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3章 活躍する坊主

エリス視点

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 無事帰って来れた、村の入り口の門番を見つけて思わず気が抜けて脱力した。

 門番の人に帰還報告をする、一緒に居る二人は森の中で出会った命の恩人だと説明すると、特に問題無く通された、この門は実質モンスター以外は素通しだ、人手が足りない開拓村では、過去を詮索する物はあまり居ない。



 まっすぐ二人をギルドに案内した、色々報告しなければならないし、二人の宿も確保しなければならない、義父にもこの二人を紹介しなければ。

「前回クエストを受注した暁の光です、依頼の報告と紹介したい方が居るのでお願いします、出来れば個室で、ギルドマスター呼んでくれると嬉しいです。」

 ギルドに入ると周囲が静まり返った、明らかに目立っている、和尚さんと灯さんの服装は目立つし、3人で出た私の所属するPT・暁の光の私を除く二人は将来有望と期待されていたので、顔は知られている、その2人が入れ替わっているのだ、狭い村社会で大体噂が筒抜けに成る、この世界では、聞き耳を立てている野次馬が怖い。

 個室に通され、和尚さん達と簡単な作戦会議をする、此処のギルマスは領主代行も兼ねる私の義父だ、こう言う、いざと言う時ぐらいは頼っても罰は当たらないだろう。

 部屋に入ってきた義父は、むっつりと真面目な顔をしていたが、少し口角が上がっていたし、挙動が少し軽かった。

 私が所属するPT・暁の光が壊滅したこと、私以外死んだこと、私も死ぬ所で、和尚さんと灯さんに助けられた事、ゴブリンの群れはホブとキング含めて和尚さんがあらかた蹴散らした事を話した、ちょっと大げさかもしれないが、嘘はついて居ない。

 流石に義父が盛りすぎだろうと和尚さんに模擬戦を申し込んだ、結果として、まるで大人と子供の様に義父が練習場に転がった。挙句の果てに不意打ちを仕込んだと思ったら、あっけなく返し技を使われ、負けを増やした。格好悪い。

 義父は膝を壊して引退しているけど、昔は上級冒険者で、現在でも私の婚約者を見極めると言って、私にそっちで言い寄った冒険者や、PTを組もうとした冒険者を陰で打ち負かして勝ち誇っている。他にも色々、当人は私に気づかれていないと思っているが、バレバレである。

 おかげで、私とPTを組む男の冒険者は先ず居ない、今回組んでいたのは、義父が見込みがありそうだと言っていたので、そのテストも兼ねていたのだろう。

 正直、出来る事なら、家を出たかったのだが、先立つ物が足りない。

 それでも、ちゃっかりと和尚さんが勝つ方に登録費用と外食のご飯をかけていたので、二人の冒険者登録後にギルドの外でご飯を食べた。

 一緒にお酒を飲んでいた所で、和尚さんと灯さんが結婚相手だと紹介する。最低限あの模擬戦で義父に勝てる事が結婚相手の条件だったので、文句は言わせない。

 実際、文句は出なかった。ショックで文句を言う余裕が無かったのかもしれないが。

 二人を家に案内する。

 帰宅したら義母が感激して抱き着いてきた、私ももう会えないと思ったので嬉しい。

 和尚さんと灯さんを結婚相手として紹介する、先に紹介しなさいと怒られたが、どうやっても連絡付けるのは無理なので、しょうがないと思う。

 歓迎の印にと、お茶に大量の砂糖を投入していた。砂糖は其れなりに高級品なのだが、来客をもてなすときにはこの砂糖の量で判定する、でも、明らかに入れ過ぎだ、お茶と言うより砂糖水に色が付いてる状態だ、逆に怒られないかと心配した、二人はびっくりしたようだが、文句は言わずに、寧ろ笑みを浮かべて飲み切った。

 飲まなかったら問題になる所だったので助かった。



 何だかんだで歓迎してくれるようなので、安心した。

 そんなこんなで義父が返ってきた。仕事にならないので急いで帰ってきたらしい。

 二人がかりというよりも、義母に根掘り葉掘り聞かれた。

 孫が欲しいらしい、それは私も子供が欲しいので問題は無い。

 和尚さんがちょっと、しどろもどろになったので、助け舟を出しておく。

「近いうちでいい?」

 和尚さんと灯さんが驚いた顔をしているが、そこまで驚かなくても良いだろう。

「私も若くないから早めにね?」

「止めないのか?」

 と、義父が困り気味に義母に確認するが、模擬戦で勝てたら私を嫁にやると公言していたので、和尚さんに負けたことも出して。黙らせていた、こういう時の義母は強い。



「和尚さんと灯さん貴方達は今日から私たちの息子と娘になるのだからゆっくり寛いで行って下さいね。」

 どうやら無事認められたようだ、一段落したので、来客用の部屋に案内する。

「森の中より疲れた・・・」

 和尚さんが呟く、それは言い過ぎだが、確かに疲れた。

 横になると疲れが噴出して、3人そろって意識が無くなった。
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