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第75話 彩羽の作戦会議(彩羽視点)

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「で、どんな感じですか?」
 チェックイン後、案内された部屋でお茶とか駅で買って来たご当地名物の笹団子とかエキソンパイとか奢りつつ情報を引き出す。
「ありえないLVの当たり枠」
 そんな大げさなと言いたい所ですが、容姿に関してはライブカメラ勢が嗅ぎつけてます、低解像度でも可愛いと!
「容姿に関してはもう、可愛い、その上に性格が良い」
「そんなパーフェクトヒューマン的な?」
「いやむしろ天使とかで良い」
「そんな大げさな」
「こっちの要求とか、妄想とか、ぜーんぶ見こした上で、笑いながら相手してくれる」
「ふへえ」
 思わず変な声が出る、もう、思い出しただけでうっとりしている様子だ。
「そんな都合が良い話、有る筈が」
「有ったんだ」
 思わずの否定に被せる様に重ねて肯定して来る、天空城は有ったんだ位の目のきらっきら具合である、コレはもう惚れてる系?
「未だこっち来たばっかりで、慣れてないと言うか、健康診断とか色々済んで無いっぽいから私等に夜這いはしてくれないけど、他は有る、かもしれない」
「他?」
「お風呂から上がって来たのを見たって人が居る」
「風呂上り?」
 湯上りほこほこな男の子、ソレは見るだけで体調が良くなりそうな。
 是非とも加湿器として、少年から出てくる湯気とかシュッと吸いたい。
 きっと万病とかに効く。
「個室の?」
 混浴なんて処女の夢だが、現実では妄想である。
「混浴に成ってる大浴場」
「ひゃい?!」
 思わず変な声が出た、嘘だあ?!
「こんな感じに、護衛の娘と手を繋いで混浴の大浴場から」
 テーブルの上に出していた手を適当に掴まれ、指を絡ませられる。
「女同士じゃアレだけど、男女で?」
 女同士じゃ色気も何もありゃしない、無感動ににぎにぎしてみるが、新しい感動とかそんなのは湧いてこない、男同士だったらまあ美味しいかもだけど。
「男女で」
 きっとやってるとかだ、都市伝説みたいなあれだけど。
「もうやってる?」
「多分やってりゅ、あの距離感はただ事じゃない」
「ただ事じゃないのか、そうかあ………」
 まともにそんなのに出くわした事すら無いので、もはや理解の外だ。
 お金払えばどうにか成ると言われる風俗なんかも法律の底に半分潜って居るので、お金を払ってもまともな保証は無く、下手に手を出すのも怖い、結局がちがちの処女である。
「籍入れは3人確定で、この3人の誰かが常について歩いてる」
「じゃあ、チャンスは無い感じ?」
「いや、今無いってだけで、ゆくゆくは三助やらせたいような事言ってる」
「ちょっと早かったかあ……」
 先走り過ぎた感は有ると。
「でも、早くて良かったと思うよ、私はあの人、翡翠さん見つけた瞬間に目いっぱい連泊手続きしたから未だ泊まれるけど、もう宿泊料金1.5倍で2か月埋まってるでしょ? 公式発表付いたら10万まで値上がりして、それでも1年待ちとか有りえる」
「そんなに?」
「そんなに、アレはヤバい、見てるだけで健康になる」
「つやっつや?」
「てっかてか、元からここ美人の湯ついてるけど、それどころじゃない」
 見ただけで惚れて女性ホルモンドバドバとかかなあ、本当に大げさな。
 あ、でもこのすべすべな肌艶は本当? いや、温泉が良いだけの可能性も。
 いや、でもこいつは労働者にしても半分趣味みたいなライターだから、元から肌艶良い筈だし、そもそも気にする年齢だっけ?
 確認しようと無意識に手をスリスリしてみる。
「そっちの趣味は無いよ?」
「私も有りませんよ」
 ムスッと返す、未だ同性に興奮するような変態じゃない。まだそこまで追い詰められていないのだ。

「これ、しょうがないなあってやってくれる男の子が他に居ると思う?」
 手が離され、代わりにスマホを操作して、画面をこちらに向けてきた。
「……?!」
 思わず絶句する。
 文句なしに可愛い男の子が、何だかしょうがないなあって苦笑交じりに言った後で、異様にきわどい前かがみポーズを決めていた。
「これ、のーぶら?」
「のーぶら、目線バレて、確認した後で、何か不都合ある? って心底不思議そうに首傾げられた」
「いやいやいやいや……」
 着崩れた浴衣から、先端が見えていた、思わず鼻血でも出ないかと口元に手をやる。
「って事で、お楽しみに~」
 そんな事を言いながらスマホを手元に引き寄せて、ポケットにしまわれる。
「その画像……」
「今は拡散禁止、だから色々解禁後ね?」
 ちくしょう、こういう時はガードが堅い。
 思わずちょうだいと言う前にキャンセルされてしまった。
「泊った以上、チャンスは有る筈だから、現物を見なさい、多分お風呂にも来るはず」
「ほんとだね?!」
 思わず身を乗り出して確認する。
「検証班の人柱なんだから、自力で確認しなさい」
 溜め息交じりに窘められた、ソレはそうだった。



 追申
 カイロスの前髪、いわゆるチャンスの神様の前髪、本名のほうがマイナーな悲しい神様。
 恐らく子供たちに対しては一番有名な、同名のクワガタに関しては、ポケモン初代赤緑だとめっちゃ逃げるので、多分その辺から。 なお、AIだと概念を認識できない様子です、対話形式で調べると正しいサイトをコレですね? って出してきますが、画像にしてと言うと変なモノが出てきます。
 そんな訳で、この娘がファーストアタックちゃん、改め彩羽(いろは)ちゃん。
 相変わらず、この容姿で売れ残るんか? ですが、この世界ではしゃあないという事で。
 シュッと吸うモジョに関してはまあ、そんなのです。ネットに巣食う謎の妖怪、お察し。 
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