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3章 活躍する坊主
第136話 武器屋の乱入と侵略
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「よう、盛り上がってるか?」
武器屋の親父が酒を持って混ざって来た。
「ギルの野郎はもう潰れたのか?」
誰の事かと思ったが、義父上の事らしい、本名呼んだ覚え無いから何気に知らなかった。
「連日後始末の書類に埋まってましたからねえ・・・」
アレだけ忙しそうな領主と言う物も珍しい。
「うちの領主のギルマス様は真面目なのが取り柄だからな、俺たちは陰ながら応援するだけだ。」
クマさんが言う。義父上、どうやら人気は有るようだ。
「今回は稼がせてもらったからな、お前らも新しい武器作らねえか?和尚発案の珍しいのが有るぞ?」
ガハハと笑いながら卓に付く。良い出来上がり方だ。
「又重いの作るつもりなんでしょう?うちのサイクでも持ち上がらない様なのばっかじゃないですか・・・」
クマさんが愚痴を言う、基本アレを勧めるのか。
「其処の和尚の所の嫁さん二人はこの間の斧と長巻振り回してるぞ?」
「あんな規格外と一緒にせんで下さい・・・3人だけであの群突っ切るような真似誰もできません・・・」
げんなりと言う様子でクマさんが返す。確かにアレと比べられても困る、鬼子母神の加護覚醒モードに入ったら俺でも手が付けられない。
「和尚から預かってる武器、研ぎ直し終わってるぞ、後で取りに来い。」
「有り難うございます。」
「あの群3人で突っ切って武器無事だったんだぞ、重量武器は正義だ。」
我が意を得たりと言う様子だ。
「少し降って力尽きたらどうしようもないでしょうが、褒めると重くなるし・・」
クマさんがぐったりと言う様子で言い返す、もうちょっとバランス枠は無いのだろうか?
「もうちょい鍛えろ、後武器の注文はしっかりしろ、如何使うか含めてな。」
「おまけで重量増やされても困るんですが・・・」
どうやらこの親父には頭が上がらないらしい。
「そういや、預かった武器に模様彫ってあったが、まじないか何かか?」
刀身彫刻だろうか?
「故郷に伝わる戦神ですね、その神を表す武器やら何やらです。」
「成程縁起物と、初心者連中にお前ら人気に成ってるからな、後で掘ってもらえるか?和尚の太鼓判って事で売り出してみたいんだが。ちゃんと手間賃は払うぞ。」
渡りに船だ。
「喜んで。」
「じゃあ後で頼むぜ。」
ニヤリと笑うと、嵐のように去って行った。
「あの親父、良い武器作るんだ、無駄に武器重くするのが無ければ文句ないんだが・・・」
「腕は良いんですね・・・」
「初心者用に言いの無いかって言うと本当に良いの出して来るんだ。順を追うごとに本人に気が付かれない様に徐々に重り仕込んで来るんだ、重心バランスに違和感ないから気が付かないと言う無駄に高度なやり方でな、最終的に奥に飾ってある無駄に重いの使えるように成れば合格なんだとよ。」
ぐったりした様子でクマさんが言う、疲れたらしい。
「現状その要求答えたのお前らだけだと思うぞ。」
「成程・・・」
「尚且つ、下手に重り外すと重心バランス崩壊して使い物に成らなくなるんだ、油断も隙もありゃしねえ・・・」
「けが人が出そうですが・・・」
「武器自体の出来と重心バランスは最高なんだ、活躍してるぐらいなんだが・・・」
「其れなら問題無いのでは?」
「あの重量武器持てる迄は半人前扱いだ、あの親父は前回、大量発生の時に糞重い戦槌で生き残ってやがったからな、未だに俺も半人前扱いだ、その時に世話に成った分も有って頭が上がらねえ・・・」
このクマさん、かなり義理堅い様だ。
因みに、今一喋らない様子の神父さんは只ニコニコと笑顔を浮かべて此方を見ていた。
「あまり話しませんが、楽しんでます?」
試しに聞いて見る。
「楽しませてもらってますよ、最初は浮世離れした様子の貴方が、今となってはこの村の要だ、しっかり馴染んでいる、其れを見るだけでも楽しいです。」
「其れはまた、そんなに浮かんでました?」
「ええ、私も初対面の時は如何話したものだと悩んだ物です。」
「あの時は色々と世間知らずでしたからねえ・・・様子見やらなにやら、そもそも喋れませんでしたし。」
「そうですが、雰囲気だけでも焦ります、あの時の結界と浄化、初めて見た時には神が直接降臨したのかと大慌てでした。」
「それはそれは、期待外れでしたか?」
「神では有りませんでしたが、ある意味それ以上の成果です、遠くの神よりは近くの仏、と言った所でしょうか?」
褒められているのは判るが、聖職者の言葉としては如何なんだろうか?
「持ち上げ過ぎです、其れに私は仏では無いです。」
現人神や悟りに至った、いわゆる「目覚めた人」では無い。只の救援物資な宣教師だ。
「貴方を信じると仏に通じるのでしょう?それなら私達は貴方が仏で問題無いのですよ。」
修行僧は一種の小さな仏として扱われる、空海上人(くうかいしょうにん)も同様だ、真言どころか、御宝号である「南無大師遍照金剛(なむだいじへんしょうこんごう)」を唱えるだけでご利益が有るのだ、訛って居る「生麦大豆二升五合(なまむぎだいずにしょうごんごう)」でも効果が有るのだから頭が下がる。
「この仏像収めますので、一先ずこれを崇めて置いて下さい。」
虚空の蔵から鬼子母神の木仏を取り出す。流石に俺を仏として崇められても困る、と言うか、重い。
「これは?」
「鬼子母神、子宝と子供の守護神です、一先ずこれをお願いします。」
最初に収める仏は何にするかと一瞬迷ったが、現状自分達にはこの仏が相応しいと思ったのだ、因みに次点では愛染明王(あいぜんみょうおう)か不動明王(ふどうみょうおう)、烏枢沙摩明王(うすさまみょうおう)、大日如来(だいにちにょらい)辺りである、明王系は戦闘神が多いので、この世界では良く馴染みそうだが。
「有難く頂戴します、立派に飾っておきますね。」
にこやかに神父さんは受け取ってくれた、侵略第一段階成功である。
武器屋の親父が酒を持って混ざって来た。
「ギルの野郎はもう潰れたのか?」
誰の事かと思ったが、義父上の事らしい、本名呼んだ覚え無いから何気に知らなかった。
「連日後始末の書類に埋まってましたからねえ・・・」
アレだけ忙しそうな領主と言う物も珍しい。
「うちの領主のギルマス様は真面目なのが取り柄だからな、俺たちは陰ながら応援するだけだ。」
クマさんが言う。義父上、どうやら人気は有るようだ。
「今回は稼がせてもらったからな、お前らも新しい武器作らねえか?和尚発案の珍しいのが有るぞ?」
ガハハと笑いながら卓に付く。良い出来上がり方だ。
「又重いの作るつもりなんでしょう?うちのサイクでも持ち上がらない様なのばっかじゃないですか・・・」
クマさんが愚痴を言う、基本アレを勧めるのか。
「其処の和尚の所の嫁さん二人はこの間の斧と長巻振り回してるぞ?」
「あんな規格外と一緒にせんで下さい・・・3人だけであの群突っ切るような真似誰もできません・・・」
げんなりと言う様子でクマさんが返す。確かにアレと比べられても困る、鬼子母神の加護覚醒モードに入ったら俺でも手が付けられない。
「和尚から預かってる武器、研ぎ直し終わってるぞ、後で取りに来い。」
「有り難うございます。」
「あの群3人で突っ切って武器無事だったんだぞ、重量武器は正義だ。」
我が意を得たりと言う様子だ。
「少し降って力尽きたらどうしようもないでしょうが、褒めると重くなるし・・」
クマさんがぐったりと言う様子で言い返す、もうちょっとバランス枠は無いのだろうか?
「もうちょい鍛えろ、後武器の注文はしっかりしろ、如何使うか含めてな。」
「おまけで重量増やされても困るんですが・・・」
どうやらこの親父には頭が上がらないらしい。
「そういや、預かった武器に模様彫ってあったが、まじないか何かか?」
刀身彫刻だろうか?
「故郷に伝わる戦神ですね、その神を表す武器やら何やらです。」
「成程縁起物と、初心者連中にお前ら人気に成ってるからな、後で掘ってもらえるか?和尚の太鼓判って事で売り出してみたいんだが。ちゃんと手間賃は払うぞ。」
渡りに船だ。
「喜んで。」
「じゃあ後で頼むぜ。」
ニヤリと笑うと、嵐のように去って行った。
「あの親父、良い武器作るんだ、無駄に武器重くするのが無ければ文句ないんだが・・・」
「腕は良いんですね・・・」
「初心者用に言いの無いかって言うと本当に良いの出して来るんだ。順を追うごとに本人に気が付かれない様に徐々に重り仕込んで来るんだ、重心バランスに違和感ないから気が付かないと言う無駄に高度なやり方でな、最終的に奥に飾ってある無駄に重いの使えるように成れば合格なんだとよ。」
ぐったりした様子でクマさんが言う、疲れたらしい。
「現状その要求答えたのお前らだけだと思うぞ。」
「成程・・・」
「尚且つ、下手に重り外すと重心バランス崩壊して使い物に成らなくなるんだ、油断も隙もありゃしねえ・・・」
「けが人が出そうですが・・・」
「武器自体の出来と重心バランスは最高なんだ、活躍してるぐらいなんだが・・・」
「其れなら問題無いのでは?」
「あの重量武器持てる迄は半人前扱いだ、あの親父は前回、大量発生の時に糞重い戦槌で生き残ってやがったからな、未だに俺も半人前扱いだ、その時に世話に成った分も有って頭が上がらねえ・・・」
このクマさん、かなり義理堅い様だ。
因みに、今一喋らない様子の神父さんは只ニコニコと笑顔を浮かべて此方を見ていた。
「あまり話しませんが、楽しんでます?」
試しに聞いて見る。
「楽しませてもらってますよ、最初は浮世離れした様子の貴方が、今となってはこの村の要だ、しっかり馴染んでいる、其れを見るだけでも楽しいです。」
「其れはまた、そんなに浮かんでました?」
「ええ、私も初対面の時は如何話したものだと悩んだ物です。」
「あの時は色々と世間知らずでしたからねえ・・・様子見やらなにやら、そもそも喋れませんでしたし。」
「そうですが、雰囲気だけでも焦ります、あの時の結界と浄化、初めて見た時には神が直接降臨したのかと大慌てでした。」
「それはそれは、期待外れでしたか?」
「神では有りませんでしたが、ある意味それ以上の成果です、遠くの神よりは近くの仏、と言った所でしょうか?」
褒められているのは判るが、聖職者の言葉としては如何なんだろうか?
「持ち上げ過ぎです、其れに私は仏では無いです。」
現人神や悟りに至った、いわゆる「目覚めた人」では無い。只の救援物資な宣教師だ。
「貴方を信じると仏に通じるのでしょう?それなら私達は貴方が仏で問題無いのですよ。」
修行僧は一種の小さな仏として扱われる、空海上人(くうかいしょうにん)も同様だ、真言どころか、御宝号である「南無大師遍照金剛(なむだいじへんしょうこんごう)」を唱えるだけでご利益が有るのだ、訛って居る「生麦大豆二升五合(なまむぎだいずにしょうごんごう)」でも効果が有るのだから頭が下がる。
「この仏像収めますので、一先ずこれを崇めて置いて下さい。」
虚空の蔵から鬼子母神の木仏を取り出す。流石に俺を仏として崇められても困る、と言うか、重い。
「これは?」
「鬼子母神、子宝と子供の守護神です、一先ずこれをお願いします。」
最初に収める仏は何にするかと一瞬迷ったが、現状自分達にはこの仏が相応しいと思ったのだ、因みに次点では愛染明王(あいぜんみょうおう)か不動明王(ふどうみょうおう)、烏枢沙摩明王(うすさまみょうおう)、大日如来(だいにちにょらい)辺りである、明王系は戦闘神が多いので、この世界では良く馴染みそうだが。
「有難く頂戴します、立派に飾っておきますね。」
にこやかに神父さんは受け取ってくれた、侵略第一段階成功である。
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