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第55話 現場に行く前の説明

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「おはようございます、すいませんね、突然で」
「おはようございます、いえ、大丈夫です」
 車に乗ったまますまなそうに言う一三さんに気にしないでと言う、まあ、社交辞令なのでこの掴みに余り意味は無いのだが。
「急ぎますので、車に乗ってください」
 そう急かされて後部座席に乗り込む、助手席には管狐が定位置だと鎮座していた。
 乗り込むと、当然と言った様子で葛様がするりと続いて乗り込んだ。降りないぞとばかりに流れる様にカチリとシートベルトを着用する。
 あれ?
 と言った様子で一三さんが固まった
「どうした? 急ぐんじゃろう?」
 何もおかしな事はないと言う調子で出発を促す。
 急いで車を発進させる。
 因みに葛様、現在の髪色は白のままなので、色々バレた状態で良いと言う事らしい。
「あの、二人はどういったご関係で?」
 恐る恐ると言った様子で確認してくる。
「ん? 儂と、コヤツか?」
「はい」
「夫婦(めおと)じゃぞ?」
 一三さんが固まったのが見て取れた。
「良いんですか? バラしちゃって?」
 思わず小声で突っ込む。
「今更じゃ、寧ろ遅かった位じゃ。」
 一切悪びれる様子は無い。
「なるほど、其れで前回も一緒に居たんですね?」
 納得された。
「で、今日のコヤツの仕事は?」
「昨夜の雨で各地の水場が氾濫して、人が流されて行方不明と報道されてますが、氾濫は起きてません、水場の周辺で人が居なくなってますが、其の周辺で巨大な鱗が発見されてます」
 コレですと言った様子で、小さなZIP袋に収まった一枚の鱗を取り出して袋ごと掲げる。
「ちょっと見せてもらうぞ?」
「どうぞ」
 そう言うと、気を利かせたらしい管狐が袋ごと咥えてコチラに運んで来た。
 ふむ……
 葛様が興味無さそうな表情で袋に収められた鱗を観察する。
「インマウス、深きもの、ディープ・ワンズ共の鱗じゃな?」
 そう言って、お前も観ておけとコチラに渡して来るので、受け取って観察する。
 鈍く光る大きな鱗だという事しか分からなかった。
 鱗から目線を外すと、スルリと管狐が回収して行った。
「はい、警察の方でもそう結論付けたので、コチラにお呼びが掛かりました」
「急ぎの理由は?」
「男性の場合は高確率で殺されて居ますが、女性の場合は、色々される関係上、生きている可能性が高いです、ですが、遅れると沖合いに運ばれる可能性も捨て切れないので、極力急ぎます」
 少し気まずそうに解説してくる、言葉を濁す意味を察して、内心で赤くなる。
「こやつだけでは数が足りんじゃろう? 総動員数は?」
「実は各地で同様の事件が起きていて、其方に回って居ます、戦力分散で怒られそうですが、先で言った通り、時間が最優先で、陸上で戦う限りは半魚人は其処まで強くありませんから」
「まあ、そう間違ってはいないが、半魚人の相手なら災害派遣扱いで自衛隊でも構わんじゃろうが、あいつ等実体じゃし・・・・」
 最期の辺りは小声だった、デートを邪魔されたせいも在ってか、少し不満そうだ。
「はい、ですが大ぴらに動かすには動きが遅いので、其処は民間の強みと言う奴です」
「警察も使えんか・・・」
「一般人にうろつかれる方が面倒ですので・・・・」
「呼び出す準備はしておけ、今回のヤマは恐らくあ奴らのヌシが出る」
「は、はい!」
 突然殴られたような呆然とした表情をしていた。

 当然のように部長とも合流する、何だかんだで、自分達はセット扱いらしい。
「あれ?今回は葛様も出るんですか?」
 改めて部長が聞く。
「未だ要請は無いから見てるだけじゃ、実働の頭数には入れるな」
 きっぱりと言う、相変わらずそこの線引きはしっかりしている。
「神様を安売りは出来ませんからね」
 納得した様子だ。

「探す場所の目星は?」
「今回の被害情報、場所を総合的に判断して、水が集まる場所。此処です」
 車が停まる。
 首都圏一帯の溢れた水を一旦退避させるための地下空間。通称、地下大神殿の入口だった。


 追伸
 当然ですが、葛様は全部予測付いてる状況ですが、陽希に状況を説明する為に質問攻めにして話を進めてます。
 神様は実働で使う場合は予算的に最終兵器です。
 ただ働きは出来ません、其処等辺はきっちりします。
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