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3章 活躍する坊主

おめでた

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「多分出来ました。」

 灯が何だか食事の好みが変わったと言っていたので、まさかと思い、医者(教会)に連れて行くと。

「おめでとうございます」

 と、言われた、この世界ではエコー検査など無いが。神の祝福を受けた徳の高い神父は生き物の息吹を感じることができるらしく、中に居るかを知る事が出来るらしい。

 同じく浄化の奇跡で毒を消し、治療術で傷を治す。よって病院は教会が兼業でやっている物らしい。薬の類は当然あるが、あくまで補助的な扱いらしい。

「元気で順調です、大事にしてください。」

「はい、ありがとうございます。」

 灯と揃って頭を下げる、

「そして、そちらのエリスさんも念のため如何です?」

「お願いします。」

 神父さんは灯を羨ましそうに見ていたエリスにも声をかける、エリスはびくりとした後、灯と同じように診察台に横になった。

「失礼しますよ。」

 そう言って、下腹部に触れる、ピクリとエリスが反応する、当然だが、診療行為なので特に問題は無い。

「おめでとうございます、先の灯さんよりは、まだ少し小さいですが、授かっていますよ。」

「えっ。」

 エリスの驚いた声に喜色が滲む。

「大事にしてください。」

「はい!」

 とても嬉しそうだ。

 診察台から飛び降りたエリスはそのまま抱き着いてきた。

「やりました!」

「うん、ありがとう。」

 抱きしめ返す。

「ちゃんと私も褒めて下さい。」

 灯もそんな事を言って来たので、一緒に抱きしめておく。

「あんまりはしゃぎ過ぎなんで下さいよ?冒険者の仕事もしばらく休みですからね?」

 神父さんは眩しい物を見るような眼で、こちらを見ながら、注意を促してきた。

「はい、それはもうしっかり休みます。」

「もうちょっと大きくなるまで夜も激しいのは禁止ですからね。」

「う・・・」

 灯とエリスが声を詰まらせた、いや、それはしょうがないだろう。

「激しくなければ問題ないんですか?」

 灯が詰め寄る、其処までせんでも良いだろう?

「程々にしてくださいね。」

「はい。」

 灯とエリスが小さくガッツポーズをとる、まあ良かった。

「お酒も禁止ですから、注意してください。」

「はい。」

 其処は問題無いんだな、元から二人ともあんまり好んで酒飲んでる様子なかったから当然か。

「大丈夫だとは思いますが、たばこも禁止です。」

「大丈夫です、うちに居る人でタバコ吸う人いませんし。」

 そういえばギルマスも吸わないんだな、俺も正直苦手だから助かっているが。

「それじゃあ以上です、大事にしてくださいね?」

「はい。ありがとうございます。」

「お代はどれぐらいで?」

 取り合えず聞いてみる。

「薬も使っていませんからギルドの冒険者は無料です、ギルドからも寄付はしっかり貰っていますから。」

 なるほど。

「どうしてもというなら喜捨と言う事で。銀貨1枚で良いですよ。」

「はい、ありがとうございました。」

 エコー検査したと思えば格安だが。笑顔で大銀貨を渡して置く。ご祝儀だ。

「おやおや、ありがとうございます。」

 神父さんもニコニコと笑顔を浮かべて受け取った。



 診察室から出ると、動物園のクマの様に、そわそわしている義父上と義母上が待ち構えていた。一緒に来た訳では無いが、二人とも待ちきれずに追いかけて来たらしい。

「やりました!」

 エリスが二人に報告して、灯とエリスの二人が自分のお腹を撫でる。

 義父上と義母上がすごく嬉しそうに叫び声を上げて二人をもみくちゃにした。
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