病人の処置では無く、掃除と洗濯、食事作りがメインと成ってしまったのはしょうがない事だ、現在進行形で洗濯用の灰汁に負け、ヒビアカギレが酷くて、皮膚が割れて酷い事に成って居る、患者さんの治療の為に倒れる寸前までひたすら浄化と治療を使って居るので治療魔法を自分に使う余裕が無いのだ。
「オンコロコロ センダリマトウギ ソワカ・・・」
灯さんが私の手を取って小さく呟くと、あっという間にヒビアカギレが治った、治療術? それにしては聞き覚えなない呪文だったけど・・・
「あ・・・・有り難うございます、珍しい呪文ですね?」
思わずお礼を言いつつ、珍しい事を指摘する。
「どういたしまして、薬師如来の真言です、これ位なら私でもどうにかなりますね」
私の手を離し、灯さんが得意気に胸を張る。
「和尚さん、私とエリスちゃんはこっち手伝うんで、治療の方は任せました」
「了解、任せた」
灯さんが一言、和尚と呼ばれる人に断りを入れる、どうやらあの人がこの3人のリーダー格らしい。
「ひびが酷いって事は、洗濯は洗濯板ですか?」
「そうです」
最近は手荒れがあまりにも酷いので、こっそり足で踏み付けて洗濯しているが、それでも追い付かない。
「じゃあ、これ持って来たのも無駄に成りませんね?」
「和尚さん、アレ出してください、洗濯樽、セットで全部」
「了解、これで良いか?」
和尚さんと呼ばれた人が何か唱えると、唐突に不思議な台座と言うか、足つきの樽が4つ現れた。
何アレ?
「上出来です、洗剤とハンドクリームもお願いします」
「はいよ」
又何か唱えると、小さなタルと、大きめの二枚貝が取り出された、何でも出て来るんだなあの人・・・
深く考えるのは止めて置こうと頭が理解を拒む。
「で、洗濯するのは何処です? 運んじゃうんで」
私が入れるぐらいの結構大きめな樽なのだが、誰が運ぶのだろう?
「洗濯は裏庭の井戸の近くで・・・こっちです」
「了解、エリスちゃんもお願いしますね」
「はい」
指差して案内しようとすると、二人揃って両手に一つずつ軽々と樽を抱えてというか、掴んで持ち上げた。
何と言うか、持ち方が軽い。
見た目より軽いのだろうか?
「大丈夫ですか? その持ち方で? 手伝いましょうか?」
「大丈夫です、むしろ変に手を出される方が困ります」
「流石に戸はあけられませんけどね?」
エリスさんが手を出すなと言いつつ灯さんがおどける、流石に両手が塞がって居る見てのは見てわかるので、先行して戸を開ける。
「此処です」
「了解、よっと」
「ん」
ずずんと、軽い掛け声にそぐわない重い音で樽が置かれた。
(嘘だあ・・・)
内心で思わずそんな一言が浮かぶ、何気にその樽の一つを掴んで少しだけ動かして見ようとするが、樽本体はキイキイとあまり手ごたえも無く回るが、下の台座の部分はビクともしなかった。
さっき手を出したら確かに酷い事に成っていそうだ、私だったら確実に潰れる。
「水と洗濯物入れて回すんです、其れより台座が重く無いと回転が安定しませんから、初期型よりさらに重く成りました」
頼んでいないのだが、灯さんが得意気に補足説明をする、そもそも何をする物なのだろう?
と言うか、これを二つ、二人揃って軽々と持ち上げて運んでいたと?
「何ですその顔? ゴリラを見る様な目は?」
灯さんが楽しそうに此方を見て軽口を叩く、と言うかゴリラって何だろう?
「すいません、そもそもこれって何ですか?」
洗濯樽と言って居たが、何に使うのだろう?
「洗濯をする物の憧れ、今流行の足回し式洗濯機って奴ですよ」
「ああ、何だかお金持ちの人の間で流行ってるとか・・・・・」
最近、家のご主人様が買ってくれた、びっくりするほど洗濯が楽に成ったとか、あそこのご主人様は立派だとか、使用人が居るのなら、実質その使用人が洗濯機なんだから無駄遣いだとか、あーだこうだと噂が流れて来てはいたが、実物は見た事が無かったのだが、コレがそうなのか・・・・
「あのこれ・・・高いって・・・・」
噂では値段が金貨何枚とか聞いて居る、清貧を是とする教会の財政は火の車だ、そもそもこの土地は領主の財布の紐が渋い、便利だとしても、あまりそんな贅沢品は買えない。
「今コレの相場っていくらでしたっけ?」
灯さんが覚えていないと言う様子でエリスさんに聞く。
「一つ金貨2枚です、出来れば横の洗う用と縦の絞る用が両方欲しいですから、実質4枚ですね」
其れが4台だから金貨8枚? あわわわ・・・
「あの、そんなお金・・・・」
値段を聞いて眩暈がする、そんなお金は私の一存と言うか、この教会を逆さに振っても出て来ない、下手すると増えに増えた患者さんの食費ですっからかんだ。
「必要経費です、洗濯をするのは防疫の第一歩、今回私達の依頼主は結構太いですから請求はそっちです、此処の教会に押し売りしたりしませんからご安心を・・・」
その一言で安心して、ほうとため息を付く、心臓が止まるかと思った。
「そんな訳で、防疫戦線の第一歩、洗濯開始です」
灯さんが明るく言う、色々暗かった現状、その明るさはある意味救いだった。
・・・その後、この人達自体が救いそのものだったと私達が痛感する事と成る。
其れと、洗濯樽はものすごく便利だった。
10
お気に入りに追加
226
あなたにおすすめの小説
『ラズーン』第二部
segakiyui
ファンタジー
謎を秘めた美貌の付き人アシャとともに、統合府ラズーンへのユーノの旅は続く。様々な国、様々な生き物に出逢ううち、少しずつ気持ちが開いていくのだが、アシャへの揺れる恋心は行き場をなくしたまま。一方アシャも見る見るユーノに引き寄せられていく自分に戸惑う。
辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します
潮ノ海月@書籍発売中
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる!
トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。
領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。
アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。
だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう
完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。
果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!?
これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。
攫われた転生王子は下町でスローライフを満喫中!?
伽羅
ファンタジー
転生したのに、どうやら捨てられたらしい。しかも気がついたら籠に入れられ川に流されている。
このままじゃ死んじゃう!っと思ったら運良く拾われて下町でスローライフを満喫中。
自分が王子と知らないまま、色々ともの作りをしながら新しい人生を楽しく生きている…。
そんな主人公や王宮を取り巻く不穏な空気とは…。
このまま下町でスローライフを送れるのか?
士官学校の爆笑王 ~ヴァイリス英雄譚~
まつおさん
ファンタジー
以前の記憶もなく、突如として異世界の士官学校に入学することになったある男。
入学試験のダンジョンで大活躍してはみたものの、入学してわかったことは、彼には剣や弓の腕前も、魔法の才能も、その他あらゆる才能にも恵まれていないということだった。
だが、なぜか彼の周囲には笑いが絶えない。
「士官学校の爆笑王」と呼ばれたそんな彼が、やがてヴァイリスの英雄と呼ばれるなどと、いったい誰が想像し得ただろうか。
30代社畜の私が1ヶ月後に異世界転生するらしい。
ひさまま
ファンタジー
前世で搾取されまくりだった私。
魂の休養のため、地球に転生したが、地球でも今世も搾取されまくりのため魂の消滅の危機らしい。
とある理由から元の世界に戻るように言われ、マジックバックを自称神様から頂いたよ。
これで地球で買ったものを持ち込めるとのこと。やっぱり夢ではないらしい。
取り敢えず、明日は退職届けを出そう。
目指せ、快適異世界生活。
ぽちぽち更新します。
作者、うっかりなのでこれも買わないと!というのがあれば教えて下さい。
脳内の空想を、つらつら書いているのでお目汚しな際はごめんなさい。
僕の兄上マジチート ~いや、お前のが凄いよ~
SHIN
ファンタジー
それは、ある少年の物語。
ある日、前世の記憶を取り戻した少年が大切な人と再会したり周りのチートぷりに感嘆したりするけど、実は少年の方が凄かった話し。
『僕の兄上はチート過ぎて人なのに魔王です。』
『そういうお前は、愛され過ぎてチートだよな。』
そんな感じ。
『悪役令嬢はもらい受けます』の彼らが織り成すファンタジー作品です。良かったら見ていってね。
隔週日曜日に更新予定。
ラグナ・リインカーネイション
九条 蓮
ファンタジー
高校二年生の海堂翼は、夏休みに幼馴染と彼女の姉と共に江の島に遊びに行く途中、トラックの事故に巻き込まれてしまい命を落としてしまう。
だが彼は異世界ルナティールに転生し、ロベルト・エルヴェシウスとして生を受け騎士団員として第二の人生を歩んでいた。
やがてロベルトは18歳の誕生日を迎え、父から貰ったプレゼントの力に導かれてこの世界の女神アリシアと出会う。
彼女曰く、自分は邪悪なる者に力を奪われてしまい、このままでは厄災が訪れてしまうとのこと。
そしてアリシアはロベルトに「ラグナ」と呼ばれる力を最期に託し、邪悪なる者から力を取り戻してほしいとお願いして力尽きた。
「邪悪なる者」とは何者か、「厄災」とは何か。
今ここに、ラグナと呼ばれる神の力を持つ転生者たちの、旅路の記録をここに残そう。
現在なろうにおいても掲載中です。
ある程度したら不定期更新に切り替えます。
俺たちの結婚を認めてくれ!~魔法使いに嵌められて幼馴染に婚約破棄を言い渡された勇者が婚約したのはラスボスでした~
鏡読み
ファンタジー
魔法使いの策略でパーティから外れ一人ラストダンジョンに挑む勇者、勇者太郎。
仲間を失った彼はラスボスを一人倒すことでリア充になると野心を抱いていた。
しかしラストダンジョンの最深部で待ち受けていたラスボスは美少女!?
これはもう結婚するしかない!
これは勇者と見た目美少女ラスボスのラブコメ婚姻譚。
「俺たちの結婚を認めてくれ!」
※ 他の小説サイト様にも投稿している作品になります
表紙の絵の漫画はなかしなこさんに描いていただきました。
ありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる