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Episode 11 決意
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ジャンは、真っ直ぐ私に視線を向けて言った。
「明朝、戦場に行くことになった。」
私は、グラスを手に取って、水をゴクリと飲み込んだ。そして、テーブルに置いて言う。
「どうして?」
ジャンも、グラスに手を伸ばして、一口飲んでから言う。
「今、隣国から侵攻されているらしい。まぁ、対応はしている様子だが、止め切れていないらしい。首都まで来る前に止めたいそうだ。」
私は、目を吊り上げる。
「どうして、ジャンが行くの?!人間の争い事なんか、嫌いだって言ってたじゃない!」
私の剣幕に、執事のポールが少し仰け反る。
少しだけ、ポカンとした顔をしてから、ジャンは苦笑して言った。
「そうだな。しかし、交渉に失敗してしまった。あの男は、好きな女の為に、王の命令を無視するやつでは無いようだ。さすがは軍人というべきか。」
戦場?戦争に行く?
人間に傷つけられても、誰かを傷つけたりしないこの人が?
「感心してる場合じゃないよ!絶対に行かないで!戦場なんて、絶対にダメ!」
「ルナ。心配するな。竜の鱗は矢も刃も通さない。結構頑丈なんだ。」
軽い口調で、何でもない事のようにジャンは言った。
だけど、私は首を振る。
ガチャン!!とテーブルを叩きつけると、私は立ち上がった。
「心配するよ!!嫌だ!絶対に行かないで!!翼麟を返さないと、戦争に参加しないって言えば良いじゃん!」
「戦場に行かなければ、翼麟を返さないと、あちらは言って来る。」
「そんなの!何度でも同じこと繰り返し言えばいい!相手にしなきゃいい!」
「・・・どうどう巡りだろう?本当に翼麟を返してもらえなくなっては困る。別に、私が参加しなくても、勝てる戦なのだろうしな。」
私は、ずんずんと、ジャンの傍まで行く。
ジャンの服を握りしめて引っ張る。
イメージは、胸ぐらを掴んだ感じなんだけど、あまりうまくいってない・・・。
「私が、今からあなたを縛り上げてでも、行かせないって言ったら?」
ジャンは、立ち上がって、困った顔で笑う。
「私が戦うわけではなく、子供騙しのお飾りだ。どうってことはない。」
私を誤魔化そうとする、その笑い顔が嫌いだ。
「どうってこと、ないわけない!!あなたの心は!確実に擦り減ってるでしょ!?」
ドンッ!と、ジャンの胸をグーで叩く。
「ジャンが平気でも、私は平気じゃない!」
これ以上、傷ついて欲しくない。
自分の体が、汚れていくなんて、思ってほしくない。
「ルナ・・・」
切なそうな声に、顔を上げると、彼の金色の目が、キラキラと揺らめいて、彼の胸にあった私の手を、あなたはギュッと握った。
数秒だけ、見つめ合う。
優しく細められた、金色の目。
ゆっくりと、落ちて来る唇に、誘われるようにして、私は目を閉じた。
そっと触れるだけのキス。
そのスピードは、すごくゆっくりで、スローモーションみたいだった。
唇が離れた感覚と共に、私は俯いた。ジャンは、そんな私を包み込むみたいに抱きしめた。
苦しい程に力強くじゃなくて、ふわって抱きしめてくれる、ジャンが好きだ。
今までもずっと、嫌なら、いつだって逃げられる位の力でしか、あなたは私に触れない。
だから私は、
ジャンの背中に腕を回して、しっかりと抱きしめた。
もっと、もっと、強く抱きしめて欲しくて。
あなたを守りたくて、強く強く抱きしめた。
「行かないで!お願いだから、行かないでよ!」
だけど、あなたは、何も言わずに私の頭を撫でるだけだった。
◇◇◇◇
その夜、
ベッドに入ると、いつものように、ジャンは隣で眠る。
そうっと、手を伸ばす。
彼の手を探り当てて、その手を握って眠りにつく。
うつらうつらと眠りに入る瞬間、その手が、きゅうっと握り返してきたような気がした。
朝、目が覚めると、ジャンはいなかった。
早朝・・・そう言っていたもんね。
不貞腐れた顔で、私は朝食を1人でとって、ボーーーっとした。
暫く一人になりたいと言うと、みんなそうしてくれた。
身の回りのことが、ひと段落してからウォークインクローゼットに入る。
クローゼットの中にある鏡を見て、手を当てる。
何の変化も起きなかった。
まぁ、あれから何度か、声をかけたけれども、ルナベルが出てくることは無かった。
この世界に来た時に、元の世界では夜だったのに、こっちは朝だった。時間の流れが違うのかもしれない。
鏡をしっかり見据えてから、深呼吸をする。
「よし!決めた!」
私は、腹を決めて、鏡を横倒しにしてから、鏡面を床に押し付けて見えないようにする。
その上に、近くにあった荷物などを乗せていく。
ルナベルが出てこようと思っても来れないようにだ。
ルナベルに、呼びかけるのは、ジャンの翼麟が見つかってからにする!自分が、元の世界に戻るのは、ジャンが空に帰ってからにする!
ルナベルだって、そのうち、王子の所に戻って来たくなるはず。
だけど、今はダメ。
ジャンを1人、残してなんか行けないもの。
彼を、もう1人ぼっちに出来ない!
何もできなくても、傍にいてあげたい。
もちろん、何もしないつもりもない!
私は、なんとか1人でお城に行く準備をする。
ポールに話して、馬車を準備してもらって、お城に向かった。
もう1度、お城に行って、翼麟をさがしてやる!!
「明朝、戦場に行くことになった。」
私は、グラスを手に取って、水をゴクリと飲み込んだ。そして、テーブルに置いて言う。
「どうして?」
ジャンも、グラスに手を伸ばして、一口飲んでから言う。
「今、隣国から侵攻されているらしい。まぁ、対応はしている様子だが、止め切れていないらしい。首都まで来る前に止めたいそうだ。」
私は、目を吊り上げる。
「どうして、ジャンが行くの?!人間の争い事なんか、嫌いだって言ってたじゃない!」
私の剣幕に、執事のポールが少し仰け反る。
少しだけ、ポカンとした顔をしてから、ジャンは苦笑して言った。
「そうだな。しかし、交渉に失敗してしまった。あの男は、好きな女の為に、王の命令を無視するやつでは無いようだ。さすがは軍人というべきか。」
戦場?戦争に行く?
人間に傷つけられても、誰かを傷つけたりしないこの人が?
「感心してる場合じゃないよ!絶対に行かないで!戦場なんて、絶対にダメ!」
「ルナ。心配するな。竜の鱗は矢も刃も通さない。結構頑丈なんだ。」
軽い口調で、何でもない事のようにジャンは言った。
だけど、私は首を振る。
ガチャン!!とテーブルを叩きつけると、私は立ち上がった。
「心配するよ!!嫌だ!絶対に行かないで!!翼麟を返さないと、戦争に参加しないって言えば良いじゃん!」
「戦場に行かなければ、翼麟を返さないと、あちらは言って来る。」
「そんなの!何度でも同じこと繰り返し言えばいい!相手にしなきゃいい!」
「・・・どうどう巡りだろう?本当に翼麟を返してもらえなくなっては困る。別に、私が参加しなくても、勝てる戦なのだろうしな。」
私は、ずんずんと、ジャンの傍まで行く。
ジャンの服を握りしめて引っ張る。
イメージは、胸ぐらを掴んだ感じなんだけど、あまりうまくいってない・・・。
「私が、今からあなたを縛り上げてでも、行かせないって言ったら?」
ジャンは、立ち上がって、困った顔で笑う。
「私が戦うわけではなく、子供騙しのお飾りだ。どうってことはない。」
私を誤魔化そうとする、その笑い顔が嫌いだ。
「どうってこと、ないわけない!!あなたの心は!確実に擦り減ってるでしょ!?」
ドンッ!と、ジャンの胸をグーで叩く。
「ジャンが平気でも、私は平気じゃない!」
これ以上、傷ついて欲しくない。
自分の体が、汚れていくなんて、思ってほしくない。
「ルナ・・・」
切なそうな声に、顔を上げると、彼の金色の目が、キラキラと揺らめいて、彼の胸にあった私の手を、あなたはギュッと握った。
数秒だけ、見つめ合う。
優しく細められた、金色の目。
ゆっくりと、落ちて来る唇に、誘われるようにして、私は目を閉じた。
そっと触れるだけのキス。
そのスピードは、すごくゆっくりで、スローモーションみたいだった。
唇が離れた感覚と共に、私は俯いた。ジャンは、そんな私を包み込むみたいに抱きしめた。
苦しい程に力強くじゃなくて、ふわって抱きしめてくれる、ジャンが好きだ。
今までもずっと、嫌なら、いつだって逃げられる位の力でしか、あなたは私に触れない。
だから私は、
ジャンの背中に腕を回して、しっかりと抱きしめた。
もっと、もっと、強く抱きしめて欲しくて。
あなたを守りたくて、強く強く抱きしめた。
「行かないで!お願いだから、行かないでよ!」
だけど、あなたは、何も言わずに私の頭を撫でるだけだった。
◇◇◇◇
その夜、
ベッドに入ると、いつものように、ジャンは隣で眠る。
そうっと、手を伸ばす。
彼の手を探り当てて、その手を握って眠りにつく。
うつらうつらと眠りに入る瞬間、その手が、きゅうっと握り返してきたような気がした。
朝、目が覚めると、ジャンはいなかった。
早朝・・・そう言っていたもんね。
不貞腐れた顔で、私は朝食を1人でとって、ボーーーっとした。
暫く一人になりたいと言うと、みんなそうしてくれた。
身の回りのことが、ひと段落してからウォークインクローゼットに入る。
クローゼットの中にある鏡を見て、手を当てる。
何の変化も起きなかった。
まぁ、あれから何度か、声をかけたけれども、ルナベルが出てくることは無かった。
この世界に来た時に、元の世界では夜だったのに、こっちは朝だった。時間の流れが違うのかもしれない。
鏡をしっかり見据えてから、深呼吸をする。
「よし!決めた!」
私は、腹を決めて、鏡を横倒しにしてから、鏡面を床に押し付けて見えないようにする。
その上に、近くにあった荷物などを乗せていく。
ルナベルが出てこようと思っても来れないようにだ。
ルナベルに、呼びかけるのは、ジャンの翼麟が見つかってからにする!自分が、元の世界に戻るのは、ジャンが空に帰ってからにする!
ルナベルだって、そのうち、王子の所に戻って来たくなるはず。
だけど、今はダメ。
ジャンを1人、残してなんか行けないもの。
彼を、もう1人ぼっちに出来ない!
何もできなくても、傍にいてあげたい。
もちろん、何もしないつもりもない!
私は、なんとか1人でお城に行く準備をする。
ポールに話して、馬車を準備してもらって、お城に向かった。
もう1度、お城に行って、翼麟をさがしてやる!!
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