173 / 190
第五章
21 取引 レイジェス視点
しおりを挟む
ラザロ=カートラット伯爵が逮捕されて、五日が経った。
昨日、ギデオンが事務所に来たので、応接室で少し話をした。
エリザベス様が問題を起こしすぎて、このままでは孤児院には置いておけないと。
話によるとエリザベス様だけが悪いわけでもなさそうだが、やり返し方が酷すぎて怪我をした者までいると言っていた。
本人が屋敷に帰りたいと頻りに言っていた為、帰す事にしたと言う。
書類はもう申請してあるので明日には屋敷に帰れる事になるだろうと言っていた。
「良かったじゃないか、重荷が無くなり軽くなって」
「それが良いことなのか悩む。事件の全てが、彼女が悪いわけでは無いんだ。確かに酷いやり返しをしたのも事実だが、彼女がノエルを守ったのも事実なんだ……」
「……彼女はもう11歳になろうとしている。11歳は見た目は子供だが、もう色々自分で考え、判断出来る年齢だろ? 彼女は自分で決断してそう決めたんだ。私達他人の出る幕では無い」
「しかし、私は教育者としてっ……!」
「おいおいギデオン、いつから君は教育者になった? 君はただの『幼児福祉課課長』であろう? 孤児院院長の仕事はその延長に過ぎない。子供達に深く関わり過ぎて呑み込まれているんじゃないか?」
「呑み込まれている?」
「ああ、ノエルに、えらく入れ込んでいる様に見えるが?」
「……そ、そんな事は……!」
「無いと言えるのか?」
「……」
ギデオンは私の言った事に何も答えず、そのまま福祉課に帰って行った。
エリザベスが今日、屋敷に帰る。それを材料に、私はカートラット伯爵を証人として落とす事にした。あれから、ユリウスの『つての者』からラキス毒の入手経路が判明し、あのならず者達が飲んでいた酒場も突き当てた。やはりそこには神殿関係者がいた。酒場にいた者に神殿長の似顔絵を見せたが、『たぶん同じ人』という曖昧な証言ばかりだった。酔っている人間が多かったのだと思う。神殿長を罪人として捕まえるにはカートラット伯爵にまず証人になって貰わなければいけない。
流星祭のアリア襲撃事件に関して、カートラット伯爵はいくら調べてもボックス席をクリフに買わせた位しか情報が出なかった。
カートラット伯爵にボックッス席を買うように指示したのは、どう考えても神殿長であるディディエ=コルネイユ伯爵だと思われた。
私は取調室に呼んであるカートラット伯爵をマジックミラー室から見ていた。
少しやつれた様で、無精ひげが生えている。そして、生気が無い。
何か色々諦めた様な顔をしていた。捕まえた当時はまだ生気があり、反抗気味だったのに。
マジックミラー室に番所所長が入って来て、私に言った。
「あ、もういらっしゃってましたか、師長様」
「うむ、今様子を見ていた」
「前は余裕があったように見えたんですが、なんだか気が抜けたように感じますね? 今は」
「君もそう思うか……」
「心の中で何か変化があったんですかね?」
「……まぁ、行ってみて考えよう」
私はマジックミラー室を出て、取調室に入った。
「やぁ、お久しぶりです、カートラット伯爵」
「……アルフォード公爵!」
私は取調室のカートラット伯爵の真向かいの椅子に座った。
「さて、今日はエリザベスの話をしたいと思います」
「……」
「彼女が孤児院に行ったのは、知ってますよね?」
「……ああ」
「先日、孤児院で14歳の少年に襲われたそうです」
「……な、なんだと!? あんな、下賎な平民の棲家に私のエリーを置くからだ! エリーはどうなったんだ!? 大丈夫なのか!?」
「同室のお友達の女の子が助けてくれたそうです。だから、エリザベスは何とも無かった。そして、相手の少年を返り討ちにしてやったそうです。まったく、気の強いお嬢さんだ」
「……そうか」
カートラット伯爵は本当にエリザベスを心配している様だった。
その心を最大限に利用させて戴こう。
「結局彼女はお屋敷に帰りたいと申しました。昨日書類を書いたので、今日には屋敷に帰れるでしょう」
「……本当に、エリザベスが自分で帰ると言ったのか……?」
「ええ、書類にサインしましたよ」
「……」
その瞳は動揺を隠せなかった。どうやらエリザベスが屋敷に帰りたいと言うとは、思って無かった様だった。
「エリザベスが屋敷に帰ったなら、貴方も早く屋敷に帰って、彼女を抱きしめたいでしょう?」
「……ああ」
「誰にあのボックス席を買えと指示されました? これを言うだけで、貴方は屋敷に帰れます。色々調べてみたが、貴方がしたのはクリフに金を渡してボックス席を買わせただけだ。どう探っても貴方に関してはそれだけしか出なかった。これでは罪には問えない。だが、ディディエ=コルネイユ伯爵は違う。ラキス毒からディディエの関係者がその毒を買ったと、毒入手ルートが割れている。毒を飲まされた酒場でも、ディディエを見かけたという奴もいた。カートラット伯爵、全てを自白しろ、そして裁定場で証人となれ」
結局、ラザロ=カートラット伯爵は全てを自白して、証人になる事にも承諾し、自白と証人の書類にサインした。監禁の罪の牢屋入り一週間は、あと一日だった。
残り一日分の金を払って、すぐ出る事も出来ると言ったが、きちんと反省したいからと、カートラット伯爵は金を払わず、あと一日牢屋で過ごす事にした。
正直、エリザベスとカートラット伯爵について私が思う事は特に何も無い。
蜜花は失われるだろうな、位か。
プリストン王国では婚約相手が幼い場合、婚約書類と共に審問会の調査書類にもサインさせられる。これはセットになっていて拒めない。審問会の調査とは15歳になったら、即、強制身体検査に掛けられると言う事だ。
しかし、ここで蜜花が失われていたら婚約者は処罰を受ける。それはほぼ処刑だ。
だが、年間でこの法律で処刑される者はいるにはいるが、少ない。
それには裏道があるからだ。
カートラット伯爵の様に、養育権だけ譲渡して貰い、15歳になったら結婚する。
というのも裏道の1つだ。
普通は婚約してから結婚という流れだが、15歳で即結婚だと成人結婚になるので
審問会の調査は入らない。
だから、内実がどの様になっているのかは誰にも分からない。それは蜜花を失っていたとしてもだ。
相手の子供が幼い場合、自分がされている事が犯罪だと知らずに『蜜花を奪われた』と周りに吹聴する事を考慮して、地下に閉じ込める事もあると聞くが、地下に閉じ込められれば事件としても浮き上がらない。
そう考えると、番所が把握している被害数が正しいとは言い切れないかも知れない。
これが、愛情を含んでいて、将来結婚するという考えの下で動いているならまだ理解できるが、ただ幼い者と致したいという考えの輩が一定の割合でいるから性質が悪い。
ギデオンがこの国の子供の預かり事に関して、文句を言っていたのを思い出す。
エリザベスの場合、最初、養育権ごと神殿に託された。しかし、神殿側は養育権のみカートラット伯爵に譲渡し、両親も一応それを知っていた様だが、子供を育てるのを放棄していた。
生活が貧しいからだと思うが、育てる気が無いなら産むなと思う。
ただ、大人になったら結婚出来るようにだろう、カートラット伯爵は養子縁組はしていなかった。
健全にこのシステムが利用される場合は、神殿で子供が育ち、大人になってから子供が両親の元へ戻って面倒を見るパターンが多い。その頃には貧しい状況が改善されている(子が両親のために働く為)場合も有り、実の両親と仲良く暮らすことも多々ある。
この養育権は普通、貧しい者が神殿で子供を育てて貰うために渡す。
しかし、神殿もあまりにそういった子供が多いと人員的にも、金銭的にも負担がかかるので、一部養育権の譲渡(売買)をしている。
養育権の管轄は神殿がやっていて、これは法律では禁止されてないので捕まらない。
それと似たようなシステムで『預かり子制度』があるが、アリアも預かり子だ。
これは管轄が『幼児福祉課』で、主に虐待や育児放棄をされている子が対象になる。
なので幼い婚約者がいるからと言って必ずしも『預かり子制度』で一緒に住めるわけでは無い。
ちなみにシエラ様は『姉妹からの虐待』が認定されて預かり子になった。
アリアは『育児放棄』が認定されて預かり子になっている。
リアの場合は父が人間でなく天界にいるため、育てたくとも育てられないというだけで、育児放棄には当たらないが、書類上理由が必要なのでそれにしただけに過ぎない。
この認定の書類にサインするのは幼児福祉課の課長ギデオンな為、その認定はかなり厳しい。なので邪なことを考えて申請しても弾かれる。だからコモンに申請許可が下りて少々驚いた。今はまともだが、以前は女遊びが激しかったヤツに申請許可が下りるとは思わなかったからだ。裏で金でも渡したのかヤツは?
取調室を出て廊下を歩いているとコモンが話し掛けて来た。
「レイジェス! 聞いたぞ、カートラット伯爵がついに落ちたと」
「あれは……落ちたというより、取引した感じだな」
「だが、黒幕は捕まえられるんだろ?」
「ああ」
「じゃあ、少し安心出来るな」
「なんだか、うまく行きすぎてる感はあるが……」
私は番所の事務所に戻り、ディディエ=コルネイユ伯爵の逮捕令状を作った。ついでに神殿の強制捜査令状も作った。
「では、これよより神殿長、ディディエ=コルネイユ伯爵を逮捕しに神殿へ向かう! 皆外に出ろ!」
師団からは私と、コモン、新人の私の補佐官、エルミオ=ルバノが強制捜査に参加した。番所からは番所所長と番所衛兵が20名程参加した。
神殿が広いためかなりの人数が必要だった。
城の外へ出ると、皆次々に召喚獣を出し、空へと舞い上がった。
「神殿へ!」
「「「うおおおおおっ!」」」
私が叫び、皆が雄叫びを上げた。
神殿前に師団の者と番所の者が集結すると門には結界が張られた。
「はぁっ!? ここで結界張るかよ! 普通!」
コモンが苛立っていた。
「神殿内部を見られたく無いようだな」
私は結界破壊の呪文を唱えた。コモンが援護で『ファイアートルネイド』を連続で門に打ち付けた。
透明な結界の鎖が引き千切れそうになった所で呪文は完成し、杖の先を門に向けると、青白い光と共に鎖は砕け切って、そこにコモンが連続詠唱したファイアートルネイドが当たり、門が一瞬で燃え尽きた。
「行くぞ!」
私の声と共に番所衛兵が20名も神殿内部に雪崩れ込んだ。
神殿内のあちこちで小競り合いが始まる。近くにいたまだ10歳にもなっていなさそうな少女に神殿長の居場所を聞いた。
「たぶん、……地下室です」
指し示す指先が、ぷるぷると震えていた。
コモンは神殿長の部屋を捜査するため、番所の者達を数名連れて行った。
神殿内部に通すまいと、神殿警備の神官達が立ちはだかり、激しい争いになっていた。私はそれを横目に、補佐官のエルミオと番所所長、番所衛兵を連れ、地下室へ下りた。
縦長の廊下に深紅の絨毯が敷き詰められていた。角を曲がるとすぐに扉があり、軽く触ると鍵が掛かっていた。
「どうします? 鍵がどこにあるかわかりません」
エルミオが言った。
「そう言うときはな」
私は呪文も使わず杖を振った。その瞬間ドアが大爆発して室内に飛んで行った。
「こうするんだ」
「それじゃあ、中の人間が怪我をしますよ……」
「怪我をしたらヒールすればいいだろう?」
「師長様は滅茶苦茶ですね!」
私が中に突入すると、部屋の中にいた人間達は固まっていた。
部屋は薄暗く、いくつかの蝋燭の炎で照らされていた。よく使われる安物の媚薬の香りが鼻をつく。床には乱れた布団がいくつも乱雑に敷かれて、その上で男と女が何人も裸で交合わっている。
よく見ると男は全員大人だが、女は皆年端も行かない少女ばかりだった。
その中に、私が探していた神殿長、ディディエ=コルネイユ伯爵もいた。まだ一桁台だと思われる少女のそこに自分の一物を入れ、善がっていた所だった。
「ここに居る者全てに告ぐ! お前達全てを一度拘束し逮捕する! 立って両手を後ろにまわせ!」
番所衛兵達が素早く指示を聞いた者を縛り上げていく。抵抗する者は押さえつけられていた。
「エルミオ、少女を一ヶ所に集めて保護しろ」
「はいっ!」
私はディディエ=コルネイユ伯爵の前に立った。通告をしたと言うのにディディエはまだ少女を犯していた。
「少女を犯すのは楽しいか?」
「フン、お前も同じ穴の狢だろうが、アルフォード公爵よ」
「言ってる意味がわからんな」
「少女を飼っているではないか」
「あれは私の婚約者だ」
「どうせ、もう犯してしまったんだろう?」
ディディエは話をしながら少女を後ろから責めている。少女は気持ちよさそうな表情で私を見上げた。
「あっ、んんっ、いっ、いぃいぃっ」
「この子の口を使ってもいいぞ?」
「何を誤解してるかわからんが、私はアリアの蜜花を奪ってなどいない! 獣の様なお前と一緒にするな!」
「真面目に言ってるんですか? あんなに美しく、誘うような瞳をする少女を、まだ自分の物にしてないなんて、正気ですか? ああ、あの子がまだ処女だなんて!興奮してきたあああぁぁっ!」
ディディエは激しく腰を振り、周りに番所所長や番所衛兵がぱらぱらと集まってきた。
「だめっ! だめぇ、ディディエ様! 人が、人が一杯見てますっ!」
「興奮するだろう? ほらイけっ!」
「あっ、やっ、あああああんんっ! イクっ、イクっうううう!」
「ううっ!」
ディディエは激しく腰を振り続けて少女の中で達した。一物を抜くと少女の桃色の秘所から、たらりと白濁の液が大量に流れ落ちた。
「……エロい」
番所衛兵の誰かが呟いた。
私は大人しく立ち上がったディディエ=コルネイユ伯爵を逮捕した。
その後、あまりにも逮捕者人数が多いので、城に続くゲートを開いた。
ゲートを開くとあっという間に人は捌けた。
コモンが笑いながら私に寄って来た。
「レイジェス、聞いた話だけど、ディディエが少女を犯すのを中々止めなくて、そのまま話をしてたって?」
「いや、これで捕まって死刑なら、あれも最後だから、情けだと思って終わるまで待っていただけの話だ」
「まじで? ウケるんだけど。番所衛兵が、ディディエの相手の少女が凄くエロかったって騒いでたぞ」
「まぁ、確かに……」
「ふあっ!? どうしたレイジェス!? 君がそんな事を言うなんて、青天の霹靂だ!! レイジェスがそれ位の事を言う少女のエロだぞ!? 俺も見たかったあああっ!」
「……シエラ様に告げ口をしておこう」
「あっ、だめっ! 言わないで~っ!!」
私とコモンは辺りを最後に確認してゲートを潜った。
城に戻ってから、番所所長と幼児福祉課課長と私で、保護した少女達をどうするかという話になった。孤児院で一時保護という案が出たが部屋が足りないし、保護した少女は皆貴族だった。どうしたものかと皆で話しあった結果、私の城で預かる事になった。神殿の少女に関する経費は幼児福祉課が持つという事だった。
そして、身体検査や、聞き取りは番所の女性事務員が総出でやるらしい。
と言う事で、私は通信でエドアルドに連絡を取った。グレーロック城の方が部屋数が多いので、北の城では無く、南の城で預かることにした。
そこにエドアルドとオーティスを城管理に向かわせる事にした。
女性事務員は連泊になるので、一度家に荷物を取りに帰らせた。
少女達の荷物は、二人ほど少女を連れて数名の番所衛兵で荷物を取りに行くという形にした。そして、夕方になり、城へのゲートを開いて、少女と女性事務員を潜らせた。エドアルドとオーティスはもう先に行っている。彼らならうまく色々こなしてくれるだろう。
私はゲートを皆が通ったあと、残った書類を片付けた。
気が付くと7の刻を過ぎていた。
「いつの間にこんな時間に……」
私はゲートを開いて屋敷に戻った。玄関から食堂に行くとセバスがいた。
「お帰りなさいませ、旦那様。今日は色々大変だったそうですね」
「うむ、ただいま。アリアはどこだ?」
「寝てるんじゃないでしょうか? 今日は商会に出かけていた様ですから、疲れたんでしょう。旦那様も帰りましたし、夕食の時間にしましょう。起こして来て下さいますか?」
「わかった」
私が二階の自室から寝室に行くと、そこには衝撃的な姿があった。
少し長い金髪の、麗しい顔をした中性的な男がアリアと抱き合って、私達夫婦の寝台で眠っていた。
どういう事だ!? 私は浮気の現場を見てしまったのか!?
暫くこの状況が理解出来ずに立ち尽くしてたが、怒りもそうだが、悲しくなってきた。先日、私に殺されても良いとまで言ったのに……。
私はアリアを起こした。そして責め立てた。
結果、男はアズライル様だった。そして、私に甘えるのと父に甘えるのとは違う、父に甘えたい時もあると言われた。
アリアは子供だ。だから父に甘えたいのも分かる。
だが……、私は許せなかった。
自分だけに甘えて、全て頼って欲しいと思ってしまった。そんな事は無理なのに。
私は彼女が引き止めるのも振り払って、グレーロック城へゲートを開いて潜った。
昨日、ギデオンが事務所に来たので、応接室で少し話をした。
エリザベス様が問題を起こしすぎて、このままでは孤児院には置いておけないと。
話によるとエリザベス様だけが悪いわけでもなさそうだが、やり返し方が酷すぎて怪我をした者までいると言っていた。
本人が屋敷に帰りたいと頻りに言っていた為、帰す事にしたと言う。
書類はもう申請してあるので明日には屋敷に帰れる事になるだろうと言っていた。
「良かったじゃないか、重荷が無くなり軽くなって」
「それが良いことなのか悩む。事件の全てが、彼女が悪いわけでは無いんだ。確かに酷いやり返しをしたのも事実だが、彼女がノエルを守ったのも事実なんだ……」
「……彼女はもう11歳になろうとしている。11歳は見た目は子供だが、もう色々自分で考え、判断出来る年齢だろ? 彼女は自分で決断してそう決めたんだ。私達他人の出る幕では無い」
「しかし、私は教育者としてっ……!」
「おいおいギデオン、いつから君は教育者になった? 君はただの『幼児福祉課課長』であろう? 孤児院院長の仕事はその延長に過ぎない。子供達に深く関わり過ぎて呑み込まれているんじゃないか?」
「呑み込まれている?」
「ああ、ノエルに、えらく入れ込んでいる様に見えるが?」
「……そ、そんな事は……!」
「無いと言えるのか?」
「……」
ギデオンは私の言った事に何も答えず、そのまま福祉課に帰って行った。
エリザベスが今日、屋敷に帰る。それを材料に、私はカートラット伯爵を証人として落とす事にした。あれから、ユリウスの『つての者』からラキス毒の入手経路が判明し、あのならず者達が飲んでいた酒場も突き当てた。やはりそこには神殿関係者がいた。酒場にいた者に神殿長の似顔絵を見せたが、『たぶん同じ人』という曖昧な証言ばかりだった。酔っている人間が多かったのだと思う。神殿長を罪人として捕まえるにはカートラット伯爵にまず証人になって貰わなければいけない。
流星祭のアリア襲撃事件に関して、カートラット伯爵はいくら調べてもボックス席をクリフに買わせた位しか情報が出なかった。
カートラット伯爵にボックッス席を買うように指示したのは、どう考えても神殿長であるディディエ=コルネイユ伯爵だと思われた。
私は取調室に呼んであるカートラット伯爵をマジックミラー室から見ていた。
少しやつれた様で、無精ひげが生えている。そして、生気が無い。
何か色々諦めた様な顔をしていた。捕まえた当時はまだ生気があり、反抗気味だったのに。
マジックミラー室に番所所長が入って来て、私に言った。
「あ、もういらっしゃってましたか、師長様」
「うむ、今様子を見ていた」
「前は余裕があったように見えたんですが、なんだか気が抜けたように感じますね? 今は」
「君もそう思うか……」
「心の中で何か変化があったんですかね?」
「……まぁ、行ってみて考えよう」
私はマジックミラー室を出て、取調室に入った。
「やぁ、お久しぶりです、カートラット伯爵」
「……アルフォード公爵!」
私は取調室のカートラット伯爵の真向かいの椅子に座った。
「さて、今日はエリザベスの話をしたいと思います」
「……」
「彼女が孤児院に行ったのは、知ってますよね?」
「……ああ」
「先日、孤児院で14歳の少年に襲われたそうです」
「……な、なんだと!? あんな、下賎な平民の棲家に私のエリーを置くからだ! エリーはどうなったんだ!? 大丈夫なのか!?」
「同室のお友達の女の子が助けてくれたそうです。だから、エリザベスは何とも無かった。そして、相手の少年を返り討ちにしてやったそうです。まったく、気の強いお嬢さんだ」
「……そうか」
カートラット伯爵は本当にエリザベスを心配している様だった。
その心を最大限に利用させて戴こう。
「結局彼女はお屋敷に帰りたいと申しました。昨日書類を書いたので、今日には屋敷に帰れるでしょう」
「……本当に、エリザベスが自分で帰ると言ったのか……?」
「ええ、書類にサインしましたよ」
「……」
その瞳は動揺を隠せなかった。どうやらエリザベスが屋敷に帰りたいと言うとは、思って無かった様だった。
「エリザベスが屋敷に帰ったなら、貴方も早く屋敷に帰って、彼女を抱きしめたいでしょう?」
「……ああ」
「誰にあのボックス席を買えと指示されました? これを言うだけで、貴方は屋敷に帰れます。色々調べてみたが、貴方がしたのはクリフに金を渡してボックス席を買わせただけだ。どう探っても貴方に関してはそれだけしか出なかった。これでは罪には問えない。だが、ディディエ=コルネイユ伯爵は違う。ラキス毒からディディエの関係者がその毒を買ったと、毒入手ルートが割れている。毒を飲まされた酒場でも、ディディエを見かけたという奴もいた。カートラット伯爵、全てを自白しろ、そして裁定場で証人となれ」
結局、ラザロ=カートラット伯爵は全てを自白して、証人になる事にも承諾し、自白と証人の書類にサインした。監禁の罪の牢屋入り一週間は、あと一日だった。
残り一日分の金を払って、すぐ出る事も出来ると言ったが、きちんと反省したいからと、カートラット伯爵は金を払わず、あと一日牢屋で過ごす事にした。
正直、エリザベスとカートラット伯爵について私が思う事は特に何も無い。
蜜花は失われるだろうな、位か。
プリストン王国では婚約相手が幼い場合、婚約書類と共に審問会の調査書類にもサインさせられる。これはセットになっていて拒めない。審問会の調査とは15歳になったら、即、強制身体検査に掛けられると言う事だ。
しかし、ここで蜜花が失われていたら婚約者は処罰を受ける。それはほぼ処刑だ。
だが、年間でこの法律で処刑される者はいるにはいるが、少ない。
それには裏道があるからだ。
カートラット伯爵の様に、養育権だけ譲渡して貰い、15歳になったら結婚する。
というのも裏道の1つだ。
普通は婚約してから結婚という流れだが、15歳で即結婚だと成人結婚になるので
審問会の調査は入らない。
だから、内実がどの様になっているのかは誰にも分からない。それは蜜花を失っていたとしてもだ。
相手の子供が幼い場合、自分がされている事が犯罪だと知らずに『蜜花を奪われた』と周りに吹聴する事を考慮して、地下に閉じ込める事もあると聞くが、地下に閉じ込められれば事件としても浮き上がらない。
そう考えると、番所が把握している被害数が正しいとは言い切れないかも知れない。
これが、愛情を含んでいて、将来結婚するという考えの下で動いているならまだ理解できるが、ただ幼い者と致したいという考えの輩が一定の割合でいるから性質が悪い。
ギデオンがこの国の子供の預かり事に関して、文句を言っていたのを思い出す。
エリザベスの場合、最初、養育権ごと神殿に託された。しかし、神殿側は養育権のみカートラット伯爵に譲渡し、両親も一応それを知っていた様だが、子供を育てるのを放棄していた。
生活が貧しいからだと思うが、育てる気が無いなら産むなと思う。
ただ、大人になったら結婚出来るようにだろう、カートラット伯爵は養子縁組はしていなかった。
健全にこのシステムが利用される場合は、神殿で子供が育ち、大人になってから子供が両親の元へ戻って面倒を見るパターンが多い。その頃には貧しい状況が改善されている(子が両親のために働く為)場合も有り、実の両親と仲良く暮らすことも多々ある。
この養育権は普通、貧しい者が神殿で子供を育てて貰うために渡す。
しかし、神殿もあまりにそういった子供が多いと人員的にも、金銭的にも負担がかかるので、一部養育権の譲渡(売買)をしている。
養育権の管轄は神殿がやっていて、これは法律では禁止されてないので捕まらない。
それと似たようなシステムで『預かり子制度』があるが、アリアも預かり子だ。
これは管轄が『幼児福祉課』で、主に虐待や育児放棄をされている子が対象になる。
なので幼い婚約者がいるからと言って必ずしも『預かり子制度』で一緒に住めるわけでは無い。
ちなみにシエラ様は『姉妹からの虐待』が認定されて預かり子になった。
アリアは『育児放棄』が認定されて預かり子になっている。
リアの場合は父が人間でなく天界にいるため、育てたくとも育てられないというだけで、育児放棄には当たらないが、書類上理由が必要なのでそれにしただけに過ぎない。
この認定の書類にサインするのは幼児福祉課の課長ギデオンな為、その認定はかなり厳しい。なので邪なことを考えて申請しても弾かれる。だからコモンに申請許可が下りて少々驚いた。今はまともだが、以前は女遊びが激しかったヤツに申請許可が下りるとは思わなかったからだ。裏で金でも渡したのかヤツは?
取調室を出て廊下を歩いているとコモンが話し掛けて来た。
「レイジェス! 聞いたぞ、カートラット伯爵がついに落ちたと」
「あれは……落ちたというより、取引した感じだな」
「だが、黒幕は捕まえられるんだろ?」
「ああ」
「じゃあ、少し安心出来るな」
「なんだか、うまく行きすぎてる感はあるが……」
私は番所の事務所に戻り、ディディエ=コルネイユ伯爵の逮捕令状を作った。ついでに神殿の強制捜査令状も作った。
「では、これよより神殿長、ディディエ=コルネイユ伯爵を逮捕しに神殿へ向かう! 皆外に出ろ!」
師団からは私と、コモン、新人の私の補佐官、エルミオ=ルバノが強制捜査に参加した。番所からは番所所長と番所衛兵が20名程参加した。
神殿が広いためかなりの人数が必要だった。
城の外へ出ると、皆次々に召喚獣を出し、空へと舞い上がった。
「神殿へ!」
「「「うおおおおおっ!」」」
私が叫び、皆が雄叫びを上げた。
神殿前に師団の者と番所の者が集結すると門には結界が張られた。
「はぁっ!? ここで結界張るかよ! 普通!」
コモンが苛立っていた。
「神殿内部を見られたく無いようだな」
私は結界破壊の呪文を唱えた。コモンが援護で『ファイアートルネイド』を連続で門に打ち付けた。
透明な結界の鎖が引き千切れそうになった所で呪文は完成し、杖の先を門に向けると、青白い光と共に鎖は砕け切って、そこにコモンが連続詠唱したファイアートルネイドが当たり、門が一瞬で燃え尽きた。
「行くぞ!」
私の声と共に番所衛兵が20名も神殿内部に雪崩れ込んだ。
神殿内のあちこちで小競り合いが始まる。近くにいたまだ10歳にもなっていなさそうな少女に神殿長の居場所を聞いた。
「たぶん、……地下室です」
指し示す指先が、ぷるぷると震えていた。
コモンは神殿長の部屋を捜査するため、番所の者達を数名連れて行った。
神殿内部に通すまいと、神殿警備の神官達が立ちはだかり、激しい争いになっていた。私はそれを横目に、補佐官のエルミオと番所所長、番所衛兵を連れ、地下室へ下りた。
縦長の廊下に深紅の絨毯が敷き詰められていた。角を曲がるとすぐに扉があり、軽く触ると鍵が掛かっていた。
「どうします? 鍵がどこにあるかわかりません」
エルミオが言った。
「そう言うときはな」
私は呪文も使わず杖を振った。その瞬間ドアが大爆発して室内に飛んで行った。
「こうするんだ」
「それじゃあ、中の人間が怪我をしますよ……」
「怪我をしたらヒールすればいいだろう?」
「師長様は滅茶苦茶ですね!」
私が中に突入すると、部屋の中にいた人間達は固まっていた。
部屋は薄暗く、いくつかの蝋燭の炎で照らされていた。よく使われる安物の媚薬の香りが鼻をつく。床には乱れた布団がいくつも乱雑に敷かれて、その上で男と女が何人も裸で交合わっている。
よく見ると男は全員大人だが、女は皆年端も行かない少女ばかりだった。
その中に、私が探していた神殿長、ディディエ=コルネイユ伯爵もいた。まだ一桁台だと思われる少女のそこに自分の一物を入れ、善がっていた所だった。
「ここに居る者全てに告ぐ! お前達全てを一度拘束し逮捕する! 立って両手を後ろにまわせ!」
番所衛兵達が素早く指示を聞いた者を縛り上げていく。抵抗する者は押さえつけられていた。
「エルミオ、少女を一ヶ所に集めて保護しろ」
「はいっ!」
私はディディエ=コルネイユ伯爵の前に立った。通告をしたと言うのにディディエはまだ少女を犯していた。
「少女を犯すのは楽しいか?」
「フン、お前も同じ穴の狢だろうが、アルフォード公爵よ」
「言ってる意味がわからんな」
「少女を飼っているではないか」
「あれは私の婚約者だ」
「どうせ、もう犯してしまったんだろう?」
ディディエは話をしながら少女を後ろから責めている。少女は気持ちよさそうな表情で私を見上げた。
「あっ、んんっ、いっ、いぃいぃっ」
「この子の口を使ってもいいぞ?」
「何を誤解してるかわからんが、私はアリアの蜜花を奪ってなどいない! 獣の様なお前と一緒にするな!」
「真面目に言ってるんですか? あんなに美しく、誘うような瞳をする少女を、まだ自分の物にしてないなんて、正気ですか? ああ、あの子がまだ処女だなんて!興奮してきたあああぁぁっ!」
ディディエは激しく腰を振り、周りに番所所長や番所衛兵がぱらぱらと集まってきた。
「だめっ! だめぇ、ディディエ様! 人が、人が一杯見てますっ!」
「興奮するだろう? ほらイけっ!」
「あっ、やっ、あああああんんっ! イクっ、イクっうううう!」
「ううっ!」
ディディエは激しく腰を振り続けて少女の中で達した。一物を抜くと少女の桃色の秘所から、たらりと白濁の液が大量に流れ落ちた。
「……エロい」
番所衛兵の誰かが呟いた。
私は大人しく立ち上がったディディエ=コルネイユ伯爵を逮捕した。
その後、あまりにも逮捕者人数が多いので、城に続くゲートを開いた。
ゲートを開くとあっという間に人は捌けた。
コモンが笑いながら私に寄って来た。
「レイジェス、聞いた話だけど、ディディエが少女を犯すのを中々止めなくて、そのまま話をしてたって?」
「いや、これで捕まって死刑なら、あれも最後だから、情けだと思って終わるまで待っていただけの話だ」
「まじで? ウケるんだけど。番所衛兵が、ディディエの相手の少女が凄くエロかったって騒いでたぞ」
「まぁ、確かに……」
「ふあっ!? どうしたレイジェス!? 君がそんな事を言うなんて、青天の霹靂だ!! レイジェスがそれ位の事を言う少女のエロだぞ!? 俺も見たかったあああっ!」
「……シエラ様に告げ口をしておこう」
「あっ、だめっ! 言わないで~っ!!」
私とコモンは辺りを最後に確認してゲートを潜った。
城に戻ってから、番所所長と幼児福祉課課長と私で、保護した少女達をどうするかという話になった。孤児院で一時保護という案が出たが部屋が足りないし、保護した少女は皆貴族だった。どうしたものかと皆で話しあった結果、私の城で預かる事になった。神殿の少女に関する経費は幼児福祉課が持つという事だった。
そして、身体検査や、聞き取りは番所の女性事務員が総出でやるらしい。
と言う事で、私は通信でエドアルドに連絡を取った。グレーロック城の方が部屋数が多いので、北の城では無く、南の城で預かることにした。
そこにエドアルドとオーティスを城管理に向かわせる事にした。
女性事務員は連泊になるので、一度家に荷物を取りに帰らせた。
少女達の荷物は、二人ほど少女を連れて数名の番所衛兵で荷物を取りに行くという形にした。そして、夕方になり、城へのゲートを開いて、少女と女性事務員を潜らせた。エドアルドとオーティスはもう先に行っている。彼らならうまく色々こなしてくれるだろう。
私はゲートを皆が通ったあと、残った書類を片付けた。
気が付くと7の刻を過ぎていた。
「いつの間にこんな時間に……」
私はゲートを開いて屋敷に戻った。玄関から食堂に行くとセバスがいた。
「お帰りなさいませ、旦那様。今日は色々大変だったそうですね」
「うむ、ただいま。アリアはどこだ?」
「寝てるんじゃないでしょうか? 今日は商会に出かけていた様ですから、疲れたんでしょう。旦那様も帰りましたし、夕食の時間にしましょう。起こして来て下さいますか?」
「わかった」
私が二階の自室から寝室に行くと、そこには衝撃的な姿があった。
少し長い金髪の、麗しい顔をした中性的な男がアリアと抱き合って、私達夫婦の寝台で眠っていた。
どういう事だ!? 私は浮気の現場を見てしまったのか!?
暫くこの状況が理解出来ずに立ち尽くしてたが、怒りもそうだが、悲しくなってきた。先日、私に殺されても良いとまで言ったのに……。
私はアリアを起こした。そして責め立てた。
結果、男はアズライル様だった。そして、私に甘えるのと父に甘えるのとは違う、父に甘えたい時もあると言われた。
アリアは子供だ。だから父に甘えたいのも分かる。
だが……、私は許せなかった。
自分だけに甘えて、全て頼って欲しいと思ってしまった。そんな事は無理なのに。
私は彼女が引き止めるのも振り払って、グレーロック城へゲートを開いて潜った。
0
お気に入りに追加
1,024
あなたにおすすめの小説
一宿一飯の恩義で竜伯爵様に抱かれたら、なぜか監禁されちゃいました!
当麻月菜
恋愛
宮坂 朱音(みやさか あかね)は、電車に跳ねられる寸前に異世界転移した。そして異世界人を保護する役目を担う竜伯爵の元でお世話になることになった。
しかしある日の晩、竜伯爵当主であり、朱音の保護者であり、ひそかに恋心を抱いているデュアロスが瀕死の状態で屋敷に戻ってきた。
彼は強い媚薬を盛られて苦しんでいたのだ。
このまま一晩ナニをしなければ、死んでしまうと知って、朱音は一宿一飯の恩義と、淡い恋心からデュアロスにその身を捧げた。
しかしそこから、なぜだかわからないけれど監禁生活が始まってしまい……。
好きだからこそ身を捧げた異世界女性と、強い覚悟を持って異世界女性を抱いた男が異世界婚をするまでの、しょーもないアレコレですれ違う二人の恋のおはなし。
※いつもコメントありがとうございます!現在、返信が遅れて申し訳ありません(o*。_。)oペコッ 甘口も辛口もどれもありがたく読ませていただいてます(*´ω`*)
※他のサイトにも重複投稿しています。
女官になるはずだった妃
夜空 筒
恋愛
女官になる。
そう聞いていたはずなのに。
あれよあれよという間に、着飾られた私は自国の皇帝の妃の一人になっていた。
しかし、皇帝のお迎えもなく
「忙しいから、もう後宮に入っていいよ」
そんなノリの言葉を彼の側近から賜って後宮入りした私。
秘書省監のならびに本の虫である父を持つ、そんな私も無類の読書好き。
朝議が始まる早朝に、私は父が働く文徳楼に通っている。
そこで好きな著者の本を借りては、殿舎に籠る毎日。
皇帝のお渡りもないし、既に皇后に一番近い妃もいる。
縁付くには程遠い私が、ある日を境に平穏だった日常を壊される羽目になる。
誰とも褥を共にしない皇帝と、女官になるつもりで入ってきた本の虫妃の話。
更新はまばらですが、完結させたいとは思っています。
多分…
王太子の子を孕まされてました
杏仁豆腐
恋愛
遊び人の王太子に無理やり犯され『私の子を孕んでくれ』と言われ……。しかし王太子には既に婚約者が……侍女だった私がその後執拗な虐めを受けるので、仕返しをしたいと思っています。
※不定期更新予定です。一話完結型です。苛め、暴力表現、性描写の表現がありますのでR指定しました。宜しくお願い致します。ノリノリの場合は大量更新したいなと思っております。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と叫んだら長年の婚約者だった新妻に「気持ち悪い」と言われた上に父にも予想外の事を言われた男とその浮気女の話
ラララキヲ
恋愛
長年の婚約者を欺いて平民女と浮気していた侯爵家長男。3年後の白い結婚での離婚を浮気女に約束して、新妻の寝室へと向かう。
初夜に「俺がお前を抱く事は無い!」と愛する夫から宣言された無様な女を嘲笑う為だけに。
しかし寝室に居た妻は……
希望通りの白い結婚と愛人との未来輝く生活の筈が……全てを周りに知られていた上に自分の父親である侯爵家当主から言われた言葉は──
一人の女性を蹴落として掴んだ彼らの未来は……──
<【ざまぁ編】【イリーナ編】【コザック第二の人生編(ザマァ有)】となりました>
◇テンプレ浮気クソ男女。
◇軽い触れ合い表現があるのでR15に
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾は察して下さい…
◇なろうにも上げてます。
※HOTランキング入り(1位)!?[恋愛::3位]ありがとうございます!恐縮です!期待に添えればよいのですがッ!!(;><)
妹がいなくなった
アズやっこ
恋愛
妹が突然家から居なくなった。
メイドが慌ててバタバタと騒いでいる。
お父様とお母様の泣き声が聞こえる。
「うるさくて寝ていられないわ」
妹は我が家の宝。
お父様とお母様は妹しか見えない。ドレスも宝石も妹にだけ買い与える。
妹を探しに出掛けたけど…。見つかるかしら?
【完結】皇太子の愛人が懐妊した事を、お妃様は結婚式の一週間後に知りました。皇太子様はお妃様を愛するつもりは無いようです。
五月ふう
恋愛
リックストン国皇太子ポール・リックストンの部屋。
「マティア。僕は一生、君を愛するつもりはない。」
今日は結婚式前夜。婚約者のポールの声が部屋に響き渡る。
「そう……。」
マティアは小さく笑みを浮かべ、ゆっくりとソファーに身を預けた。
明日、ポールの花嫁になるはずの彼女の名前はマティア・ドントール。ドントール国第一王女。21歳。
リッカルド国とドントール国の和平のために、マティアはこの国に嫁いできた。ポールとの結婚は政略的なもの。彼らの意志は一切介入していない。
「どんなことがあっても、僕は君を王妃とは認めない。」
ポールはマティアを憎しみを込めた目でマティアを見つめる。美しい黒髪に青い瞳。ドントール国の宝石と評されるマティア。
「私が……ずっと貴方を好きだったと知っても、妻として認めてくれないの……?」
「ちっ……」
ポールは顔をしかめて舌打ちをした。
「……だからどうした。幼いころのくだらない感情に……今更意味はない。」
ポールは険しい顔でマティアを睨みつける。銀色の髪に赤い瞳のポール。マティアにとってポールは大切な初恋の相手。
だが、ポールにはマティアを愛することはできない理由があった。
二人の結婚式が行われた一週間後、マティアは衝撃の事実を知ることになる。
「サラが懐妊したですって‥‥‥!?」
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる