33 / 152
第33話 翡翠の指輪
しおりを挟む
「どうせだからこれもやっとけ?」
悪戯っぽい笑みを浮かべ、あまり響かない様に小声でそんな事を言いながらヤタちゃんが何かを取り出した。
翡翠の指輪だった、材質が翡翠の石だけで構成されるシンプルなヤツだ、中国とか台湾土産に見かける感じがする。白と緑、青や紫のグラデーションする色調、共に透明感が有って、とても綺麗だ。
硬度7で劈開が無い特異な性質を持つ翡翠たからこそ成立する、シンプルな構造美だった。
(これが、これで?)
と言う感じに目立たない様に小さく人差し指と親指で指さして確認する。
ミサコは先ほどから仲居さん達にもみくちゃにされていてこちらを向いていない。
(うむ)
得意気に声を上げずに頷き、やっちまいなYOって感じにヤタちゃんが笑顔で親指を立てた。
仕込まれた通りにやるのはどうなのだ? と言う頭の中の童貞と、やっちまってどんなリアクション取られるか見てみたいな? と言う芸人根性が一瞬拮抗した。
「ミサゴさんやーい?」
「はい?」
ミサゴがこちらを向く
「お手を拝借?」
「はい?」
右手が出て来た。
「そっちじゃ無い、こっち」
ぺいっと右手を下げさせて、左手を掴む。
「え?」
「指伸ばして? パーで」
呟くように指示しつつ、指先を掴んで指先の姿勢を固定する。
(入るかな?)
そもそもサイズどうなんだ?
そんな内心のツッコミをさておいて。
誂えた様に指輪はスルッと左手薬指に収まった。
「おーーー」
周囲から感嘆の声? が漏れた。
ミサゴがパクパクと口を動かす。目からは涙が滲んで来ている気がする。
「駄目だったら外して良いよ?」
その反応がどっちだか判らず、駄目だったかな? と言う感じに予防線を張ってみる。
……
………
……………
しばらくの間、無音が続いた、滑ったかな? 回収にかかるべきだろうか。
「や!」
反応悪いので回収ですよーと指輪に触れると、物凄い勢いで逃げられた。
ふしゃーっと威嚇する猫を彷彿とさせる動き。と言うか一緒に同じ威嚇のポーズをとる猫がミサゴの横に居た、いつの間に?
咄嗟に目線がそちらの猫に滑る、目つきの悪いキジトラと、目が大きいちょび髭の三毛猫だった。
「一生外しませんから!」
いやそっちじゃないこっちだとミサゴから反応が返って来た。
「それは何より、大事にしてくださいね?」
にっこり笑っておいた。
何だか後ろで胸を押さえて悶えてるのがいっぱい居た。
胸やけかな? 医者でも進めるべきだろうか?
その後、お手付き後は翡翠にアクセサリーを装着させてもらうのが流行ったのは言うまでも無い。
追申
猫の名前、目つきの悪い方、ちんぴらさん。
ちょび髭、部長さん。
共に接客担当の看板猫。さんを含め無いと返事しません。
因みに、このくりぬき翡翠の指輪のお値段は国内産のそこそこで市販価格は一個10万程、多色系なのでレアリティ上がって相場は多分もっと上、材料費的には一話のアレみたいに毎日ミサゴが浜辺で拾ってきてたアレですので、ミサゴの時給と加工賃考えなければお土産として儲けが割と美味しいブツ。帳簿的には例の白濁液の一時買取価格で相殺、ヤタちゃんは抜け目ないのでタダ働きはしません。
ミサゴにとってこの指輪自体はかなり見覚えのある物だけど、翡翠に直で送られて装着されたという行動でプライスレス。ミサゴ的には捨てられないお祭りの玩具の指輪みたいなお話、原産地なので価値観がバグってます。
良かったら感想とかとかお気に入り登録とかハート連打とか、ご協力お願いします
悪戯っぽい笑みを浮かべ、あまり響かない様に小声でそんな事を言いながらヤタちゃんが何かを取り出した。
翡翠の指輪だった、材質が翡翠の石だけで構成されるシンプルなヤツだ、中国とか台湾土産に見かける感じがする。白と緑、青や紫のグラデーションする色調、共に透明感が有って、とても綺麗だ。
硬度7で劈開が無い特異な性質を持つ翡翠たからこそ成立する、シンプルな構造美だった。
(これが、これで?)
と言う感じに目立たない様に小さく人差し指と親指で指さして確認する。
ミサコは先ほどから仲居さん達にもみくちゃにされていてこちらを向いていない。
(うむ)
得意気に声を上げずに頷き、やっちまいなYOって感じにヤタちゃんが笑顔で親指を立てた。
仕込まれた通りにやるのはどうなのだ? と言う頭の中の童貞と、やっちまってどんなリアクション取られるか見てみたいな? と言う芸人根性が一瞬拮抗した。
「ミサゴさんやーい?」
「はい?」
ミサゴがこちらを向く
「お手を拝借?」
「はい?」
右手が出て来た。
「そっちじゃ無い、こっち」
ぺいっと右手を下げさせて、左手を掴む。
「え?」
「指伸ばして? パーで」
呟くように指示しつつ、指先を掴んで指先の姿勢を固定する。
(入るかな?)
そもそもサイズどうなんだ?
そんな内心のツッコミをさておいて。
誂えた様に指輪はスルッと左手薬指に収まった。
「おーーー」
周囲から感嘆の声? が漏れた。
ミサゴがパクパクと口を動かす。目からは涙が滲んで来ている気がする。
「駄目だったら外して良いよ?」
その反応がどっちだか判らず、駄目だったかな? と言う感じに予防線を張ってみる。
……
………
……………
しばらくの間、無音が続いた、滑ったかな? 回収にかかるべきだろうか。
「や!」
反応悪いので回収ですよーと指輪に触れると、物凄い勢いで逃げられた。
ふしゃーっと威嚇する猫を彷彿とさせる動き。と言うか一緒に同じ威嚇のポーズをとる猫がミサゴの横に居た、いつの間に?
咄嗟に目線がそちらの猫に滑る、目つきの悪いキジトラと、目が大きいちょび髭の三毛猫だった。
「一生外しませんから!」
いやそっちじゃないこっちだとミサゴから反応が返って来た。
「それは何より、大事にしてくださいね?」
にっこり笑っておいた。
何だか後ろで胸を押さえて悶えてるのがいっぱい居た。
胸やけかな? 医者でも進めるべきだろうか?
その後、お手付き後は翡翠にアクセサリーを装着させてもらうのが流行ったのは言うまでも無い。
追申
猫の名前、目つきの悪い方、ちんぴらさん。
ちょび髭、部長さん。
共に接客担当の看板猫。さんを含め無いと返事しません。
因みに、このくりぬき翡翠の指輪のお値段は国内産のそこそこで市販価格は一個10万程、多色系なのでレアリティ上がって相場は多分もっと上、材料費的には一話のアレみたいに毎日ミサゴが浜辺で拾ってきてたアレですので、ミサゴの時給と加工賃考えなければお土産として儲けが割と美味しいブツ。帳簿的には例の白濁液の一時買取価格で相殺、ヤタちゃんは抜け目ないのでタダ働きはしません。
ミサゴにとってこの指輪自体はかなり見覚えのある物だけど、翡翠に直で送られて装着されたという行動でプライスレス。ミサゴ的には捨てられないお祭りの玩具の指輪みたいなお話、原産地なので価値観がバグってます。
良かったら感想とかとかお気に入り登録とかハート連打とか、ご協力お願いします
46
お気に入りに追加
191
あなたにおすすめの小説
異世界で生きていく。
モネ
ファンタジー
目が覚めたら異世界。
素敵な女神様と出会い、魔力があったから選ばれた主人公。
魔法と調合スキルを使って成長していく。
小さな可愛い生き物と旅をしながら新しい世界で生きていく。
旅の中で出会う人々、訪れる土地で色々な経験をしていく。
3/8申し訳ありません。
章の編集をしました。
性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。
狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。
街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。
彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
異世界に転生をしてバリアとアイテム生成スキルで幸せに生活をしたい。
みみっく
ファンタジー
女神様の手違いで通勤途中に気を失い、気が付くと見知らぬ場所だった。目の前には知らない少女が居て、彼女が言うには・・・手違いで俺は死んでしまったらしい。手違いなので新たな世界に転生をさせてくれると言うがモンスターが居る世界だと言うので、バリアとアイテム生成スキルと無限収納を付けてもらえる事になった。幸せに暮らすために行動をしてみる・・・
貞操逆転世界に無職20歳男で転生したので自由に生きます!
やまいし
ファンタジー
自分が書きたいことを詰めこみました。掲示板あり
目覚めると20歳無職だった主人公。
転生したのは男女の貞操観念が逆転&男女比が1:100の可笑しな世界だった。
”好きなことをしよう”と思ったは良いものの無一文。
これではまともな生活ができない。
――そうだ!えちえち自撮りでお金を稼ごう!
こうして彼の転生生活が幕を開けた。
最強無敗の少年は影を従え全てを制す
ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。
産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。
カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。
しかし彼の力は生まれながらにして最強。
そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。
クラス転移から逃げ出したイジメられっ子、女神に頼まれ渋々異世界転移するが職業[逃亡者]が無能だと処刑される
こたろう文庫
ファンタジー
日頃からいじめにあっていた影宮 灰人は授業中に突如現れた転移陣によってクラスごと転移されそうになるが、咄嗟の機転により転移を一人だけ回避することに成功する。しかし女神の説得?により結局異世界転移するが、転移先の国王から職業[逃亡者]が無能という理由にて処刑されることになる
初執筆作品になりますので日本語などおかしい部分があるかと思いますが、温かい目で読んで頂き、少しでも面白いと思って頂ければ幸いです。
なろう・カクヨム・アルファポリスにて公開しています
こちらの作品も宜しければお願いします
[イラついた俺は強奪スキルで神からスキルを奪うことにしました。神の力で学園最強に・・・]
女神から貰えるはずのチート能力をクラスメートに奪われ、原生林みたいなところに飛ばされたけどゲームキャラの能力が使えるので問題ありません
青山 有
ファンタジー
強引に言い寄る男から片思いの幼馴染を守ろうとした瞬間、教室に魔法陣が突如現れクラスごと異世界へ。
だが主人公と幼馴染、友人の三人は、女神から貰えるはずの希少スキルを他の生徒に奪われてしまう。さらに、一緒に召喚されたはずの生徒とは別の場所に弾かれてしまった。
女神から貰えるはずのチート能力は奪われ、弾かれた先は未開の原生林。
途方に暮れる主人公たち。
だが、たった一つの救いがあった。
三人は開発中のファンタジーRPGのキャラクターの能力を引き継いでいたのだ。
右も左も分からない異世界で途方に暮れる主人公たちが出会ったのは悩める大司教。
圧倒的な能力を持ちながら寄る辺なき主人公と、教会内部の勢力争いに勝利するためにも優秀な部下を必要としている大司教。
双方の利害が一致した。
※他サイトで投稿した作品を加筆修正して投稿しております
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる