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第十二章

258話 邪魔者

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「……いやだ……いやだって、言ったのに……どうして……なんで俺なんかを、守ったんだ……なんで……っ」

 なんでこんなことになったんだ。なんでだ……。
 テイガイアも、ラルフも、ヒオゥネも死んじゃった。誰も救えなかった、誰一人として救えなかった。人を助けて償っていくと、苦しむ誰かを助けたいと願ってきたのに、目標として皆と頑張ってきたのに、身近な人さえ救うことができなかった。

「死なないでくれ……ヒオゥネ。死なないで……。テイガイア、ラルフ……ごめん、ごめん……ッみんな、ごめん……」

 俺は何もできない。弱い。力もない。誰も守れない。
 俺に力があれば、守れたのかな。いや、きっと、力があっても、ヴァントリアじゃ、俺じゃあ、守れない。
 もともと、俺じゃ、誰も救うことなんかできなかったんだ。俺なんかが、誰かを救おうと考えたことが、間違いだった。

「うううう、ううう、うああああ」

 誰か助けて。
 力の無い俺を、無力な俺を、とんでもない無力な俺を。
 誰も救えないように自分を作った俺を壊して、生まれ変わらせてくれ。前世の記憶を思い出したって俺は俺だ、ヴァントリア・オルテイル以外の誰にもなれないんだ。
 周囲の人々を不幸にしていく、この世界で一番の嫌われ者。
 誰も助けられないから、誰も助けちゃくれない。
 助ける価値もない、俺はヴァントリア・オルテイル。存在している意味さえ不思議と思えてくる奴だ。
 俺はなぜここにいるんだろう。
 この世界はなぜ、俺が死ぬことを許してくれないんだろう。
 世界にも嫌われていて、誰も救えない運命にある俺は生きている。なのに、なぜ救う力を持った人が死んでしまったんだろう。
 俺は一体なんなんだろう。


 何がしたくて、生きているんだろう。


 半分のくせに生き続けていて。


 誰よりもこの世界にしがみついているのに。




 なぜそうしているのか、わからない。



「うううううううううあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

 テイガイア、俺に救われたって、言ったけど。
 俺は、救えなかったんだ。

「あ。あああああああああ、あああ、ああ……っ」

 救いたいと思った時に救えなきゃ、救えたことにはならないんだ。

「俺、は」

 一体なんのために。

「俺はぁ、あぁ……!!」



 一体、なんのために生かされているんだ。


.。.:✽・゜+.。.:✽・゜+.。.:✽・゜+.。.:✽・゜+.。.:✽・゜+


 ガラガラガラと背後で音がして、弾かれるように振り返る。そこには黒髪の男性が立っていて、その背中を見て思わず駆け寄る。
 ああ、ああ。まだ、絶望するには早かった。

「テイガイア……!」

 彼は名前を呼ばれるとこちらに振り返る。

「生きてたのか! 良かった、良かった……!」

 胸に抱きついて喜ぶ。

「バン様……」
「生きててくれて嬉しい……嬉しい、テイガイア……」
「私も、生きていて嬉しいです」

 テイガイアは状況が飲み込めたようで、そう言って抱きしめ返してくる。

「ラルフは……?」
「……わかりません。もしかしたら……助からなかったかもしれない」
「……ラルフ。助けられなかった。助けるって言ったのに、結局お前達を、助けられなかった」
「バン様……。お墓を作ってあげましょう、ラルフくんだけの分じゃなくて、みんなの分全部」
「うん……」

 テイガイアの胸に縋って涙を流すと、テイガイアも肩を震わせて泣いているようだった。

「本当に、本当に良かった。テイガイアが、生きていてくれて。ラルフのことは悲しい……けど、お前が生きててくれて本当に、良かった」
「勝手に殺すな」
「「え!?」」

 そんな声がしたと思ったら、ガラガラと音を鳴らし残骸からラルフが出てくる。

「ら、ラルフ!」
「ラルフくん!」

 二人して抱きつくと、「離れろ暑苦しい!」と引っ剥がされる。

「照れないでください」
「照れてねえんだよ!」
「良かった……二人とも、生きてた……よかった。よかった……」

 涙がポロポロと流れ、いい加減枯れそうだなと思った時だった。

「……バン、二人じゃないんだ」

 ラルフがそんなことを言い出す。

「え……」

 まさか、ヒオゥネ――……。

 ヒオゥネに目を向けるが、しかし、また近くでガラガラガラッと言う音がして、ラルフの方へと振り向く。ラルフの後ろには、たくさんの子供達がいた。

「…………は?」

 数十人の子供達がみんなぽけーっとしてから、キョロキョロしはじめて。それから、触手の残骸を手にとって目を輝かせ隣の子と話し始めた。ちなみに全員男であり、見た顔である。

「あ、アトクタの生徒達……!?」
「一体何が起こってるんだ……」
「さあ、この俺にも分からない」

 〝俺〟……? あ、そうか、もう俺タチじゃない、のか。

「バークレイくんもいますね」
「アレにはラルフの精神が入っていると思う」
「呪いが、解けたってことか?」
「ああ、試しに触手を出そうとしても、出ない」
「…………まさか、そんな、呪いを解く方法なんて……呪いを解くのは愛する者の口付け…………ハッ! まさか!! 私の愛を受け入れてくださったのですか、バン様!」
「な!? そ、そんなわけないだろ! オリオに行った後にキスじゃ呪いは解けないって分かったじゃないか!」
「アレは額だったからかもしれません、唇同士で……だったからこそ、解けたのではないかと。……バン様」
「顔を近づけるな!」

 何をする気だ!

「オリオは精神の世界なんですよ!? いいじゃないですか現実でも一回くらいその唇にキスをさせてくれても! あなたの唇は蕩けるように甘かった……忘れられません。バン様……んー♡」
「やめろ! 子供の前だぞ! んー♡じゃない!」
「精神年齢は私と同い年だと思いますよ」
「いいから顔を近づけるな、腰を抱くな!」

 精神年齢が高い子供達とラルフの協力もあって、テイガイアを離してもらえる。

「しっかし、一体何がどうしてこうなったんだろうなぁ?」

 言ったのはラルフでもテイガイアでもない。俺でもない。小学生くらいの子供だった。その子供の言葉に、「せめて成長した姿になりたかったよねー」「何なんだよ、ったく、この気味の悪い光景。何この骨みたいな奴」「もしかして、この二人ラルフと、テイガイアなのか? 絶対大っきくなったらイケメンになるとは思ってたけど……ムカつくな」「イケメン? 僕のことかな? んふふ」「今の話でどうしてそう思ったんだ」「……バカ、だからだと思うのですが、あ、何でもないです……ごめんなさい」と次々と答えていってきりがない。
 ラルフだけはディオンの身体だからか戸惑っているようで無言だ。いや、この状況を理解しようと考えているのかもしれない。

「……呪いが解けるって言ったって、おかしくないか? ラルフ達の身体は溶けていて、みんなで集合してやっと身体を手に入れたって言ってたじゃないか」

 その疑問には大人のラルフが答えた。

「……そうだな、精神も集合してやっとこの俺をメインに動けるようになった筈なのに」

 ラルフの疑問にはテイガイアが答える。

「溶ける呪いだったのでは?」

 テイガイアの疑問には俺が答えた。

「……いや、たくさんの呪いを受けたら44層みたいに溶けるんだと思う。だから、全部の呪いが解けて元に戻ったんじゃないか?」

 もう迷宮入りだ。

「一体何が起こったんだ、一体誰がこんなことを……?」

 テイガイアが言えば、子供達も考えるそぶりを見せる、ただ、ラルフだけがそのそぶりを見せなかった。

「ラルフ?」
「こんなことが出来るのは、一人しかいない……」

 ラルフが俺を見る、テイガイアも、子供達も、皆俺を見ていた。
 それから、皆の視線は俺を通り越して、俺の背後に向かう。振り向けば、そこにはヒオゥネの姿。

「…………ヒ、ヒオゥネが、みんなを助けたってことか?」
「……ヒオゥネくんの目的は、自分へ向けられた呪いを吸収することです、彼が呼んでいる擬似呪いとはより濃く扱い安いもの。そして自分で自分を呪わせるような行為を行い作り出したものであるから呪いと区別して擬似呪いと呼んでいる。反呪いアイテムも呪いの吸収率が高いものをそう呼んでいるだけですからね。同じ性質のものでもよく考えれば別物であるということでしょう。例えば水を氷と言うように。氷は氷でも水であることも分かっているものだ。けれど、氷と水は別のものであることも確かです。呪いと擬似呪いは同じであり異なる存在。恐らく、私達の呪いは限界に近づいていたんでしょう。それを彼が自分を恨ませる方向へ変えて、一瞬で全て吸い取ったことにより、呪いが解けた……」
「それだけじゃないだろうな、アイツはこの俺より呪いの扱いに長けている。……たぶん、皆の身体を戻したのは、ヴァントリアが半分の身体で生きているのと同じ方法で助けたんだ」
「じゃ……じゃあ、ヒオゥネは呪いさえ吸えれば、みんなを助けるつもりだったってことか?」
「さあ、そのことは彼にしかわかりません」

 でも、アトクタの皆まで無事だったと言うことは……ヒオゥネはその方法を知ってたってことじゃないか。研究しているうちに、調べたってことなんじゃないのか。偶然たどり着いたにしても、ヒオゥネがどうしてアトクタの皆を救うんだ。どうして魔獣化したラルフやテイガイアの呪いを解いてくれるんだ?

「ヒオゥネ……」

 皆気付かないはずはない、誰もヒオゥネに尋ねようとはしなかった。しかし。

「ヒオゥネくんとは、研究室で会ったことがある。彼はその頃からハイブリッドについて調べていた」

 子供の一人、ディオンが言った。

「さらにハイブリッドの実験を手伝ったこともあると言っていた。僕が羨ましいと言えば、何故だと聞かれたよ。人を苦しめることが羨ましいなんて、変な人ですねって」

 テイガイアもラルフも俺も、他の生徒達もポカンと口を開け放つ。

「え、でも……ヒオゥネは、その実験を……」
「言いたいことは分かる。僕もそう言ったんだ、そんなこと言ってるが、君こそ苦しめている張本人じゃないかと。そうしたら彼が言ったんだ」

 皆不思議と静かだった。続きの言葉が気になっていたんだ。

「大切な人を救う為にしていることであって望んでやっていることではないと」
「……大切な人」

 ウロボスの王宮で話してくれた人のことか。一体、誰なんだろう。ヒオゥネにとって、大切な人。家族は……いないと言っていたし。

「人を苦しめることは好きじゃないが、その人を救う為なら手段は選ばないと言っていた」
「……そ、それって一体、誰なんだ?」

 そう聞けば、相手は溜息をついて目を横に逸らした。

「会ったことがないらしい」
「「「「は?」」」」

 皆で声を揃えて間抜けな声を出せば、ディオンは溜息をつく。

「会ったことがない人だけど、愛しているらしい」
「愛……して」

 つきん、と胸の奥が痛くなる。
 その人のために、たくさんの人を苦しめて、傷付けて、実験までして死ぬより酷いことを続けてきたって言うのか。会ったこともない人を、救うために? 意味がわからない。
 テイガイアの隣に立っていた子供が言う。

「会ったことがなくても愛してるってことは、親……とか?」
「いや、両親がいないと聞いて、もしかしてと質問したことがあったけど、親ではないらしいよ」

 ディオンが答えれば、その隣の子供が怪訝な顔をして言った。

「……親じゃないなら誰だよ、会わないと友人にもなれないし、好きにもなれないだろ、意味わかんねえ」
「兄弟とか?」
「兄弟はいないらしい」

 今度はそれを聞いて、その後ろの子が言う。

「頭のネジが外れてるんじゃねえの? とんでもないバカだと思ってた人が実は天才だったって話もあるし……」
「おい誰のこと言ってんだ」

 前の子が後ろに向き直ってその子の襟首を掴み上げた。その隣の子がつぶやく。

「……多分君のことを言ってるんです。あ……何でもないです……ごめんなさい」

 ディオンが再び話し始める。

「会ったこともない相手を愛してるなんて、たぶん、妄想かなんかだと思う。その為に大勢の人が犠牲になった。許せることじゃないよ」
「私もバン様に初めて会った後、幻を作り出してしまったのではないかと考えましたからね。ヒオゥネくんは幻を作り出してしまったんでしょう、そして、自分でもそのことに気付いていた。もしかしたら、呪いで実体化させるつもりだったのでは?」
「ひえ~……どんな化け物が生まれるんだよそれ」
「でも良かったな、アイツがいないだけで実験は進まなくなるぞ!」
「そ、そうだ! もう死んでるんだ、不安になることはない……!」
「だが、死んだとなればみんなを助ける方法が分からなくなったぞ。ハイオンの脳みそでも解剖してみるか?」
「俺たちじゃ神童の頭には追いつけねえよな……。実験してたのは何年も前だし」
「でも焦る必要はないだろ、ゆっくり実験が出来る。被害者はもう出ないんだから」
「当然の報い……ですよね、あ……ごめんなさい」
「大切な人ってのがあいつの中だけの幻の人物だとしても、誰かの為にやったんだよな。でも、やったことは最悪だからな。その……死んでくれてよかった。……こいつ底が知れねえし」
「そうだな、こんなこと思うのはあれだけど、コイツが死ぬだけでも地下都市が救われた」
「どうして会ってもいない相手の為にここまで出来るかな……こえー」

 ……俺は、みんなの声を聞くのが怖かった。
 ……たぶん、地下都市全体が、そう思うのだろう。だから、俺もそう思わないといけない。そう思わないのはおかしいことだ。
 みんなが喜んでいる中、喜ぶそぶりを見せない俺を見て、テイガイアが優しく肩に手を置いてくる。

「バン様、ヒオゥネくんはたくさんの人を、殺してきました。私とラルフくんが、彼を殺したんです。記憶はありませんが……良かったです。人を殺してしまいましたが、でも、あなたを助けられた。あなたが無事だった。それだけで、私は良かったと思えます」
「テイガイア……」

 名前を呼べは、テイガイアは優しく微笑んで、心底、安心したように笑う。

「あなたはとても優しい人だ。ヒオゥネくんが死んでしまったことが、悲しいんでしょう」
「……っ、なんで!」
「分かります。あなたが喜んでいる方が違和感を感じてしまうでしょうね。大丈夫です、あなたに責任はありません。私が殺したのだから、私に責任があります。でも、私が人を殺してしまったことに対しても悲しんでいるのなら、先ほども言った通り、私はあなたを守れたことが誇らしい。ですから気にしないでください」
「…………う、ん」

 そうじゃないとは言えなかった。テイガイアが人を傷付けてしまったこと、殺してしまったことが悲しいと思ったのは事実だけれど、責任はあるんだ。だってヒオゥネは俺を守って……テイガイアやラルフのことも俺には助けられなかったんだ。助けたのはヒオゥネなんだ。

 ……俺は、役立たずの足手纏いで邪魔にしかならないいらない存在だ。


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