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Ⅳ.お腹いっぱいで幸せ編
★16-3.僕、愛しいを知りました② ※
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更新停止しておりまして、大変申し訳ありません。
またまた、お話が脱落しておりました……。
誠に、誠に申し訳ありません!!!
★が追加部分です。
********
ぐちゅぐちゅと湿った音と、肌がぶつかる乾いた音、それに僕の声が重なって、僕とヴァルをいっぱいにする。
「奥、俺でいっぱいにしてやる」
「うあっ……ん、あっ……あぅぅ…っ」
「こうされんの、好きだろ。ルルド」
「んーっ……あ、ああっ……すき、これ、すきっ」
身体ごと揺さぶられるの、好き。
奥の突き当り、もうこれ以上ないところを、ヴァルの硬くて熱いので、ぐりぐりされるの大好き。
ぎゅうぎゅうにお腹がいっぱいになって、美味しくて気持ち良くて……でも、この沸き起こってくる嬉しい気持ちはそれだけじゃない。
「ルルド、好きだ」
「んっ……は、あっ……ヴァル、もっと言って」
「ああ、何度でも言ってやるよ。
好きだ、ルルド。全部、食い尽くしてやる」
奥を押さえつけられて、溢れるほどに甘い香りに包まれて、ふわふわと漂うような心地の中で、ヴァルが何度も僕の名前を読んで。
雨のように好きだという言葉が降ってきて、同時に僕の頭を優しく撫でてくれる。
ヴァル、もっと。もっと、なでなでして。
もっともっと、たくさん。
もっともっと、深くまで入ってきて。
「んっ……ヴァル…もっと…あ、あぁっ」
「あー……たまんねぇな」
ヴァルの声が、甘い。こんなに甘いもの、他に知らない。好きだって言われるたびに、名前を呼ばれるたびに、耳から脳が溶かされちゃいそう。
あちこちに口づけられて、それもまた甘くて、甘くて。とっても甘い。
雲の上にいるみたいにふわふわしてるのに。
身体が熱くて、重くて、お腹の奥がじくじくして。
心は甘くてぱちぱちして、味わったことのない甘さに、ぷるぷると震えちゃう。
これまで何度も身体を繋げてきたけれど。
これって、こんなだったっけ。
こんなに甘くて、美味しくて、とろけちゃいそうだったけ。
なのに、胸の奥深くがじんと痺れるような、悲しくないのに、涙がでちゃうような。
こんなに泣きそうなくらい、幸せだったっけ?
ヴァルが僕の中をかき回すたびに、ぐちゃぐちゃといやらしい音が絶え間なく鳴る。
甘くておいしいものを逃さないように、ヴァルに絡みついて。ヴァルにずっと中にいてほしいって言ってる。
僕の全部が、ヴァルを求めてる。
「あーっ……ヴァル……ヴァルぅ……」
「美味いか、ルルド」
「んっ……あ、うん……うん」
こんなの……美味しいなんて言葉じゃ到底言い表せない。
でも、他の言葉も見つからなくて、僕はただ肯定の言葉を繰り返した。
「はっ……そりゃあ、何よりだ」
一番奥が満たされて、たくさん擦られて、気持ちいいところを抉られて、甘くて美味しいもので満たされていく。
おいしくて。おいしくて。おいしい。
なのに、甘いだけじゃなくて、ちょっときゅうきゅうと全身が切なくなる。
そうだ。
これが、美味しいっていうより、愛しいって感じなんだ。
僕、ヴァルのことが、どうしようもないくらい愛しいんだ。
気づいたら、また一気にお腹の深いところから甘くて熱いものが込み上げてくる。
「んっ……ヴァル、ぼくっ……ぼく、また……っ」
また、きちゃう。また、イっちゃいそう。
「あー……俺も久々で……っ」
ヴァルのが中でぐっと固くなって、内側の粘膜とゴリゴリと擦れると、そこからまた愛しいのが伝わってくる。
これまでとは比べようがないほどに、甘くて濃い、僕もヴァルもまとめて溶かしちゃいそうな、愛しいものが。
ほしい。これが、ほしい。
「あ、あぁっ……ヴァル、ちょうだい……っ。
ぜんぶ……ぜんぶっ……ぼくの、なかに……ああっ」
これ、なんか違う。いつもと違うのが、きちゃう。
いつもよりもっと深いところから、大きいのが。
すごいのがきちゃう。
「ああ、全部くれてやる。こぼすなよ」
ヴァルの動きが激しくなって、抽挿が激しくなると、僕のお腹はもっときゅうきゅうと切なくなって、ヴァルに絡みつく。
熱くて硬いものが収縮した粘膜を擦って奥を穿つたびに、ぶわりっと美味しいものが流れ込んでくる。
漂う香りがどんどん濃くなって、むせかえるような芳香が僕とヴァルを包む。
僕の腰をヴァルがぐっと抱き寄せて、一際強く奥を穿った。
「んっ――――…っ!!」
瞬間、僕は声にならない嬌声と共に、まるでどこかに投げ出されたような感覚に襲われる。
僕の視界は真っ白になって、快感に飲みこまれた。
「くっ……」
勝手にがくがくと戦慄く身体を、ヴァルがぎゅっと包んでくれて、僕の中でヴァルが震えて。
ぶわわああぁぁぁ……っ
と、お腹の深いところから甘美で鮮やかな極上の蜜が溢れた。
ふわぁ……なに……これ。なに、これ。
頭がふわふわして。なのに、身体はずっしりと重たくて。お腹に残る絶頂の余韻は、また次の波を待っているように、甘く纏わりついている。
僕、前さわってないのに。後ろだけでイっちゃったんだ。
「んう~~っ……ヴァルぅ……」
ぎゅっとヴァルに抱き着いて、ヴァルを確かめる。
こうしてくっついてないと、僕が僕で、ここにいるのかわからない。
ヴァルがこうして僕を抱きしめてくれるから、僕は僕でここにいるんだって良くわかる。
僕、今……とっても美味しい……ううん、幸せな、とっても、とっても幸せな匂いに包まれてる。
僕、すごく満たされてる。
満たされて、溢れてきちゃう。
へん。へんなの。僕、幸せ。幸せなのに。
ううん。幸せ過ぎて、なんだか涙が止まらないよ。
「はぁ……あー……ルルド」
「んう……っ」
首にすりすりされて、ヴァルの髪の毛も、吐息も全部くすぐったい。
「溶けちまいそうだよ……お前の中は」
そうなの……?
ヴァルも溶けちゃいそうなの?
おそろいだね。
ああ。僕はもう溶けちゃってるけど。
どろどろに溶けて、自分の形も良くわからなくなってるよ。
ヴァルが触れたところから、ヴァルのいるお腹から、自分が満たされて、だから形がわかる。
ヴァルの愛に包まれて、優しくて、甘くて、あったかくて、美味しくて……。
匂いで、触れて、繋がって。改めて実感した。
やっぱり、僕。
全然わかってなかったんだって。
僕はもうたまらなくて。さらにヴァルをぎゅっと強く抱きしめた。
「ぐっ……ルルド、しめすぎだ…っ」
「やっぱり……ヴァル、すごく美味しい」
「………そうかよ」
「ヴァルが、美味しい。僕……僕、……美味しくて、イイ匂いで……すごく気持ちいいよぉ」
「俺もだよ」
ヴァルも。そっか、ヴァルもなんだ。
うれしいよ。僕、とってもうれしい。
「僕、ヴァルが好き」
ぴくりとヴァルが小さく震えた。
かかっていた重みが少し軽くなって、わずかに身を起こしたヴァルの瞳が、間近で見えて。
大きく見開かれた紫色が震えてた。
今なら、良くわかる。
ヴァルがどれだけ大切に、僕に触れてくれていたか。
ずっと、いつだって、初めから。
『俺が優しいと感じるなら、そりゃあお前が俺を好きだからだろ』
僕がちゃんと、自分の気持ちに気づいたから。
ヴァルのことを好きだって、わかったから。
だから、ヴァルがくれてるものの、言葉の、行為の、その根っこにある想いを、僕はちゃんと理解できるようになったんだ。
やっと、やっと……僕は、知った。
僕がヴァルを好きだから。
だからこんなに、僕の全部をひらいて、委ねて、ヴァルの全部を受け入れられる。
それが、何よりも気持ち良くて、嬉しくて、幸せなんだ。
ヴァルの紫色がだんだんと輝きを増し、揺らめいて歪む。
「好き……ヴァル。大好きだよ」
ああ、もう……もう。
どうして僕は、こんな大切なことをきちんと言葉にして伝えていなかったんだろう。
僕がヴァルと口づけるのが好きなのだって。
ヴァルが、美味しいのだって。
イイ匂いのだって。
いくらでも欲しくなっちゃうのだって。
全部、全部、ぜー……っんぶ、僕が、ヴァルを好きだから。
ヴァルはちゃんと、言ってくれたのに。
『ルルド。好きだ。 “澱み”に堕ちて仕方なく生き永らえるのとは、全然違う。
俺はお前が好きだよ。だから、お前といたいんだ。ずっと』
『俺を含めたこの世の全部がどうでも良かった俺が、お前となら生きてもいいって……。
できるだけ長いこと一緒にいたいって思うくらい。
俺はルルドが好きだ』
僕も。僕もだよ、ヴァル……。
「好き……ヴァル、大好き。好き……好き、……好きっ」
これまで言っていなかった分の想いが、言葉になって溢れてきた。
言っても言っても、全然言い足りなくて、ひどくもどかしくて、切なくて、どうしていいかわからなくて、僕はただひたすら同じ言葉を繰り返した。
「…………知ってたよ」
ぼつり、とヴァルが応えた。
「知ってたけど………」
ぱたぱたと、温かな滴が僕に降って、僕を熱く濡らしていく。
「あー………なんだ、これ……勝手に出て……」
ヴァルの紫色の双眸から、ぽろぽろと大粒の涙がこぼれていた。
ヴァルが泣いてる。
僕……初めて見た。
信じられない。
ヴァルが泣くところ、初めて見たんだ。
きれい。とってもきれい。
ヴァルの涙、とってもきれい。
ヴァル……これも全部、僕にちょうだい。
またまた、お話が脱落しておりました……。
誠に、誠に申し訳ありません!!!
★が追加部分です。
********
ぐちゅぐちゅと湿った音と、肌がぶつかる乾いた音、それに僕の声が重なって、僕とヴァルをいっぱいにする。
「奥、俺でいっぱいにしてやる」
「うあっ……ん、あっ……あぅぅ…っ」
「こうされんの、好きだろ。ルルド」
「んーっ……あ、ああっ……すき、これ、すきっ」
身体ごと揺さぶられるの、好き。
奥の突き当り、もうこれ以上ないところを、ヴァルの硬くて熱いので、ぐりぐりされるの大好き。
ぎゅうぎゅうにお腹がいっぱいになって、美味しくて気持ち良くて……でも、この沸き起こってくる嬉しい気持ちはそれだけじゃない。
「ルルド、好きだ」
「んっ……は、あっ……ヴァル、もっと言って」
「ああ、何度でも言ってやるよ。
好きだ、ルルド。全部、食い尽くしてやる」
奥を押さえつけられて、溢れるほどに甘い香りに包まれて、ふわふわと漂うような心地の中で、ヴァルが何度も僕の名前を読んで。
雨のように好きだという言葉が降ってきて、同時に僕の頭を優しく撫でてくれる。
ヴァル、もっと。もっと、なでなでして。
もっともっと、たくさん。
もっともっと、深くまで入ってきて。
「んっ……ヴァル…もっと…あ、あぁっ」
「あー……たまんねぇな」
ヴァルの声が、甘い。こんなに甘いもの、他に知らない。好きだって言われるたびに、名前を呼ばれるたびに、耳から脳が溶かされちゃいそう。
あちこちに口づけられて、それもまた甘くて、甘くて。とっても甘い。
雲の上にいるみたいにふわふわしてるのに。
身体が熱くて、重くて、お腹の奥がじくじくして。
心は甘くてぱちぱちして、味わったことのない甘さに、ぷるぷると震えちゃう。
これまで何度も身体を繋げてきたけれど。
これって、こんなだったっけ。
こんなに甘くて、美味しくて、とろけちゃいそうだったけ。
なのに、胸の奥深くがじんと痺れるような、悲しくないのに、涙がでちゃうような。
こんなに泣きそうなくらい、幸せだったっけ?
ヴァルが僕の中をかき回すたびに、ぐちゃぐちゃといやらしい音が絶え間なく鳴る。
甘くておいしいものを逃さないように、ヴァルに絡みついて。ヴァルにずっと中にいてほしいって言ってる。
僕の全部が、ヴァルを求めてる。
「あーっ……ヴァル……ヴァルぅ……」
「美味いか、ルルド」
「んっ……あ、うん……うん」
こんなの……美味しいなんて言葉じゃ到底言い表せない。
でも、他の言葉も見つからなくて、僕はただ肯定の言葉を繰り返した。
「はっ……そりゃあ、何よりだ」
一番奥が満たされて、たくさん擦られて、気持ちいいところを抉られて、甘くて美味しいもので満たされていく。
おいしくて。おいしくて。おいしい。
なのに、甘いだけじゃなくて、ちょっときゅうきゅうと全身が切なくなる。
そうだ。
これが、美味しいっていうより、愛しいって感じなんだ。
僕、ヴァルのことが、どうしようもないくらい愛しいんだ。
気づいたら、また一気にお腹の深いところから甘くて熱いものが込み上げてくる。
「んっ……ヴァル、ぼくっ……ぼく、また……っ」
また、きちゃう。また、イっちゃいそう。
「あー……俺も久々で……っ」
ヴァルのが中でぐっと固くなって、内側の粘膜とゴリゴリと擦れると、そこからまた愛しいのが伝わってくる。
これまでとは比べようがないほどに、甘くて濃い、僕もヴァルもまとめて溶かしちゃいそうな、愛しいものが。
ほしい。これが、ほしい。
「あ、あぁっ……ヴァル、ちょうだい……っ。
ぜんぶ……ぜんぶっ……ぼくの、なかに……ああっ」
これ、なんか違う。いつもと違うのが、きちゃう。
いつもよりもっと深いところから、大きいのが。
すごいのがきちゃう。
「ああ、全部くれてやる。こぼすなよ」
ヴァルの動きが激しくなって、抽挿が激しくなると、僕のお腹はもっときゅうきゅうと切なくなって、ヴァルに絡みつく。
熱くて硬いものが収縮した粘膜を擦って奥を穿つたびに、ぶわりっと美味しいものが流れ込んでくる。
漂う香りがどんどん濃くなって、むせかえるような芳香が僕とヴァルを包む。
僕の腰をヴァルがぐっと抱き寄せて、一際強く奥を穿った。
「んっ――――…っ!!」
瞬間、僕は声にならない嬌声と共に、まるでどこかに投げ出されたような感覚に襲われる。
僕の視界は真っ白になって、快感に飲みこまれた。
「くっ……」
勝手にがくがくと戦慄く身体を、ヴァルがぎゅっと包んでくれて、僕の中でヴァルが震えて。
ぶわわああぁぁぁ……っ
と、お腹の深いところから甘美で鮮やかな極上の蜜が溢れた。
ふわぁ……なに……これ。なに、これ。
頭がふわふわして。なのに、身体はずっしりと重たくて。お腹に残る絶頂の余韻は、また次の波を待っているように、甘く纏わりついている。
僕、前さわってないのに。後ろだけでイっちゃったんだ。
「んう~~っ……ヴァルぅ……」
ぎゅっとヴァルに抱き着いて、ヴァルを確かめる。
こうしてくっついてないと、僕が僕で、ここにいるのかわからない。
ヴァルがこうして僕を抱きしめてくれるから、僕は僕でここにいるんだって良くわかる。
僕、今……とっても美味しい……ううん、幸せな、とっても、とっても幸せな匂いに包まれてる。
僕、すごく満たされてる。
満たされて、溢れてきちゃう。
へん。へんなの。僕、幸せ。幸せなのに。
ううん。幸せ過ぎて、なんだか涙が止まらないよ。
「はぁ……あー……ルルド」
「んう……っ」
首にすりすりされて、ヴァルの髪の毛も、吐息も全部くすぐったい。
「溶けちまいそうだよ……お前の中は」
そうなの……?
ヴァルも溶けちゃいそうなの?
おそろいだね。
ああ。僕はもう溶けちゃってるけど。
どろどろに溶けて、自分の形も良くわからなくなってるよ。
ヴァルが触れたところから、ヴァルのいるお腹から、自分が満たされて、だから形がわかる。
ヴァルの愛に包まれて、優しくて、甘くて、あったかくて、美味しくて……。
匂いで、触れて、繋がって。改めて実感した。
やっぱり、僕。
全然わかってなかったんだって。
僕はもうたまらなくて。さらにヴァルをぎゅっと強く抱きしめた。
「ぐっ……ルルド、しめすぎだ…っ」
「やっぱり……ヴァル、すごく美味しい」
「………そうかよ」
「ヴァルが、美味しい。僕……僕、……美味しくて、イイ匂いで……すごく気持ちいいよぉ」
「俺もだよ」
ヴァルも。そっか、ヴァルもなんだ。
うれしいよ。僕、とってもうれしい。
「僕、ヴァルが好き」
ぴくりとヴァルが小さく震えた。
かかっていた重みが少し軽くなって、わずかに身を起こしたヴァルの瞳が、間近で見えて。
大きく見開かれた紫色が震えてた。
今なら、良くわかる。
ヴァルがどれだけ大切に、僕に触れてくれていたか。
ずっと、いつだって、初めから。
『俺が優しいと感じるなら、そりゃあお前が俺を好きだからだろ』
僕がちゃんと、自分の気持ちに気づいたから。
ヴァルのことを好きだって、わかったから。
だから、ヴァルがくれてるものの、言葉の、行為の、その根っこにある想いを、僕はちゃんと理解できるようになったんだ。
やっと、やっと……僕は、知った。
僕がヴァルを好きだから。
だからこんなに、僕の全部をひらいて、委ねて、ヴァルの全部を受け入れられる。
それが、何よりも気持ち良くて、嬉しくて、幸せなんだ。
ヴァルの紫色がだんだんと輝きを増し、揺らめいて歪む。
「好き……ヴァル。大好きだよ」
ああ、もう……もう。
どうして僕は、こんな大切なことをきちんと言葉にして伝えていなかったんだろう。
僕がヴァルと口づけるのが好きなのだって。
ヴァルが、美味しいのだって。
イイ匂いのだって。
いくらでも欲しくなっちゃうのだって。
全部、全部、ぜー……っんぶ、僕が、ヴァルを好きだから。
ヴァルはちゃんと、言ってくれたのに。
『ルルド。好きだ。 “澱み”に堕ちて仕方なく生き永らえるのとは、全然違う。
俺はお前が好きだよ。だから、お前といたいんだ。ずっと』
『俺を含めたこの世の全部がどうでも良かった俺が、お前となら生きてもいいって……。
できるだけ長いこと一緒にいたいって思うくらい。
俺はルルドが好きだ』
僕も。僕もだよ、ヴァル……。
「好き……ヴァル、大好き。好き……好き、……好きっ」
これまで言っていなかった分の想いが、言葉になって溢れてきた。
言っても言っても、全然言い足りなくて、ひどくもどかしくて、切なくて、どうしていいかわからなくて、僕はただひたすら同じ言葉を繰り返した。
「…………知ってたよ」
ぼつり、とヴァルが応えた。
「知ってたけど………」
ぱたぱたと、温かな滴が僕に降って、僕を熱く濡らしていく。
「あー………なんだ、これ……勝手に出て……」
ヴァルの紫色の双眸から、ぽろぽろと大粒の涙がこぼれていた。
ヴァルが泣いてる。
僕……初めて見た。
信じられない。
ヴァルが泣くところ、初めて見たんだ。
きれい。とってもきれい。
ヴァルの涙、とってもきれい。
ヴァル……これも全部、僕にちょうだい。
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