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8 何も変わらない
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4月になった。
あの後、私は伯爵様の別宅に週に一度行っている。金の日の夜から日の日の夜まで、もちろん泊まりだ。また二人で愛し合っている。
伯爵様は私が以前逃げ出したからか、もう私を縛り付けなくなった。
ただ、相変わらず精力は強く日に何度も挿入され、イかされる。旦那様も私と同じ位、達していると思う。
愛人契約の話は、聞くとうやむやにされ、はぐらかされていた。
これでは何も変わらない、今までと同じだ。
今日こそはっきりさせようと思い聞いた。
「奥様に伝えて頂けたんでしょうか?」
「あれは領地にいるから、私があちらまで赴かねばならない」
「では、いつあちらに行かれるのです?」
「……終春節の最初から中頃まではここでオーティスと過ごす。そのあと領地に向かう予定でいる」
「ああっ、凄く嬉しいです! 本当に私の事を伝えて下さるんですね!」
私は感激して伯爵様の唇にキスをした。離そうとしたら身体を抱きしめられて、唇に押さえつけるように、唇を重ねられた。舌がぬるっと割って入ってくる。
口の中をぐるぐると確かめるように舌を動かされ、私の下半身は少し感じてしまった。
「そうだ、私は本気で君の事を愛してる! もう君以上に愛せる人間はいない!」
「嬉しいです、嬉しいです、イアン!」
私は伯爵様の首に腕を絡めてぎゅっと抱きついた。
彼の手が私のシャツのボタンを次々と外していく。私のシャツを脱がすと、彼は胸の小さな突起に吸い付いた。舐めて吸ったあと甘噛みする。
「イアン、ちょっと痛いです」
「ああ、すまん、つい夢中になってしまって……。オーティスのここは薄い桃色で綺麗だな。まるでエルフの里に咲く桜のようだ」
「そんな花、見たことありませんよ」
「そうか、凄く綺麗なんだよ。いつか一緒に行きたい」
「そんなに綺麗なんだ?」
「ああ」
「エルフの里って遠いでしょ? あそこって誰でも行けるもんなんですか?」
「旅費さえあれば行ける。エルフの里は誰にでも開かれてるから。ただ、悪しき心の者は入れない仕組みになってるよ?」
「じゃあ、イアンは入れないんじゃ?」
「酷いなぁ……私は若い頃に一度行ってるから、大丈夫だよ。安心して一緒に行けるよ?」
そう言って私の頬にちゅっと軽くキスをした。
「全部脱いでイアン? 私も全部脱ぐから……」
私達は全部服を脱いで裸になった。
伯爵様は私の身体を寝台の上でうつ伏せにしたかと思うと仰向けにした。謎の行動に頭を捻っていると笑って言った。
「キスマークが無いか探してた」
「そんなの付いてるわけないでしょう? もう、疑うのは止めて下さい」
「君には本当に私だけだね?」
「ええ、私の心の中をイアンに見せれたら良いのに。そうしたら分かるのに、私がどれだけ貴方を好きか」
「私の心の中も君に見えたら良いのにな。どうしようも無いくらい、君が……」
そこまで言って伯爵様は口を噤んだ。
仰向けの私の上に乗り、伯爵様は尻を私に向けて、私の物をしゃぶり始めた。
私も向けられた物を口に含む。
お互い貪る様にそれを吸い尽くして、お互いの口に射精し合った。
私も彼もそれを喉を鳴らして飲み込む。
「挿れたい……」
伯爵様は仰向けになってる私の股の間に自分の身体を置いた。先程出したばかりだというのに、もう硬くなってそれは天を目指して直立していた。
彼はサイドテーブルに置いてあった潤滑ゼリーを取って私の菊に塗り込んだ。手に余ったゼリーは自分の物に擦り付けている。
「いいよ。来て、イアン」
私は彼が挿入しやすいようにお尻の肉を持ち、思いっきり広げた。
彼は自分の右手で陰茎を持ち、亀頭を私の菊に当ててマッサージする。ぐるぐると菊の周りを撫でて遊んでいたかと思うと、急に私の中に挿入してきた。
先からどんどん私の中に飲み込まれて行く。熱くて硬い肉の塊が、自分の中で一層膨らんだ感じがした。亀頭の先が私の中のこりこりとした部分に擦れて、吐息が出るくらい気持ちが良い。
「イアン、凄く気持ち良い」
「そう言ってくれると嬉しい。オーティス、愛してるよ」
「イアン、私も」
亀頭の先が私の良い所に当たるように、浅く何度もトントンと突いて来る彼。
「だ、ダメ……もう、イキそう……」
「まだ入れたばかりだよ? もうちょっと我慢しよう? オーティス」
「んっ、はぁっ」
私に我慢しよう? と言っておいて、リズミカルに弱い所を何度も突いて来る伯爵様に、私は甘い声で囁いた。
「イアン、愛してる、愛してる……気持ちいいぃ、イアンのそれ、大好き……」
「オーティス! 私だって君が……!」
浅い突きはそのままで、突く時に力強くズン! と突かれるようになった。たぶん、伯爵様は興奮してるんだと思う。トントンがズンズン! になって、私はもう我慢出来なくなっていた。
「あっ、だめっ、もう無理、我慢出来ないっ!! イクっ、イクうぅううっ!!」
達する時に身体がガクガクと震えて、怖いくらい気持ち良かった。
私の一物からは白濁の液は出なかった。
「後ろの穴だけでイけるようになったんだね、オーティス」
「やだ、恥ずかしいです!」
「もう一度イってる所、見せておくれ。可愛らしかった」
伯爵様は凄く喜んでいてズンズンと容赦無く、私を浅めに突いた。さっき達したばかりだというのに、私の身体はまた極みを目指す。
すぐにまた同じような感覚が私の中に蘇って、きらめくような恍惚感が私を襲った。
「あっ、だめっ、イアン、また来ちゃう、だめです! それ以上突かないで!」
「良いんだよイって! 見たいんだ。オーティスの……美しい君の乱れる姿が」
その微笑はとても妖しくて、その青い澄んだ瞳に私は囚われた。
「キス……して、イアン」
彼は私の唇に舌を入れ、私の舌に絡ませると甘噛みした。痛くはない。ちゅううっと吸って舌先でお互いを確認する。
伯爵様の物は私の穴にズンズンと出入りし、そこはゼリーと伯爵様の先走り汁でぐちょぐちょに潤っていた。
「ああ、気持ちいい、君と寝たら他の奴となんかやれない! ああ、君を私だけの物にしたい! オーティス、愛してる、愛してる! 永遠にだっ!」
「んっ、あああっ、いいっ、イアンいく、いきそう……!」
「一緒にいこう!」
私は頷いて、もう少し我慢した。イアンはもう少し余裕があったように見えたからだ。
「ああ、気持ち良い。きつくて、温かくて、優しい……ああ、君の中で私が溶けてしまいそうだ……」
「んっ、ふっ、んんっ、あっ、あっ」
「いくよ? 一緒に行こう、オーティス、うううっ、射精るっ、くっ!」
「ああああっ、もうぅだめええぇっ! イクっ! イクっ! イクううううっ!」
伯爵様の液が私の中でぴゅっぴゅっと出された時、私はイった。
また射精はせず、中だけでイってしまった。
私の身体からそれを抜くと、どろっとした白濁の液が穴から垂れてきた。
それを微笑んで見て、アクアウォッシュを掛けられた。
二人でぐったり抱き合っていると伯爵様が言った。
「雌イキを覚えるなんて、やっぱり君は厭らしい子だ」
「それを覚えさせた貴方がそんな事を言うだなんて、どの口が言うかですよ」
「そうだな、私が覚えさせたんだ、君に。ふふふっ」
その表情は喜びを隠せない顔だった。
私はこの別宅で日の日の夜まで過ごし、その夜にアルフォード公爵家の寮に戻った。
寮に戻るときに伯爵様に『職場を教えてくれ』と言われたが、教えなかった。
バルトさんも私の職場については口を噤んで言わなかったらしい。
私が職場を言わなかったのは、伯爵様がまたおかしくなってしまったら、今度は公爵家に迷惑の掛かる事をするかも知れないと、不安だったからだ。
月の日、昼休憩で厨房脇の休憩室でサーシャさんとリリーさんと私の三人になった。
「で、二人は結局どうなんです? 終春節はグレーロック城に来ないんですか?」
サーシャさんがそう言って、リリーさんと私を見た。
「私は婚約者と約束をしているのでお城には行けません」
「まぁ、そうですよね~、リリーさんは婚約中ですもんねぇ」
サーシャさんが羨ましそうに言う。
「サーシャさんは彼とどこかに行かないんですか?」
私が聞くとサーシャさんはむっとしていた。
「そんな伝説の生き物、私にいるわけないでしょ!! 大体、二次元こそ至高ですよっ! 現実の男なんて糞です! それに、私が男とくっ付くより、美青年と美青年がくっ付いたほうが絶対ビジュアル的に良いんですよ!」
サーシャさんはBL大好き人間なので、すぐそういう方向に話を持っていく。
「オーティス君こそ、彼氏いるんですよね? 確か年上の」
「何でそれを知ってるんですか」
「セバスさんが言ってました。いつも週末いないんで、どこに行ってるのか聞いたら、彼氏の所に泊まるって宿泊届けが出てるって」
「うわああああっ! セバスさん、酷すぎる! ばらすなんて!」
「別にいいじゃない、貴方が男色家なのは皆知ってるんだから」
リリーさんが優しく私に言った。
「皆……私の事が気持ち悪く無いんですか? ……男となんて」
サーシャさんとリリーさんはお互い顔を見合わせた。
「気持ち悪さで言えば、オーティス君よりも、サーシャの方が遥かに上を行ってるわよ? 女なのに男同士の閨事が好きって……ある意味やばいわ?」
リリーさんがそう言うとサーシャさんは反論した。
「リリー、私は決してやばい人間ではありません! 美的感覚が鋭いだけです。大体、私みたいな不細工な女の子と釣り合う程度の男でエロい事やっても全然萌えませんから! 美しいから萌えるんです! 男同士は特に恋愛が難しく悲恋になりがちですからね! そういうシチュエーションも萌えられる理由のひとつです。ああ、ちなみに、オーティス君も薄幸の美少年って感じにしか見えません。なんか幸せになれそうに見えないんですね……失礼な事言ってるようで申し訳無いですけど」
「それは私が不幸になりそうと言ってるんでしょうか? サーシャさん?」
「まぁ、うん、なんかオーラが。終春節、彼氏と過ごすんでしょ? 振られないようにガンバレ?」
「何でそこ、疑問符? 何だかサーシャさんに蹴りを入れたくなってきました」
「女子に暴力はだめですよっ! 私は思った事を言っただけですよぅ!」
「サーシャ、貴方失礼過ぎ。貴方は少し黙っていたほうが皆の為だわ」
「はいはい分かりましたー」
「もぅ、全然分かってないし」
「サーシャさんは放っておきましょう、リリーさん」
「そうね」
私の昼休憩はサーシャさんに酷い事を言われて終わった。
終春節の半ばから、伯爵様は領地に戻り奥様に私の事を話してくれる。それが凄く楽しみだった。
あの後、私は伯爵様の別宅に週に一度行っている。金の日の夜から日の日の夜まで、もちろん泊まりだ。また二人で愛し合っている。
伯爵様は私が以前逃げ出したからか、もう私を縛り付けなくなった。
ただ、相変わらず精力は強く日に何度も挿入され、イかされる。旦那様も私と同じ位、達していると思う。
愛人契約の話は、聞くとうやむやにされ、はぐらかされていた。
これでは何も変わらない、今までと同じだ。
今日こそはっきりさせようと思い聞いた。
「奥様に伝えて頂けたんでしょうか?」
「あれは領地にいるから、私があちらまで赴かねばならない」
「では、いつあちらに行かれるのです?」
「……終春節の最初から中頃まではここでオーティスと過ごす。そのあと領地に向かう予定でいる」
「ああっ、凄く嬉しいです! 本当に私の事を伝えて下さるんですね!」
私は感激して伯爵様の唇にキスをした。離そうとしたら身体を抱きしめられて、唇に押さえつけるように、唇を重ねられた。舌がぬるっと割って入ってくる。
口の中をぐるぐると確かめるように舌を動かされ、私の下半身は少し感じてしまった。
「そうだ、私は本気で君の事を愛してる! もう君以上に愛せる人間はいない!」
「嬉しいです、嬉しいです、イアン!」
私は伯爵様の首に腕を絡めてぎゅっと抱きついた。
彼の手が私のシャツのボタンを次々と外していく。私のシャツを脱がすと、彼は胸の小さな突起に吸い付いた。舐めて吸ったあと甘噛みする。
「イアン、ちょっと痛いです」
「ああ、すまん、つい夢中になってしまって……。オーティスのここは薄い桃色で綺麗だな。まるでエルフの里に咲く桜のようだ」
「そんな花、見たことありませんよ」
「そうか、凄く綺麗なんだよ。いつか一緒に行きたい」
「そんなに綺麗なんだ?」
「ああ」
「エルフの里って遠いでしょ? あそこって誰でも行けるもんなんですか?」
「旅費さえあれば行ける。エルフの里は誰にでも開かれてるから。ただ、悪しき心の者は入れない仕組みになってるよ?」
「じゃあ、イアンは入れないんじゃ?」
「酷いなぁ……私は若い頃に一度行ってるから、大丈夫だよ。安心して一緒に行けるよ?」
そう言って私の頬にちゅっと軽くキスをした。
「全部脱いでイアン? 私も全部脱ぐから……」
私達は全部服を脱いで裸になった。
伯爵様は私の身体を寝台の上でうつ伏せにしたかと思うと仰向けにした。謎の行動に頭を捻っていると笑って言った。
「キスマークが無いか探してた」
「そんなの付いてるわけないでしょう? もう、疑うのは止めて下さい」
「君には本当に私だけだね?」
「ええ、私の心の中をイアンに見せれたら良いのに。そうしたら分かるのに、私がどれだけ貴方を好きか」
「私の心の中も君に見えたら良いのにな。どうしようも無いくらい、君が……」
そこまで言って伯爵様は口を噤んだ。
仰向けの私の上に乗り、伯爵様は尻を私に向けて、私の物をしゃぶり始めた。
私も向けられた物を口に含む。
お互い貪る様にそれを吸い尽くして、お互いの口に射精し合った。
私も彼もそれを喉を鳴らして飲み込む。
「挿れたい……」
伯爵様は仰向けになってる私の股の間に自分の身体を置いた。先程出したばかりだというのに、もう硬くなってそれは天を目指して直立していた。
彼はサイドテーブルに置いてあった潤滑ゼリーを取って私の菊に塗り込んだ。手に余ったゼリーは自分の物に擦り付けている。
「いいよ。来て、イアン」
私は彼が挿入しやすいようにお尻の肉を持ち、思いっきり広げた。
彼は自分の右手で陰茎を持ち、亀頭を私の菊に当ててマッサージする。ぐるぐると菊の周りを撫でて遊んでいたかと思うと、急に私の中に挿入してきた。
先からどんどん私の中に飲み込まれて行く。熱くて硬い肉の塊が、自分の中で一層膨らんだ感じがした。亀頭の先が私の中のこりこりとした部分に擦れて、吐息が出るくらい気持ちが良い。
「イアン、凄く気持ち良い」
「そう言ってくれると嬉しい。オーティス、愛してるよ」
「イアン、私も」
亀頭の先が私の良い所に当たるように、浅く何度もトントンと突いて来る彼。
「だ、ダメ……もう、イキそう……」
「まだ入れたばかりだよ? もうちょっと我慢しよう? オーティス」
「んっ、はぁっ」
私に我慢しよう? と言っておいて、リズミカルに弱い所を何度も突いて来る伯爵様に、私は甘い声で囁いた。
「イアン、愛してる、愛してる……気持ちいいぃ、イアンのそれ、大好き……」
「オーティス! 私だって君が……!」
浅い突きはそのままで、突く時に力強くズン! と突かれるようになった。たぶん、伯爵様は興奮してるんだと思う。トントンがズンズン! になって、私はもう我慢出来なくなっていた。
「あっ、だめっ、もう無理、我慢出来ないっ!! イクっ、イクうぅううっ!!」
達する時に身体がガクガクと震えて、怖いくらい気持ち良かった。
私の一物からは白濁の液は出なかった。
「後ろの穴だけでイけるようになったんだね、オーティス」
「やだ、恥ずかしいです!」
「もう一度イってる所、見せておくれ。可愛らしかった」
伯爵様は凄く喜んでいてズンズンと容赦無く、私を浅めに突いた。さっき達したばかりだというのに、私の身体はまた極みを目指す。
すぐにまた同じような感覚が私の中に蘇って、きらめくような恍惚感が私を襲った。
「あっ、だめっ、イアン、また来ちゃう、だめです! それ以上突かないで!」
「良いんだよイって! 見たいんだ。オーティスの……美しい君の乱れる姿が」
その微笑はとても妖しくて、その青い澄んだ瞳に私は囚われた。
「キス……して、イアン」
彼は私の唇に舌を入れ、私の舌に絡ませると甘噛みした。痛くはない。ちゅううっと吸って舌先でお互いを確認する。
伯爵様の物は私の穴にズンズンと出入りし、そこはゼリーと伯爵様の先走り汁でぐちょぐちょに潤っていた。
「ああ、気持ちいい、君と寝たら他の奴となんかやれない! ああ、君を私だけの物にしたい! オーティス、愛してる、愛してる! 永遠にだっ!」
「んっ、あああっ、いいっ、イアンいく、いきそう……!」
「一緒にいこう!」
私は頷いて、もう少し我慢した。イアンはもう少し余裕があったように見えたからだ。
「ああ、気持ち良い。きつくて、温かくて、優しい……ああ、君の中で私が溶けてしまいそうだ……」
「んっ、ふっ、んんっ、あっ、あっ」
「いくよ? 一緒に行こう、オーティス、うううっ、射精るっ、くっ!」
「ああああっ、もうぅだめええぇっ! イクっ! イクっ! イクううううっ!」
伯爵様の液が私の中でぴゅっぴゅっと出された時、私はイった。
また射精はせず、中だけでイってしまった。
私の身体からそれを抜くと、どろっとした白濁の液が穴から垂れてきた。
それを微笑んで見て、アクアウォッシュを掛けられた。
二人でぐったり抱き合っていると伯爵様が言った。
「雌イキを覚えるなんて、やっぱり君は厭らしい子だ」
「それを覚えさせた貴方がそんな事を言うだなんて、どの口が言うかですよ」
「そうだな、私が覚えさせたんだ、君に。ふふふっ」
その表情は喜びを隠せない顔だった。
私はこの別宅で日の日の夜まで過ごし、その夜にアルフォード公爵家の寮に戻った。
寮に戻るときに伯爵様に『職場を教えてくれ』と言われたが、教えなかった。
バルトさんも私の職場については口を噤んで言わなかったらしい。
私が職場を言わなかったのは、伯爵様がまたおかしくなってしまったら、今度は公爵家に迷惑の掛かる事をするかも知れないと、不安だったからだ。
月の日、昼休憩で厨房脇の休憩室でサーシャさんとリリーさんと私の三人になった。
「で、二人は結局どうなんです? 終春節はグレーロック城に来ないんですか?」
サーシャさんがそう言って、リリーさんと私を見た。
「私は婚約者と約束をしているのでお城には行けません」
「まぁ、そうですよね~、リリーさんは婚約中ですもんねぇ」
サーシャさんが羨ましそうに言う。
「サーシャさんは彼とどこかに行かないんですか?」
私が聞くとサーシャさんはむっとしていた。
「そんな伝説の生き物、私にいるわけないでしょ!! 大体、二次元こそ至高ですよっ! 現実の男なんて糞です! それに、私が男とくっ付くより、美青年と美青年がくっ付いたほうが絶対ビジュアル的に良いんですよ!」
サーシャさんはBL大好き人間なので、すぐそういう方向に話を持っていく。
「オーティス君こそ、彼氏いるんですよね? 確か年上の」
「何でそれを知ってるんですか」
「セバスさんが言ってました。いつも週末いないんで、どこに行ってるのか聞いたら、彼氏の所に泊まるって宿泊届けが出てるって」
「うわああああっ! セバスさん、酷すぎる! ばらすなんて!」
「別にいいじゃない、貴方が男色家なのは皆知ってるんだから」
リリーさんが優しく私に言った。
「皆……私の事が気持ち悪く無いんですか? ……男となんて」
サーシャさんとリリーさんはお互い顔を見合わせた。
「気持ち悪さで言えば、オーティス君よりも、サーシャの方が遥かに上を行ってるわよ? 女なのに男同士の閨事が好きって……ある意味やばいわ?」
リリーさんがそう言うとサーシャさんは反論した。
「リリー、私は決してやばい人間ではありません! 美的感覚が鋭いだけです。大体、私みたいな不細工な女の子と釣り合う程度の男でエロい事やっても全然萌えませんから! 美しいから萌えるんです! 男同士は特に恋愛が難しく悲恋になりがちですからね! そういうシチュエーションも萌えられる理由のひとつです。ああ、ちなみに、オーティス君も薄幸の美少年って感じにしか見えません。なんか幸せになれそうに見えないんですね……失礼な事言ってるようで申し訳無いですけど」
「それは私が不幸になりそうと言ってるんでしょうか? サーシャさん?」
「まぁ、うん、なんかオーラが。終春節、彼氏と過ごすんでしょ? 振られないようにガンバレ?」
「何でそこ、疑問符? 何だかサーシャさんに蹴りを入れたくなってきました」
「女子に暴力はだめですよっ! 私は思った事を言っただけですよぅ!」
「サーシャ、貴方失礼過ぎ。貴方は少し黙っていたほうが皆の為だわ」
「はいはい分かりましたー」
「もぅ、全然分かってないし」
「サーシャさんは放っておきましょう、リリーさん」
「そうね」
私の昼休憩はサーシャさんに酷い事を言われて終わった。
終春節の半ばから、伯爵様は領地に戻り奥様に私の事を話してくれる。それが凄く楽しみだった。
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