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3章 活躍する坊主
第104話 ヒゲクマ視点その2
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「起きろ!和尚!出番だ!」
地響きとゴブリンたちの唸り声(叫び声)が響く。ここからが本番だ。
と言うか、之を凌がないと確実に負ける。
前回はこの第二波でほぼ押し込まれた、どうにか第一波を凌いでいた所を、この群で押し込まれ、第二波を止めきれず、第三波で完全に飲み込まれた、中心からずれていたので生き残って居たとも言える、だが今回は自分自身が現場指揮官だ。
いざと言う時に書類上の責任はギルマス持ちだろうが、現場で戦う俺たちは、冒険者、いざと言う時は一番最初に死ぬ枠だ、ひよっこ共が怖気付いて逃げだすと更に死亡率が上がる。
家族を持たない流れの冒険者、一緒に戦う奴らだが、負けているや、負けそう等と感じさせると逃げ出したりして戦況が悪化する、本気で敗走する迄は不安を与えてはいけない、一先ずの第一波は無事凌いだ、第二波を凌ぐことを考えよう。
「ああ、いよいよ本命だ、あの地響きと叫び声がこっちに来るぞ。突撃分を結界で止めてくれ。」
「了解。」
判ってますと言う様子で、和尚が配置について居住まいを正した、精神統一に入るようだ。
「お前ら!休憩組も起きろ!初心者組は場所代われ!これから本番だ!」
声を張り上げて休憩組を叩き起こす。
「「「「応!!!」」」」
声に反応して休憩していた奴らが起きて出て来る。そろそろ夜明けだ、近接組も出番が有るだろう。
さあ、これから勝負だ。
「臨・兵・闘・者・皆・陣・烈・在・前!」
和尚が大きく結界を張る、何時も使う小さい結界では無く大規模結界だ、戦闘中の咄嗟に貼る物はそれほど大きくないが、こういう時は使い分けできる様で頼りに出来る。
「臨・兵・闘・者・皆・陣・烈・在・前!」
和尚の嫁さん二人は最初に和尚が結界を展開した大きさに合わせて距離を取り、同じ様に大規模結界を展開した。
「嬢ちゃん達も使えたのか・・」
これは嬉しい誤算だ、あの規模の結界が3枚も有るのなら、第二波は無事乗り越えられる、後はあの結界の強度次第だが、其処はあの3人を信用するとしよう。
「「伊達や酔狂でPT組んでません。」から。」
エリス嬢たち和尚の嫁さんが揃って得意顔で答える。語尾以外かぶっている。
「格子の範囲は安全地帯だ、有効に活用しろ!」
取り合えず指示を飛ばす、防壁が巨大化したような物だ、有効活用しないといけない。
「来たぞ火薬玉!投げろ!」
地響き立てながら本隊の群れが来る、最初に居たのは本当に様子見だったと嫌でも判る規模の群れだ。この密集具合なら何を投げても当たるだろう。
篝火で着火した導火線が火花を散らし、投石のスリングから放物線を描きながら群れに吸い込まれた。
同時に、最前列の突撃隊が和尚たちの結界にぶつかり、後方の群れに潰され。
導火線から火薬玉の内部に火が移り、爆発した。
どぉぉぉん
二つ目の群れ、先頭が盛大に吹き飛ばされた。
「けが人居ないだろうなあ?!」
叫んで現状を確認する。煙が酷いので肝心な所が見えない。
「まだ大丈夫だ!」
誰かが叫ぶ。
「なら良い!未だ来るぞ!次投げろ!」
大丈夫なら矢と火薬玉が尽きるまでは、この状態なら目をつぶっても当たる密度だ、段々と明るくなり、下の状態も見えて来た。想像通りに下がゴブリンで埋まって居る、空堀も落とし穴も既にゴブリンで埋まり切ってしまって居るらしく、ほぼ平坦に成って居た、仲間の死体を踏み固めて意に介さずにこちらに向かってきている。
「その結界、どれぐらい持たせられる?」
最悪、第二波最初の段階が越せたのなら解除しても大丈夫だが。
「自分で解除するまでは大丈夫だ、このまま張っておくか?」
思ったよりも力強い返事が帰って来た。
「ああ、出来る限り頼む。」
有るに越したことは無いので、言葉に甘える。
「はいよ。」
そんな安請け合いで良いのだろうか?
空が段々と明るくなってきた、次々と火薬玉が投げ込まれ、ゴブリンの数を順調に減らしていく。頭の部分の陰位しか見えない明るさから、足元も見える明るさだ、そろそろ、前衛組を外に出しても良い頃だ。
「居た!」
和尚が群れの向こうに頭一つ大きい個体を見つけた。キングかクイーンか?第二波で来るには早すぎるので、恐らくキングだ。
「すまん、アレを仕留めに行ってくる、いざと言う時は結界消えるから後は頼む。」
和尚が指示を出すまでも無く動き始めた。
「おう、任せた。頼んだぜ。」
腕が立つと言っても、個人に任せる仕事としては無茶振りの類だが、今となっては任せるしかない。
「私たちも行って来ます。」
当然の様に和尚の嫁さん達が追いかける、迷う事無く防壁の上を走り、ゴブリンの群の密度が薄い部分を見つけて真っ直ぐ飛び込んで行った。此処と地面の高さが4m有るはずだが、ゴブリンの死体で少し低くなっているだろうか?
3人揃って危なげ無く着地を決め、周囲の群れを蹴散らしながら移動して行った。
「いや、あの2人も大分常人離れしているようだな・・・」
たった3人であの群を軽々と蹴散らしながら突っ切って移動して行っている。
「見ての通りだ!余裕が有ったらあいつらの援護も入れて置け!」
流石に一番密度が濃い部分を蹴散らして居たりはしないが、ほぼ同じような物だ。あのまま突っ切るだけで数百匹仕留めて居そうだ。
言うまでも無かったらしく、此方から援護射撃が飛ぶ、気休め程度だが、無いよりはマシだろう、和尚は時々ゴブリンアーチャーからの殺気を感じるらしく、腿から小刀を抜いて殺気の元に投げて行く、投擲された小刀の着地点を見ると、しっかりと刺さって居る、流石に重さと威力が足り無いらしく、即死とは行かないようだが、其処等はこちらから援護の矢やスリングからの火薬玉で援護して行く。
群を抜け、茂みに入った所で和尚たちは火薬玉を使って音と煙でゴブリンたちを撒いたようだ。
此方からも見えなくなったが、まあ、任せて安心だろう。
今の時点では最初の山を越えて戦況は安定、手が空いてきている、夜明かしで動いて居た初心者組と自分も少しぐらいは休憩を入れよう。
地響きとゴブリンたちの唸り声(叫び声)が響く。ここからが本番だ。
と言うか、之を凌がないと確実に負ける。
前回はこの第二波でほぼ押し込まれた、どうにか第一波を凌いでいた所を、この群で押し込まれ、第二波を止めきれず、第三波で完全に飲み込まれた、中心からずれていたので生き残って居たとも言える、だが今回は自分自身が現場指揮官だ。
いざと言う時に書類上の責任はギルマス持ちだろうが、現場で戦う俺たちは、冒険者、いざと言う時は一番最初に死ぬ枠だ、ひよっこ共が怖気付いて逃げだすと更に死亡率が上がる。
家族を持たない流れの冒険者、一緒に戦う奴らだが、負けているや、負けそう等と感じさせると逃げ出したりして戦況が悪化する、本気で敗走する迄は不安を与えてはいけない、一先ずの第一波は無事凌いだ、第二波を凌ぐことを考えよう。
「ああ、いよいよ本命だ、あの地響きと叫び声がこっちに来るぞ。突撃分を結界で止めてくれ。」
「了解。」
判ってますと言う様子で、和尚が配置について居住まいを正した、精神統一に入るようだ。
「お前ら!休憩組も起きろ!初心者組は場所代われ!これから本番だ!」
声を張り上げて休憩組を叩き起こす。
「「「「応!!!」」」」
声に反応して休憩していた奴らが起きて出て来る。そろそろ夜明けだ、近接組も出番が有るだろう。
さあ、これから勝負だ。
「臨・兵・闘・者・皆・陣・烈・在・前!」
和尚が大きく結界を張る、何時も使う小さい結界では無く大規模結界だ、戦闘中の咄嗟に貼る物はそれほど大きくないが、こういう時は使い分けできる様で頼りに出来る。
「臨・兵・闘・者・皆・陣・烈・在・前!」
和尚の嫁さん二人は最初に和尚が結界を展開した大きさに合わせて距離を取り、同じ様に大規模結界を展開した。
「嬢ちゃん達も使えたのか・・」
これは嬉しい誤算だ、あの規模の結界が3枚も有るのなら、第二波は無事乗り越えられる、後はあの結界の強度次第だが、其処はあの3人を信用するとしよう。
「「伊達や酔狂でPT組んでません。」から。」
エリス嬢たち和尚の嫁さんが揃って得意顔で答える。語尾以外かぶっている。
「格子の範囲は安全地帯だ、有効に活用しろ!」
取り合えず指示を飛ばす、防壁が巨大化したような物だ、有効活用しないといけない。
「来たぞ火薬玉!投げろ!」
地響き立てながら本隊の群れが来る、最初に居たのは本当に様子見だったと嫌でも判る規模の群れだ。この密集具合なら何を投げても当たるだろう。
篝火で着火した導火線が火花を散らし、投石のスリングから放物線を描きながら群れに吸い込まれた。
同時に、最前列の突撃隊が和尚たちの結界にぶつかり、後方の群れに潰され。
導火線から火薬玉の内部に火が移り、爆発した。
どぉぉぉん
二つ目の群れ、先頭が盛大に吹き飛ばされた。
「けが人居ないだろうなあ?!」
叫んで現状を確認する。煙が酷いので肝心な所が見えない。
「まだ大丈夫だ!」
誰かが叫ぶ。
「なら良い!未だ来るぞ!次投げろ!」
大丈夫なら矢と火薬玉が尽きるまでは、この状態なら目をつぶっても当たる密度だ、段々と明るくなり、下の状態も見えて来た。想像通りに下がゴブリンで埋まって居る、空堀も落とし穴も既にゴブリンで埋まり切ってしまって居るらしく、ほぼ平坦に成って居た、仲間の死体を踏み固めて意に介さずにこちらに向かってきている。
「その結界、どれぐらい持たせられる?」
最悪、第二波最初の段階が越せたのなら解除しても大丈夫だが。
「自分で解除するまでは大丈夫だ、このまま張っておくか?」
思ったよりも力強い返事が帰って来た。
「ああ、出来る限り頼む。」
有るに越したことは無いので、言葉に甘える。
「はいよ。」
そんな安請け合いで良いのだろうか?
空が段々と明るくなってきた、次々と火薬玉が投げ込まれ、ゴブリンの数を順調に減らしていく。頭の部分の陰位しか見えない明るさから、足元も見える明るさだ、そろそろ、前衛組を外に出しても良い頃だ。
「居た!」
和尚が群れの向こうに頭一つ大きい個体を見つけた。キングかクイーンか?第二波で来るには早すぎるので、恐らくキングだ。
「すまん、アレを仕留めに行ってくる、いざと言う時は結界消えるから後は頼む。」
和尚が指示を出すまでも無く動き始めた。
「おう、任せた。頼んだぜ。」
腕が立つと言っても、個人に任せる仕事としては無茶振りの類だが、今となっては任せるしかない。
「私たちも行って来ます。」
当然の様に和尚の嫁さん達が追いかける、迷う事無く防壁の上を走り、ゴブリンの群の密度が薄い部分を見つけて真っ直ぐ飛び込んで行った。此処と地面の高さが4m有るはずだが、ゴブリンの死体で少し低くなっているだろうか?
3人揃って危なげ無く着地を決め、周囲の群れを蹴散らしながら移動して行った。
「いや、あの2人も大分常人離れしているようだな・・・」
たった3人であの群を軽々と蹴散らしながら突っ切って移動して行っている。
「見ての通りだ!余裕が有ったらあいつらの援護も入れて置け!」
流石に一番密度が濃い部分を蹴散らして居たりはしないが、ほぼ同じような物だ。あのまま突っ切るだけで数百匹仕留めて居そうだ。
言うまでも無かったらしく、此方から援護射撃が飛ぶ、気休め程度だが、無いよりはマシだろう、和尚は時々ゴブリンアーチャーからの殺気を感じるらしく、腿から小刀を抜いて殺気の元に投げて行く、投擲された小刀の着地点を見ると、しっかりと刺さって居る、流石に重さと威力が足り無いらしく、即死とは行かないようだが、其処等はこちらから援護の矢やスリングからの火薬玉で援護して行く。
群を抜け、茂みに入った所で和尚たちは火薬玉を使って音と煙でゴブリンたちを撒いたようだ。
此方からも見えなくなったが、まあ、任せて安心だろう。
今の時点では最初の山を越えて戦況は安定、手が空いてきている、夜明かしで動いて居た初心者組と自分も少しぐらいは休憩を入れよう。
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