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26 今月初めての逢瀬※

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 僕の誕生日は2/1だ。母上は遠くの療養所にいるから、ここでは弟と誕生日を祝う。ちなみに僕の誕生日はとっくに過ぎていた。

 そして今日は2月の1度目の侯爵様との逢瀬。
僕がお屋敷に行くと、侯爵様は凄く不機嫌だった。
セルジオさんは侯爵様の機嫌が悪いのでおろおろしていた。

「どうしてそんなに気難しい顔をしているんです?」
「君の誕生日だというのに、私は祝えなかった」
「じゃあ、来年は弟も入れて3人で祝います?」
「……本気で言ってるのか?」

 侯爵様が驚いたように言った。

「えっ、あっ、こんなこと言うの失礼ですよね。すみません」
「いや、そういう意味では無いんだ……」
「?」
「私が君の家に行けば、弟さんに色々聞かれるだろう。やっぱり良くない」
「そうですか……」

 僕は内心3人で祝えたら楽しいだろうな、って思ったけど、この人は身分のある方だった。僕はもう貴族じゃない。
貴族落ちした平民の家になんて呼べるわけもなかった。

「ルイス、お祝いに何か送りたい。何か欲しい物は無いか?」

 そう言われて考えたけど……、欲しかった寝台も、湯船ももう買ってしまった。
他に欲しい物を考えていたら昔の事を思い出した。
亡くなった父上、今は病で遠くの療養所にいる母上。少し前までは食べるお金も無くて、毎日心細い生活をしていた。でも、今は身体を売るような不道徳な行為をしているけど、お金の事で惨めにならず、安心して暮らせる生活をしている。
それは……侯爵様のおかげだ。僕を愛人として契約してくれたから。

「僕はフォルカーが愛してくれるだけで満足だよ。他に何もいらない」
「……今のは、オプションだよな……?」
「……ははっ」

 僕は笑ってごまかした。





「フォルカー、きもちいっ……ぁああっ」

 正常位で侯爵様に突かれていた。
侯爵様と愛人関係になってから1年近く経っていた。僕は後ろの穴だけで達する事が出来るようになっていた。例の如く侯爵様に後ろの穴を可愛がられて我慢出来なくなっていた。

「ああ、私も気持ちいい、ルイス……」

 侯爵様の頬は紅潮して、瞳は潤んでいて、そんな目でじっと僕を見つめる。

「フォルカー……好きっ、んんっ」
「本当に私が好きか?」

 侯爵様は僕に問いながら奥深くまで突く。

「……好きっ! ほんとにすきぃいいっ!」

 僕は侯爵様の首に腕を絡めて自分から唇を重ねた。拒まず僕を迎え入れる侯爵様の唇。ちょっと乾いた唇の中は濡れてぬるぬるしていた。そこの中心にある侯爵様の舌を舌先でつんつん突いたあと絡める。じゅぷじゅぷと舌を吸う音が聞こえて、侯爵様を見ると目を閉じていて、僕にされるがままだった。
こんな侯爵様の姿は可愛い。

 何だか興奮してきて、身体がぶるぶる小刻みに震える。

「いきそうっ、フォルカー、いきそうっ!」
「ああ、イクんだ! 我慢などしなくていい! 私の腕の中で狂え!」
「ひゃぁっ、んんっ、ぁあああ"!! だめっ、いっしょに、イキたいっ!!」
「……!!」

 僕は侯爵様の首に腕を絡めたまま言った。
侯爵様は驚いたように僕を見て、優しい微笑みを見せた。
緩急を付けてねじ込むように腰を打ち付けてくる。僕がイキそうになると抑えてくれるのが分かった。でも、何度もイキそうになっているのに、侯爵様はまだまだなせいかイキそうなのを抑えられるのはきつかった。
僕は我慢出来なくなって、侯爵様の耳元に囁いた。

「フォルカー、……お願い、イかせて……もう我慢出来ない」
「……!!」

 囁いたあと耳たぶを甘噛みした。侯爵様は僕の首を抱き、両肩を肘で押さえつけて固定した。そして、がつがつと中を抉るように突き上げた。それは荒れ狂う奔流のようで、僕はそれを受け止めるのが精一杯だった。

「あっ、あっ、」
「ルイス! イってもいいぞ! 私もイクっ! くううっ」
「フォルカー……! いぐぅうぅっ、いっいいぐぐぅうううっ! ぁあああっ!!」
「凄い……、君の中が蕩けているっ!!」
「なかにっ、なかにっ、ぴゅっぴゅってあったかいのきた……っ!」





 性行為が終わって二人でまったりしていると、侯爵様が呟いた。

「今日の君の発言は全てオプションだよな……?」

 さっきも聞いて来たのをごまかしたのに、また聞いてくる侯爵様。

「……そうですよ。だって僕たちは『恋人同士』なんでしょ? だからそれっぽく振舞ってるんですけど……問題ありました?」
「い、いや。君があまりに自然だから、……誤解しそうになる」

『君は絶対私を好きにならない』って、言い切ったのは貴方なのに。
どうして自分で聞いて傷付いた顔をするのか、分からなかった。

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