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第五章
20 内緒の面接
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昼食を取っているとセバスが言った。
「姫様、エドモンド商会から、服が届きましたが、お部屋で確認しますか?」
「ええ、じゃあ確認するわ。今行きますね」
「承知しました。リリー、姫様のお手伝いを」
「はい」
私の部屋に行くと、もう荷物はフットマンのローレンスに運び込まれていた。
「では箱を開けますね」
と言ってリリーが木箱を開けるとアバヤが出てきた。けど、よく見るとなんだか違う。
「あら? これはアバヤじゃないですね? お顔の所が網目になってます」
「あ~これ、アバヤを描いた絵の裏側に描いた『ブルカ』だー」
水色のそれを良く見ると、頭に被る物とドレスが別々になっていた。頭に被る方はすっぽり覆い隠せる様になっていて、前の方の丈が首までが隠れる長さだったけど、後ろは背中ら辺りまで長さがあった。顔の目と鼻の辺りにメッシュの少し大きめの網目が一つだけあるだけで、傍から見ると不気味に見えるかも知れない。
ドレスの方は首にまでボタンが付いていて、これを上まで止めると肌が見えない仕組みになっている。袖はシュッとしている長袖で手の甲まで隠せる様になっていた。ゆったりしているタイプで胸の下辺りにちょっとゴムが入っている。全体的に体型を隠しやすいかも知れない。
「ちょっと着てみたいです」
「はい」
私はすっと立ってリリーにドレスを脱がされた。コルセットをしてないから、あっという間に脱げちゃう。
「では着せますね」
ドレスは両手を上げて、上からすっぽりという感じで着せられた。首のボタンが小さくて沢山あるのでリリーが大変だ。
「リリー、ボタン大丈夫?」
「大丈夫ですよ、これくらい」
「これファスナーならいいのに。シュッてやってすぐ終わっちゃう」
「でも、ファスナーよりもボタンの方が見栄えは良いですよ?」
「頭の被っちゃえば、首なんて見えないのに」
「では、被ってみましょうか?」
「ええ!」
リリーに頭からすっぽりと被せられた。網目の所がもっと見えにくいかと思ったら意外と見えやすかった。へ~こんな感じなんだ。
「どうです、姫様? ちゃんと見えます?」
「見える~。あっ、鏡~!」
たたっと走って鏡の前に行った。そこに映ったのはあからさまに怪しい人だった。でも被り物の右端に赤い花の刺繍がしてあったり、胸元にも赤い花の刺繍が散りばめられてて、凄く可愛らしく感じた。アバヤもブルカも『魅了防止』の為だから、私の姿が見えないほど良い。(基準がそもそもおかしい……)
だからブルカ、最高!
「これ、セバスに見せてくる~!」
「え、姫様?」
「他の服はクローゼットに収納しちゃって下さい。わたくしは今日、これを着ます!」
と言って私は部屋を出て、セバスのいる食堂へ!
「セバス~~~! これ見て~!」
「はっ、姫様、何ですかその格好は?」
「これブルカって言うの。わたくしの姿が見えないでしょ? なのにこれ、可愛くない?」
「ええと、姫様? 段々ドレスの趣味が悪くなってる様な気がしますが、魅了防止の為なんですよね?」
「そうですよ、もちろんそうに決まってるじゃないですか。決して私の趣味じゃないですよ?」
「う~ん、お姿が見えないので良いでしょう」
「でしょー?」
「ただ、私は姫様の愛らしいお姿を見たいですけどね……」
「そっかー、ありがとうセバス。ちなみに今微笑んでますよ~」
「言わないと分からないというのもどうなのかと」
「えへへへ~」
「じゃ、このままアズライル商会に行って来ますね」
「え? 今日はそういう予定でしたか?」
「ええ、リンス工場をまた作るってことで会議があるんですよ」
「アーリンとセドリックは……まだ食事中の用ですね」
「ではここで待ってます」
暫くするとアーリンとセドリックが来たので馬車で商会まで行った。
もちろん男子に変身済みです。
「ごきげんよう、皆さん」
「「「会頭様!」」」
「あら、アリア様! その姿、異様ね?」
「ルイーズ様! お久しぶりです! セドリックから連絡が行ってたと思うんですけど、応接室、空けておいて貰えました?」
「ええ、もちろんよ」
私達3人は応接室に行ってある人を待った。
応接室の長椅子の真ん中に私が座り、セドリックとアーリンが両端に座った。
長椅子はぎゅうぎゅう状態だ。
「狭くない? わたくしセドリックの膝に乗るわ?」
「姫様!? 何故セドリックにっ!? 乗るなら私ですよね? 乗るって、なんかいやらしいですけど!」
アーリンが興奮して捲くし立てるのでちょっと怖い。
「だって、セドリックはルイスラブな子ですからね、魅了されちゃってるアーリンとは違うのですよ」
「うううう、私だって姫様ラブな子ですよぅうぅ」
「もう……なでなでしてあげるから、泣かないのっ」
私はセドリックの膝の上からアーリンの頭を撫でた。
コンコンとノックの音がして失礼します。と人が入ってきた。
「やぁ、セドリック、久しぶり」
「お久しぶりです、先輩」
「あ、じゃあ、そこに座って下さい」
私が言うと興味津々な顔をしてこちらを見てから椅子に腰掛けた。
「では自己紹介からどうぞ」
「セレファス=デレイク、17歳、実家は子爵家ですが四男なので、家督権は無いです。なので気ままにサーカスで働いてます」
「もし、お仕事が決まったらサーカスはどうしますか?」
「止めます。元々諜報の者として働きたかったんですけど、中々面接で受からなくて、で、身を軽くしたいなと思ってサーカスに勤めたんです」
「業務内容は何をやってたんですか?」
「空中ブランコです」
「凄いっ!」
セレファスは頭を掻いて照れていた。アーリンが質問を始めた。
「あなたは男と女、どちらが好きですか? ロリコンですか?」
「ロリコン!? 変な質問をしますね」
「変な質問じゃありません、最も重要な質問です」
「ロリコンじゃないと思います。あと、女の人の方が普通に好きだと思います。ってか、男は対象にならないな」
「これはダメじゃないでしょうか? 姫様」
「えっ? ダメ? もう決められてしまうんですか?」
「できれば男色家がいいなーって思ってたんで」
「はっ? 男色家ですか……」
そこでセドリックが説明を始めた。
「先輩、雇い主はこの俺の膝の上に乗ってる女の子です。変な格好してるでしょ? でも理由があるんです。『無自覚の魅了』っていうスキルを姫様は持ってます。それが影響して男の人は皆姫様に狂っちゃうんですよ。だから男色家がいいって話です」
「それじゃ、もう僕はダメじゃないか、普通に女が好きだ」
「でも、まぁ、諜報の者ですから、別にそんなに会わなくてもいいかなって思うんですけど?」
私が一言いうとしーんとなった。
「わたくしが求めてるやり方は、出来ればなるべく会わないで文書でやり取りをしたいんですよね。会う時はセドリックかアーリンに連絡を取って貰うみたいな感じで」
「どうしてですか?」
アーリンが聞いてきたから説明をする。
「わたくしは、自分の調査してもらう事をなるべく屋敷の者に知られたくないの。だからここに来る時もセバスに嘘付いちゃった。リンス工場はまだ作る予定ないのにね。会議とか言って。屋敷に出入りされると、どうしても知られちゃうから」
「じゃあ、姫様としてはあんまり男色家とか、固執しないって事ですか?」
セドリックに言われて頷いた。
「護衛みたいに始終一緒にいるなら、男色家かロリコンじゃない女の人がいいんですけどね~」
とアーリンを横目で見たらしょぼんとされた。
「それに、わたくしはセレファスさんで良いと思うけど?」
「どうして私を? 色んな所で諜報の者の面接に落とされたのに」
「髪の色が金髪で、プリストンで最も多い髪色でしょ、瞳も緑だし、体型も中肉中背で人ごみにいても目立たなさそうだし、見た目的には向いてると思いますけどね」
「そう言って頂けるなんて、感激です!」
「じゃあ、採用で」
「姫様がそう言うなら」
「俺も、姫様が問題無いならいい」
私はブルカのスカートのポケットからメモを出した。
「初めての仕事は、前アルフォード公爵様の第二夫人だった、エラについて調べて欲しいの。公爵様と離婚したあとは、どこかの男爵様と結婚したらしいんだけど、今現在何をしているか、調べて欲しいんです。息子さんの事もね」
アーリンがそれを聞いて驚いていた。
「そんな事を調べてどうするんです? 何かあるんですか?」
「アーリン、ごめんね。あんまり聞かないで欲しいの」
「姫様は何か知りたい事があるんだよ。俺たちは見守ろう?」
セドリックが言うとアーリンは渋々納得した。
「所で、諜報の者のお給料ってどれくらいなの? わたくし雇った事が無いので分からないんですけど」
「お抱え料と成功報酬と経費かな?」
「お抱え料が賃金みたいな物ですね」
「ルイスやアランはどれくらいもらってるのかしら?」
「ルイス兄さんは50万ギル位ですよ、お抱え料」
「たかっ!」
「うちの兄もそれくらいですね」
「じゃあ、試用期間ってことで、40万ギルからでお願いします」
と私が言うと『姫様せこい』とアーリンとセドリックから言われた。
「いえいえ、わたくしがせこいわけでは無いですよ? 試用期間は三月で、それを超えたら50万ギルでお抱えしましょう。成功報酬は一件につき10万ギルでどうだ! 経費もこっちもち、但し領収書は必ず下さい!」
「じゃあ、それで」
「書類作りますね、少し待ってて」
私はセドリックの膝を下りて、応接室を出た。ルイーズ様に採用の書類を作りたいと相談して書式を作ってもらって、一緒に応接室に来てもらった。
「基本、うちの商会員としての契約になるわ。中身は諜報の者だけどね。じゃないと書類で諜報の者を雇ってるのがばれちゃうから。なので、経費請求の領収書は私の所に持って来てね。あと、銀行口座記入して頂戴。うちは賃金は銀行口座に皆振り込んでるの」
ルイーズ様がテキパキとこなして書類はあっと言う間に書き終えた。
「じゃあ、早速調査に行ってきます」
セレファスさんは楽しそうに鼻歌を歌いながら出て行った。
「あ、アリア様、お砂糖の件なんだけど、レイジェスもあなたも忙しそうだったから、アリア様が天界に行ってる間に、私とセバスで調査してきたわ。現地に工場を作る土地も買ったから。あと、リンス工場をもう一つ増やしたいんだけど、どうしよ?」
「あ、工場を作りたい場所があるんで、もうちょっと待ってもらえますか? リンス工場」
「了解」
「ちなみに、うちの商会って儲かってるんですか?」
「凄く儲かってます。アリア様、自分の通帳見てる? もうここの箱代金を一括払い出来る位儲かってるわよ?」
「ここって、3億ギルちょっとですよね?」
「ええ」
「「「……」」」
「あら、急にだまらないでよ~あなたたち!」
「帰りに通帳記入してきます」
「それがいいわね」
そうして私達はアズライル商会を後にした。
で、歩いてちょっと行った所にあるアルフォード銀行で通帳記入をした。
お屋敷に帰ったら見よう~ってことで空間収納にぽいっと入れておいた。
お屋敷に着いて、また自分の部屋に篭る。護衛の二人にはまた部屋の外で立って貰っている。
寝台に寝転んで空間収納から通帳を出して見る。
恐ろしいくらい桁数の金額が増えていた。
「うわ~これいくらだ……でも、なんで? あっ、そうか、リンスって消耗品だからか。リピートされると儲かるのか」
私は通帳を空間収納に仕舞った。
まったり目を閉じてるとインターホンが鳴った。
「我だ。入るぞ」
「父神様!? どうしたんです?」
つかつかと私の部屋から突き抜けて寝室まで来られてしまった。
「そなたなぁ……我を放って置き過ぎだ。せっかく地上に遊びに来てるというのに、そなたはいつもいないではないか」
「ごめんなさい、お友達に事件が起きちゃって、なんだか落ち着かなくて」
父神様は寝台に上がった。そして私の隣に寝転がる。
父神様の手が私の手をぎゅっと握る。
「小さいな」
「身体は子供ですから」
「……うむ」
「父神様って、今でもわたくしと結婚したいとかって思うんですか?」
「なっ、何だいきなり」
「いえ、友人の事件がそういう事件なんで、参考の為に聞いてるんですけど」
父神様は私がそう言うと、じっと何か考えていた。そして話し出した。
「前はそなたを我物にしたいと思ったが、今は思わない」
「どうして?」
「そなたはあれと居る時の方が幸せそうな顔をするし、我ではそなたにその様な顔をさせることは出来ない。だか、違う気持ちでそなたの事を想っているぞ?」
「父神様として?」
「そうだ」
「父神様大好き~~!」
私は父神様をぎゅっと抱きしめた。
父神様もぎゅっと私を抱きしめる。
「いい匂い。眠たくなってきちゃった……」
「我もだ……」
私と父神様はそのまま寝てしまった。
「起きろリア!! どういうことだっ!? 何故私たちの寝室で、リアが他の男と寝てる!? 納得行くように私に説明しろっ!!」
「……んんん?」
私の頭はまだ寝ぼけていた。
私が寝ている間にレイジェス様が帰ってきたっぽい。
そして男と寝てたと怒っている。男って父神様だよ?
ん? 待てよ? 『男』って認識できたんだ?
「ねぇ、レイジェス様、ここにいる男の人の顔、見える?」
「ああ゛? ……悔しいがとても美しい男だ。いつからこんな男と……商会の者か?」
「父神様起きて~お顔が確認できるそうですよ?」
「んんん? 何だ、レイジェスか。どうした?」
「はっ!? アズライル様? もっと年寄りなはずだが?」
「え? 父神様は若くてイケメンだと、前からわたくしは言ってますよ?」
「アズライル様は何故、私達夫婦の寝室で寝ていたんです?」
「……そこにアリアがいたから?」
「わたくしが父神様にぎゅーってして甘えちゃったんです。そしたら寝ちゃった」
レイジェス様はこめかみを押さえた。眉間に皺が寄ってて怖い。
「リア、甘えるなら私に甘えなさい。あと、夫婦の寝台に例え父と言えども入れるな! 護衛の奴らは一体何をやっていたんだ!」
「ここで一緒に寝ちゃったのはごめんなさい。でもレイジェス様に甘えるのと、父神様に甘えるのとはちょっと違うから」
「それはどういう意味だ?」
「父神様に甘えたい時もあるから」
レイジェス様は酷く表情の抜けた顔をしていた。
凄くショックだったみたいだ。
「我は自分の部屋へ戻るぞ」
そう言って父神様が出て行ったあと、レイジェス様が寝台の上に座っている私の横に座った。
「君は……私よりアズライル様が好きなのか?」
「え? 違います、そうじゃないよ」
「私は何度も君に言っていた。自己防衛してくれと、それはアズライル様に対してもだ。父神様と言えど、アズライル様も君に魅了されているんだぞ、分かっているよな?」
「はい……」
「それにここは、君と私が愛し合う場所だ。……他の者をいれるな……」
私の顔を睨んだレイジェス様の瞳から、涙が一滴零れた。
「あっ……、ごめんなさい! ごめんなさい、レイジェス様!」
「もう、いい!」
レイジェス様はローブの袖で涙を拭いて、そのまま寝室から出て行ってしまった。
私はその後を慌てて追いかけて部屋を出た。するともうレイジェス様の姿は無かった。アーリンが走り寄って来た。
「どうしたんです? 姫様」
「レイジェス様が……」
「旦那様ならゲートを開かれて、どこかに行かれましたよ?」
「アーリンのばかぁ……、何で父神様を通したの……」
「? さすがに天地創造の神には逆らえません。申し訳ございません」
「……ごめんなさい。アーリンのせいじゃない、わたくしが悪いの……」
私は廊下に突っ伏して泣いた。
私からしたら、父神様とぐーぐー寝ちゃった感覚しかないけど、レイジェス様にはそれがショックだったんだ。
ましてや、私とレイジェス様がいつも愛し合う所で……。何にも無くても嫌だよね。
よく考えて逆の立場だったらどう? 私、絶対怒っちゃうよ。引っ叩いちゃうかも知れない。そんな事をやったんだから……レイジェス様が怒るのも当たり前だ。
でも、あんな悲しい顔をさせる事になるとは、思ってなかったんだよ……。
どうすればいいの……。
「姫様、エドモンド商会から、服が届きましたが、お部屋で確認しますか?」
「ええ、じゃあ確認するわ。今行きますね」
「承知しました。リリー、姫様のお手伝いを」
「はい」
私の部屋に行くと、もう荷物はフットマンのローレンスに運び込まれていた。
「では箱を開けますね」
と言ってリリーが木箱を開けるとアバヤが出てきた。けど、よく見るとなんだか違う。
「あら? これはアバヤじゃないですね? お顔の所が網目になってます」
「あ~これ、アバヤを描いた絵の裏側に描いた『ブルカ』だー」
水色のそれを良く見ると、頭に被る物とドレスが別々になっていた。頭に被る方はすっぽり覆い隠せる様になっていて、前の方の丈が首までが隠れる長さだったけど、後ろは背中ら辺りまで長さがあった。顔の目と鼻の辺りにメッシュの少し大きめの網目が一つだけあるだけで、傍から見ると不気味に見えるかも知れない。
ドレスの方は首にまでボタンが付いていて、これを上まで止めると肌が見えない仕組みになっている。袖はシュッとしている長袖で手の甲まで隠せる様になっていた。ゆったりしているタイプで胸の下辺りにちょっとゴムが入っている。全体的に体型を隠しやすいかも知れない。
「ちょっと着てみたいです」
「はい」
私はすっと立ってリリーにドレスを脱がされた。コルセットをしてないから、あっという間に脱げちゃう。
「では着せますね」
ドレスは両手を上げて、上からすっぽりという感じで着せられた。首のボタンが小さくて沢山あるのでリリーが大変だ。
「リリー、ボタン大丈夫?」
「大丈夫ですよ、これくらい」
「これファスナーならいいのに。シュッてやってすぐ終わっちゃう」
「でも、ファスナーよりもボタンの方が見栄えは良いですよ?」
「頭の被っちゃえば、首なんて見えないのに」
「では、被ってみましょうか?」
「ええ!」
リリーに頭からすっぽりと被せられた。網目の所がもっと見えにくいかと思ったら意外と見えやすかった。へ~こんな感じなんだ。
「どうです、姫様? ちゃんと見えます?」
「見える~。あっ、鏡~!」
たたっと走って鏡の前に行った。そこに映ったのはあからさまに怪しい人だった。でも被り物の右端に赤い花の刺繍がしてあったり、胸元にも赤い花の刺繍が散りばめられてて、凄く可愛らしく感じた。アバヤもブルカも『魅了防止』の為だから、私の姿が見えないほど良い。(基準がそもそもおかしい……)
だからブルカ、最高!
「これ、セバスに見せてくる~!」
「え、姫様?」
「他の服はクローゼットに収納しちゃって下さい。わたくしは今日、これを着ます!」
と言って私は部屋を出て、セバスのいる食堂へ!
「セバス~~~! これ見て~!」
「はっ、姫様、何ですかその格好は?」
「これブルカって言うの。わたくしの姿が見えないでしょ? なのにこれ、可愛くない?」
「ええと、姫様? 段々ドレスの趣味が悪くなってる様な気がしますが、魅了防止の為なんですよね?」
「そうですよ、もちろんそうに決まってるじゃないですか。決して私の趣味じゃないですよ?」
「う~ん、お姿が見えないので良いでしょう」
「でしょー?」
「ただ、私は姫様の愛らしいお姿を見たいですけどね……」
「そっかー、ありがとうセバス。ちなみに今微笑んでますよ~」
「言わないと分からないというのもどうなのかと」
「えへへへ~」
「じゃ、このままアズライル商会に行って来ますね」
「え? 今日はそういう予定でしたか?」
「ええ、リンス工場をまた作るってことで会議があるんですよ」
「アーリンとセドリックは……まだ食事中の用ですね」
「ではここで待ってます」
暫くするとアーリンとセドリックが来たので馬車で商会まで行った。
もちろん男子に変身済みです。
「ごきげんよう、皆さん」
「「「会頭様!」」」
「あら、アリア様! その姿、異様ね?」
「ルイーズ様! お久しぶりです! セドリックから連絡が行ってたと思うんですけど、応接室、空けておいて貰えました?」
「ええ、もちろんよ」
私達3人は応接室に行ってある人を待った。
応接室の長椅子の真ん中に私が座り、セドリックとアーリンが両端に座った。
長椅子はぎゅうぎゅう状態だ。
「狭くない? わたくしセドリックの膝に乗るわ?」
「姫様!? 何故セドリックにっ!? 乗るなら私ですよね? 乗るって、なんかいやらしいですけど!」
アーリンが興奮して捲くし立てるのでちょっと怖い。
「だって、セドリックはルイスラブな子ですからね、魅了されちゃってるアーリンとは違うのですよ」
「うううう、私だって姫様ラブな子ですよぅうぅ」
「もう……なでなでしてあげるから、泣かないのっ」
私はセドリックの膝の上からアーリンの頭を撫でた。
コンコンとノックの音がして失礼します。と人が入ってきた。
「やぁ、セドリック、久しぶり」
「お久しぶりです、先輩」
「あ、じゃあ、そこに座って下さい」
私が言うと興味津々な顔をしてこちらを見てから椅子に腰掛けた。
「では自己紹介からどうぞ」
「セレファス=デレイク、17歳、実家は子爵家ですが四男なので、家督権は無いです。なので気ままにサーカスで働いてます」
「もし、お仕事が決まったらサーカスはどうしますか?」
「止めます。元々諜報の者として働きたかったんですけど、中々面接で受からなくて、で、身を軽くしたいなと思ってサーカスに勤めたんです」
「業務内容は何をやってたんですか?」
「空中ブランコです」
「凄いっ!」
セレファスは頭を掻いて照れていた。アーリンが質問を始めた。
「あなたは男と女、どちらが好きですか? ロリコンですか?」
「ロリコン!? 変な質問をしますね」
「変な質問じゃありません、最も重要な質問です」
「ロリコンじゃないと思います。あと、女の人の方が普通に好きだと思います。ってか、男は対象にならないな」
「これはダメじゃないでしょうか? 姫様」
「えっ? ダメ? もう決められてしまうんですか?」
「できれば男色家がいいなーって思ってたんで」
「はっ? 男色家ですか……」
そこでセドリックが説明を始めた。
「先輩、雇い主はこの俺の膝の上に乗ってる女の子です。変な格好してるでしょ? でも理由があるんです。『無自覚の魅了』っていうスキルを姫様は持ってます。それが影響して男の人は皆姫様に狂っちゃうんですよ。だから男色家がいいって話です」
「それじゃ、もう僕はダメじゃないか、普通に女が好きだ」
「でも、まぁ、諜報の者ですから、別にそんなに会わなくてもいいかなって思うんですけど?」
私が一言いうとしーんとなった。
「わたくしが求めてるやり方は、出来ればなるべく会わないで文書でやり取りをしたいんですよね。会う時はセドリックかアーリンに連絡を取って貰うみたいな感じで」
「どうしてですか?」
アーリンが聞いてきたから説明をする。
「わたくしは、自分の調査してもらう事をなるべく屋敷の者に知られたくないの。だからここに来る時もセバスに嘘付いちゃった。リンス工場はまだ作る予定ないのにね。会議とか言って。屋敷に出入りされると、どうしても知られちゃうから」
「じゃあ、姫様としてはあんまり男色家とか、固執しないって事ですか?」
セドリックに言われて頷いた。
「護衛みたいに始終一緒にいるなら、男色家かロリコンじゃない女の人がいいんですけどね~」
とアーリンを横目で見たらしょぼんとされた。
「それに、わたくしはセレファスさんで良いと思うけど?」
「どうして私を? 色んな所で諜報の者の面接に落とされたのに」
「髪の色が金髪で、プリストンで最も多い髪色でしょ、瞳も緑だし、体型も中肉中背で人ごみにいても目立たなさそうだし、見た目的には向いてると思いますけどね」
「そう言って頂けるなんて、感激です!」
「じゃあ、採用で」
「姫様がそう言うなら」
「俺も、姫様が問題無いならいい」
私はブルカのスカートのポケットからメモを出した。
「初めての仕事は、前アルフォード公爵様の第二夫人だった、エラについて調べて欲しいの。公爵様と離婚したあとは、どこかの男爵様と結婚したらしいんだけど、今現在何をしているか、調べて欲しいんです。息子さんの事もね」
アーリンがそれを聞いて驚いていた。
「そんな事を調べてどうするんです? 何かあるんですか?」
「アーリン、ごめんね。あんまり聞かないで欲しいの」
「姫様は何か知りたい事があるんだよ。俺たちは見守ろう?」
セドリックが言うとアーリンは渋々納得した。
「所で、諜報の者のお給料ってどれくらいなの? わたくし雇った事が無いので分からないんですけど」
「お抱え料と成功報酬と経費かな?」
「お抱え料が賃金みたいな物ですね」
「ルイスやアランはどれくらいもらってるのかしら?」
「ルイス兄さんは50万ギル位ですよ、お抱え料」
「たかっ!」
「うちの兄もそれくらいですね」
「じゃあ、試用期間ってことで、40万ギルからでお願いします」
と私が言うと『姫様せこい』とアーリンとセドリックから言われた。
「いえいえ、わたくしがせこいわけでは無いですよ? 試用期間は三月で、それを超えたら50万ギルでお抱えしましょう。成功報酬は一件につき10万ギルでどうだ! 経費もこっちもち、但し領収書は必ず下さい!」
「じゃあ、それで」
「書類作りますね、少し待ってて」
私はセドリックの膝を下りて、応接室を出た。ルイーズ様に採用の書類を作りたいと相談して書式を作ってもらって、一緒に応接室に来てもらった。
「基本、うちの商会員としての契約になるわ。中身は諜報の者だけどね。じゃないと書類で諜報の者を雇ってるのがばれちゃうから。なので、経費請求の領収書は私の所に持って来てね。あと、銀行口座記入して頂戴。うちは賃金は銀行口座に皆振り込んでるの」
ルイーズ様がテキパキとこなして書類はあっと言う間に書き終えた。
「じゃあ、早速調査に行ってきます」
セレファスさんは楽しそうに鼻歌を歌いながら出て行った。
「あ、アリア様、お砂糖の件なんだけど、レイジェスもあなたも忙しそうだったから、アリア様が天界に行ってる間に、私とセバスで調査してきたわ。現地に工場を作る土地も買ったから。あと、リンス工場をもう一つ増やしたいんだけど、どうしよ?」
「あ、工場を作りたい場所があるんで、もうちょっと待ってもらえますか? リンス工場」
「了解」
「ちなみに、うちの商会って儲かってるんですか?」
「凄く儲かってます。アリア様、自分の通帳見てる? もうここの箱代金を一括払い出来る位儲かってるわよ?」
「ここって、3億ギルちょっとですよね?」
「ええ」
「「「……」」」
「あら、急にだまらないでよ~あなたたち!」
「帰りに通帳記入してきます」
「それがいいわね」
そうして私達はアズライル商会を後にした。
で、歩いてちょっと行った所にあるアルフォード銀行で通帳記入をした。
お屋敷に帰ったら見よう~ってことで空間収納にぽいっと入れておいた。
お屋敷に着いて、また自分の部屋に篭る。護衛の二人にはまた部屋の外で立って貰っている。
寝台に寝転んで空間収納から通帳を出して見る。
恐ろしいくらい桁数の金額が増えていた。
「うわ~これいくらだ……でも、なんで? あっ、そうか、リンスって消耗品だからか。リピートされると儲かるのか」
私は通帳を空間収納に仕舞った。
まったり目を閉じてるとインターホンが鳴った。
「我だ。入るぞ」
「父神様!? どうしたんです?」
つかつかと私の部屋から突き抜けて寝室まで来られてしまった。
「そなたなぁ……我を放って置き過ぎだ。せっかく地上に遊びに来てるというのに、そなたはいつもいないではないか」
「ごめんなさい、お友達に事件が起きちゃって、なんだか落ち着かなくて」
父神様は寝台に上がった。そして私の隣に寝転がる。
父神様の手が私の手をぎゅっと握る。
「小さいな」
「身体は子供ですから」
「……うむ」
「父神様って、今でもわたくしと結婚したいとかって思うんですか?」
「なっ、何だいきなり」
「いえ、友人の事件がそういう事件なんで、参考の為に聞いてるんですけど」
父神様は私がそう言うと、じっと何か考えていた。そして話し出した。
「前はそなたを我物にしたいと思ったが、今は思わない」
「どうして?」
「そなたはあれと居る時の方が幸せそうな顔をするし、我ではそなたにその様な顔をさせることは出来ない。だか、違う気持ちでそなたの事を想っているぞ?」
「父神様として?」
「そうだ」
「父神様大好き~~!」
私は父神様をぎゅっと抱きしめた。
父神様もぎゅっと私を抱きしめる。
「いい匂い。眠たくなってきちゃった……」
「我もだ……」
私と父神様はそのまま寝てしまった。
「起きろリア!! どういうことだっ!? 何故私たちの寝室で、リアが他の男と寝てる!? 納得行くように私に説明しろっ!!」
「……んんん?」
私の頭はまだ寝ぼけていた。
私が寝ている間にレイジェス様が帰ってきたっぽい。
そして男と寝てたと怒っている。男って父神様だよ?
ん? 待てよ? 『男』って認識できたんだ?
「ねぇ、レイジェス様、ここにいる男の人の顔、見える?」
「ああ゛? ……悔しいがとても美しい男だ。いつからこんな男と……商会の者か?」
「父神様起きて~お顔が確認できるそうですよ?」
「んんん? 何だ、レイジェスか。どうした?」
「はっ!? アズライル様? もっと年寄りなはずだが?」
「え? 父神様は若くてイケメンだと、前からわたくしは言ってますよ?」
「アズライル様は何故、私達夫婦の寝室で寝ていたんです?」
「……そこにアリアがいたから?」
「わたくしが父神様にぎゅーってして甘えちゃったんです。そしたら寝ちゃった」
レイジェス様はこめかみを押さえた。眉間に皺が寄ってて怖い。
「リア、甘えるなら私に甘えなさい。あと、夫婦の寝台に例え父と言えども入れるな! 護衛の奴らは一体何をやっていたんだ!」
「ここで一緒に寝ちゃったのはごめんなさい。でもレイジェス様に甘えるのと、父神様に甘えるのとはちょっと違うから」
「それはどういう意味だ?」
「父神様に甘えたい時もあるから」
レイジェス様は酷く表情の抜けた顔をしていた。
凄くショックだったみたいだ。
「我は自分の部屋へ戻るぞ」
そう言って父神様が出て行ったあと、レイジェス様が寝台の上に座っている私の横に座った。
「君は……私よりアズライル様が好きなのか?」
「え? 違います、そうじゃないよ」
「私は何度も君に言っていた。自己防衛してくれと、それはアズライル様に対してもだ。父神様と言えど、アズライル様も君に魅了されているんだぞ、分かっているよな?」
「はい……」
「それにここは、君と私が愛し合う場所だ。……他の者をいれるな……」
私の顔を睨んだレイジェス様の瞳から、涙が一滴零れた。
「あっ……、ごめんなさい! ごめんなさい、レイジェス様!」
「もう、いい!」
レイジェス様はローブの袖で涙を拭いて、そのまま寝室から出て行ってしまった。
私はその後を慌てて追いかけて部屋を出た。するともうレイジェス様の姿は無かった。アーリンが走り寄って来た。
「どうしたんです? 姫様」
「レイジェス様が……」
「旦那様ならゲートを開かれて、どこかに行かれましたよ?」
「アーリンのばかぁ……、何で父神様を通したの……」
「? さすがに天地創造の神には逆らえません。申し訳ございません」
「……ごめんなさい。アーリンのせいじゃない、わたくしが悪いの……」
私は廊下に突っ伏して泣いた。
私からしたら、父神様とぐーぐー寝ちゃった感覚しかないけど、レイジェス様にはそれがショックだったんだ。
ましてや、私とレイジェス様がいつも愛し合う所で……。何にも無くても嫌だよね。
よく考えて逆の立場だったらどう? 私、絶対怒っちゃうよ。引っ叩いちゃうかも知れない。そんな事をやったんだから……レイジェス様が怒るのも当たり前だ。
でも、あんな悲しい顔をさせる事になるとは、思ってなかったんだよ……。
どうすればいいの……。
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