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翌朝
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目を覚ますと、天蓋付きの大きなベッドの上で、私は一人だった。見渡すと、豪華な部屋のつくりで王の寝室だとすぐに分かる。
「・・・」
って言うか、私、熟睡してた!?嘘でしょ?標的を目の前にして、熟睡した!?
かなりのショックで呆然とする。
部屋の中を見る限り、エヴァンは居ない。そんなに、眠っていたのだろうか?
時計を確認すると、7時6分を指し示している。
すると、隣の部屋から話し声がするのに気がついた。直ぐに、足音を立てずに扉の前まで行き、聞き耳を立てる。
「昨日、城壁を越えたのは、1人の魔術師だということ以外は何も分からなかったのですか?」
知らない男の声だった。
昨日……城壁を越えたのは、ロイド隊長だ。
まさか、バレてる!?
瞬間的に、冷や汗が背中を伝う。
「かなりの魔術師だったと思われます。おそらく、陛下の結界に気がついて、城内への侵入はしなかったものの、一瞬で気配を消されて、巻かれました。」
この声は……騎士団長のクレインだ。一度聞いた声は忘れない。
良かった。私と会っていたことまではバレていないようだ。
「はははは。城壁を守る騎士が撒かれたのか?それはまた、困ったな。」
「陛下!笑い事ではありません!しかし、どこの国の者でしょう?」
「・・・そうだな。おそらく、リヴェリア王国だろうな。」
「とうとう、王都まで来たということは、何か仕掛けて来るかもしれませんね。こちらからも、攻撃しますか?」
!!
ロイド隊長が、危ない!?
「……いや、まだ良い。放っておけ。」
「陛下!甘く見てはなりません!必ずや騎士団の名誉にかけて!リヴェリアなど3日で滅亡させてみせます!」
「落ち着け、クレイン。私は、可能な限りは戦争以外の方法をとりたい。もう少し、様子を見よう。」
「しかし…!!」
「すまんな。もう少し待ってくれ。だが、次に何かあればリヴェリアを攻撃する。その時は頼む。」
「解りました……」
「そんなにガッカリするな。次は侵入者を捕まえてくれるんだろう?」
「は!必ず!」
「信頼しているよ。まぁ、この位は予想していたじゃないか。リヴェリアは、トルキア国との婚姻による同盟関係に危機感を感じている。騎士団員には、気を引き締めよと伝えておけ。」
「は!」
クレイン騎士団長の足音が聞こえて、部屋から出ていったのを確認する。
・・・話の内容に、気になる点がいくつかあった。
『戦争以外の方法』とは何か?リヴェリア国の女王暗殺とか?・・・何か策を考えているのかもしれない。
それとも、本当に・・・エヴァン国王は、私の聞いていた人物像とは異なるということだろうか?
「・・・」
いや、その前に、ロイド隊長が危険だ。先にそれを知らせなくては。暗殺失敗したことも・・・。
連絡は、別の方法にする必要がある。でも、この結界の中で、私が魔法を使って外部と交信していたら、魔術師だと気がつかれてしまう可能性もある。
昨日、暗殺しておけば、こんな問題に直面しなかったのに!!
あの人を、暗殺しておけば・・・。
そう思った瞬間、心臓がギュウと締め付けられた。
我が女王は、世界平和の為にと仰った。
世界平和の為に?戦争をするのか?何かを守るために誰かを殺すのか?平和とはいったいなんなのだろう。
足音を立てずにベットに戻る。
ガウンを拾い上げて、毒針と、枕の下の呪符を取り出し、箱の中にしまう。
人間、考えてはいけないことがある。
それは同情だと思っている。同情など所詮は偽善だからだ。自分に利益が無いからだ。人を助けられるだけの余裕がある者の、優越感の為だからだ。
殺すべき相手に対して、情など持つべきではない。この国王が居なくなった場合の、この国の行く末など、私には関係ない。・・・・関係無い?本当に?
みんな幸せそうだった。安定した治世だ。それが壊れるのではないか?
ダメダメダメ!私には、そんなこと分からない!
もう既に、任務は始まっている。
後戻りはできない。
そして今、私は暗殺に失敗した。
隊長の言葉を思い出す。
『状況が悪化した場合は・・・』
この人を殺さなければ、私には帰る場所などない。
「・・・」
って言うか、私、熟睡してた!?嘘でしょ?標的を目の前にして、熟睡した!?
かなりのショックで呆然とする。
部屋の中を見る限り、エヴァンは居ない。そんなに、眠っていたのだろうか?
時計を確認すると、7時6分を指し示している。
すると、隣の部屋から話し声がするのに気がついた。直ぐに、足音を立てずに扉の前まで行き、聞き耳を立てる。
「昨日、城壁を越えたのは、1人の魔術師だということ以外は何も分からなかったのですか?」
知らない男の声だった。
昨日……城壁を越えたのは、ロイド隊長だ。
まさか、バレてる!?
瞬間的に、冷や汗が背中を伝う。
「かなりの魔術師だったと思われます。おそらく、陛下の結界に気がついて、城内への侵入はしなかったものの、一瞬で気配を消されて、巻かれました。」
この声は……騎士団長のクレインだ。一度聞いた声は忘れない。
良かった。私と会っていたことまではバレていないようだ。
「はははは。城壁を守る騎士が撒かれたのか?それはまた、困ったな。」
「陛下!笑い事ではありません!しかし、どこの国の者でしょう?」
「・・・そうだな。おそらく、リヴェリア王国だろうな。」
「とうとう、王都まで来たということは、何か仕掛けて来るかもしれませんね。こちらからも、攻撃しますか?」
!!
ロイド隊長が、危ない!?
「……いや、まだ良い。放っておけ。」
「陛下!甘く見てはなりません!必ずや騎士団の名誉にかけて!リヴェリアなど3日で滅亡させてみせます!」
「落ち着け、クレイン。私は、可能な限りは戦争以外の方法をとりたい。もう少し、様子を見よう。」
「しかし…!!」
「すまんな。もう少し待ってくれ。だが、次に何かあればリヴェリアを攻撃する。その時は頼む。」
「解りました……」
「そんなにガッカリするな。次は侵入者を捕まえてくれるんだろう?」
「は!必ず!」
「信頼しているよ。まぁ、この位は予想していたじゃないか。リヴェリアは、トルキア国との婚姻による同盟関係に危機感を感じている。騎士団員には、気を引き締めよと伝えておけ。」
「は!」
クレイン騎士団長の足音が聞こえて、部屋から出ていったのを確認する。
・・・話の内容に、気になる点がいくつかあった。
『戦争以外の方法』とは何か?リヴェリア国の女王暗殺とか?・・・何か策を考えているのかもしれない。
それとも、本当に・・・エヴァン国王は、私の聞いていた人物像とは異なるということだろうか?
「・・・」
いや、その前に、ロイド隊長が危険だ。先にそれを知らせなくては。暗殺失敗したことも・・・。
連絡は、別の方法にする必要がある。でも、この結界の中で、私が魔法を使って外部と交信していたら、魔術師だと気がつかれてしまう可能性もある。
昨日、暗殺しておけば、こんな問題に直面しなかったのに!!
あの人を、暗殺しておけば・・・。
そう思った瞬間、心臓がギュウと締め付けられた。
我が女王は、世界平和の為にと仰った。
世界平和の為に?戦争をするのか?何かを守るために誰かを殺すのか?平和とはいったいなんなのだろう。
足音を立てずにベットに戻る。
ガウンを拾い上げて、毒針と、枕の下の呪符を取り出し、箱の中にしまう。
人間、考えてはいけないことがある。
それは同情だと思っている。同情など所詮は偽善だからだ。自分に利益が無いからだ。人を助けられるだけの余裕がある者の、優越感の為だからだ。
殺すべき相手に対して、情など持つべきではない。この国王が居なくなった場合の、この国の行く末など、私には関係ない。・・・・関係無い?本当に?
みんな幸せそうだった。安定した治世だ。それが壊れるのではないか?
ダメダメダメ!私には、そんなこと分からない!
もう既に、任務は始まっている。
後戻りはできない。
そして今、私は暗殺に失敗した。
隊長の言葉を思い出す。
『状況が悪化した場合は・・・』
この人を殺さなければ、私には帰る場所などない。
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