異世界坊主の成り上がり

峯松めだか（旧かぐつち）

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3章　活躍する坊主

服と石鹸

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「報告終わったし、買い物だな。」

「良い油あれば良いですね？」

「そろそろ服買っておきましょう？着る物無いんですから。」

　石鹸ネタで走ろうとしたところをエリスに嗜まれた。

「そだな、何時までもギルマスに借りてる訳にも行かんしな。」

　そんな事を言いながら服屋の並びに来たので、古着を物色する、染色技術はそこそこあるらしい、草木染めの青や緑、黄色に赤、茶色と白はある、色の鮮やかさは流石にあれだが、藍染めらしいインディゴブルー的な色も有る、流石に俺の来ていた蛍光色は無い、灯の方がまだある状態だ、灯のスカートは大分短いか・・・。

　確かにこれでは俺の方が目立っていたらしい。今更であるが。

「どれを買えばいいか分からん・・・」

　元の世界の性能表付きで売って居る某アウトドアショップ、ワイルド山野での働く男さんでの買い物に慣れきっていて、服の選びが正直出来ない。

「すまん、似合いそうなの見繕ってくれるか？」

　横についているエリスに頼む、灯は既に一人で店中を見て回っている。

「えーっと、この辺ですかね？」

　エリスが服を見繕ってくれた、

「試着ってできるか？」

「すいませーん、奥使わせてもらいます。」

「はいどうぞー。」

　店員さんは客を程よくほったらかしである。

「こんなもんでどうだ？」

　着替えてエリスに見せてみる、手鏡は有っても全身鏡は無いらしいので、自分で評価するのは難しい。そもそも服選びのセンスが無いが。

「大丈夫だと思います、良く似合いますよ？」

　見た瞬間爆笑されるようなことは無い様子なので大丈夫らしい。

「それじゃあこれ下さい。」

「ハイ毎度。全部で大銀貨2枚ってとこですね。」

「エリス判定は？」

「大丈夫です。」

「じゃあ下さい。」

「ハイ毎度ありがとうございます。」

　こっちは終わったけど、灯は？

「あっちです、新しい方の店ですね。」

　どうやら、高い方でで物色しているようだ。

「良い物あったか？」

　直ぐに見つかった灯に確認する。

「取り合えずこの辺ですね、これ試着するんで、判定お願いします。」

　一山出来て居る、1セット分位は確保したらしい。

「奥使いますね？」

「はいどうぞ。」

　流れる様に奥の試着エリアに入っていく。

「これでどうです？」

　大分似合っている。

「素敵ですね。」

　この店は店員さんの太鼓持ちも付くらしい。

「大丈夫、よく似合ってる。」

「似合ってます。」

　灯はこちらの様子を観察して。

「どうやら今度はお世辞じゃないみたいですね？」

　と言って納得したようだ。

「これでいくらです？」

「金貨一枚ですね。」

　灯の質問に、店員が返す、武器や靴以外では初の金貨だ。

　うん、高いな、でも女物と考えれば納得するか、新品らしいし。

「判定的には？」

「さっき買った和尚さんの服とはランク違いますので、高いですけど相場です。」

「じゃあ、下さいな。」

「はい、ありがとうございます。」

　特に躊躇せずに灯が金貨を取り出して払う。

「最近金銭感覚がずれて来ている感はありますね。」

　エリスがしみじみと呟いた。

　物陰に入って、荷物となった服を虚空の蔵に収納する。

「後は油ですね。あと、何か臭い付けられません？無臭だとテンション上がらないんですが・・」

「香り付きの石鹸何て贅沢ですよ・・・」

　灯の提案にエリスが突っ込みを入れる。

「材料が有れば作れる、柑橘系なら絞りやすいから楽だ。有れば良いけどな」

　他の、例えばハーブ系は最低でもドライハーブにするか精油を精製しなくてはいけないので面倒だ。

　食品通りの油屋で素直に菜種油とオリーブ油を買い付け、柑橘類は皮が分厚いオレンジ系の果物が有ったので確保する。ちなみに、菜種は目測20L程度の子樽で大銀貨3枚、オリーブは同量の樽で大銀貨5枚、容器を持ってくれば一割程度値引きだった、この世界だと容器高いんだな・・オレンジは一山で銀貨1枚だったのでごってり買った、先に油を買ったので金銭感覚が崩壊したらしい。ちょっと買いすぎた感はあるが。食料油の感覚と石鹸の材料で固めるだと感覚が崩壊するので、俺は悪くない。

　家に帰ると義母上に。

「どうせならいっぱい作っても困らない。」

　と言われたので、問題無く樽の中身を丸ごと暖炉にある草木灰の上澄みを煮詰めて投入して固めて石鹸にする。

　オレンジは皮の表面のツブツブ部分を摩り下ろして投入する、柑橘類のこの部分は丸ごと油なので、精製する必要が無いのだ。これでオレンジの香り付き石鹸にできる。

　ちなみに、身の部分を絞って使うと腐る・・

　これで草木灰の容量を間違えて居なければ、固まって、更に一月ほど寝かせれば、反応が落ち着いて、中性化して顔用の石鹸としても使えるようになる。

　エリスと義母上は感心した様子で説明を聞いてメモを取って居た。前回は規模が小さいので灯と一緒にさっくりと作っていたので、改めて作り方を見せるのは初めてだったのだ。

　義母上は思わず石鹸の相場を確認している、手のひらサイズの塊が大銀貨1枚で、香り付きだと倍以上らしい、成程、確かに消耗品でそれは高い・・・

　でも、出来上がりは1月後ですからね？

　植物油と草木灰では固まるまでしばらくかかるんで急がないでくださいよ？

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