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16.重大な有害事象② ※
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テオドールの舐めた部分に、じわり、と唾液が浸みて、藍色の生地がより濃く染まる。
「あ、すったら……だめっ…これ、へん…んっ」
「シリル兄さんはあかちゃんに吸われて、こんなになっちゃうんだ?」
「ひっ……あ、そんなの…あ、あかちゃんにすわせたこと、ないし。
わかんな…っ、ん……あっ」
テオドールはおれの制止も全然きかないで、ちゅう、と音が立つほどにさらに強く吸い上げる。思わずテオドールの頭を撫でていた手に力がこもって押さえつけてしまう。
「この生地、とても手触りがいいね」
テオの大きな手、気持ちいい。
寝間着の感触を確かめているのか、わき腹の辺りを柔らかく撫でてくる。
「ふっ……これ、ダニエルといっしょにつくった生地…で」
「へえ……?」
こそばゆいだけじゃなくて、もっと違う感覚がわき腹から広がるのがわかる。
どんどん熱くなる身体に、呼吸が荒くなってはぁはぁと空気を求めて何度も息を吸う。
ん?テオどうしたんだ?怖い顔して。
「せっけんも、そうなんだ…けど」
「石鹸も……」
手が止まって、少し思考する余力ができる。
ダニエルは商会を運営している友人で、この寝間着の生地はフォレスター領の特産品としておれが中心になって作成した生地だ。
テオドールのお墨付きがあれば、間違いなく商品として販売できるだろう。
石鹸は商品ではないけれど、おれが個人的にお願いしてダニエルにつくってもらったものだ。
「ふーん……」
なに?その声。低くて怖い。怒ってるみたいな。やっぱり、テオ怒ってるんじゃん。
そんな声は嫌だな、なんて思っていると両手をとられて、手首を易々と束ねられてしまう。そして、おれの足の間にぐっとテオドールが割って入ってきた。
「ひぅっ!……んっちょ……まって、そこ……っ!!」
テオの膝があたって、押し付けられて、こんなのダメだ。
だって、おれ乳首を吸われて気持ち良くなっちゃってるから!膝でぐりぐりされたら、そのまま圧迫されて、もっと気持ち良くなっちゃう。
「ん、んんっ……あ、あ…やだっ」
「ダメだよ。別の男からもらった服を着て、匂いをまとってベッドで待ってるなんて……」
「んっあ、でも……これ…」
「たくさん汚して、もう着れなくしようか」
「あ、やだっ…生地こすれて、……ぁっ…ん、ぁ」
この生地は張りがあってさらっとしているのだけど、擦れるとその分だけ刺激になる。
「擦れて、気持ち良くなっちゃうんだ?」
そう。気持ち良く、なっちゃう。
「んっ…っあ、あ…も、て、はなして……っ…んん、あっ」
服に擦れて気持ち良くなってるなんて……これなら、自分で触って自分で達した方がまだいい。
テオ、ちから強すぎ。おれ全然敵わない。
「ダメ。
ここのままイけたら、僕が全部、触ってあげる」
そんなこと。
テオドールに服の上から乳首すわれて、わき腹や太もも、腰を優しく撫でられて。テオドールの膝と生地とに弱いところ擦られて、気持ち良くなるなんて……。
「んっ、ん…むり、できな……あっ!」
「お気に入りの、服なんでしょう?」
その言い方だと、擦れて気持ち良くなるからお気に入り、みたい。違うから。さらさらして、通気性が良くて、寝心地が良くて。
何より色が気に入ってて。
だって、この生地は。
「あっ………ぜんぶ、テオの…」
「……………僕の?」
テオドールの動きが止まって、銀色の瞳とようやく目が合う。
あ、やっと、聞いてくれる?
テオの瞳はやっぱり綺麗。
本当に月みたいにきらきらしている。月を覆うけぶるような藍色の睫毛は、まるで月の影のようで。
全部、おれの大好きな色だ。
「このいろ……テオのいろを……」
おれはテオの髪の色を……透明感があるのに深い藍色を再現したくて、この生地を作ったんだ。
生地本体は日本でいうところの、麻に似た繊維に絹を混ぜて織りあげて、すぐに完成したのだけど、この世界で、テオドールの髪のように深い藍色の染料になるものを見つけるのは意外と大変で……。
でももっと、テオの髪は本当にもっと深くて、もっときれいな藍色だから。
だから、色を決めるまでに何年もかけて、作り直してもらって、ようやく納得できる色になって。途中でダニエルには嫌がられたけど。
その生地を使った試作品がこの服なのだ。
張りのある藍色の生地が僅かに持つ光沢が、さらりと揺れた時のテオの髪にとても似ていて、おれの一押しポイントだ。
通気性が良いから着心地がいいし、上品な光沢があるから外出着に仕立ててもいい。
ジャケットなんか、格好いいと思う。きっとテオに似合う。銀の刺繍を入れれば完璧だ。
それに。
「せっけんも、テオに……あげようと思ってたのに……」
忙しいテオに何かしてあげたくて。
おれが精霊力を注いで育てたドミール草から抽出したオイルを使って作った石鹸だ。
「なのに……なんでそんなに、いじわるなんだよぉ」
生地も石鹸も、そんなに気に入らなかった?
いつも、おれが作ったもの、よろこんでもらってくれるのに。
あれも気い使ってただけで、本当は迷惑だったとか?
あ、なんかそう思ったら、悲しくなってきた。
思ったが早いか、鼻の奥がつんとした。じわっと視界が滲んできて、今にも泣きそうなのだと分かるけど、これでも兄なのに弟の前で泣いてはいけないとぐっとこらえる。
目尻にテオドールの指が優しく触れた。
「あ、すったら……だめっ…これ、へん…んっ」
「シリル兄さんはあかちゃんに吸われて、こんなになっちゃうんだ?」
「ひっ……あ、そんなの…あ、あかちゃんにすわせたこと、ないし。
わかんな…っ、ん……あっ」
テオドールはおれの制止も全然きかないで、ちゅう、と音が立つほどにさらに強く吸い上げる。思わずテオドールの頭を撫でていた手に力がこもって押さえつけてしまう。
「この生地、とても手触りがいいね」
テオの大きな手、気持ちいい。
寝間着の感触を確かめているのか、わき腹の辺りを柔らかく撫でてくる。
「ふっ……これ、ダニエルといっしょにつくった生地…で」
「へえ……?」
こそばゆいだけじゃなくて、もっと違う感覚がわき腹から広がるのがわかる。
どんどん熱くなる身体に、呼吸が荒くなってはぁはぁと空気を求めて何度も息を吸う。
ん?テオどうしたんだ?怖い顔して。
「せっけんも、そうなんだ…けど」
「石鹸も……」
手が止まって、少し思考する余力ができる。
ダニエルは商会を運営している友人で、この寝間着の生地はフォレスター領の特産品としておれが中心になって作成した生地だ。
テオドールのお墨付きがあれば、間違いなく商品として販売できるだろう。
石鹸は商品ではないけれど、おれが個人的にお願いしてダニエルにつくってもらったものだ。
「ふーん……」
なに?その声。低くて怖い。怒ってるみたいな。やっぱり、テオ怒ってるんじゃん。
そんな声は嫌だな、なんて思っていると両手をとられて、手首を易々と束ねられてしまう。そして、おれの足の間にぐっとテオドールが割って入ってきた。
「ひぅっ!……んっちょ……まって、そこ……っ!!」
テオの膝があたって、押し付けられて、こんなのダメだ。
だって、おれ乳首を吸われて気持ち良くなっちゃってるから!膝でぐりぐりされたら、そのまま圧迫されて、もっと気持ち良くなっちゃう。
「ん、んんっ……あ、あ…やだっ」
「ダメだよ。別の男からもらった服を着て、匂いをまとってベッドで待ってるなんて……」
「んっあ、でも……これ…」
「たくさん汚して、もう着れなくしようか」
「あ、やだっ…生地こすれて、……ぁっ…ん、ぁ」
この生地は張りがあってさらっとしているのだけど、擦れるとその分だけ刺激になる。
「擦れて、気持ち良くなっちゃうんだ?」
そう。気持ち良く、なっちゃう。
「んっ…っあ、あ…も、て、はなして……っ…んん、あっ」
服に擦れて気持ち良くなってるなんて……これなら、自分で触って自分で達した方がまだいい。
テオ、ちから強すぎ。おれ全然敵わない。
「ダメ。
ここのままイけたら、僕が全部、触ってあげる」
そんなこと。
テオドールに服の上から乳首すわれて、わき腹や太もも、腰を優しく撫でられて。テオドールの膝と生地とに弱いところ擦られて、気持ち良くなるなんて……。
「んっ、ん…むり、できな……あっ!」
「お気に入りの、服なんでしょう?」
その言い方だと、擦れて気持ち良くなるからお気に入り、みたい。違うから。さらさらして、通気性が良くて、寝心地が良くて。
何より色が気に入ってて。
だって、この生地は。
「あっ………ぜんぶ、テオの…」
「……………僕の?」
テオドールの動きが止まって、銀色の瞳とようやく目が合う。
あ、やっと、聞いてくれる?
テオの瞳はやっぱり綺麗。
本当に月みたいにきらきらしている。月を覆うけぶるような藍色の睫毛は、まるで月の影のようで。
全部、おれの大好きな色だ。
「このいろ……テオのいろを……」
おれはテオの髪の色を……透明感があるのに深い藍色を再現したくて、この生地を作ったんだ。
生地本体は日本でいうところの、麻に似た繊維に絹を混ぜて織りあげて、すぐに完成したのだけど、この世界で、テオドールの髪のように深い藍色の染料になるものを見つけるのは意外と大変で……。
でももっと、テオの髪は本当にもっと深くて、もっときれいな藍色だから。
だから、色を決めるまでに何年もかけて、作り直してもらって、ようやく納得できる色になって。途中でダニエルには嫌がられたけど。
その生地を使った試作品がこの服なのだ。
張りのある藍色の生地が僅かに持つ光沢が、さらりと揺れた時のテオの髪にとても似ていて、おれの一押しポイントだ。
通気性が良いから着心地がいいし、上品な光沢があるから外出着に仕立ててもいい。
ジャケットなんか、格好いいと思う。きっとテオに似合う。銀の刺繍を入れれば完璧だ。
それに。
「せっけんも、テオに……あげようと思ってたのに……」
忙しいテオに何かしてあげたくて。
おれが精霊力を注いで育てたドミール草から抽出したオイルを使って作った石鹸だ。
「なのに……なんでそんなに、いじわるなんだよぉ」
生地も石鹸も、そんなに気に入らなかった?
いつも、おれが作ったもの、よろこんでもらってくれるのに。
あれも気い使ってただけで、本当は迷惑だったとか?
あ、なんかそう思ったら、悲しくなってきた。
思ったが早いか、鼻の奥がつんとした。じわっと視界が滲んできて、今にも泣きそうなのだと分かるけど、これでも兄なのに弟の前で泣いてはいけないとぐっとこらえる。
目尻にテオドールの指が優しく触れた。
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