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第3話 悪役令嬢に転生出来なかったけど、魂は魅了してしまうようです。
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諸君、目覚めのいい朝だな。
こんな清々しい朝は是非炙った鉄球を食べたまえ。悪役令嬢の味がして絶品だ。
清々しい朝と鉄球の味が素晴らしかったが、しかし、俺には最近ちょっとした悩みがある。転生へのレパートリーが日に日に減っていくことだ。
「飛び降りはもちろん毎日試しているが地面を破壊するばかり。どんな毒を服用しようと腹すら下さぬ。首吊りも効果なし。ぶら下がるのは心地いいので昼寝の時にはいいが。指パチンで酸素を通さぬバリアを張り就寝したが効果なし。周りの重力をあげて潰れてしまおうと実行したが効果なし。身体を操り四方に引き裂こうとしたが頑丈過ぎてビクともせぬ。いっそ魔法で女体化してしまえと実行してみたが何の変化もなかった」
せめて女になれれば令嬢になれると言うのに。悪役を目指し……いやしかし、自ら悪役令嬢になるのは何か違うのか?
それでは悪役令嬢転生モノではなく、悪役令嬢変身モノではないか。魔女っ子のアイテムを使って悪役令嬢に変身か、悪くない。
「マジカルロジカルひげカール、悪役ガールに神変ール!」
くるくる回ってみたが変身出来ぬ。ポーズが必要か?
「変身! ぱあああ! 悪役令嬢ミックスレベルシャボンダマロワイヤル! 参上!」
ふむ。ちょっと違う気がする。バイクに乗らねば。
「ブオンブオン、ギュルルルルル、ピカー! プオンプオンプオン変、身! 悪役仮面レイジョー参上!」
これだ!!
――くぅ、しかし、変身のシーンは完璧だが、俺は変身するのではなくて転生がしたいのだ。
「うぬぅ、心臓一回取り出してみるか? 出て来てくれるかな? しんちゃん? お友達が来てくれたわよ、貴方とお話したいって。『話すことなんかない、友達なんかいない』わざわざ遠いのに来てくれたのよ。『…………勝手に来たんだろ』そんなに昨日の給食の鳩の丸焼きが嫌だったの?『そうだよ! 俺は鳩になりたかったんだ! なのにあんな! あんまりだ!』食べられない鳩だっているじゃない、きっとしんちゃんなら鳩になれるわ。『俺はキジバトになりたかったんだよ!!』大丈夫よ、空を飛んで逃げればいいじゃない! 『その手があったか』あと糞を撒き散らせばいいわ。『その手もあったか!』ミミズを大量に咥えて糞を撒き散らしながら飛ぶのよ! 『そうだね母さん、俺、ミミズを大量に咥えて糞を撒き散らしながら空を飛ぶよ!』しんちゃん! やっと鳥籠から出てくれるのね!『んー! 狭かったー!』」
窓枠に足を掛け、いざ空を飛ばんとすれば。
「君、私の見てない処で随分なことしてるみたいだね……」
背後から抱き止められる。
「げ、悪魔。帰って来ていたのか」
あともうちょっとでしんちゃん出てきてくれたのに。
「バカやってないで、出かける準備したら?」
「と言ってもな、特にないんだなこれが」
そう。今日はセーザの家に招かれている。
『転移魔法で昼に向かう』と書いた文を転送し、約束しているのだが、何か忘れたら帰ればいいし、特に何か準備していた訳でもないし。ん、まあ久しぶりにセーザに会えるのだし、おめかしでもして行くか。
「え、何でおめかしするの? 相手男の子だし君も男の子だよね? 相手お兄ちゃんじゃないんだからおめかしなんかしなくてもいいよね? 充分可愛いんだからそれ以上可愛くなったらまたあのガキンチョに襲われるよ?」
怖い。
「セーザは貴様とは違う」
「何でお兄ちゃんより信用されてるの!? アイツ嫌い!! シルベリウスのバカッ!! もう私知らないんだからね!」
どこのツンデレキャラなんだ。
額に二本指をやってヒュンッと姿を消す兄キリバイエ。俺も今度からアレしようかな、絶対楽しいじゃん。
こんな清々しい朝は是非炙った鉄球を食べたまえ。悪役令嬢の味がして絶品だ。
清々しい朝と鉄球の味が素晴らしかったが、しかし、俺には最近ちょっとした悩みがある。転生へのレパートリーが日に日に減っていくことだ。
「飛び降りはもちろん毎日試しているが地面を破壊するばかり。どんな毒を服用しようと腹すら下さぬ。首吊りも効果なし。ぶら下がるのは心地いいので昼寝の時にはいいが。指パチンで酸素を通さぬバリアを張り就寝したが効果なし。周りの重力をあげて潰れてしまおうと実行したが効果なし。身体を操り四方に引き裂こうとしたが頑丈過ぎてビクともせぬ。いっそ魔法で女体化してしまえと実行してみたが何の変化もなかった」
せめて女になれれば令嬢になれると言うのに。悪役を目指し……いやしかし、自ら悪役令嬢になるのは何か違うのか?
それでは悪役令嬢転生モノではなく、悪役令嬢変身モノではないか。魔女っ子のアイテムを使って悪役令嬢に変身か、悪くない。
「マジカルロジカルひげカール、悪役ガールに神変ール!」
くるくる回ってみたが変身出来ぬ。ポーズが必要か?
「変身! ぱあああ! 悪役令嬢ミックスレベルシャボンダマロワイヤル! 参上!」
ふむ。ちょっと違う気がする。バイクに乗らねば。
「ブオンブオン、ギュルルルルル、ピカー! プオンプオンプオン変、身! 悪役仮面レイジョー参上!」
これだ!!
――くぅ、しかし、変身のシーンは完璧だが、俺は変身するのではなくて転生がしたいのだ。
「うぬぅ、心臓一回取り出してみるか? 出て来てくれるかな? しんちゃん? お友達が来てくれたわよ、貴方とお話したいって。『話すことなんかない、友達なんかいない』わざわざ遠いのに来てくれたのよ。『…………勝手に来たんだろ』そんなに昨日の給食の鳩の丸焼きが嫌だったの?『そうだよ! 俺は鳩になりたかったんだ! なのにあんな! あんまりだ!』食べられない鳩だっているじゃない、きっとしんちゃんなら鳩になれるわ。『俺はキジバトになりたかったんだよ!!』大丈夫よ、空を飛んで逃げればいいじゃない! 『その手があったか』あと糞を撒き散らせばいいわ。『その手もあったか!』ミミズを大量に咥えて糞を撒き散らしながら飛ぶのよ! 『そうだね母さん、俺、ミミズを大量に咥えて糞を撒き散らしながら空を飛ぶよ!』しんちゃん! やっと鳥籠から出てくれるのね!『んー! 狭かったー!』」
窓枠に足を掛け、いざ空を飛ばんとすれば。
「君、私の見てない処で随分なことしてるみたいだね……」
背後から抱き止められる。
「げ、悪魔。帰って来ていたのか」
あともうちょっとでしんちゃん出てきてくれたのに。
「バカやってないで、出かける準備したら?」
「と言ってもな、特にないんだなこれが」
そう。今日はセーザの家に招かれている。
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怖い。
「セーザは貴様とは違う」
「何でお兄ちゃんより信用されてるの!? アイツ嫌い!! シルベリウスのバカッ!! もう私知らないんだからね!」
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