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16話「戦後処理」
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激戦を終えた戦場で、勝利した第三大陸側による後始末が始まっていた。
凍結した地面に足元を取られつつ敵の全滅を確認する戦士たち。
負傷者の手当ても着実に進んでいる。
そんな中フォルテは未だ丘の上で重装兵の手当てを待ちながら荒れ果てた草原を眺めていた。
そこにフォルテの眼下から誰かが丘を登ってくる。
三角帽をかぶり、戦士を引き連れた魔法使い。軍師だ。
「フォルテ様! お怪我はありませぬか!?」
「ああ、俺は大丈夫だ。だからこの付き合ってくれた戦士さんの治療を頼む」
「当然です……君たち!」
魔法使いが指示を出すと、お付きの戦士たちが重装兵を担ぎ丘の下へ運んでいく。
しかし重装兵は「一人で降りられる!」と元気な様子だ。
フォルテはそれを見て安心し微笑むと、改めて軍師に向き直る。
目の合った軍師は、早々にフォルテへ深々と頭を下げた。
そして声を揺らめかせながら、感謝の言葉をフォルテに告げる。
「此度は敵軍の殲滅から負傷兵の応急処置まで、本当にお世話になりました」
軍師の感謝に照れ臭くなり、無言で頬をかくフォルテ。
丘の下を歩く戦士の中には氷で傷を塞がれた者もあり、おかげで失血を免れた戦士も多くいた。軍師は続ける。
「我が軍は幸いにも死者ゼロという快挙ともいえる戦果を残すことができました。これも全て、フォルテ様のおかげです」
どこまでも真摯に感謝を告げる軍師。
いたたまれなくなったフォルテは、軍師の肩をたたき顔を上げさせ、語りかける。
「俺も軍師さんに助けられたんだ。我が儘を聞いてくれただけじゃなく、俺の策を理解した指示も出してくれただろ?」
「い、いえそれは……なんとなく理解できただけで……!」
「それでもだ。本当にありがとう」
そう言って再度肩を叩くと、魔法使いは流れる涙を袖で拭った。
彼にとってはあり得るはずのなかった憧れの偉人との共闘だったのだから無理もない。
そんな中、丘の中腹から軍師を呼ぶ声が聞こえる。
呼びかけを聞いた軍師は涙を拭って表情を整え、二人は丘を降りていく。
中腹に降りると、二人は思わず驚いた。
そこにいたのは敵将が騎乗していたモンスター……なのだが、凍り付いているはずの彼は、何故か凍結から抜け出し、氷を砕いて脱出しようとしていた。
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軍師の感謝に照れ臭くなり、無言で頬をかくフォルテ。
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