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ケダモノ
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私が、私になっていき、私が、私でなくなっていきます。私をもっとケダモノにして欲しい。ことが済むと私は気絶するように、ぷつりと糸が切れたように、眠るのでした。そんなに早く寝られたことは、いままでありません。その時に背中に、彼の視線を感じるのが厭で、厭でたまりません。だから、気絶するほど激しい方が良いのです。私を早く殺してください。私は利己的だろうか。だが、利己的でなくてどうして生きていられるだろう。
彼と会う度、私の中で獣が大きくなり、ある時から仕事も何もかも、どうでもよくなった。「会社を、辞めようかと思います。」私がそのように呟くと、彼は真面目な顔をして眉を顰めました。私の心にかゆい、こそばゆいものがあらわれて、思わず咳ばらいをしました。彼のことなど、どうだっていいんだ。
「それでどうするんだ。……。」
彼が言い淀んだのを見て、私は笑いました。次に彼が言おうとした言葉がわかったからです。彼の事業はいつも人手が足りないようなのです。私が今の会社で窓際族として何もせず遊んでいるのとはわけが違う。「帰ります。」私はそう言って逃げるように、彼の元を去りました。
それでいつも、もう永遠会わなくたっていいんだ、と思うのですが、こうしてまた会う、会ってしまうのでした。それで、自分がどんどんケダモノになるとわかっていて。私はケダモノの自分を愛しており、憎んでいました。それで、舞阪のことは、どうだっていいんだ、俺は。
彼の足元にうずくまって、それから見上げようとして足蹴にされた時、ああ生まれてきて良かったな、と思います。彼が締まった身体に白いタオル一枚腰にかけて、ベッドに悠々と腰掛けながら、私と周囲の景色とを眺めています。私がそこに存在しないように振舞いながら、私の一番はしたない部分をしっかりと見ているのだ、主は。だって、主のタオルの下の様子を容易に想像できるのだから。完全な成長は遂げていないが、熱気を帯びて今すぐにでも私に向かって来たいと思っているに決まっています。
濡れた肉体同士で回数を重ねるたびに、互いの凹凸の欲望の、その奥行きを理解し合う。奥行きは、どこまでも際限なく、深くなりました。肉体が深まる中で、君は、私の肉以上のことを理解したいようだが、私は一切理解したくありません。
彼のような異常な人間のことです。緊縛の心得もあるようでした。私は初めて縄に身を委ねました。後ろ手に縛られ、首から縄が一本、引き綱として垂れています。それで、彼の上で全自動のオナホールになって上下に激しく身を打ち、身を打ち、腰を一定の早さでよく動かしました。身体が、精神の昂ぶりより先に音を上げて、もう駄目だと言っても、縄が身体を引き締め続けますし、引き綱がよくできてきて首が適度に締まるように器用に編まれているのです。私の喉から悲鳴が上がると、私を奥まで深く貫いていた巨槍が一層凶悪さを増して膨らみ、動き、まさに身が裂けるような激しい、脊髄を感電したような感覚が幾度もつきぬけてきました。嵐。堪えようとしていた声が、葉の隙間から、じょじょに漏れ、大きくなっていきます。私は思わず口を覆いたくなりましたが、縛られているため、できません。その声と来たらあまりにも太く、汚く、私は、ああなんて気持ち悪いケダモノなんだろうと自分に感動さえ覚え、泣きました。主も、そのように罵ります。もっと欲しい、という言葉にする代わりに、啼きました。
肉体の限界、肉体は本当の限界値の八割程度のところで音を上げるものです。私はこれを筋力トレーニングの中でも実感しました。脳がストップをかけるのですが、それを無視してつづけることは可能です。
私がバランスを崩して、もう主のための、全自動のオナホールができなくなると、床に打ち捨てられ、転がされ、まったく役に立たない肉だな、と強く罵られます。その時の、主の、苛立ちと悦楽の入り混じった顔が、好きなのです。私を罵りながら、怒っている癖に、怒張がやめられていないじゃないですか。それで、荒げた息の中で私が何か嘲笑めいた表情をしたのを読み取ったのか自分もベッドから降りてきて、私を二三足蹴にしてから、床に膝をつきました。私は頭をあげて、彼の方を見ました。
薄暗いホテルの真ん中で、さっきまで私の中で膨らんで、私を離さなかった楔が、床と並行するように勃って、私の方を向いていました。彼は、そのまま自分で、彼の物を、私の中にいれるように指示するのです。上だろうが下だろうがどっちでもいいから、10秒以内にできなかったら、このまま部屋の外、ホテルの廊下に私を放り出すといって、10ぅ、9ぅ、8ぃ……と芝居がかった調子で口角を上げ、カウントし始めるのです。彼のその様子に見惚れていたかったのですが、悠長なことを言っている場合ではありません。心臓がばくばくと蠢きます。私の焦り焦燥した様子も彼のオカズになるようで、彼の数字の調子もペニスの調子もよくなりました。
私は、縛られた身体をよじらせ床に膝を突きました。私はなんとか彼に尻を擦りつける、まるで動物のマーキングのように、濡れた肉同士がこすれて淫猥な音をたてるものの、入らない。擦れて気持ちよくて、小さく喘ぎ啼いていると、腰を乱暴に掴まれ、家畜でも扱うような調子で思い切り中に突き入れられ同時に私の喉の奥からは、聴いたことのないようなはしたない、野太い声がもれました。力が抜け、縛られた半身を床に擦りつけ、床に私の汁が散乱しているのが見えます。開きっぱなしの口から、知らない声が、漏れ続けていました。
時々背後から、ふぅ、と風呂にでも浸かっているような声が聞こえました。ありがとうございます、と口に出してみましたが言葉になっておらず、煩いと縄を引かれ、コトが済んだ後には、約束通り、部屋の外に出されました。
彼と会う度、私の中で獣が大きくなり、ある時から仕事も何もかも、どうでもよくなった。「会社を、辞めようかと思います。」私がそのように呟くと、彼は真面目な顔をして眉を顰めました。私の心にかゆい、こそばゆいものがあらわれて、思わず咳ばらいをしました。彼のことなど、どうだっていいんだ。
「それでどうするんだ。……。」
彼が言い淀んだのを見て、私は笑いました。次に彼が言おうとした言葉がわかったからです。彼の事業はいつも人手が足りないようなのです。私が今の会社で窓際族として何もせず遊んでいるのとはわけが違う。「帰ります。」私はそう言って逃げるように、彼の元を去りました。
それでいつも、もう永遠会わなくたっていいんだ、と思うのですが、こうしてまた会う、会ってしまうのでした。それで、自分がどんどんケダモノになるとわかっていて。私はケダモノの自分を愛しており、憎んでいました。それで、舞阪のことは、どうだっていいんだ、俺は。
彼の足元にうずくまって、それから見上げようとして足蹴にされた時、ああ生まれてきて良かったな、と思います。彼が締まった身体に白いタオル一枚腰にかけて、ベッドに悠々と腰掛けながら、私と周囲の景色とを眺めています。私がそこに存在しないように振舞いながら、私の一番はしたない部分をしっかりと見ているのだ、主は。だって、主のタオルの下の様子を容易に想像できるのだから。完全な成長は遂げていないが、熱気を帯びて今すぐにでも私に向かって来たいと思っているに決まっています。
濡れた肉体同士で回数を重ねるたびに、互いの凹凸の欲望の、その奥行きを理解し合う。奥行きは、どこまでも際限なく、深くなりました。肉体が深まる中で、君は、私の肉以上のことを理解したいようだが、私は一切理解したくありません。
彼のような異常な人間のことです。緊縛の心得もあるようでした。私は初めて縄に身を委ねました。後ろ手に縛られ、首から縄が一本、引き綱として垂れています。それで、彼の上で全自動のオナホールになって上下に激しく身を打ち、身を打ち、腰を一定の早さでよく動かしました。身体が、精神の昂ぶりより先に音を上げて、もう駄目だと言っても、縄が身体を引き締め続けますし、引き綱がよくできてきて首が適度に締まるように器用に編まれているのです。私の喉から悲鳴が上がると、私を奥まで深く貫いていた巨槍が一層凶悪さを増して膨らみ、動き、まさに身が裂けるような激しい、脊髄を感電したような感覚が幾度もつきぬけてきました。嵐。堪えようとしていた声が、葉の隙間から、じょじょに漏れ、大きくなっていきます。私は思わず口を覆いたくなりましたが、縛られているため、できません。その声と来たらあまりにも太く、汚く、私は、ああなんて気持ち悪いケダモノなんだろうと自分に感動さえ覚え、泣きました。主も、そのように罵ります。もっと欲しい、という言葉にする代わりに、啼きました。
肉体の限界、肉体は本当の限界値の八割程度のところで音を上げるものです。私はこれを筋力トレーニングの中でも実感しました。脳がストップをかけるのですが、それを無視してつづけることは可能です。
私がバランスを崩して、もう主のための、全自動のオナホールができなくなると、床に打ち捨てられ、転がされ、まったく役に立たない肉だな、と強く罵られます。その時の、主の、苛立ちと悦楽の入り混じった顔が、好きなのです。私を罵りながら、怒っている癖に、怒張がやめられていないじゃないですか。それで、荒げた息の中で私が何か嘲笑めいた表情をしたのを読み取ったのか自分もベッドから降りてきて、私を二三足蹴にしてから、床に膝をつきました。私は頭をあげて、彼の方を見ました。
薄暗いホテルの真ん中で、さっきまで私の中で膨らんで、私を離さなかった楔が、床と並行するように勃って、私の方を向いていました。彼は、そのまま自分で、彼の物を、私の中にいれるように指示するのです。上だろうが下だろうがどっちでもいいから、10秒以内にできなかったら、このまま部屋の外、ホテルの廊下に私を放り出すといって、10ぅ、9ぅ、8ぃ……と芝居がかった調子で口角を上げ、カウントし始めるのです。彼のその様子に見惚れていたかったのですが、悠長なことを言っている場合ではありません。心臓がばくばくと蠢きます。私の焦り焦燥した様子も彼のオカズになるようで、彼の数字の調子もペニスの調子もよくなりました。
私は、縛られた身体をよじらせ床に膝を突きました。私はなんとか彼に尻を擦りつける、まるで動物のマーキングのように、濡れた肉同士がこすれて淫猥な音をたてるものの、入らない。擦れて気持ちよくて、小さく喘ぎ啼いていると、腰を乱暴に掴まれ、家畜でも扱うような調子で思い切り中に突き入れられ同時に私の喉の奥からは、聴いたことのないようなはしたない、野太い声がもれました。力が抜け、縛られた半身を床に擦りつけ、床に私の汁が散乱しているのが見えます。開きっぱなしの口から、知らない声が、漏れ続けていました。
時々背後から、ふぅ、と風呂にでも浸かっているような声が聞こえました。ありがとうございます、と口に出してみましたが言葉になっておらず、煩いと縄を引かれ、コトが済んだ後には、約束通り、部屋の外に出されました。
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