上 下
58 / 84
3.魔素計設置編

3-16.アレクの甘やかしたい気分 ※

しおりを挟む
 セフィリオに抱き締められて、俺は左の首筋に顔を埋める。
 ふわり、とセフィリオの甘い香りが漂ってきた。

「今日は、セフィを甘やかしたい気分だ」

 束ねられた銀髪をすくい、自分の色をした髪紐をもてあそびながら、そこに唇を落とす。

 ちらりと、首筋の白印が見えて、そこに誘われるように吸い付く。


「…っつ……。僕は、いつも、甘やかされてるよ…んっ…」

「…そんなこともないと思うけど」

「本気で言ってるの?…あっ…アレク」

「じゃあ、もっと甘やかすことにする」

 白印に、紅い印を散らしながら、セフィリオをベッドに横たえ、頬を撫でると、その手にすり寄る様に顔を寄せてくる。


「そんなことしたら、僕ダメ人間になる」

 まあ、俺はなってもらってもいいのだけど。

「セフィはならないよ」

 俺はなるかもしれないけれど。

「どうしてほしい?」


 頬にキスをして、こめかみに、額に、顔中に口づけを落とすと、くすぐったそうにセフィリオが笑って言う。

「たくさん触って、たくさんキスして」

「了解」

「誰よりも近くに一緒にいて」

「俺もそうしたい」


 そうして、セフィリオの薄い唇に、俺のを重ねる。何度か、確かめるように啄んで、深く混ざり合うようにキスをする。

 セフィリオの舌は、俺より薄くて、口の中は少しひんやりとしていて、触れ合う感触が甘い疼きとなって全身に広がる。
 セフィリオの身体も段々と緩んできて、普段は常に強張っているのだと切なくなる。

 上顎をくすぐられるのが弱くて、繰り返していると、溺れて縋る様にしがみつく手に力が入って、もっと溺れてほしくて、何度もゆっくり味わうように愛撫すると、空気を求めるように喘ぐ吐息がどんどん甘くなる。


 二人とも、隔てる布が邪魔で、お互いを脱がしあい、肌が触れ合う。


「…あ…もう、…んっ…」

 全身に手を這わせながら、上半身から隅々に口づけし、あちこちに印をつけていく。
 セフィリオはその印を嬉しそうに撫でながら、気持ちよさそうに俺を見ている。


「いっぱい、つけて」

 言われなくても。

 胸の突起にも口づけすると、ぴくり、と身体が震えて、舌で弾く様に刺激して、尖ったところに歯を立てる。
 反対側も指で挟むと、引っ張る様につまんで、先端を指の腹で擦る。


「っふぁ…それ、…きもちいい…あっ」

 空いている手は首筋から撫でおろして、鎖骨に沿わせ、肩に触れ、わき腹をくすぐって、腰をさすると、尻を揉む。繰り返し、そうしていると、汗ばんできた肌がしっとりと吸い付くようで、甘い香りが強くなり、


「んん、…もう、アレクっ」

 声が上ずり、俺の五感を刺激して、さらに興奮が高まってくる。

 欲しくて、でも欲しがってほしくて、もっともっと近づきたくなる。


 とろとろと蜜をこぼした、セフィリオの中心に触れると、くち、と湿った音がして、びくり、と身体が跳ねて、根元から先端へ何度も掴んだ手を這わす。


「あっ…ああっ!だめっ…それ、すぐ、いっちゃっ…あ、あっ!」

「いいよ」

 口づけを全身に続けながら、尻を撫でるように腰を支えて、その手で足の付け根と尻との境をなぞる様に触れていく。触れるか触れないか、後ろの蕾をくすぐると、身悶えて腰が揺れてくる。


「んん、…んぁっ…もう…さわって、…さわってっ!アレク、…せつない、よぅ」

 ベッドサイドから浄化薬と香油を取り出すと、一瞬セフィリオが驚いた顔をして、しかしそれは無視して、浄化薬を一包開封すると、彼の蜜をまとわせて、まだ閉じている蕾に指でゆっくりと押し込んでいく。


「…んうっ…これ、…ああっん、…アレク、まって、まってっ!」

 どうも、この浄化薬が苦手のようで、自分で魔術を使おうとするのだが、俺は自分がしたいので家中に忍ばせている。
 昨日着いたあとにこの屋敷にも配置済みだ。

 指をゆっくりと出し入れして、香油をまとわしながら、ぬるぬると滑る様に中に触れて、熱く緩みうねるのを感じながら、指を増やすと弾力のある快感の中心を探り当てる。


「ああっ!…だめ、だめっ!…ああっ…がまん、できな…あっ!」

 ぐり、とそこを抉る様に何度も強く押すように触れて、たっぷりと香油を注ぐと、水音が響き、セフィリオの快感が溜まってくる。

 その高まりを感じながら、それに自分自身の興奮も煽られて、わざと音を立てるように蕾を拡げながら、胸の突起を強く吸い、扱く手の律動を早くする。

「…あっ!だめっ!…わから、なく…なっちゃう!……ああっ!」

「なったらいい」

 訳が分からなくなるくらい、溺れたらいい。

 ああ、でも。
 もっと近づきたい。

「あっ!…アレク、…きてっ…いっしょ、に」

 快感に彷徨う瞳が俺をとらえて、その腕が力なく伸ばされる。ずくり、と自分の欲望が沸き起こり、どうしようもなく愛しくて。

 指を引き抜くと、セフィリオの身体が震えて、俺は両足を持ち上げると、ひくつく蕾にあてがった。

「…まってっ!ゆっくり…――ああぁっ!」

 ぐり、と奥に俺のもの当たる感触がして、その瞬間に、セフィリオの肢体が跳ねてしなり、何度も痙攣するようにびくつき、ぎゅっと力が入ると、それと共に白濁が彼の白い腹に散った。

 中が熱くうねって、強く締め付けるのを感じながら、汗ばんで紅潮した身体が、何度も震えるのを見つめていると、恍惚とした瞳と視線が合った。

 涙に濡れた目元を拭ってやると、切なそうに眉根が歪んで、


「だから、…まって、て、…いったのに」

 と、整わない息を吐きながら言うセフィリオに、身体を引き寄せられて、抱きしめられた。
 動きたい欲求に耐えていると、セフィリオの中で、ぴくり、と俺のがひくつく。
 すると、抱きしめる力が緩んで、身体が離れて、俺の顔を覗き込んでくる。

「我慢してる顔。…色っぽい」

 そう言って頬を撫でるセフィリオの方が、ずっと気だるげな妖艶な美しさがあって、熱がぐっと集まるのが分かる。

「なか、…アレクでいっぱい、だね」

 セフィリオの足が、するりと俺の足に触れて、腰に絡んでくる。
 すりすりと、撫でるように腰をさすられて、そこからぞくり、と快感が背内に走って、腰が熱く重くなる。

「も、…お前っ」

「アレク…すき、だいすき…いっぱい、して」


 強烈な誘惑に、かっと一気に欲望が滾り、俺はセフィリオを揺さぶる。
 反応を見ながら、快感の場所を探りながら、じっくりそこを押さえつけるようにこすり、さらに奥を抉る。

「あ、はっ…あついっ…それ、きもち…いい、…ああっ!」

「セフィ、すきだ」

 セフィリオは、俺のどんな欲求も受け入れてくれるけど、じわじわとしつこく、ゆっくり味わうように刺激する方が、溺れて惚けていくことを、俺は知っている。


「ん、…あ、あっ…もう、とけちゃう…あっ…ふっ」

 力なくよがりながら、それとは逆に中がぎゅうぎゅうと締まって絡みついてきて、とろとろと熱くからめとられて、俺にも強い快感が押し寄せてくる。

「可愛い。セフィ、可愛い。」

 たくさん触れて、たくさん口づけをし、溶けるくらいに熱く、何度も何度も奥に押し付けるように腰を揺らすと、そのたびに中が締まり、たらたらと彼の中心からはとめどなく蜜が溢れてくる。名前を呼び、好きだと囁き、愛しい身体を撫でる。


「あ、…ぼくっ、アレク、アレクっ…んんっ」

 名前を呼ばれると、愛しさが募って、ぎゅっと締め付けられて、俺も押し寄せる波に飲まれるように、眼前が白んでいく。


「…アレク、…アレクっ…きもちい、…おくっ」

 そういうと、セフィリオの足にぐっと力が入り、腰が締め上げられて、熱くうねる壁に強く押し付けられて、俺も堪らず、飲まれて爆ぜた。

 数回震えるように、欲をすべて吐き出すと、乱れた呼吸が整うまで、セフィリオをじっと抱きしめた。


 ふと、髪にセフィリオの手が触れて顔をあげると、とろけた顔をしたセフィリオがいて唇が重ねられ、舌が中に入ってくる。

 俺の口内をくすぐる小さな舌に、俺も舌を絡め擦り合わせていると、唾液が溢れてセフィリオの顎を伝う。ごくり、と嚥下する音が鳴り、それでも唇を食まれ、再びじわりと、熱が溜まってきて。


「アレク……僕、もっと、もっと、したい」

 口許で吐息混じりに囁かれて、煽られるがままに欲望が渦巻いて、中にいたままの俺は再び硬くなっていく。

 快感を求めて揺れる腰の扇情的な光景に、さらに煽られて、再び抽挿を繰り返すと、セフィリオは先ほどよりもさらに乱れた様子で、嬌声をあげて善がった。


 その姿が、可愛くて、愛しくてたまらなくて。セフィリオが意識を失うまで、終われなかった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

魔界最強に転生した社畜は、イケメン王子に奪い合われることになりました

タタミ
BL
ブラック企業に務める社畜・佐藤流嘉。 クリスマスも残業確定の非リア人生は、トラックの激突により突然終了する。 死後目覚めると、目の前で見目麗しい天使が微笑んでいた。 「ここは天国ではなく魔界です」 天使に会えたと喜んだのもつかの間、そこは天国などではなく魔法が当たり前にある世界・魔界だと知らされる。そして流嘉は、魔界に君臨する最強の支配者『至上様』に転生していたのだった。 「至上様、私に接吻を」 「あっ。ああ、接吻か……って、接吻!?なんだそれ、まさかキスですか!?」 何が起こっているのかわからないうちに、流嘉の前に現れたのは美しい4人の王子。この4王子にキスをして、結婚相手を選ばなければならないと言われて──!?

勇者の股間触ったらエライことになった

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
勇者さんが町にやってきた。 町の人は道の両脇で壁を作って、通り過ぎる勇者さんに手を振っていた。 オレは何となく勇者さんの股間を触ってみたんだけど、なんかヤバイことになっちゃったみたい。

思い込み激しめな友人の恋愛相談を、仕方なく聞いていただけのはずだった

たけむら
BL
思い込み激しめな友人の恋愛相談を、仕方なく聞いていただけのはずだった 大学の同期・仁島くんのことが好きになってしまった、と友人から世紀の大暴露を押し付けられた名和 正人(なわ まさと)は、その後も幾度となく呼び出されては、恋愛相談をされている。あまりのしつこさに、八つ当たりだと分かっていながらも、友人が好きになってしまったというお相手への怒りが次第に募っていく正人だったが…?

異世界転移したら豊穣の神でした ~イケメン王子たちが僕の夫の座を奪い合っています~

奈織
BL
勉強も運動もまるでダメなポンコツの僕が階段で足を滑らせると、そこは異世界でした。 どうやら僕は数十年に一度降臨する豊穣の神様らしくて、僕が幸せだと恵みの雨が降るらしい。 しかも豊穣神は男でも妊娠できて、生まれた子が次代の王になるってマジですか…? 才色兼備な3人の王子様が僕の夫候補らしい。 あの手この手でアプローチされても、ポンコツの僕が誰かを選ぶなんて出来ないです…。 そんな呑気で天然な豊穣神(受け)と、色々な事情を抱えながら豊穣神の夫になりたい3人の王子様(攻め)の物語。 ハーレムものです。

転生貧乏貴族は王子様のお気に入り!実はフリだったってわかったのでもう放してください!

音無野ウサギ
BL
ある日僕は前世を思い出した。下級貴族とはいえ王子様のお気に入りとして毎日楽しく過ごしてたのに。前世の記憶が僕のことを駄目だしする。わがまま駄目貴族だなんて気づきたくなかった。王子様が優しくしてくれてたのも実は裏があったなんて気づきたくなかった。品行方正になるぞって思ったのに! え?王子様なんでそんなに優しくしてくるんですか?ちょっとパーソナルスペース!! 調子に乗ってた貧乏貴族の主人公が慎ましくても確実な幸せを手に入れようとジタバタするお話です。

モフモフになった魔術師はエリート騎士の愛に困惑中

risashy
BL
魔術師団の落ちこぼれ魔術師、ローランド。 任務中にひょんなことからモフモフに変幻し、人間に戻れなくなってしまう。そんなところを騎士団の有望株アルヴィンに拾われ、命拾いしていた。 快適なペット生活を満喫する中、実はアルヴィンが自分を好きだと知る。 アルヴィンから語られる自分への愛に、ローランドは戸惑うものの——? 24000字程度の短編です。 ※BL(ボーイズラブ)作品です。 この作品は小説家になろうさんでも公開します。

【完結済】(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。

キノア9g
BL
完結済。騎士エリオット視点を含め全10話(エリオット視点2話と主人公視点8話構成) エロなし。騎士×妖精 ※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。 気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。 木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。 色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。 ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。 捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。 彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。 少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──? いいねありがとうございます!励みになります。

処理中です...