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3章 活躍する坊主

第126話 本来の本題

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「お互い敵対しない事を願いますよ?」
 威嚇の笑顔を浮かべて最後の釘を指す。
「其れはお互い様です。」
 役人はこちらを相手に権威の傘は無駄だと悟ったのか苦笑だけ浮かべて居た。

「個人的な話はここまでとして、ここからが本題です。」
 羊皮紙の書状だ、封蝋がされている、この世界、植物系の紙は有るようなのだが、こう言った物は権威主義的な物なのか、一時代前の物が使われるらしい。
「封蝋をご確認ください。」
 開けずに其のまま封蝋を強調する、どうやら開けて居ないと言う事は重要らしい。
「開いて居ませんね。」
 義父上が作法は分かって居ると言う様子で役人から羊皮紙の書状を受け取り、封蝋の確認をして、恭しく役人に返却する。受け取った役人は頷き、封蝋を剥がして書状を開く。
「此処からは王の言葉です、臣下の礼をお願いします。」
 義父上は分かって居ると言う様子で膝立ちの姿勢で項垂れた。
「まあ、貴方方は臣下では無いので、証人として居て下さい。」
 見てる側も役割が有るらしい。
「辺境の地、魔の森近接領、領主ギル、今回の魔物の大発生、防衛殲滅、大儀であった、この功績として国から報奨金として特別予算、大金貨100枚と、次期領主の任命権を与えるものとする。これからも領主の任を変わらず果たす事を望む者である。」
「はい、勿体なくも、有難く頂きます。」
「相違ない事を、確認願います。」
 改めて、開いた羊皮紙を義父上に渡して確認させる。
 震える手で義父上が羊皮紙を受け取り、書いて有る事を確認する。
「相違ありません。」
「はい、では、これにて私の仕事は終わりです。馬車の方に例の報奨金が有るので職員に運ばせて下さい。」
「はい。」
「この書状、控えは私達で保管していますが、失くさない様にお願いします。」
 其処はしっかりとしているらしい。
「しかし、無事守り切ってくれて此方としてもほっとしました、貴方を推薦した私の目は確かだった様で何よりです。」
 今度は裏が無い笑顔を浮かべて居る。
「御蔭様で、こうして無事にこの村が存在しています。」
「何よりです、しかし裏を取ると、防衛線はともかく、実質この人たちだけでアレの群れを潰したと言う事に成りますが・・・」
「あながち間違いじゃないので困りものです・・・」
 役人と義父上、二人が少し小声で話す、聞こえているので小声の意味が無いが、気分的な物だろう。
「下手に目立つと困りますが、今更ですね・・・」
「3人セットで嫌でも目立ちます。」
「目立つつもりもないのですが・・・」
 混ざってみる。
 二人が此方を向いて、揃って小さくため息をついた。

 役人が部屋から出ていき、改めて義父上が深いため息をついた。
「寿命が縮むかと思ったわ。」
「お疲れ様です。」
「誰のせいだ誰の・・・・」
 義父上が此方の労いに対して、力なく突っ込みを返して来る。
「所でお義父さん、報告如何します?」
 エリスが珍しく口を開いた。
「今日はもう疲れた、引き取り済んだら帰る、報告は明日にしてくれ・・・」
 本格的にぐったりとした様子だ。
 義父上が部屋の外で待機していた職員を捕まえて、馬車にあるらしい報奨金の受け取りに同行させる、金貨の詰まった箱は、金属密度的に純粋に重かったため、職員一人では持ち上がらず、結局自分が運ぶ羽目になった、実は灯とエリスの方が現状力が強いと言うのは誤魔化す方向で・・・
「良く持ち上がりましたね?」
 役人が感心した様子で呟いた。馬車の方で引き渡し確認の為に待って居たらしい、意外とマメである。
「これぐらいならどうにか・・・」
 箱含めて体感50キロほどだろうか?純金だとするとえぐい価値である。そもそも大金貨と言うのはまだ見た事が無いのだが・・・。

 ギルドの金庫部屋に運び込んで中身を確認する、確かに金貨だった、何時も使って居る物よりも確かに大きいが、そっちより通常金貨の方が多かった。
「重い訳だ・・・為替とかじゃないんですね?」
 思わず呟いた。
「商人の使う為替取引では、この村は商人ギルドが無くこの冒険者ギルドが兼任なので両替できないんで、こういった大きい金額が動く場合は細かいお金の方が喜ばれるんです。」
 ギルド職員が解説する。
「ちなみに、ギルド章等に収納して持って来ないのは、国からのハッタリの為です、こう言った重い箱の方が価値が有る様に見えますから。」
 役人が身も蓋も無い解説を加える、しかしこの人、最初の無駄な殺気と威圧感は何処に行った?
「価値的には幾らぐらいです?」
 灯が聞く。
「何時も使ってる金貨の10倍ですね。」
 何時もの様にエリスが解説する。
「あくまで10進法か、覚え易くて良いな・・」
 となると、金貨が体感10万円ほどなので、一枚100万円と言う事に成る、100万x100枚で1億か、村の防衛予算特別枠だとすれば破格だが、恐らく正規軍下手に動かすのより安いのだろうと夢想する。
「これのお陰で臨時増税する必要が無くなったな、何よりだ。」
「所で、今の税率ってどれ位です?」
 今更気になって聞いて見る。
「此処は1割だな、店の場合は売り上げ、農家は収穫、職人は現物か売り上げから。領地ごとに違うが、この土地は国に上納金収める必要が無いからほぼ丸ごとギルドの運営と防衛予算だな。」
「因みに、他の土地では各領主の独断と偏見で税率が決まります、高い所では5割まで有りますよ。」
 義父上が答え、役人が追伸する、おしん世界の搾取される小作農家だろうか?
「そう見ると、びっくりするほど安いですね。」
 灯が感心している。
「この土地は魔物相手の防衛の要です、国から補助金も出てますから其れでどうにかと言った所ですね、もうちょっと上げても良いと思いますよ?」
 役人的にはもっと税率上げて防衛設備をもっと強化しろと言った所なのだろう。
「其処まで安いと近隣の村から流れてきそうですが?」
 難民とか流れてきそうだが。
「場所が辺鄙過ぎてこの税率でもここまで辿り着く住人がほぼ居ない上、今回の様に魔物の襲撃受けるもんだから、物好きじゃないと此処に居着か無い、と言うか、街道筋の他の領地で下手に領民が流れないように出入り制限してるから、実質冒険者と商人以外は出入り出来ない。それに隣村が税率5割何てことは無いから其処まで酷い差は無いぞ。」
 流れてこない理由は有るらしい。
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