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第66話 ハチクマの葛藤

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「えっとその………………………出ませんよ?」
 思わず変な言葉が出て来た。
 自分の胸に需要が有るなんて先ず無いと思うのだ。
「出ても困るなあ」 
 素で返されてしまった。
「いや出たら出たで良いけど、未だ妊娠して無い時に出るのって、別の病気か何かだし?」
 医学的に補足されてしまった。それはそうだ。
「ですよねぇ..........」
 謎の空気が流れた。

「ひゃん」
 続きを再開されてしまった、思わず変な声が出た、あああ! 良い返しが思いつかない!
 と言うか、アレか、考えなくて良いやつか!
 考えるな感じろってやつか!
 じゃあこっちも!
 咄嗟に翡翠さんの下半身に手を這わせた。
「ひゃ?!」
 既に臨戦態勢だった事に驚いて、思わず変な声が出る。
「そんな訳で、二回戦目ですね?」
 ちょっと嗜虐的な笑みを浮かべる翡翠さんは、何処か得意気だった。
 出せるなら次は誰でしたっけ? 
 さっきメッセージ来てたし、きよらと琴理さんか、スズメか、もしくはヤタお婆様? ランク的にツグミさんと言う線も捨てきれないし。
 雑念多いな私?!
「えっと、無駄打ちじゃあ?」
 昨日と言うか、つい先刻分が結構な量だった気がする。
「中に出すのは無駄打ちと言いませんよ?」
 そりゃそうだ。

 朝から元気いっぱいに追加で注がれてしまった、幸せだが、こんなに幸せで良いのだろうか?

「けだもの......」
 おもわず変な言葉が出て来た。
「ありがとうございます」
 何故か物凄く得意気にお礼を言われた、何だか本気で嬉しそうだった。



「また倒れたりしないんですか?」
 今度は元気そうだった。結構不思議だ。
「何と言うか、今のは溢れた分とか、溜まった分出しただけ何で、言う程疲れませんね?」
「そんなもんなんですか?」
「基本的に、男側は貯め込んで時間かけて出すほど疲れるんで、こう言う短時間のはじゃれてるだけ見たいな?」
「なるほど……」
 本気だと昨夜みたいに出すと倒れるけど、軽いのは平気と、最悪出すだけ出してもらってお茶を濁してもらうと言う手も……

「それで、何をそんなに悩んでましたか?」
 布団の上で正座して、こてんと首を傾げられる、ずるい、仕草一つ一つが無駄にかわいい。
「こんな感じのアレコレが有りまして………………」
 翡翠さんが落ち着いたので、改めて話すことにした。
 こちらも居住まいを正して、布団の上で正座する。
 そもそも論、嫁でも旦那様が誰を抱くかなんて指定と言うか、強制はできないのだ。
 この人はどうですかと推薦ぐらいは出来るかもしれないけど。あくまで男性の自由意思が優先される。
 結局私が思い悩むだけ無駄なのだと言うオチなので、翡翠さんに決めてもらおう。
 内心で項を垂れて平べったくなりながら、そっと私のスマホを翡翠さんに画面が見えるように差し出した。
 画面には、きよらと号理さんが出来たらで良いので、翡翠さんと結婚できないかの援護とか作戦会議とか、最悪お手付きのお約束とか、そんなのが表示されていた。
「ん~と、お誘い?」
 だよねえ? と言う感じに翡翠さんが首を傾げる。
「求婚ですね」
 端的に言おう、焦るのは分かるが、今出しても困るだけだと。
「ハネムーンな独占期間は?」
 そんなのあったよねえと質問される。確かにあった。
「新婚の貴重な蜜月なイチャラブ時間を、外から邪魔するなって言う嫁同士、女同士の威嚇みたいな紳士と言うか、淑女協定です、でも嫁とか旦那とかが誘う分には問題無いので」
  結局あったりなかったりだ、順番通りにスムーズに行くなら何よりなのだが、邪魔したらお互いの独占期間が消減して、順番飛ばしとか色々有りになってしまうので、損をするのは当人達と言う。
「で、ハチクマさん的には?」
「仲悪くは無い同僚的なモノなので、最終的には抱いてあげてもらえると嬉しいです」
 我ながら、かなり変な物言いになっていた。
「仲の良さ的には?」
「職場以外の個人的な飲み会とか食事会行けるぐらいです」
 やけ食いとか色々付き合ってもらっていた。
「それは結構仲が良いと思いますよ?」
「その通りです」
 だから困るのだ。最終的に二人を援護して翡翠さんに可愛がってもらって幸せになってほしいのだが、何と言うか今はちょっとモヤる。
「何だか言葉にしにくいです、出来る事なら娶ってほしい所ですけど」
「成る程……」
 ちゅ
 不意打ちに近づかれて、キスをされた。

「考えてもしょうがないので、一旦お風呂で汗流して、ごはんですね?」
 翡翠さんが提案する。確かに、お腹がペコペコだし、汗やら何やらでベタベタのカピカピだった。

追申

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