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第二章
19話 薬とは
しおりを挟む博士とイルエラの元に着くと、イルエラは博士のそばにはいなかったがきちんと言い付けを守って待っていてくれた。
博士はと言うと、地面に完全に伏し、動くこともままならない状態になっていた。
「博士っ!」
そばに駆け寄ると、イルエラの眉間に皺が寄る。
「何故そんな男にばかり構う」
「皆を助けるにはこの人の力が必要だ」
ジノやイルエラ、地下の者達に実験をしていたことは許せないが。
博士に薬を飲ませようとするが、口を開かない。
「博士、飲まなきゃ——」
「それではダメだ。調合、しないと」
効き目がないのか。
調合? 確かに手伝った時は出来たが、彼に手取り足取り教えて貰ってやっと出来たんだぞ。それを一人でやるなんて。
「大丈夫……。簡単だ。白い瓶に、その粉をひとつまみ入れるだけで良い」
言われる通りにやった。ひとつまみ入れるだけ。
「何だそれは……これが薬だと」
イルエラは気分が悪くなったと口を抑える。
匂いはキツイし、白い瓶の中から触手がうねうねしているし。
サングラス越しに博士は目をキラキラと輝かせる。
「君は……天才か。どうして薬をそんなに美味しそうに作れる」
お前もどれほど変食なんだ。これが食えるのか。
その言い分だと俺の作ったものは通常の薬とは異なる形態ということか。よしならモザイクをかけておこうか。
博士に触手の端を噛ませる。グロいが仕方がない。噛みちぎられた触手は再生したが、これはつまり永久になくならない薬ができたということではないだろうか。
「これが薬? 主食ではないのか。何という味だ。最高だ。蕩けるような舌触り、良い香りが胃袋から口へ流れてきて後味も最高だ。胃の中で蠢く様も最高の至福」
お前の食レポでわかった。俺は絶対に食べたくない。
博士は少し元気になったのか、自ら起き上がって立ち上がる。それにつられるように立つと、ぎゅっと手を握られ、顔を近づけられる。
……げ。
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