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第三章

5 大浴場といい事

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 食堂に着くと、昼に座った時に決められた席に座った。
やはりレンブラント様とヒューイット様がいない。
みんなその空席を見るが、部屋まで声を掛けに行こうと言う者はいない。
食事をしながら会話をして大人はお酒を飲む。飲んでいるのは濃い赤い色のぶどう酒だ。少しだけ飲ませて? と言ってもレイジェス様に却下されたので、私は空間収納からお神酒をだした。杯を二つだして1つをシエラ様に差し出す。

「これは子供でも飲めますから。美味しいですよ」

 そう言ってシエラ様の杯に注ぐ。
私は手酌でやろうとしたらレイジェス様が注いでくれた。
そして皆で乾杯! する。
シエラ様がお神酒を飲んでびっくりしていた。

「しゅわしゅわして、甘くて美味しいです!」
「なのに酔ってふわふわしていい気持ちになれるんですよね」
「このお酒は一体……」
「父神様にもらったお酒です。神様専用なのです」
「そんな凄いものを、わたくしが飲んでいいのでしょうか?」
「お友達ですから! 大丈夫です」

 私は笑ってごくごく飲んだ。
シエラ様も杯が空になったのでまた注いで上げる。

「今日は楽しかったですね」

 と私が言うと、シエラ様も楽しかったようだ。

「ええ、他の方と踊るのは初めてでしたけど、楽しかったです」
「コントルダンスはいいな、一体感がある」

 珍しくレイジェス様がダンスが良かったと言う。

「女性と踊るのは嫌だとおっしゃってたのに、珍しいですね」

 と私が言うとレイジェス様は普通に言った。

「シエラ様もクロエ様も化粧の匂いがしないからな。香水の匂いもしない、だから苦痛では無かった」
「はいはい、美女最高! ってやつですね」

 と私は拗ねる。

「どうしたリア? いきなり機嫌が悪いぞ?」

 って、それレイジェス様が言いますか? いっつもあなたに機嫌悪くなられているのは私なんですが? と心の中で思う。
クロエ様がふふふっと笑う。

「公爵様、アリア様は焼餅をやいていらっしゃるのですよ」

 とばらす。

「そ、そんなことはないです!」

 私は杯を飲み干した。

「焼餅? リアが私に?」

 レイジェス様は機嫌がいい。

「そうかそうか」

とにこにこしてる。それにイラっとする私。

「シエラ様、大浴場に一緒に行きません?」

 シエラ様に言うといいですね、と言ったのでじゃあいきましょう? と手を取った。

「え? シエラが行くなら俺も行くよ!」

 とコモン様が言う。

「リアが行くなら私も行くに決まっている」

 レイジェス様も言う。

「わたくしも行っていいかしら?」

 そうクロエ様が言ったあと

「お兄様も一緒に行きましょう?」

 ユリウス様も誘って行くことになった。
シエラ様が一回お部屋に湯浴み着を取りに行くと言うので私が神呪で着せますよ。と言った。なので二人で大浴場に一番乗りをした。今二人で脱衣所にいる。

「アリア様、服を脱いだ方がいいですか?」
「そのままでいいですよ。解除したときにその服装になるので」
「へ~便利ですね」
「ではわたくしから」

 神呪をかけて薄いピンクに白い花柄のフレアビキニとフレアスカート付きショーツ。おへそが丸見えだけど可愛いと思う。

「あら、それ可愛い!」
「お腹が見えてますけど、こんな感じいかがです? シエラ様?」
「素敵だと思いますわ!」
「では、おそろいにしましょう?」

 私は神呪でシエラ様に水色に白い花柄のフレアビキニとフレアスカート付きショーツに着衣させた。

「シエラ様は水色がお似合いですから」
「素敵! おそろいなんて初めて!」

 ハイタッチで指を絡めあいきゃっきゃっと騒ぐ。そこにクロエ様と側仕えが入って来た。

「あら、お二人とも可愛らしい湯浴み着ですね」
「おそろいにしてみました!」

私が言うとそれも神呪で出したのですか? と言われてそうだと答える。

「わたくしは湯浴み着を持ってきたので」

 クロエ様は側仕えに着替えさせてもらい始めた。

「じゃあ、先に入ってますね!」

 二人で手をつないで浴室にはいる。ローマの大きなお風呂を彷彿とさせた。
めっちゃ広いし、あちこち彫刻が置いてあるし、大きな浴槽の真ん中には巨大なスフィンクスの彫刻が置いてある。浴室入って右に丸い湯壷があってそこでお股を洗ってくださいと壁にプレートがあって書いてあった。石鹸がないからそのお湯をかけて、手でこしこし股間を洗い流す。シエラ様もプレートを見て同じくやった。
それからお風呂にどぼん! と勢いよく飛び込む。
思ったより深くて焦った。

「シエラ様、思ったより深いので、どぼんはやめたほうがいいですよ?」
「わたくし泳げませんから、やりませんよ?」

 シエラ様が私に呆れている。

「こいつに乗ってみたいですわ?」

 スフィンクスを指差すと浴槽にそっと入って来たシエラ様が

「滑らない? 大丈夫?」

 と心配する。とりあえず私はよじ登ってみた。土台に乗る時にちょっと滑ったけど無事スフィンクスの背に乗れた。
スフィンクスの肩に両手を置いてひひ~んとお馬さんごっこをしてると浴室に入って来たレイジェス様が呆れて私見ている。後ろにはユリウス様とコモン様もいる。
少し遅れてクロエ様も来た。

「まったく、君は落ちたらどうする気だ、怪我をするぞ? 少しはシエラ様を見習って大人しくしたらどうだ?」

 そう言ってすっと抱き上げて降ろされた。

「シエラ、その湯浴み着可愛いね」

 シエラ様を上から下まで見て、コモン様が言った。

「アリア様に神呪で着せていただきました。おそろいなんですよ」

 シエラ様がそう言ったので私も隣に並ぶ。

「うむ、可愛い」

 と言ってレイジェス様が頭を撫でた。
ちなみに男の人達が着てる湯浴み着はギリシャ人が着てたようなキトンで、下の所が生地が厚めになってて透けて見えないようになっている。
クロエ様が着てるのは女性用のキトンで胸と下の部分が布地が厚くなっていて、やはり透けないようになっていた。みんなでお風呂に入って喋ったりしている。
私は背泳ぎで浴槽をぷかぷか浮かびながら泳いでいた。

「器用ですね? 仰向けに泳ぐなんて」

 とユリウス様に言われた。

「仰向けに泳ぐ人っていないんですか?」

と聞くとええ、と言われた。
そういえばレイジェス様も同じように言ってたなと思い出す。
仰向けからくるりと普通に水面に浮かんで平泳ぎでレイジェス様の所に泳いで行ったら後ろにいたユリウス様が

「うわっ!」

 と叫んだ。なんだろ? と思って振り向くと顔が真っ赤になっていて、私の顔を見て両手で自分の顔を隠してしまった。ん? なんだったんだ? と思ってはっとした。
平泳ぎしたからお股が見えちゃったんだ、と気付く。

「ご、ごめんなさい!」

 謝ってその場を離れて、レイジェス様の膝に乗った。

「湯の効果か? リアの腕や足がすべすべだな」

 レイジェス様は何だかんだ言いつつ私を触る。

「シエラも俺の膝にくるかい?」

 コモン様に言われてシエラ様がおずおずとコモン様のお膝に乗った。

「シエラもすべすべだね」

 シエラ様はコモン様の腕を触って、

「コモン様もお肌がすべすべになってますよ」

 ユリウス様とクロエ様は少し離れた所にいて何か二人でお話している。

「さっきリアが言った良い事とは、何をしてくれるんだ?」
「え? まだ内緒です。お部屋に行ったらね?」

 やばい、何も考えてない。えっちな事は出来る範囲内では、やりつくした感があって何も浮かばないので、エロくない方向で考えたい。う~ん何あるっけ?
無い知恵を絞って考えたみた……私のいい事。 あれだ! 【耳かき】だ!
これならいいんじゃない? 気持ちいいし、すっきりするし。

 でも、みみかき棒ってあるのか? セバスに言わないとだ。
私はお風呂の湯で顔をばちゃばちゃと洗った。お肌つるつるになりますように。
綺麗な美人さんになりますように、とお祈りも忘れない。

 ふいにレイジェス様の手が私のフレアスカートの中に入って来た。そしてショーツの間から指を入れて私の大事な所を触る。
こんな他の人もいる所で何をやってんの? この人は!? と思いながら、ぱっとお湯の中を見た感じではフレアスカートの中に手が入ってるかな? くらいしかわからなくて少し安心した。いい所を触られて、このままではまずいと思って焦る。
私はレイジェス様を睨んだ。

「ここではまずいでしょ……? レイジェス様」

 私は小声で言った。

「仕方がない、リアを愛したくなってきた」
「なったからって即行動するのはどうかと思うんですよ」
「分かっているが止まらん」
「もう!」

 私は頬を膨らませた。指は話をしててもずっと私のお股で動いている。

「部屋に行くか?」

 私は頷いた。
私はシエラ様に声を掛ける。シエラ様の水着を解除しないと、シエラ様が部屋に帰るに帰れない。

「シエラ様、わたくしもう上がろうと思うのですけど、一緒に上がりませんか?」

 シエラ様は少し惚けた様子ですぐ反応しなかった。

「シエラ?」

 とコモン様に声を掛けられてはっとした様だった。

「あ、わたくしも上がります。」

 と言ってコモン様の膝の上から降りて来た。二人で一緒に脱衣所に行く。
シエラ様の顔が少し赤い、さっきお神酒を飲ませすぎちゃったかな? ぼーっとしてるし、のぼせたのかも知れない。
私とシエラ様は脱衣所に行き、棚からバスタオルを取って頭や水着以外の体を拭いた。拭き終わったのでシエラ様から解除の神呪を掛ける。
シエラ様は元のドレス姿に戻った。

「神呪って便利ですのね」

 と少し驚いている。
続けて自分にも解除の神呪を掛けたら裸になってしまった。

「あら?」

とシエラ様が言って、私が「あっ!」という。

「どうして裸になってしまったの?」

 と聞かれたのでお風呂に入る前の洋服も神呪で出した物だったことを言う。だからそれを解除してしまうと裸になってしまうと説明した。そう、解除じゃなくて重ねがけで着衣の呪文をしなければいけなかったのだ。

「でも、丁度いいです、部屋着に着替えます」

 神呪で部屋着を着た。黒いワンピースのゆったりしたネグリジェに白の絹のロングガウンを羽織った。ちなみに下着までイメージしなかったどうせ部屋に戻るだけだし。

「それは部屋着ですか?」
「いえ、これはネグリジェという寝巻きなの、だからガウンも羽織りました」
「デザインが素敵ですわ」
「ありがとうございます」
「わたくし、インターホンでセバスに用事があるので、シエラ様お先にどうぞ?」

 脱衣所を出るのを促す。

「じゃあ、また明日、お休みなさいませ、アリア様」
「ええ、お休みなさいませ、シエラ様」

 私はインターホンでセバスに耳かきを部屋に持って来て欲しいと伝えた。
そのあと北の棟の自分の部屋に向かった。大浴場は北の棟の地下にあるので上に向かう階段に登ればいいので楽だった。歩くのがきついのでキントーンで雲に正座して移動する。ちょっとスピードをアップして進めるとあっという間に部屋に着いた。
キントーンに乗って部屋の前まで行くとエドアルドがいた。

「耳かきをお持ちしました」

 エドアルドが無表情に言う。雲に正座して乗ったまま、エドアルドの近くまで行って耳かきを受け取った。

「姫様、その雲は?」

 と聞かれたので【キントーン】と言います、神の乗り物です。と言うとエドアルドが興味深そうに見た。無表情なので本当にそう思っているかは分からない。

「人は乗れないのですか?」
「試したことがないのでわかりません」
「そうですか」

心なしか残念そうにしていたように見える。もしかして雲に乗ってみたかった?
エドアルドは使用人控え室に戻って行った。
私は部屋に入り応接セットの長椅子に座り、テーブルの上に耳かきを置く。そして神呪で絹の白いハンカチを出す。よし、準備はできた。
ノックをして、レイジェス様がお部屋に入ってきた。

「待たせた」
「いい事をする準備ができましたよ?」
「お? で、リアは何をしてくれるんだ?」
「これです」

 と耳かきの棒を見せる。

「なんだそれは?」
「え? 知らないのですか!?」
「知らん、それは何だ?」
「耳の中を掃除する棒です」
「これで掃除すると凄く気持ちがいいのですよ?」
「耳掃除? 私はやったことがないぞ?」
「え? 一度も?」
「ああ、耳の中など掃除する必要があるのか?」
「えっと、自然にゴミは取れるって言われてますね、だけど取っちゃうと気持ちいいので私は取ってました」
「ふむ」
「で、どうすればいい?」
「あ、では、わたくしの膝に頭を乗せてくださいませ」

 レイジェス様は大人しく私の膝に頭を乗せた。

「ちょっと耳の中を見ますね?」

 結構大きい耳垢が見えて、これは掃除し甲斐がある! ちょっとわくわくした。私は白いハンカチをレイジェス様の耳の後ろに半分にたたんで置いた。
そして穴に耳かきの棒を入れて耳垢を取っていく。

「ん?」
「どうしました? 痛かったですか?」
「いや、ガサっと凄い音がした」
「ええ、大きい耳垢があって、それを取ってる最中ですから、少し音がするかもです」
「続けていいですか?」
「うむ」

 大きい耳垢が取れた。
それをハンカチに乗せる。そしてまた耳の壁際についている大きな耳垢を取る。
ごそごそと取ってる最中にも音がする。全部で結構な量の耳垢が取れた。綺麗になったので仕上げに息をふっと吹きかける。

「わっ!」
「あ、大丈夫です?」
「耳に息はまずい、くすぐったい」

 レイジェス様が耳を押さえているのが可愛い。

「左は終わりましたよ、次は右をやりますね?」
「うむ」
「少し量が多いのでゴミ箱に捨ててきますね。」

 そう言うと、取った耳垢を見たいと言うレイジェス様。
私は捨てる前にそれを見せた。

「リアは私の耳垢を取って嫌じゃないのか? 汚いだろ?」
「嫌だと思ったら最初からやりませんよ?」

 私はゴミ箱に耳垢だけを落とした後、ハンカチをぱんぱんとゴミ箱の中で叩いた。
そしてレイジェス様に頭を反対の向きにしてもらう。
レイジェス様は長椅子に反対になって、私のお腹に顔が向く。
私はまたレイジェス様の耳の後ろにハンカチを置いて耳かきを始めた。

 優しく丁寧に耳垢を取ってはハンカチに置いて、また取る。レイジェス様は気持ち良かったのかいつの間にか寝てしまっていた。私は耳垢を取り終わった後ふっと軽く息を吹いた。レイジェス様がうとうとしている。私はハンカチと耳かきをテーブルに置いて、レイジェス様の肩をぽんぽんと叩いた。

「寝るなら寝台で一緒に寝ましょう? ね、ほらあちらですよ」

 体を起こそうとするけど重くて動かない。引っ張って起こそうとしたらやっと寝台に移動してくれた。私の手を握ったままで明かりもついたままだ。

「レイジェス様、明かりを」

 レイジェス様は面倒だったのか、魔石灯なので指でふいっと魔法を使って消した。

「消したから、リアはもう私の近くにいなさい」
「なんだか凄く眠い、君に触れたかったのに」

 レイジェス様は私を抱きしめながら寝てしまった。
私も今日は沢山動いたせいか眠くなってあっという間に眠ってしまった。

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