堕ちる犬

四ノ瀬 了

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俺は、お前をきっと満足させるよ。

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 たまに、歩き方を忘れることがないだろうか。もっといえば、呼吸の仕方だとか、日常的な事柄や仕草の当たり前の所作を。人間の記憶も仕組みも完全じゃない。どこか壊れている。一度ほころびがてしまうと、誤って落とした毛糸玉が、転がって小さくなっていくように。そうして最後には何も、なくなってしまう。

 間宮が、美里から追い出されるようにホテルから出て、一体どれくらい彷徨ったのか、太陽が高かった。彼が半地下の自宅に着くころには、衣服の下は汗でびっしょりとしていた。薄いドアを丁寧に閉め、深くお辞儀をするようにして靴箱の下の暗がりを覗きこんで、目をこらした。姿は見えないが、かさかさと音がする。

「シン」
小さく名前を呼ぶと、音が止まる。
「ただいま。」

 ケージを引き出す。サソリのシンは尻尾をひくひくと隆起させ、間宮に対して激しく威嚇していた。巣箱の端に餌として与えた人間の残滓が残っていた。人骨までは消化できなかったらしい。ブーツを履いたまま、玄関で巣箱の掃除をした。太い尻尾を反り立たせたシンの雄々しい姿は、二条のことを彷彿とさせ、時々胸を昂らせた。それでも、生物の巣箱の掃除は、どちらかといえば、心を空っぽにすることができる良い時間である。それから、シャワーを浴び、一眠りして、海堂から借りっぱなしになっているバイクにまたがって、白井に会いに行った。

 白井はいつもの通り、やる気なさげにレジの中に立って、まるで指先から何か生えてくるのを待つかのように、自分の爪を見ていた。自動ドアの開閉音も無視。客が来れば適当に応対して、商品と釣銭を渡す。牛乳を一本手に取ってレジに向かう。もう、他に客はいなかった。怠惰の極みといった白井が、ようやく眠りから目が覚めたというように間宮を見上げた。

「ああ、黒井さん。具合はもういいの。」
白井は何事も無かったかのようにそう言って微笑んだ。彼は無表情に白井を見下ろし、しばらく黙っていた。白井は慣れた様子で黙って、時々顔を赤くしてもいた。

「白井。俺の本名は黒井じゃなくて、黒木っていうんだ。おしかったな。」
白井は、「え?」と首を傾げた。
「本名、教えてくれてありがとう。でも一体どうしたの。急に。なんか今日変だよ。」
黒木は白井から目を伏せて、考えるような仕草をし、言った。
「白井。暇だったら、この後俺と少し外に出ないか。この前の看病のお礼もしたい。つまらないだろ、いつまでもこんな場所にいたって。この辺りは躾のなっていない不良も多いし。君みたいなのが、なぜこんな場所で働く。」

 白井は、わかった、2時間ほど待ってくれれば出れると呆然とした顔つきのまま言った。言葉の通り、黒木は2時間ほど、この街を徘徊、散歩して戻ってくることに決めて、牛乳はその間に飲んでしまうことにした。

 まずは、実家に向かった。家のあった場所には何もない。売地の看板が立っている。白々とした青空の下で、しばらく空地の前に佇んでいた。風が吹いた。風の隙間に、誰かの悲痛な声を聞いた気がして、耳を覆いたくなるが、そのまま立っている。この土地は、忌み地なので、買い手がつかないはずだ。家は、火災事故で焼失したことになっており、死人まで出ているから。

 中年の男の遺体。黒く焼け爛れて顔もよくわからない状態になっていた父だった。黒木は、ぼんやりと家の姿を脳裏に描き、空き地に背を向けて、再び歩き始めた。父は家と共に燃えたので、もういなかった。母は初めからいなかった。母の方が外に男を作って、出ていったらしい。だから別に会いたいと思ったことは無い。父が好きだ。
 
 あの空地の前に、先ほどのように、同じように何度か佇んだことがあったことを、佇むたびに思い出すのだった。稀に記憶を取り戻した場合、大体いつも同じ行動をとるらしい。もしくは間宮が、無意識に意味もなくこの辺りを歩いている可能性もある。そしてまた、忘れてしまう。父の墓がどこにあるのかは知らなかった。調べればすぐにわかることだろうが、何の意味も無かった。向けられる顔が、もう無い。黒木家は父の代で終わりだ。

 二条に捕まってすぐ一度だけ、逃走したことがあった。本当は、逃走させられたのが正しい。わざと逃げられるように用意されていたのだと思う。そして、まず向かった実家、走り付いた先のその家が、音を立てて燃えていた。同時に全てを察して身体から力が抜けていくのを感じたが、もう一度踏ん張り、痛めつけられた身体の痛みなどすべて忘れ、家の中に父らしき影を無理やり見て、声をあげながら、炎の中に飛び込もうとし、近所の人間にとめられ乱闘になった。その後、警官に重要参考人として連行されることになった。
 パトカーの後部座席で繋がれた手首を眺めながら、悔いた。

(逃げたからだ、俺が。俺が逃げたから父は殺されたんだ。学習させている、つもりなんだろうか。逃げたしたらお前以外の人間を殺すぞってことか。でも、父以外、さほど大事な人間もいない。でも、関係ない他人を巻き込むなんてことは、やはりできない。)

「うるさいぞ。」
隣の警官が耳元で怒鳴った。
「あ?」
「さっきから何をぶつぶつ言っている。」
「え……俺は、何も、しゃべってないが、……?」
 言いながら、口の中が異様に乾いているのに気が付き、考えていることも考えていないことも、勝手に何か話していたのかもしれないことに思い至って口元を手で覆った。

「……病院に、連れて行ってくれ。」
「病院?確かに怪我をしているようだが、病院って程では無いだろう。」
(違うんだ、その怪我は二条にやられた物だ。見てほしいのは、中だよ、中。俺の頭の中が、どうなってしまったのか見てほしいんだよ……)
「脳だよ、脳を見てくれよ。」
「なんだ?精神異常狙いか?ったく最近のはどうしょうもないな。」

 病院ではなく、警察署に辿り着いた。警官は、黒木が、父をナイフで刺し殺した上、証拠隠滅のために家に火をつけたとして、身柄を逮捕拘束したのだった。とんだ濡れ衣だったが、二条の元に残るか刑務所に永遠閉じ込められるかで、大きな差があるのかと言えば、よくわからないのだった。そして、真の犯人であろう二条達が黒木と時間を共にしていた証人となり、彼らの顧問弁護士葉山に付き添われて、彼らに身柄を引き取られることになった。帰り際、警官に、こいつらが犯人ですよ、と言ってみたところで、まるで、相手にされず、何の意味もなさなかったし、後から余計に仕置きを受ける羽目になった。このまま生きていくとは、そういうものだと、大体わかってきた。

 そもそも記憶が飛んでいるだけで、本当に、この手で父を殺したのかもしれなかった。
 一度聞いてみたことがあるが、何と答えられたか覚えてないし、もう一度聞こうという気もない。
 いつも、少しの勇気が足りなくて失敗する。いつも、ほんの少しの勇気が足りなくて、狂気が身体を動かす。

 コンビニに戻りながら、白井に名乗ったことを今更、少しだけ後悔し始めていた。黒木を知っている人間が、この世界に存在すると、存在する必要がない黒木という人間が存在してしまう。場合によっては、白井に危険が伴うことになるのだ。しかし、白井に名乗ったのは、意味があることだと思ったし、初めてのことだ。美里から、「黒木」の名前を聞き、数歩歩く内に、黒木という自分を思い出した。美里の言葉がトリガーになったのは確かだが、その前の積み重ね、例えば霧野やヘリオの件があったから、思い出せたのだろう。これが無ければ名前だけでは、ここまで戻ってきていないだろう。

 久しぶりに思い出したとはいえ、何らかのきっかけがあれば、またすぐに忘れて間宮に戻って黒木のことを忘れることも思い出した。そして、これが、はじめてのことではないこともわかっていたが、前に出てきたのはかなり前、数年単位で前なのだ。どんどん感覚が長くなり、いずれ消える感じがしていたし、この肉体自体、いつまで生かされていられるのか、謎だ。次また、今のように戻れるかもわからない。今の自分にできることを考えた。

 白井のことは、黒木でなくても、間宮でも守れるだろう。間宮はどうしようもないが、最近の奴なら、自分より弱いと認識した人間はきっと守ろうとするはずだから。白井は私服に着替えてコンビニの駐車場の脇の柵に座っていた。上から下まで真っ黒でロングスカートの下で真っ白い足が揺れていた。白井は一重瞼を微笑ませた。

「ふーん、バイク、乗れるんだ。すごいじゃーん。」
「借りものだけど。一応免許はあるんだ、ほら。」

 免許。黒木はじめ。免許に刻まれている名前。普段は全くこう見えないのに、人間の脳というのは不思議だった。見えないものが見える様になったり、見えるものが見えなくなったりするのだから。ヘルメットは海堂のフルフェイスの物と、部屋の隅に転がっていたものを拾って、2つ持ってきていた。部屋の隅に転がっていたにしては、妙によく手入れされているものだ。それは黒木の物でもなかった。判田に、よく渡していたものだ。それを、白井に渡した。

「乗せてくれるの?」
「そうだよ。好きなところまで乗せて行ってやる、どこへでも。常識の範囲内で。北海道とか無邪気に言われても流石に無理だ。君は言いそうにないけど。」

 街を抜けて、山を越えて、向うの町に行って遊び、海添いの道を戻ってくる。単純なコース。背後に乗った白井が、遠慮がちに身体に腕を巻き付けてくる。黒木は信号待ちのタイミングで強引に白井の腕をとって引っ張った。「わ、」と白井が背後で小さく声を出し、背中に頭をぶつけた。
「いたた……」
「まだスピードだしてないからいいけど、こうやって、もっとしっかり捕まらないと危ない。俺は気にしないから。むしろ、今の中途半端な方が気になる。落っこちたらどうするんだと思って集中できない。わかったな。」

 白井は背後でうなずいた。再び走らせる。白井の脆いガラスのような身体が密着している。
 バイクを飛ばせば飛ばす程、白井も自然に黒木の身体にに自分の細い身体を預けるようになっていった。背中に、生きている、自分をよく思っている存在が、抱き着いているのを黒木は身体と心で強く感じていた。

 山道のカーブ。以前にも何度も曲がったカーブで、背後から腕が肉体にぐぅと食い込んだ時だった。胸の奥の方が締め付けられて、目の奥からあた戦い物がボロボロと溢れ出ていった。視界が歪んだ。涙は、ヘルメットの中にとどまって、後ろに乗っている白井に何かを気が付かせることはなかった。食いしばっていた歯が、奥でカチカチとなって、つい、一度唇を薄くでも、開いてしまうと、そこから苦悶の声がとまらなくなった。エンジンの轟音が、嗚咽だって、掻き消してくれる。バイクは車よりずっといい。一人になれる。後ろに人を乗せていても、1人でも入れる。舗装のなってないガタガタの山道が、身体の底からくる酷い震えを、誤魔化してくれる。細い指がまた、脇腹に食い込み、喉が詰まった。

(ずっとこのまま、終わりが来なければいいのにな。)
判田はいつも遠慮を一切せず、黒木の身体を背後から抱いた。
(ずっとこのまま、日が落ちなければいいのに。)
頂点にあった太陽は、少しだけ西の方へ移動していた。
(このまま世界が、終わったっていいよ。)
 
 隣町に着くころには、涙も渇いていた。ヘルメットを外した顔を、一応鏡で確認する。軽く微笑んでみると嫌な感じがして、無表情に、白井を振り返った。白井もヘルメットを脱いだところだった。背後にはボーリング場が建っていた。

「本当にいいのか?ボーリングなんかで。」
「私これでも結構うまいんだ。」
ボーリング場に向かいながら、黒木は手の中でバイクのキーを弄っていた。
「それは意外。でも残念ながら、俺は好きじゃないけど、わけあって得意なんだ。手抜きしてほしいやろうか。ハンデつけてやってもいいぜ。」
「あ?なにそれ、超絶にムカつく。絶対しなくていいから。」

 確かに白井は上手かったが、到底黒木に勝るスコアではなかった。白井は自信満々に言った手前、相当にショックだったようで、悔し気に顔面を赤くしたり、驚きに白くしたりして、忙しかった。二人の遊ぶレーンの周囲は、人が避けていた。黒木が席を外す間、街の不良が白井の方に目を向けようとするが、薄着のまま刺青を隠すつもりもない黒木が戻ってくれば蜘蛛の仔の散らすように人がいなくなるのだった。2ゲーム終え、一休みする。二人して注文したコーラを飲んだ。

「教えてやろうか?コツを。」
 黒木は言いながら、今の言い方は間宮っぽかったかなと思った。白井は「見てればわかるから良い」と意地を張って聞こうとしない。「代わりに、貴方のことをもっと教えてよ。」と言う。

 遠くで人の歓声と、それから、ピンの倒れる音がする。

「大体、好きじゃないけど得意って何?まるで無理やりやらされてたみたい。」
「だってその通りだから。」
「どういうこと?断ればいいのに。」
「断る理由がないし、断れないんだよ俺が。」
「わからないな。例えば賭け事として、下手な人間からぼったくるとかはわかるよ、でも君は違うじゃない。そう言うことするタイプじゃないでしょ。」
「わかってないな。そういうことするタイプだよ俺は。見ろ、誰一人俺達の両サイドのレーンを使おうとしない。それは俺が悪く見えるから。俺がぼったくる方をやるに決まってる。昔の連れが好きでね。最初は付き合わされてたんだ。最初は向こうのが上手かったんだけどな。あははは。で、向こうが思いついたわけさ。なつかしいな。」
 
 黒木は伸びをしながら向かいに座る白井を見据えた。白井は「なるほど悪い仲間ってやつね」とにやにやした。
「悪い仲間。そうなのかもしれない。おそらく、そうだったんだろうな。」
「その人はどうしてるの?」
「死んだかな、多分。そう、悪い奴だったから。悪い奴は最後最悪な方法で死ぬんだよ、大体。映画なんかでもそうだろ。」
「殺された?」
 白井は冗談で言ってる風でもなく、真顔でそう聞いた。

 黒木は誤魔化しながら、値踏みするように白井を見て、「誰にも言わないか?」と聞いて小首をかしげた。白井は「君のことだから、仲間内でもめて、誰かがその人をヤっちゃって、現場に居たとか、そういう感じじゃない?」
黒木はもの応じしない白井に「なるほど。」と苦笑いしてスコアボードを見上げもう一戦しようかと立ち上がった。

「そうだな。もし前ゲームより白井のスコアの伸びが良ければ、もう少し俺のこと教えてやってもいいよ。」

 白井は発破をかけるとのびるタイプらしく、黒木のスコアとの幅を縮め、「これでどう。」とにやにやと笑うのだった。黒木は、ボウリング場のソファに身体を預けるように深く腰掛け「すごいじゃないか」と白井を誉め、続けた。「俺の友達は悪い奴だったよ。そして、俺も悪い奴でもっと酷い奴なんだよ。」
「だから、私はそうは思わないけど。」
黒木は白井の方に頭を向けてはいたが、白井のことをもうほとんど見ないでひとりごとのように言った。

「白井。俺は、その友達と、悪い奴らの金庫を盗もうとして失敗したんだ。ソイツはもうこの土地にはおらず、それから俺は生かしてもらう代わりに、今、悪い奴らの仲間になってるんだよ。別にそれは悪いことじゃないんだ。いいこともいろいろあった。でもその間に、もっといろいろなことがあってな、俺が、今のように正気で居られる時間は実はそんなに長くないんだ。わかるな。白井、君なら。俺が今日ちょっとおかしいってことがさ。明日には今日話したことも全部、忘れてるかもしれない。でも黒井は黒井として君を覚えているから大丈夫だろう。」
「悪いことしている内に、脳がどうかしちゃったってこと?薬害?脳がスカスカになる奴。」
「それだけじゃないと思うけど。話しが早いな。とにかく、俺はもう脳がどうかしちゃったってことだ。幸いにもな。脳がどうかしちゃっていないと生きていけないんだな、こんな酷い世界の中では。」
「病院は?」
「診てもらってる。でもそれは全く治療のための診察じゃないんだよ、逆なのさ。今の俺を完全に壊すための治療だ。アンビバレントだね。」
「出された薬の処方箋とか残してない?見てあげようか。私これでも薬剤に詳しいんだ。」
「なんだ、もしや薬学部の学生なのかな。もっと最悪だな。薬学部の娘さんを俺みたいなのが連れ回して、親御さんに殺されちゃうな。ははは。」
「最悪って、何が?」
「殺されるかもしれないにしては、あまりにも若すぎるってことがさ。」
「誰に?何で?前に言ってた話?」

白井は内容の割には淡々とした調子で、寧ろ好奇心をもって身を乗り出すようにして、聞き返すのだった。

「俺がこうやって勝手に許可なく遊んでいると、怒るんだよ俺の上司、かつ、恋人、ハニーがね。」
恋人、ハニーと言ったのが気に障ったらしく、白井は急に敵意をむき出しにした。
「どうかしているよ。なにそれ。」
「な、どうかしているだろう。でも、そういうこともやる人なんだ。お茶目だろ。たまらないんだよね、そういうところがな。」
「そんないかれた人間の元で働くのは辞めたら?それから……」
白井は、つきあうのをやめたら?別れたら?と言おうとしたようだが、黙った。

「それは無理だ。辞める理由がないし、辞めれないんだ。だって」
「さっきと同じようなこと言って。」
「だって同じような理由なんだ。結局、俺が、馬鹿なんだよ。いつも俺が馬鹿なんだ。」

白井の瞳の中に苛立ちのような物があるのに、黒木は気が付いた。

「その人、なんて名前の人。」

「なあ、白井、彼と張り合おうと思うなよ。君が勝てるわけないんだから。俺は君とは数少ない友人で居たいと思うよ。何故か珍しくそう思ったようなんだ。だからこそあまり深くかかわってはいけないんだ。でも、誰かに覚えててほしいと思って、今の俺のことを喋ってるんだ。甘えてるんだ。俺はじきに死ぬかもしれないし。死ぬ前に」

「さっきから物騒なことばかり言ってないで!何て名前かって聞いてんだよ!この馬鹿!」

 その時、ポケットの中で携帯が振動した。今日は5回連続して無視しているがこの時点で後日大変なことになることは確定しているわけだった。おそらくその最中にまた、今のこと、間宮ではなく黒木であることはすっかり忘れてしまうだろう。携帯の画面を白井の方に向けながら、「この人、」と白井に言った。

「最近彼が新しい愛人を作ろうとしているんだ。そいつをどうしようか迷ってるんだ。そいつは俺とは違うけど、ある意味では俺と同じだから。今こうして頭が働いている内に少しでも、考えておかなければと思ってね。」



 判田の肋骨の隙間から刃物の柄が飛び出ていた。

 生暖かいものがじんわりと黒木の身体の上に滴り落ち、拡がりった。判田とは対照的に黒木はどこか恍惚とした表情をしていた。勢いよくナイフを引き抜いた拍子に、黒木の顔の上に、判田の身体から今絞りだされたばかりの、生暖かい鮮血が飛び散って、黒木の顔半分を赤く染めた。
 判田は、何が起こったかわかっていないようにゆっくり頭を起こした。黒木はもう一度衝動的に同じ個所を複数回刺し、最後に腹を左脇側から突いた。八センチほど食い込んだだろう。八センチは切腹する担当と同じ長さと何かで読んだ。灰色の生暖かい臓器のようなものが、判田の中から、重力に従い黒木の身体の上にどろりと落ちてくるような感じがした。

 判田のナイフも黒木の身体の上をひらめいたが、黒木が先行して刺し、覚悟の決まった刺し方をしているのたいして、判田のやり方はあまりにも躊躇いが酷く、黒木の身体に突き刺さるというより、皮膚にひっかき傷のような物しかできず、内臓にまで到底到達しないのだった。

 それでも双方の血が交わり、生臭い匂いが土の匂いを遥に上回って辺り一面、魚の腐ったような匂いがし始めた。

 どうしてか、黒木は、自分が激しく勃起しているのに気が付き、判田の向こう側に出ている月を、それから遠くから見ている獣の視線を感じ、呆然と夢の中に居るように眺めた。
 
 重くのしかかる判田の身体に勃起した一物が当たって黒木は判田に目をやった。何か言おうとしている。判田の、何か言おうと思ったのか半開きになった口から血が一筋、つ、と垂れ、黒木の唇の上に落ち、赤く染めた。判田が悲壮な顔つきで、必死になって何か言おうと、伝えようとするたびに、声の代わりに止まらない血があふれ出て、黒木の顔の上に無遠慮にこぼれて、黒木は目の中に血が入り込むのも気にせず、まばたきもせずに、顔を血で真っ赤に染めながら、美しいそれを眺め続けた。判田が、どちらかとえいば怒るというより悲壮な顔をして、身体をふらふらとさせ、血まみれで何かを伝えようとする姿が、あまりに美しいと思って眺めていたのだ。その時の黒木の中には激しい欲情の感覚しかなかった。理性は、判田を刺した瞬間にどこか遠くへ掻き消され、怒りも悲壮も今の黒木の中には無いのだった。

 しかし、もし、今、判田が最後の力を振り絞って、この醜い、いつまでも鼓動を止めようとしない醜い心臓を突いて、最後に見れる景色が今の判田なら、それはそれで、別に良かった。というか、寧ろ良かった。刃物の柄から手を離した。痛みが遅れてきて、指が折られていることを思い出した。

 手を月光にかざすと、判田の血でぬるぬると血の層のようなものが掌に溜まっていた。それが手首から下の方に向かって指を這わせるように、一筋、二筋と、身体の方に向かって流れてくる。黒木は、脱力したまま横目でまた、判田を見た。判田はもう半ば意識が無いようだったが、身体がまだ動いて、ナイフも持ったままでいた。

「ほらっ、頑張れよっ。殺すんだろ、俺を。」
 黒木は血濡れの手を判田の顔に伸ばして触れて、顔を近づけた。
「頑張れ、頑張れ。」

 黒木は自分が泣いているのか笑っているのかわからなかった。判田の身体が重なって動かなくなる。さっきまでよりずっと重いのに、冷めている。黒木は、しばらくのあいだ、判田の肉布団の下でそのまま自分も死んだ気になって身体を横たえていた。ずっとこうしていたら自分も死ねる気がした。それから、飛び立っていった理性が、今になって、もう一度身体に返ってくるのが怖かった。

 どす、何かが落ちてくる音と振動。
 遠く、誰かが穴の中に降りてきた気配があった。あの男が立っていた。
 黒木の中に、殺意が芽生え、他の一切を消してくれた。

「さぞ、俺が憎いだろうな。」

 男は、黒木が言って欲しいセリフを言って欲しいタイミングで、極めて人をなめた態度で言ったのだった。

「いつまでも寝てないで、起き上がってこい。生きてんだろ?で、俺を殺したいだろ。心配しなくてもこっちは丸腰だからな、お好きにどうぞ。お前に対する賛辞としてのハンデだ。」

 黒木は判田の肉の下から重い身体を這いあがらせ、ナイフを引き抜いて立ち上がった。精神の力だけで立っていた。きっと、あのイカレ男を殺した瞬間に、どこからか撃たれて死ぬだろうが、そんなことはどうだってよかった。しかし、男は自分から誘うだけあり、武道に精通している。体つきも構え方も常人とは思えない。素人の黒木がどうにかできる相手とは思えなかった。

「躊躇うか?まあそうだろうな。どう見ても、お前は肉体派ってタイプじゃねぇし、その感じじゃ人を殺すのも初めてかな。まあそうだろう。でもお前が何もしないのなら、俺の方から遊ばせてもらおう。」
「く……」
 黒木は奮闘はしたが、ナイフは一瞬で吹き飛ばされ、身体ごと吹き飛ばされ、すぐに彼の下に組敷かれることになるのだった。そして、黒木がそうだったように、彼の一物もよく、黒木の背に当たるのだった。
「!!……」
「約束通り、お前の方は、俺の元でちゃんと生かしてやる。しかし久々に、なかなか良いもの見れたぜ。ははは。ビデオまわしておいても良かったな。ところで、お前らは、よろしくできてたのかな?」
「……」
男は黒木を覗き込むようにして、暗い目で見つづけ、地の底から来るような深い声を出すのだった。黒木が目を逸らそうとすると、顔面を思い切り殴られ、今までに食らったことの無いような衝撃を脳にもろに受けた。
「あ゛……」
彼を見ると二撃目の拳が上がりかけていたが、黒木が目を合わせたことでその拳はゆっくりと下ろされ、代わりに黒木の太もものあたり、判田が辛うじてひっかき傷をつけた場所を撫で始めた。
「ふふふ、そうじゃないな。きっとそうじゃない。お前にとって、奴は最低の振舞をしていただろう。屑、小物はすぐにわかる。あんなのじゃお前は満足できない。」
「……」
「あんなカスに尽くして、まったく可哀そうな奴だよお前は。そしてその、可哀そうな自分が大好きだった口だな、お前は。ふたりそろって、最低野郎だな。はは。でも、安心するといい。俺は、お前をきっと満足させるよ。そう言う意味では。」
「ねぇ……あんたがなにをいってるか、おれには、ぜんぜんわかんねぇよ……なんもわかんねぇ、いまはもう、……なにも…。ああ、しいていば、しにたい……このまま、しにたい、しょうきになるまえに」
「駄目だねそれは。許さない。」
男が立ち上がると同時に、若い衆がどこからともなくあらわれて、黒木たちを回収するのだった。

 それから、二条の言葉の通り生かされ続け、ある日、組長のオルゴールをなおしたことが出世に繋がったらしく、黒木は、以前よりも人間としての仕事を任せられるようになった。別に今まで通り人間を辞めていても、黒木にとっては、最早どうでも良かった。死んでようが生きてようがどっちでもよかったが、死んでしまうと判田に示しがつかない。だから、耐えているだけ。それが気持ちが良い。

 真夏の、日の高いある日のこと。黒木は、組長と二条に、荷物運びの仕事を頼まれて、一言も会話したことも会話を許されてもいない組の男達と一緒になって様々な積み荷を運んでいた。中身が何かなんて、考えても考えなくても同じことだ。
 
 山の中の施設の中から、複数の大型ワゴンに荷物を運んでいく。誰も何も言わなかった。珍しく、組長自身が二条と一緒に、現れて遠目にこちらを見て、何か喋っていた。彼らは黒木たちが作業している湿った地面の上でなく、小高い丘の上のコテージの横で風を受けながら優雅に会話している。

 彼らの足元での、単純な肉体労働、ああ、なんて楽なんだろう。そして、空気も上手い。光が気持ちいいよ。何やら文句を言っている他の生き物達が信じられない。もう、一生これでいいよ。
 誰かがわざと、黒木の足を踏んだことをきっかけに、どう考えても重い荷物ばかり黒木の方に回ってくるようになった。
(なんて、ダサい、こざかしいことをするのだろう。こんなのが二条さんの元で働いているとは。)
 黒木が黙ったまま、その内の一人を睨みあげると、その生物は馬鹿にしたようにこんなことを言った。

「お前みたいのが、表に出てくんなよな。」
「……。」
「お前新しく飼われてるらしい性奴隷だろ。なんでこんなところに普通の顔して立ってんだ?後で汚ぇケツ穴の様子でも俺らに見してくれよ。すげーことになってるって噂だぜ。」

 無視して仕事を続けていた。重い荷物ばかり回ってきたが、どうだってよかった。寧ろ筋トレになって良い。仕事のすべては体力勝負である。特に夜の仕事の体力と言ったら、無尽蔵である。
 
 目の前の下等生物に言いたいことはあったが、二条の許可なく、唯一の彼の上長である組長を除く、他の生物と話すことができないのだ。今、わざわざここを抜け出し、二条の元に許可を取りに行くのはあまりに馬鹿すぎるし、この目の前の馬鹿のためにそのような労力を使う意味が全くない。しいていば、こう言いたい。

(じゃあお前こそ、なんでこんなところにいるんだ?普通だったら会社員や何かになって家族を養い、冷房の効いた涼しいオフィスで、頭脳労働、オフィスワークでもすべきではないのか?頭が悪いから、直情的な人格障碍者だから、こんな単純労働しかできないのでは?は!病院で頭良くするお薬の処方箋でも出してもらいな~~!!で?それで?できることといったら、弱い者いじめですか。ほんと、何でお前みたいな頭弱いのを二条さんは雇ったんだろう。常識的に考えて鉄砲玉要員以外の何物でもないのでは。あ、そうだ、お前の代わりに後でベッドの中で聞いておいてやりますよ、先輩。俺にしかできない仕事だからな。すごくいいんだぜ、薫様のは。)

 遠く、高い場所から、視線を感じる。視線を上げた。太陽の向こう側、組長と明らかに、目が合った気がした。彼の足元にもいくつか荷物が置かれており、手招きされていた。明らかに黒木一人を見ている。ひとり集団から抜け出して、彼らの方へ駆けていった。大きなアタッシュケースが三つ、組長の隣に並べて置かれていた。

「これは繊細で、大事な商品だから、一つずつ、お前が、自分の手でワゴンに積むように。」

 彼はそう言って微笑んだ。二条に目をやったが彼は特に何も言わず、いつも通りの美しい冷めた獣の目でこちらを見ていた。一番手前の物を抱えたが、大体30キロくらいはあるように思えた。動かすと何か大きな塊が中で音を立てた気がした。一気に三つは厳しく、彼の言いう通り一つずつ運ぶしかない。一つもってなんとか丘を降り、ワゴンに積み、また丘を、二人の元に向かって、全力で駆け上がった。たどり着くと、組長が笑っていた。

「おいおい、別に、走ってこいだなんて一言も言ってないじゃないか。こんな暑いのに、犬みたいだな。こいつは中型っていうより大型だ。そんなに二条のことが好きか。ん?」

 組長の横で二条が明らかに不機嫌を隠そうともせずにこちらを見ていた。組長、川名が自分の持ち物と遊ぼうとしているのがきっと厭なのだ。そうに違いない。

「はい。」
「へぇ!よく仕込んである。」
「別に仕込まれて好きと言っているわけではありません。もちろん本心です。」
組長は「へぇ~」とそのまま無感動な調子で言って表情も変えずに、続けた。
「そうなんだ~。お前は幸せ者だな。残りの二つも頼むよ。」
「はい。」
持ち上げると、次の荷物もやはり、30キロほどあり、もう一往復する必要がありそうだった。
「何だと思う?」
荷物から顔を上げると、本当にすぐ近くで組長がこちらを見ていた。恐ろしい、暗い目をしていた。二条以外で初めて感じる心臓に来る感じの圧がある。

「えっ」
「中身だよ、中身。なんだとおもう。」

 彼は圧をそのままに、まるで子どもに問いかけるように、屈みこんで黒木に聞くのだ。その時、普段から清潔な組長から漂うはずの無い異様な生臭いのような懐かしい匂いを嗅いだ気がした。

「わかりません。」
「最後の一個を運ぶときにもう一回聞くから、運んでいる間に考えておいでよ。もし当てたら三日くらい二条の手の中から自由にしてやるから、ウチに遊びに来ないか。何か美味しい物でも食べさせてやるよ。ろくなもの食わされてないんだってな。」

二条に目をやったが、彼は、何も言わず白けた顔をして遠くの山の方を見ながら煙草をふかしていた。

「別に、俺、そんなこと、望んでません。」

 組長は目の前に緩慢な仕草でしゃがみ込み、目を覗き込むようにし、さっきと同じ調子でこう続けた。二条と同じ、暗い、ずっと見ていると頭がおかしくなりそう。

「なあ、何を勘違いしてるんだ。お前が何を望んでいるかなんて、全く関係ないよ。じゃあこうしよう、外したらお前は問答無用で一週間、俺の家に滞在し、許可なく指定の場所から決して出ないこと。いいな。さて、二条に忠誠を尽くしたいなら、中身を見事当ててみせなよ、コソ泥君。」

 彼はそう言って立ち上がると、二条と全く別の仕事の話を始めた。一人取り残されたようになって荷物を抱え、丘を下った。

 丘を下っている間中、荷物がさっきの倍の重さに感じられ、組長の言葉が永遠と頭の中を回っていた。二条のことさえ一瞬忘れそうになるほどであった。他の男達が怪訝な目でこちらをみるのをよそに、今度はゆっくりと丘を登る。二人の視線を感じる。この丘を、上りたくない。しかし、登り切って、何かしらの彼の満足する回答を出さなければいけなかった。考える程、憂鬱になる。太陽の明るさがいらいらする。
 ああ、誰でも良いからぶっ殺してやりたい。さっきの馬鹿を殺したくなってくる。

 辿り着いた先、最後の一つの荷物巨大なアタッシュケースが、二条と川名の足元に転がっていた。
「どう?答え、かんがえついた?」
 川名は荷物の壁面を革靴で優しくこすっていた。黒木は足元を見ながら、イラついた口調で答えた。
「……。子どもじゃないですか、中身。」

 自分で言っておいて最悪な回答だった。言い方も、言い終わってから、もっと淡々と冷淡に答えるべきだと反省した。怒りっぽく言ってしまった。人殺しの自分が、正義感をもつことなどもう何の意味も、許されもしないのだから。しかし、組長も二条も全く気にはしていないようであった。

 荷物の内、最初の一つは「中から」何か動いた感じがしたのだ。複数ではなく、大きなものが何か一つ包まれて入っている感じ。そしてケースに小さな穴、コレは空気穴じゃないだろうか。だから中身は生物の可能性がある。30キロ前後の生き物だ。貿易規制のされている生物の可能性も大いにある。しかし、二条の上長の男がわざわざクイズをだすということは、厭な答えに違いないのだ。

 組長は、ああ~とため息をついて「残念、おしいけど!」とほほ笑んだ。そのアタッシュケースは、留め具が最初から外されていた。見ろってことだ、中身を。でも、全く見たくなかった。屈みこみ留め具に手をかけ、閉じようとすると「何をやってる。」と今までとは全く違う、冷たい声が響き、脳の中で跳ねまわった。

 ああ、もう嫌だった。乞うように顔を上げると、川名でなくまずは二条と目が合い、安心した。彼の暗い瞳には異常なほどの安心感を覚え、思わず口元が緩くなって少し気分が軽くなるのだった。

「なんだ?口が開いてるじゃねぇかよ……だらしねぇ顔してんなよ、アホ。」

 二条に言われ、俯いて口を閉じた。それからすぐ、二条の近づいて来る気配がしたかと思うと、彼の靴がアタッシュケースを蹴り開いたのだった。中の物体が、露出した。それは太陽の下で生々しい、鮮やかな色をしていた。

「?、?……?」

 目の前にあるそれが何なのかわかるまで数秒、数十秒、とにかく、長い長い時間を要したと思う。それから気が遠くなり、目の前の出来事、すべてが白昼夢のように感じられ、ひざまずいたまま、やはり長い時間そうしていた。そんなに長い時間呆然としていれば、組長か二条に恫喝されてもおかしくないのに、遠くから知らない笑い声が聞こえた気がしたが、幻聴かもしれない。くるくると頭の中で何かが回り続け、酷く何か軋むような音を立てている。

 おしい、と言われた通り、子どもという回答は、あながち間違っていないのだった。それは、加工された人間で、不必要な部分がない分、子どもと同等の重量に、軽くなったというだけ。ところどころ、装飾の施され、何の用途で加工されたのか想像に難しくない美しい生体家具である。生体維持のための機材も繋がれている。川名の声がして、”声帯はとってあるから大丈夫”という部分だけ何故かよく聞き取れた。

 家具を、二条と遊んでいる中で、見たことないでもなかった。問題は、その家具を、家具として認識できない点にある。必死に、何か別のことを考えようとするが、気が、遠く、太陽の中に意識全てが溶けていきそうになる。だって、あまりに似すぎている。あの時死んだのでは?だって、俺が殺したんじゃなかったか?でも、死体までちゃんと見たかよ。どうだった。家具の瞼が薄っすらと開き、微睡んだ生気の無い瞳が、辺りを彷徨い始めた。
 その視線の、下の方を向いていたのが、だんだんと、こちらに向いてきているような気がする。そこから先のことはもう記憶にない。
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