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第39話 ツムギの長い一日(始まり)
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ガタンゴトン ガタンゴトン
(学校行きたくないなあ・・・・)
通学中、朝の満員電車で席に着いて物思いにふけりながら、一人内心で後ろ向きな事を呟く、後10分もすれば学校最寄りの駅に到着だ、満員電車が苦手なので少し早目に出ているが、電車の中は其れなりに人が乗って居る。
(あれ? 陽希さん?)
乗客の中にクラスの有名人の姿を見つける。席が埋まって居るので立ち乗りしているが。人ごみの中、吊革につかまりもせずリュックを前に抱きかかえて目を閉じている。
何故かその立ち姿の時点で可愛らしい。
立ち姿に男らしい雰囲気が無いのだ、同年代以上の男子に見られるガニ股や、つま先がハの字に開いて居ると言う事も無く、逆に内股気味で骨ばったり角ばったりしている感も無い、学期初めの自己紹介で男だと言われ無かったら女である私でも見分けが付かない。
目を閉じて居るだけなのに何と言うか余裕が感じられる、睫毛も長い、何故か薄く笑って居る様で余計に可愛い。
これは負ける・・・
謎の敗北感を感じつつ、先程の後ろ向き思考の続きを再開する。
高校生活が始まって早々に所属グループを間違えた感がある。
今年の高校生活が始まって1週間程度なのだが、現グループは力関係のヒエラルキー構造が妙に強く、SNSでのグループでの発言権や、順番、返信速度、既読スルーはもとより未読スルーも袋叩き、序に一般人系のグループなのでオタク趣味に理解は無く、常に擬態を強いられている、中学の頃は諸々解放状態でオタクグループ。いや、腐女子の面々でつるんでいたのだが、男の影も無いモテないグループと言うのも辛いと言う事で、高校デビューを果たしてモテるらしい一般人グループに所属して青春を謳歌しようとして居たのだが、一般人の擬態が此処迄辛い物だと思わなかった。
だがもうクラスのグループは出来上がっている、下手に動くと現グループの面々からの風当たりが怖いし、現グループはクラス内カースト的に強いので一寸勿体無い。
そんな前に進まない堂々巡りの思考をしていると、少し眠くなってきた、後一駅は有るし、少しぐらい目を閉じても良いかな?
そう思って軽く目を閉じたのだが。
ガタンゴトン ガタンゴトン
何処だろう此処?
盛大に乗り過ごしたらしい、同じ制服の面々は電車の中に誰も居なくなっている、其れでも陽希さんは先程と同じ体勢で残って居た、もしかして眠ってる?
スマホを取り出して時間を確認する。
(9時?! 遅刻だ!?)
思わず目をむいた。
それにメールとメッセージが溜まっている、未読スルーはグループ内のランクを下げるので困る! 返事をしなくては! と、ポチポチ始めようとした所で、圏外である事に絶望する。
もう諦めて絶望顔でスマホから顔を上げると、丁度起きたらしい困り顔の陽希さんと目があった。
「おはよう、遅刻仲間?」
いきなり変な挨拶だった。
「おはようございます」
普通に挨拶を返す、これが私、紬(つむぎ)と陽希さんとの長い一日の始まりだった。
(学校行きたくないなあ・・・・)
通学中、朝の満員電車で席に着いて物思いにふけりながら、一人内心で後ろ向きな事を呟く、後10分もすれば学校最寄りの駅に到着だ、満員電車が苦手なので少し早目に出ているが、電車の中は其れなりに人が乗って居る。
(あれ? 陽希さん?)
乗客の中にクラスの有名人の姿を見つける。席が埋まって居るので立ち乗りしているが。人ごみの中、吊革につかまりもせずリュックを前に抱きかかえて目を閉じている。
何故かその立ち姿の時点で可愛らしい。
立ち姿に男らしい雰囲気が無いのだ、同年代以上の男子に見られるガニ股や、つま先がハの字に開いて居ると言う事も無く、逆に内股気味で骨ばったり角ばったりしている感も無い、学期初めの自己紹介で男だと言われ無かったら女である私でも見分けが付かない。
目を閉じて居るだけなのに何と言うか余裕が感じられる、睫毛も長い、何故か薄く笑って居る様で余計に可愛い。
これは負ける・・・
謎の敗北感を感じつつ、先程の後ろ向き思考の続きを再開する。
高校生活が始まって早々に所属グループを間違えた感がある。
今年の高校生活が始まって1週間程度なのだが、現グループは力関係のヒエラルキー構造が妙に強く、SNSでのグループでの発言権や、順番、返信速度、既読スルーはもとより未読スルーも袋叩き、序に一般人系のグループなのでオタク趣味に理解は無く、常に擬態を強いられている、中学の頃は諸々解放状態でオタクグループ。いや、腐女子の面々でつるんでいたのだが、男の影も無いモテないグループと言うのも辛いと言う事で、高校デビューを果たしてモテるらしい一般人グループに所属して青春を謳歌しようとして居たのだが、一般人の擬態が此処迄辛い物だと思わなかった。
だがもうクラスのグループは出来上がっている、下手に動くと現グループの面々からの風当たりが怖いし、現グループはクラス内カースト的に強いので一寸勿体無い。
そんな前に進まない堂々巡りの思考をしていると、少し眠くなってきた、後一駅は有るし、少しぐらい目を閉じても良いかな?
そう思って軽く目を閉じたのだが。
ガタンゴトン ガタンゴトン
何処だろう此処?
盛大に乗り過ごしたらしい、同じ制服の面々は電車の中に誰も居なくなっている、其れでも陽希さんは先程と同じ体勢で残って居た、もしかして眠ってる?
スマホを取り出して時間を確認する。
(9時?! 遅刻だ!?)
思わず目をむいた。
それにメールとメッセージが溜まっている、未読スルーはグループ内のランクを下げるので困る! 返事をしなくては! と、ポチポチ始めようとした所で、圏外である事に絶望する。
もう諦めて絶望顔でスマホから顔を上げると、丁度起きたらしい困り顔の陽希さんと目があった。
「おはよう、遅刻仲間?」
いきなり変な挨拶だった。
「おはようございます」
普通に挨拶を返す、これが私、紬(つむぎ)と陽希さんとの長い一日の始まりだった。
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