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第十三章
267話 覚醒
しおりを挟むヴァントリアとセルと別れてから、人気のない所まで来てしまった。資料室らしきものもなく、もしかしたら資料なんて元から残していないのかもしれないと気がつく。資料があればこの実験場の目的を知れたし、他にどんな実験をしているのかや、博士達の治すための実験にも役に立ったはずだ。
しかし組織は資料を残していない。そう考え顔を顰めながら、踵を返した時だった。
ぞくりと背筋に悪寒が走り、バッと後ろに振り返る。
振り返った先に、黒いモヤを纏う、真っ黒な衣を纏った黒い髪の男が立っていた。
そんな黒ばかりの中に一際目立つ青い宝石のような瞳を見つけただけで、空気が重たくのし掛かり、その存在に圧倒される。
その男は俺に歩み寄って来てから、目を瞬かせた。
「おっと、クソ餓鬼の呪いを辿ったのに間違えたか……。結構お前に吸収されたからな」
「お前……は、ゼクシィル」
「会ったことがあったか?」
会ったことなどないため、その質問には答えないことにした。相手の形の良い片眉が少し上がった気がしたが、無視を決め込み別の話題を振る。
「俺が吸収したってどういう」
「その剣だ、その聖剣レクサリオンは呪いを浄化するがその分多くの呪いを引き付ける、それを持っていたお前にヴァントリアの呪いが吸収されて、少しずつだがそれを剣が浄化している」
そんなことが起こっていたのか。俺が呪いにかかっていたなんて、身体に異常は感じられなかった。
「またその剣にヴァントリアの呪いが引き寄せられたら厄介だ。それは俺が貰っておこう」
「……っ!!」
腰の剣――レクサリオンに手を伸ばされ、素早く反応し彼よりも先に剣の取っ手を掴み引き抜く。
「ほう、俺と戦う気か? まあいい、少しでいい、たった少しでいいから俺を楽しませてみせろ」
ゼクシィルの腕が指示となり、呪いが襲いかかって来る。それをレクサリオンで斬って浄化しながら身を守る。
ゼクシィルの呪いは形を変え、白い触手となり攻撃してくる、それをも防げば、ゼクシィルは「ほう」と感嘆する。
「本当に少しだが、楽しめそうだ」
ゼクシィルは触手を赤色の巨大な臓物のような形に変化させ、それで攻撃を仕掛けてくる。
「あれはヴァントリアの……」
「クソ餓鬼が使えるのはここまでだ」
レクサリオンで防げるものの、鎧は空気中に蔓延するモヤに触れただけで溶けていく。また新調しないといけないな。
ゼクシィルは諦める気配がない、それどころか呪いをレベルアップさせていく、このままだと手がつけられなくなる。
「次だ」
ゼクシィルは心でも読んでいるのか、そう言って呪いの形を変化させる。
赤い臓物のような呪いが黒く染まり、紫色の茨のような形へと変化し、鞭のように攻撃される。それを避ければ、地面に叩きつけられただけで地面は広範囲で溶解し、蔓延する呪いは濃くなっていく。
呪いを吸い込んでしまったらしく、喉が焼けつくような痛みを訴え咳き込む。
その一瞬を突かれ、茨に身体を拘束された。
「うあああああああああッ!!」
ジュージューと音を鳴らし、鎧が溶け、皮膚が焼かれる。
「ぐ、ううううああああああ!」
力を振り絞り、レクサリオンの光を最大限に発する。茨は拘束を緩め、その一瞬を逃しはせず、レクサリオンで斬りつけて脱出した。
「なかなか粘るな。もう楽しめた、もう死んで良い」
紫色の茨が青い液体となり常に雨のように降り注ぎ、液体の塊はゼクシィルの意思で操られ襲いかかってくる。
呪いの雨に打たれてボロボロになった身体を引き摺るようにしながらそれを避け、レクサリオンの力を惜しみなく使い、その液体を切り刻んだ。
少しは量が減ったように見える。レクサリオンはきちんと浄化してくれているようだ。
「もう良いと言っているだろう」
「……!!」
一瞬にして目の前に現れたゼクシィルの蹴りが腹に打ち込まれ、壁に直撃する。
壁は瓦礫となり、貫通して、その向こう側の部屋へと投げ出された。
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辺りが騒がしくなり、炸裂音と共に俺のいる部屋の壁からウォルズが瓦礫と共に飛び出してくる。
「ウォルズ……!」
鎧はボロボロで、血まみれとなったその姿を見て思わず叫んで、駆け寄ろうとするが。
「ヴァントリア! 逃げろ!!」
そう言われ、一瞬足を止める。
瓦礫が降る向こう側に、その姿を捉えたからだ。
「ヴァントリア? クソ餓鬼がそこにいるのか?」
「その、声は……」
自分もびっくりするくらいか細い声が出て、自分の体が異常に震えていることに気が付いた。
青い液体を背後に構えながら、真っ黒な男がやってくる。青い液体と似た美しい青い瞳と目を合わせただけで、全身がすくむような感覚に陥った。
男の姿が砂のように消え、黒いモヤが真ん前に集まって男の姿へと変化した。
「ゼク、シィル」
「久しぶりだな、クソ餓鬼」
相手の手が頬に触れて、身体がビクッと震える。その手を払い除けるのは自分ではなく、ウォルズの手だった。
「ヴァントリア、逃げるんだ!」
「ウォルズ……!」
ウォルズが俺を庇いながら青い液体と戦う。あの青い液体はゼクシィルの呪いの姿らしい。
「ヴァントリア……!」
俺に伸ばされる呪いを、ウォルズが庇って受ける。悲鳴を上げのたうち回るウォルズを見て、駆け寄るが――――
ゼクシィルに腕を掴まれ、ぐいっと引き寄せられ、抱き締められる。
「離せ!! ウォルズ!」
「この男が好きなのか?」
ビクッと身体が反応を示す、それを、ゼクシィルは肯定と受け取った。
「そうか、そうなのか」
「だ、大事な仲間だ、好きに決まってる!!」
そう言い訳しながら相手の顔を見上げると、青い瞳に捉えられて抵抗する動きを止めてしまう。
顔がだんだんと近寄って来て、柔らかく、氷のように冷たい感触が唇の上に乗る。
「んんんんんんぅ――ッ!!」
いやだ、いやだ。
いやだ、いやだ!!
抵抗が成功し、ウォルズに手を伸ばしたとたん、彼にまとわりついていた青い呪いが自分の手に吸い込まれるような感覚に合った。
凄まじい寒気と共に、脳内が焼けつくような感覚に襲われる。徐々に目の前が霞んでいき、目の前が暗転した。
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目が覚めたら白い世界が広がっていた。
「オリオか……」
こう何度も来ると少しは慣れるものだ。
それより……誰のオリオなんだろう。
様々な門が並ぶその一つ、消えかかっている門に入ってみると、ぐらりと倒れ、地面に引き摺り込まれるようなお決まりの感覚がやってくる。
記憶の門に入っていないと言うことは現実で起きた干渉できない世界が待っている筈だ。
「……っ!!」
世界の輪郭が確かなものになった時、思わず息を呑む。
その世界は、真っ白な世界なんかではなくて色とりどりの、偽物の空なんかない世界だった。
「……前世の世界」
思わず呟いて、ビル群や、雑踏を眺めて息を漏らす。
「人多いな……」
引きこもりにはきつい。せめて、と人混みから目を逸らして空を隣に並ぶビルを眺めていると、屋上にゆらりと人影が現れる。作業員か何かだと思っていたが、人影は屋上から落ちていく。
俺はそれを見て無意識に走り出していた。
この世界が前世の世界だと言うことは、前世の記憶を持つ誰かの世界。俺がここにいると言うことは俺の世界ではない。
つまり、――ウォルズの、和泉晴仁の現実で起きた出来事。
人影は一瞬にして消え、人々の悲鳴が響き渡る。
人だかりのできたそこへ突っ込んでいき、干渉できない身体で通り抜けてすぐにその人の姿を捉えることが出来た。
「晴兄……!!」
嫌な予感はしていた、それが当たってしまった。
和泉晴仁は弱々しい声で呟いた。
「ばん……」
音となって消えていくその呟きの向こう側に、救急車の音が響いてくる。
「何やってるんだよ、晴兄……! どうして屋上から晴兄が……!」
何やってるんだよ、何してるんだよ。
晴兄は病院で手術を受け、一命を取り留めた。だが、目覚める気配はない。
そんな彼の元へ、父親と母親が駆けつける。
「晴仁……そんなに万鳴貴くんの死が辛かったのか」
「晴仁……晴仁!」
今、何て言った?
「晴仁……何であんな子に」
「やめなさい」
母親が責めるようにそう言い、父親がそれを止める。しばらくすると医者がやって来て、晴兄は今植物状態だと告げる。警察も事情聴取にやって来ているようで、父親が彼の部屋で遺書を発見したことを告げた。
晴仁の知り合いである万鳴貴が命を落としてから、彼が酒浸りになったこと、たびたび自殺を図っていたことを話す。
「…………」
ウォルズは確かに酒好きだったけど、……でも、そんな。
晴兄は、俺のせいで死んだのか……?
いや、まだ生きてはいるんだ。
ぐらりと現実世界が歪み、白い世界へと放り出される。
消えかかっている別の門へ慌てて入れば、今度は彼が目を覚まし、ぼうっと窓の外を眺めている様子が目に入った。
「万……」
そう呟いてから布団を握り締め、涙を流す和泉晴仁。
その様子を見て視界が涙で霞む。
「なんで、なんで。俺なんか……俺と会ったのは一度だけじゃないか!」
なのに、どうして。
あんなに元気いっぱいだったウォルズが、少しも今の晴兄と重ならなくて、それを理解した途端どんどん涙が溢れてくる。
母親が病室に入って来て、目覚めている晴仁を見て涙を流す。
晴兄はその様子を見て何を思ったのか、「WoRLD oF SHiSUTo……」と呟いた。
「あっちの世界に戻らなくちゃ」
「晴兄、だめだ、戻ってきたら……晴兄が死ぬなんて嫌だ……!」
また世界が歪み、オリオに放り出される。
ゼクシィルの呪いに門が侵食されていく。それを確認した時、その声は響いた。
『早く戻ってこいヴァントリア、兄さんが来てもいいのか?』
「うるさい、うるさい……! 今は晴兄のことが先だ!」
ゼクシィルからの返事はしばらく来なかったが、突然、彼の息を呑む声が聞こえた。
『……! 兄さん、どうしてここに、やめろ、やっと、あいつと……ヴァントリアと会えたんだぞ!!』
「ゼクシィル?」
彼の寂しそうな声に僅かながら反応する。
『離せ、離せええええええええええええええッ!!』
オリオが七色の光を発し、白い世界が終わりを告げ、目覚めるのだと分かる。その光に身を委ねるように、光の熱さを身体に感じるように、目を閉じた。
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目覚めると、ウォルズはピクリとも動かず地面に倒れていた。
彼の流す血の量に圧倒され、立つことが出来ず、這いつくばって彼の元へ行く。
「ウォルズ……ウォルズ」
呪いの紋様を浮かべた彼の身体を揺する。
しかしウォルズの目は開かない。
「ウォルズ、ウォルズ……っ」
涙が溢れ、拭うことなく彼の顔に落としていく。
「ウォルズ……っ」
揺すっても揺すっても、彼が目を覚ますことはない。
揺する手を止めると、それ以上揺することが出来なくて、更に涙の量を増やした。
しばらくすると、突然おぞましい寒気を感じ、意識が飛びそうになる。嫌だともがくが、脳裏に浮かぶ伸ばされる複数の手を振り解くことが出来ない。
ぐらりと身体が横に揺れた時、心地よい熱い手に支えられた。熱い体温が支えられた腕に残り、意識を手放した。
.。.:✽・゜+.。.:✽・゜+.。.:✽・゜+.。.:✽・゜+.。.:✽・゜+
目が覚めると、すぐにウォルズのことを目に映した。
「え……」
彼の火傷のような傷口は消えていた。見た感じ彼の周りに漂っていた呪いもないように見える。彼の身体に浮かんでいた呪いも消えていた。
すぐに胸に耳を付けて、脈を確かめる。
「生き……てる」
ほっとしてから。気を失う前、支えてくれた熱い体温の手を思い出した。
あの七色の光といい、……もしかして、ヒオゥネが助けてくれたのか?
そう思っていると、ウォルズの睫毛が震え、彼の水晶のように澄んだ瞳が開かれる。目と目が合うと、彼が口を開いた。
「お前は……」
彼から出たとは思えない低い声が辺りに響く。
「ヴァントリア・オルテイル!!」
その瞳は激しく吊り上がる。まるで前世のゲームの世界で唯一ヴァントリアにだけ見せた、憎しみの込められたような瞳だった。
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