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12章 蓮君の場合(後半)
もう一つの小学校
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職員室を出た蓮君。
(いったい、ここの俺はなにやってんだ・・・暴力かよ・・・)
左右の廊下を見渡したが、仲間たちの姿はない。
教室から低学年の生徒たちがぞろぞろと出て来る。
(そう言えば、補習授業がどうとか言ってたな・・・
補習授業が終わったのかな・・・)
ランドセルを背負った生徒たちは、そのまま昇降口に向かう。自分の補習授業が終わったので、帰るのかもしれない。
蓮君はとりあえず、2階へ行ってみようと考えた。もし陽翔と結奈が補習授業に出ていたなら、きっと廊下へ出て来るはずだからだ。それにもしかしたらこれからは昼休みの時間かもしれない・・・
階段下まで来た。上から下りてくる生徒がたくさんいる。5年生・6年生組だ。その中に2人の姿はいない。
下りて来る生徒たちに逆らうように、蓮君が2階へ上がろうとすると、左手側、つまり今自分が歩いて来た側から女子生徒がこちらに向かって走って来るのがわかった。同じ6年生くらいだろうか・・・明らかに自分に向かって来ている。
身長は低い方でやせ型、さっきの男子生徒同様にきゃしゃな感じがするが、可愛らしい服とピンク色のスカートをはいている。
(また俺は何かやらかしてんのか・・・)
そんな考えが蓮君の脳裏をよぎる。
女子生徒は蓮君の前で立ち止まると、少し呼吸を整えるようにしながら、
「坂本君がお母さんと学校の方へ行ったって真希ちゃんから聞いたら、心配になって来たの・・・」
「ああ・・・そう・・・」
蓮君はなんとも曖昧な返事をする。
女子生徒は蓮君を見上げるように
「もしかして、先生に怒られた?」
「えっ、まぁね・・・」
ここでも曖昧に返事をする。
「そうだよね・・・
さもなくとも岩本君は先生たちに評判悪いもんね・・・
勉強もできないし・・・
あっ、ゴメンね、変な言い方して・・・」
「いや・・・」
「私も岩本君と話をすることあまりなかったもんね。こんな事がなければが・・・」
(まぁ、ここの俺は先生や生徒からは好かれていない感じはわかる・・・
俺はここでは、暴力的な人間なのかもしれない・・・)
「でも、坂本君の件は先生にちゃんと説明したよね」
「説明???なんの・・・?」
蓮君には何のことだかさっぱりわからない。
わかっているのは、ここの俺があの子に怪我をさせたという事実だけだ。
だが、この子の話から事の事情の大体がわかった。
2日ほど前の話だ。
蓮君が自宅近くのコンビニで買い物をして、家に帰る途中の小さな公園の出来事。公園と言っても小さな公園なので、たいした遊具も置いていないようだ。
蓮君が公園脇の小さい道路を歩いていると、公園内にさっきの男の子とこの子見つけたらしい。
別に仲の良い友達でもないので、そのまま通り過ぎようとした時に、男の子が何か大きな声で言うと、この子を突き飛ばしたのが見えたそうだ。それでこの子が大声で泣き始め、それを見ていた蓮君が、急いで近づき、
「お前!女の子になにしてんだよ!」
そう言うと、今度は蓮君が男を突き飛ばしたそうだ。
で、転んだ拍子に怪我をした。
だいたいはそんな感じらしい・・・
それで先ほど、帰り際に坂本がこちらをちらっと見た意味を理解した。
彼が不思議に思ったのは、なぜ、俺が本当の理由を言わなかったのか・・・だろう・・・
まぁ、言えなかったわけだけど・・・
「坂本君のこと、かばってるの?」
「いや・・・別にそんなつもりでもないけど・・・」
「私も嫌いなんだ、坂本君・・・」
そういうと、女子生徒は可愛らしくニコッとすると、2階へスカートをひらひらさせながら、駆け上がって行く。その後ろ姿を見ながら、
(なんか俺には住みにくそうな世界だな・・・
でも、ただの暴力的な俺でなくて良かった・・・)
蓮君は心の中で呟いた。
12章 蓮君の場合(後半) 完 続く
(いったい、ここの俺はなにやってんだ・・・暴力かよ・・・)
左右の廊下を見渡したが、仲間たちの姿はない。
教室から低学年の生徒たちがぞろぞろと出て来る。
(そう言えば、補習授業がどうとか言ってたな・・・
補習授業が終わったのかな・・・)
ランドセルを背負った生徒たちは、そのまま昇降口に向かう。自分の補習授業が終わったので、帰るのかもしれない。
蓮君はとりあえず、2階へ行ってみようと考えた。もし陽翔と結奈が補習授業に出ていたなら、きっと廊下へ出て来るはずだからだ。それにもしかしたらこれからは昼休みの時間かもしれない・・・
階段下まで来た。上から下りてくる生徒がたくさんいる。5年生・6年生組だ。その中に2人の姿はいない。
下りて来る生徒たちに逆らうように、蓮君が2階へ上がろうとすると、左手側、つまり今自分が歩いて来た側から女子生徒がこちらに向かって走って来るのがわかった。同じ6年生くらいだろうか・・・明らかに自分に向かって来ている。
身長は低い方でやせ型、さっきの男子生徒同様にきゃしゃな感じがするが、可愛らしい服とピンク色のスカートをはいている。
(また俺は何かやらかしてんのか・・・)
そんな考えが蓮君の脳裏をよぎる。
女子生徒は蓮君の前で立ち止まると、少し呼吸を整えるようにしながら、
「坂本君がお母さんと学校の方へ行ったって真希ちゃんから聞いたら、心配になって来たの・・・」
「ああ・・・そう・・・」
蓮君はなんとも曖昧な返事をする。
女子生徒は蓮君を見上げるように
「もしかして、先生に怒られた?」
「えっ、まぁね・・・」
ここでも曖昧に返事をする。
「そうだよね・・・
さもなくとも岩本君は先生たちに評判悪いもんね・・・
勉強もできないし・・・
あっ、ゴメンね、変な言い方して・・・」
「いや・・・」
「私も岩本君と話をすることあまりなかったもんね。こんな事がなければが・・・」
(まぁ、ここの俺は先生や生徒からは好かれていない感じはわかる・・・
俺はここでは、暴力的な人間なのかもしれない・・・)
「でも、坂本君の件は先生にちゃんと説明したよね」
「説明???なんの・・・?」
蓮君には何のことだかさっぱりわからない。
わかっているのは、ここの俺があの子に怪我をさせたという事実だけだ。
だが、この子の話から事の事情の大体がわかった。
2日ほど前の話だ。
蓮君が自宅近くのコンビニで買い物をして、家に帰る途中の小さな公園の出来事。公園と言っても小さな公園なので、たいした遊具も置いていないようだ。
蓮君が公園脇の小さい道路を歩いていると、公園内にさっきの男の子とこの子見つけたらしい。
別に仲の良い友達でもないので、そのまま通り過ぎようとした時に、男の子が何か大きな声で言うと、この子を突き飛ばしたのが見えたそうだ。それでこの子が大声で泣き始め、それを見ていた蓮君が、急いで近づき、
「お前!女の子になにしてんだよ!」
そう言うと、今度は蓮君が男を突き飛ばしたそうだ。
で、転んだ拍子に怪我をした。
だいたいはそんな感じらしい・・・
それで先ほど、帰り際に坂本がこちらをちらっと見た意味を理解した。
彼が不思議に思ったのは、なぜ、俺が本当の理由を言わなかったのか・・・だろう・・・
まぁ、言えなかったわけだけど・・・
「坂本君のこと、かばってるの?」
「いや・・・別にそんなつもりでもないけど・・・」
「私も嫌いなんだ、坂本君・・・」
そういうと、女子生徒は可愛らしくニコッとすると、2階へスカートをひらひらさせながら、駆け上がって行く。その後ろ姿を見ながら、
(なんか俺には住みにくそうな世界だな・・・
でも、ただの暴力的な俺でなくて良かった・・・)
蓮君は心の中で呟いた。
12章 蓮君の場合(後半) 完 続く
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