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《第21章》 ― 誰よりも大事だから…誰よりも愛しているから…誰よりも欲しいから…だから抱けなかった ―

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「…ぁ…ん…ぁぁ…」

密やかに桂が吐息を漏らす。その声にすら煽られていく自分。
今までの飢えを満たすように、亮は貪欲に桂の体に唇を滑らせていった。

 本当はこんな形で桂を抱きたくなかった・・・。でも、今ここで桂を抱かなかったら、桂が自分の前からいなくなってしまいそうで…怖くて…桂を繋ぎ止めるために、亮は必死で桂の全身に愛撫を与えていった。

「…ん…やまも…と…。・・・あ・・・ん」

 桂が少しでも反応を返す場所に、亮はしつこく唇を這わせていく。
自分の肩に縋る桂の細い腕、亮の唇に震える肩、きれいなラインを見せる鎖骨。滑らかな肌の感触を舌先で味わいながら、きつく吸いあげ朱に痕を残していく。

 無防備に晒されたわき腹にキスをちゅっと音を立てて落とすと、桂の腹部がぴくんと波打った。桂の反応を愛しみながら、亮はまだ柔らかい胸の果実に吸い付いた。

「…あんっ!」

 桂も待ち望んでいたのか…久しぶりの甘いねっとりとした亮の舌の動きに桂の腰が跳ねた。

 飢えていたなんて言葉じゃ足りないくらいだ…。頭の片隅で亮は苦笑した。桂の肌に口付けるのを止めることが出来なくなっていた。

 硬く尖らせた舌先で肉芽を抉りあげるように突いたり、舌にのせた唾液をねっとりと乳首に絡めながら甘噛みをしてやる。桂は胸を弄られると切ないくらい身を捩って悦ぶのを知っていたから、亮は空いている方の手で、もう一つの乳首を焦らすように摘み上げては捻ってやった。

「…あっ・・・いやっ…山本っ…もう…っ…!」

 桂が胸をしつこく弄り続ける亮の髪の毛に手を差し入れ、くしゃくしゃと掻き撫でて、訴えた。
亮はやっと果実を解放すると、身体を起こして快楽に潤み始めた桂の顔を覗き込んだ。そっと、頬を優しく撫でてやると甘えたような吐息を桂が漏らす。その吐息に優しい笑みを亮は浮かべると、また桂の腹部にキスを落としはじめた。

 もう既に陥落しそうな程熱く脈打っている桂のそれをわざと無視して亮は、すらりと伸びた桂の片足を抱え上げ太腿の内側に舌を滑らせる。
早急に繋がってしまいたいと言う思いを亮は必死で押し殺した。はやる身体を抑えて丁寧に桂の身体を溶かしていく。

 身体を繋いでしまえば、最後の一点に向かって昇りつめていくだけ…もちろんそれだって欲しいけど、今の亮は一秒でも長くこうして桂と肌を合わせていたかった。

「桂…」

 欲情の篭った声で亮は桂を呼ぶ。しっとりと太腿にキスをするのを止めたりはしない。

「桂…もっと足を開いて」

 亮の言葉に桂が戸惑ったように僅かに頭を起こして亮を見つめた。
不安そうに視線が揺らぐのを見て、亮は安心させるように微笑むと、桂に覆いかぶさりながら頬や耳朶に口付ける。耳朶を甘噛みしながら、そのまま唇をつけたまま甘く囁く。

「…でないと奥まで触れられない…。もっと桂を気持ちよくさせたいんだ…」

 亮の淫らな願いに、全身を羞恥で紅く上気させながら、それでも桂が素直に足を少し開く。
そのおずおずとした動作に満足の笑みを零すと、今度は桂の両足を抱えると大きく押し開いた。

「…あっ!やっ!!!」

 突然の亮の行為に桂が悲鳴を上げるのを無視すると、亮は隠された奥の蕾へと唇を寄せていった。
滲ませた透明な液がチロチロと滴り落ちて、亮の愛撫にひくつく後腔に溜まっている。厭らしい眺めに亮はごくりと喉をならすと、ゆっくりと舌を差し入れていった。

「いやっ…やめっ…!!」

 亮の暖かいぬめった舌が自分の秘所を這い回るのを感じて、桂が嬌声をあげた。
何度抱き合っても、桂はそこへ口付けられるのに慣れることがなかった。亮が柔らかく解す為に舌先をそこへめり込ませていくのを、必死で声を漏らさまいと唇を噛んで耐える桂に亮はどんどん欲望が高まっていく。

 舌先を尖らして、少しずつ唾液と窄みに溜まっている桂の精を蕾へ流し込んでいく。しつこく舌で突いて後腔を拡げていく。ぬちゅぬちゅと淫靡な音が、亮の舌先から響いていく。

 桂がほぅっと柔らかく息を吐き出した。その吐息が合図のように桂のそこがしっとりと綻んでくる。それを見計らうと、亮はそのまま舌をずっと無視していた、桂の雄に動かしていった。

「うぁっ!」

 突然、袋を亮の口に含まれて桂が嬌声を上げる。いやいやをするように頭を激しく振ると、亮を自分の腰から引き剥がそうと激しく亮の髪の毛を掴んだ。

 亮はぐっと桂の腰をきつく掴んだまま、桂のそこを口の中で転がし続ける。こりこりと宝珠を口の中で転がし、吸い上げながら甘く歯を立てて、膨らみを楽しむ。

「…あぁ…ん…もっ…ん…ん…。やま…も…と・・・・・・っ」

 切なげに自分を呼ぶ桂の声に、亮は自分の中で荒れ狂うような熱が駆け巡っていくのを感じる。

…まだ…まだ…だめ…だ…

 亮は自分を煽って誘う桂の声に自分を必死で抑える。今はまだ、桂と繋がりたくなかった。もっと桂を感じさせたい…。

 亮は桂の珠を解放すると、そのまま舌をはちきれんばかりに勃ちあがっている桂のペニスの裏筋に舌をねっとりと這わせていった。

「あっ・・・っ!」

 熱い舌がペニスに絡みつくと桂の身体がぴくぴくと跳ね上がる。するっと口に桂の欲望を含んで舐めあげてやると桂の腰が亮の唇を犯すように激しく揺れる。

 快楽を追い始めている桂の痴態を愛しむと、亮は桂の足を大きく割り広げ、腰に支えの手を入れて抱え上げて、さらにきつく桂の勇芯を吸い上げた。先端からはもうチロチロと苦い精を零し続けている。
それを亮は舌に絡ませながら吸っていった。手で口に含まない袋をねっとりと揉みしだきながら、空いているほうの手を蕩けている秘所に滑らせていく。

 十分に綻んでいる蕾は貪欲に収縮を繰り返しながら亮の指を飲み込んでいく。指を3本差し入れて、亮は桂の肉壁の感触を確かめる。

 ぬくぬくと指で腸壁のしっとりとした部分を擦りあげては、中のしこった甘い硬さを指で苛んでやる。一番感じる部分を強く弄られて、桂の口から言葉にならない喘ぎがあがり始める。同時に亮の口の中のペニスもいっそう大きく張詰めぴくぴくと脈打ちながら白濁の精を零して限界を亮に伝える。

「…悪い…まだ…イかせない…」

 亮は口からするっとペニスを出すと、達しそうな桂のペニスの根元をギュッと押さえ込んだ。

「あっ…山本・・・っ!」

 切羽詰った声を上げて、桂が自分のペニスを握り締める亮の手を握った。

「…もう少し我慢しろよ」

 亮も自分の声が欲望で上擦ってしまうのを自覚しながら、桂に囁いた。…うん…と桂が甘い喘ぎの中から答える。亮が指を引き抜くと、桂が不満げに鼻を鳴らした。そんな桂に亮はくすっと笑うと桂の身体をうつ伏せに返した。

「えっ…山本…?」

 桂が戸惑ったように亮を呼ぶ。
 桂の腰を引き寄せながら高く抱え上げる。握り締めたままの男根を緩やかにクチュクチュと抜いてやると、桂が、あん、と声を上げる。

 四つん這いになった状態で、桂が振り返って亮を見つめた。しっとりと艶めいた桂の瞳と自分の視線が絡む。亮は柔らかく桂の無防備な背中にキスを幾つも落とすと、背中に胸板を沿わせて桂の頬に口付ける。そのまま耳朶を甘噛みしながら囁いた。 

「この方が桂は楽だろ?」

 亮はあまりこの形で繋がるのは好きではない。今までも後ろから繋がったことが無かったから桂が戸惑うのも無理は無くて。
でも2ヶ月近くセックスは無かった。亮は出来るだけ桂の身体に負担を掛けたくなくて、わざとこの体位を選んでいた。

「…や…」

 亮の背中へのキスに身体を快感で震わせながら、桂がか細い声で呟いた。亮の手の中の桂は、激しく解放を強請ってどくんどくんと脈打っている。

「え…?」

 桂の呟きに亮が怪訝な顔をした。桂は激しくもがいて、身体の向きを変えるとベッドの背に凭れるように座って、亮をまっすぐに見詰めた。

「やだ…嫌だ…」

 潤んだ欲望を顕にした瞳で、唇を震わせながら言う。

「桂…?」

 戸惑ったまま亮は桂を見つめた。
桂は足を大きく拡げて…何もかもを晒して…亮を欲してテロテロと濡れてヒク付いている蕾を晒しながら、両手を亮に向かって差し伸べる。

「顔が見えないの…やだ…。大丈夫だから…」

 このまま、来て…。

 声にならない声で求められて、亮の中で欲望がドクンと弾けた。
 

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