堕ちる犬

四ノ瀬 了

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散々オス共に穢された中を消毒されて気持ちがいいだろ。

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「売り物にでもする気です?」
「……さあ、どうだろう。」
川名の視線が二条の方に向いた。黒目がちの瞳がじっと二条を捕らえた。
「地下で遊んでる分には好きにすればいいが、俺に無断で勝手に一晩も連れ回して一体何をしてたんだか。」
口角が上がってはいるのに、口調から一切楽しさが感じられない。二条は川名に合わせて微笑みを作った。

「何って、そりゃあ躾です。アソコでやったっていいが邪魔が入ると俺も奴も気が散ってたまらないですからね。それに久しぶりに俺とドライブしたいとうるさいもんですから。」
「で、成功しのたか?その躾は。お前の車は随分奴の粗相で汚れたが。」

「何です漏らすくらい、可愛いじゃないですか。別に奴が俺の車で精液ぶちまけようと臓物をぶちまけようと、そんな些細なことはどうでもいい。組長の車に乗せてるなら話は別ですけどね。……じゃ、粗相の様子でも見てきますかね。客見せのつもりというなら、ついでに、奴に箔をつけてやりましょう。」

二条は自らの開け放たれたままになった車の方へ向かった。川名とそのまま会話を続けていても良かったが、彼が挑戦的な口調で精神的に迫ってくると、ムズムズとしたよからぬ感情を抱いてしまう。それに彼の真意を探ろうとすればするほどよくわからなくなってこちらが気を揉むことになるだけだ。車内には霧野を積んでいた空気が残されていた。まだ新しい体液でシートが濡れ、湿った熱気が残されていた。川名には後から連れてきていることを伝える気でいたが、自分から出ていくとは流石だ。

「あれくらいじゃ頭が冷えて反省するどころか怒り始めるだけで感じもしないだろう。あの淫乱は。」

縄束を見繕い、車のドアを閉めた。思ったより大きな音がしてドアが閉まり、何人かがこちらを振り向いた。霧野の方へ向かった。獣、ノアが先に気配に気が付きさっそく姿勢を低くして立ち上がり、うーうーと唸り始めた。何人かが咄嗟に寄る仕草を見せたが、別に来なくていいと視線を送った。

「おい、遥。それを何とかしろよ。」
声を掛けられるまで、霧野は二条の存在にさえ気が付いておらず、地面を見据えていた。
「か、……二条、……」

二条を見上げた表情は不思議と一瞬だけだが柔らかかった。すぐ掻き消えて睨むような表情となり、続けて何か言おうとしたのか口を開いたが、今度は気まずい顔をしてむっつりと黙りこんだ。そのまま何も声をかけず、見降ろし続けていると、今更に羞恥を感じ始めたらしく、どんどんと視線が下がっていくのだった。不特定多数より、1人のよく知った人間に見られるほうが嫌なのだろう。しかし、視線を逸らすのが情けないと思っているのか、潔く、また上げようとし、しかし視線が定まらない。特に指摘もせず眺めているだけで、自分一人で勝手に羞恥を感じて高まっていくのがわかった。無駄な頑張り、才能には、笑いたくなるが、笑うことで、場の空気を弛緩させてしまうと、彼の内側の羞恥が苛立ちに掻き消されてしまうから、もう少しこらえていたい。いるべきだ。

「話すなとでも命令されたか?俺の前なら別に気にしなくていいぞ。」
少し離れたところに見張り役の組員の市川が立っていた。何とでもなった。その間にも犬が吠え立ててうるさく、目の前の邪魔なこの雄犬を蹴殺してやりたい衝動にかられた。もしこれを蹴り殺したら川名はどんな顔をするだろうか。代わりに死ねと言うだろうか。そこまでの愛情があるか?

川名は黒い犬を蹴れば怒るに違いないが、白い方の犬を蹴れば悦ぶのだ。黒い方の犬が二条と白い犬の間に割って入ってまるで守るように勇ましく吠えたてる。ノアがいれば二条が近寄ってこないとでも思ったか、霧野はノアを放置したままにしていた。

「ソイツをどうにかしろと言ったんだが……。まさか、俺にけしかけてるつもりか?ソイツの爪が少しでも俺にかかって汚すようなことがあれば、ソイツの爪の代わりにお前の爪を剥ぐ。ソイツの牙が俺に向くようなら、ソイツの牙の代わりにお前の歯を奥から順に抜く。」
「……ノア、」
霧野が逡巡の後、小さく呼びながら、リードを握って引いていた。動作はどこか遠慮がちで、犬が前脚あげて飛びかかろうとする。
「ノアっ、やめないか、」
流石に焦った霧野が獣を強く抱き寄せるようにして止め、落ち着かせるつもりか身体を撫でていた。無理やり顔を二条から霧野の方に抱き寄せるようにして、視界を覆っている。ノアはうなることをやめて、霧野のすぐ側に腰を下ろした。それから、正座した霧野の太ももに頭を擦りつけて二条の方を見ることを全く止め、じっと霧野を上目づかいで見始めた。撫でてくれとでもいうような目つきである。少しの間があいて、霧野がしぶしぶといったようにその頭を撫で始めると犬はうっとりと目を閉じた。

「これでいいか」
霧野のその言葉は、二条に対してと同時にノアに対しても言っているようであった。
「お前の言うことはよく聞くもんだな。」
「……。」

二条は霧野の背後に屈みこみ、身体を眺めた。気配を感じて興奮したノアの耳がピンと立つのを霧野の手が抑え込んで離す。そうすると、またノアの耳が少しだけ垂れて目を閉じ、おとなしくなるのだった。

彼の身体は外気に晒されて長いというのに背中がまだ汗ばみ濡れて、乾いた箇所が見当たらなかった。艶ある皮膚に刻印された痕の内の一つ、脇腹に走る蚯蚓腫れの後を指先でなぞると目に見えて鳥肌が立っていった。骨の際をなぞられ、痛さよりくすぐったさが勝つのか、場にそぐわない、笑いをこらえるような音を喉奥から鳴らしていた。

「腕を頭の後ろで組んでみろ。」
「……」
「お前のことだから、後ろから犯されながら縛られるほうが好きかな。」
背後から左手首をとった。まるで力が入っておらず、腕は大人しく頭の後ろに回り、右も同じように導いた。
「こんなことをして、何になる。これ以上俺を辱めようとしたって、無駄だな。」

彼の強がった言葉を聞くのは悪い気がしなかった。どうでもよい人間ならば川名のように徹底して責めて人格を破壊しにかかるのも悪くないが、こういったことには遊びが、余裕が必要だ。先ずは手首を、と束ね、結び目を作る。
無駄だな、と強がりながら、手首の自由を奪われた端から、手に伝わってくる脈拍の速さが変わるのだ。自覚は無いようだが、これでは、もっと欲しいとねだられているようなものだ。

手首を頭の後ろで束ねてとめ、手首から垂れた縄を身体に這わせて固定する。単純な諸手上げ縛りで仕上げるつもりだったが、もう少し反応を見ていたい。縄の進路を変えて、曲げられた腕そのものに縄を巻き、関節が開かぬように固定していった。屈腕固定縛、上腕と下腕直接束ねるようにして縛るもので、くっついた腕にはほとんど遊びや余裕がなくなり、まるで関節から下腕を切断されたかのような動きしかできなくなる縛りだ。
「……」
左腕の固定が終わると、無意識なのか霧野の動かなくなった腕に縄の感触確かめるように力がはいり、白い肌の下に走っていた葉脈のような血管が浮き、縄目にそって圧迫された皮膚に色がさし始めた。
右腕にも同じ要領で縄を滑らせていく。左腕をやった時より、皮膚の表面が濡れて指先に軽い震えが見て取れた。

「何になるかだって?俺が楽しいというだけだ。」

そして、お前も楽しいのだろう。腕の処置を終え、手首から降ろした縄を上半身に結わえて腕が動かぬように固定する。これで腕、手首が背後に回せて固定されて動かなくなり、見目も良い。並行に通された縄と縄の間で彼の肉が呼吸に合わせて蠢くのがよくわかった。上半身への施しが終わったことを悟り、霧野が口を開いた。
「楽しい?へぇ……ずっと思っていたが、随分とこういうのの手際がイイよな。散々変態遊びしてきた変態野郎が。人を縛り上げて一体何が愉しいのかわからない。」
「……。ふふふ、お前自分が何言ってるかわかってるか?そっくりそのまま返してやるよ。俺はお前と違ってたまの余暇でやってんだよ、お前は四六時中警官ごっこをして、人を捕まえ自由を奪っては勃起して愉しんでたんじゃねぇのか?」
「馬鹿な、一緒にするなよ、……」
「ふーん、そうか?……せっかく客人もいるのだから、もっと飾ってやらないとな。」

犬の頭の乗っていない方の脚をくずさせ、こちらも脚を曲げた状態で束ねることで今度は屈脚固定縛りを施していく。結び目が一つ増えるたびに心の中の余裕はなくなっていくだろう。緊縛は対象者の身体だけでなく、心も縛る行為だ。それに、この男の場合は余裕がなくなる代わりに、リスキーになればなるほど、上がるのだ。そういった精神の持ち主は出世もするが、どこかで方針を変えないと早く死ぬ。
「仕上げに反対の脚だ。」
霧野の足元にはまだノアがいたが、無理に脚を抱え上げるようにしてノアをどかした。
「あ……っ」
既に四肢の内三本の自由のなくなった身体は、ノアを止める代わりに、二条の懐に背中から堕ち、もたれかかる形になってしまう。とっさに二条に対して飛びかかってきそうなそぶりを見せるノアだったが、霧野が盾となって、前肢が霧野の胸にのり、涎がだらだらと霧野の顔面を濡らすのであった。二条とノアに挟まれて行き場を失った霧野が懐の中で不自由そうにもぞもぞと動いた。ノアがその顔面を舐め始める。
「んう……」
「よほどお前のことが好きのようだな。」 
彼のやや震え、力の入っていない脚を束ね上げた。このまま身を引けば、四肢を折られた状態で地面に転がってこの犬に跨られるかもしれない。この反応を見るに川名は既に自分の愛犬を使って哀れな警察犬を散々責めたてたのだろう。それ自体はどうだっていいし、交わりを眺めるのも悪くは無いが。仕上がった左脚太ももに指を這わせた。やはりぞくぞくと鳥肌だって、縄が軋んだ。空を掴むように指先が開いたり閉じたりを繰り返し、まるで縄の感触を味わっているようだ。いじらしく味わうようにもがく姿は良かった。使える間接の数が減った分、目の前の本物の犬よりも不自由な動きしかできないのだ。これを見て川名が関節から下を無くそうなどと言わなければいいが。

「おい、まだ酒が残ってただろ、そうだな、ひとつ白ワインでも持ってきてもらおうか。」

見張りのはずの市川は二条が命じればすぐに動いた。会場にひっこみボトルに半分ほど残ったワイン瓶を手渡してきた。シャトーディケムだ。抱きかかえたままにしている霧野の目の前に瓶をかざした。黄金色の瓶の中でとろとろと酒が波打って瓶の表面で病んだ視線が交差した。
「あまりものにしては良い酒だ。酒はご無沙汰だろうから飲ませてやろう。」
彼の身体を突き飛ばして地面に転がした。ノアが飛び跳ねるようにして後退していく。霧野と戯れて落ち着いたのか、すぐに飛びかかる様子は見せない。
「何を、っ」
支えを失ったことで余計に自身の身体の不自由さを感じたようだ。倒れ込んだ身体を起こそうともがく身体の中心で、立派な性器が地面に擦れ、その背後で、すっかり弛緩して口を開いた秘所を無防備に晒していた。弛緩しているが、指を這わせればまだ弾力のある肉に瓶の口を突き立てた。彼の抵抗と意を反するように肉がボトル口を飲み込んでいく。そのままボトルを傾けると、穏やかな音を立てながら黄金色をした液体が彼の体内に注がれていった。

「!?·····、ぁ、あああ゛っ!!、」
一瞬何が起きたかわからなぬ様子で、地面を不自由な四肢でこすりながら、発狂したように叫び始めた。まだ大きな声を出せたらしい。進みたいのだがすすめないから擦っているように見えるだけだ。滑稽だ。
「や、めっ、…あ…っ、つ……ぅぅぅ……っ、‥‥…あああああ」
右手で尻の肉を更に開くようにして掴み上げた。早速体温が上がり、手の中で肉が求めるように脈打った。さらに瓶の傾斜を強めると酒が渦をまくようにして涙って深く抉られた中に容赦なく落ち飲み込まれていった。
「ああ……っ、うあああ!!!」
「良い飲みっぷりだな。散々オス共に穢された中を消毒されて気持ちがいいだろ。うまいわ綺麗になるわ最高だな!あははは!!」
「ぁ……!!!や、、焼゛けるっ!!、中がおかしく、っ」
「中がおかしい?とっくにお前のここはおかしいぞ。今更多少壊れようとなんだ。何も変わらん。」
「ぉああ゛·····ぁ」

這うコツを掴んだのかまた逃げようとする腰を掴み、縄に軽く指をかけた。何か唸りながら身体を動かすが、それだけでもう何もできないのだ。更に瓶を奥に食い込ませると、唸り声をあげて大人しくなった。大人しくなったが、身体ががくがくと震えて、呼吸が深く、ゆっくりとしたものになっていった。アルコールが腸から直に急速に吸収されたせいもあるだろう。元々強くも無い身体なのは知っていた。下手すれば本当に壊れるだろう。それでもまだ逃れようというのか、肘と膝が土の表面をガリガリと擦っていた。

「あんまり動くなよ。久々の酒が嬉しくてたまらなくて踊ってるのか?随分可愛い踊りだな。そんなにいいならもう一本同じのを持ってこさせてやろう。·····おい、」
「ぁ……い、や、·····死ぬ゛、っ、·····」
「嫌?またまた御冗談を。遠慮しなくても!こんないい酒が嫌な奴などいるわけないんだから。」

瓶の中の酒を流し込み終えたところで手を離すと、律儀にまた不自由な四肢で匍匐前進でもするように地面を這い回る。よほど頭が回ってないらしい。さらに50センチほど進んだところで首がつっかえて進めなくなった。リードの長さの限界まで行ったのだ。それなのにまだ壊れた玩具のように進もうとする。自分で自分の首を絞めているのに気が付いてもないようだ。
「ううう……」
瓶を身体から出そうとして力み、めりめりと肉から瓶口が抜け、地面に酒瓶が転がった。排泄感が気持ちよかったらしく、喘ぎながら身体をひとつ大きく震わせた。この感じであればもはや普段の排泄から何かしら感じているだろう。開いたままになった穴から生暖かくなった黄金酒が溢れ出て太腿をつたい地面にシミを作った。
「あーあ、零して、もったいない。いくらすると思ってんだよ。」
しゃがみこんで様子を見ていたが、立ち上がり、うつ伏せになった身体の脇の当たりを軽く蹴った。反応が鈍い。再び手元に新しい酒瓶が収まった。


   
「ぁ·····、」
身体の中が燃えている。霧野の身体の奥で泉が湧き出ているかのように脈拍が高まり全身に巡っていた。目の前が歪んでいて声が遠い。身体を捕まれ、ゆさぶられている。いや·····
「あ·····っ?!、んんん、」
中に瓶ではない、生きた蛇のような塊が出入りし始めていた。容赦の無いそれが沸騰した泉をさらにごぼごぼと湧かせ、沸騰させる。
「あ゛っ、ぁ、!!、、ぅ、」
「あは、アルコールに漬けただけあって流石に熱いな。溶岩に突っ込んでるみたいだ。」
「ひ、ぃ····、っ」

みしみしと全身が悲鳴のような音を立てた。熱くなった身体は不自由な気持ちよさをよくよく感じ、自由がない分ひとつの肉の塊のように体を意識せざる得ない。その中を普段よりさらに巨大に感じる巨鉾がえぐっては抜き、抉っては抜きを繰り返し、激しくしかし陰湿に噴火口と出口を責め立てた。酒臭い息が漏れた。アルコールのまわり方が異常だ。肛門から酒を入れるなど正気の沙汰ではない。それくらいわかるはず、殺す気なのだろうか、……、

酔っているせいで、余計に感覚が鋭敏になって一突きされるたびに、何かトんでいきそうな感覚に満たされ、脳の奥が痺れ、だらしのない声が涎と一緒に漏れ出ていく。脈打つ下半身が地面に擦れてざりざり、ねちゃねちゃと泥をこねるような音を立てていた。霧野の腰は突かれるたびに、無意識に求めるように揺れ陰部を地面にこすりつけていたのだった。景色が遠くなり、ただ身体がここにあることだけがわかる。脈拍と突きと一緒に身体が良く軋み、後ろ手組んだ掌の中がぬるぬると濡れていた。まるで汗にまで酒が混ざっているかのように甘い酒の香りが周囲に漂って空気を余計に濡らしていた。甘い霧の中にいるようなぬめぬめとした感覚が皮膚を包む。身体が弛緩して、酒の霧の中にとろけていきそうだ。
「おお……、ぅ……」
「締まりが悪くなってきてるぞ。」
無遠慮に尻を数発容赦なく叩かれ、ビリビリと頭の奥にまで鋭敏な痛みが突き抜けていった。力の入らない下半身に力を入れ、彼を感じた。臓器全てが悲鳴を上げ、苦しんでいるのに、毛細血管の端まで開いていくような痺れる感覚が止まらない。霧野の見開かれれた瞳は、開かれてはいても何も見ておらず、ただ身体に与えられる衝撃に反応を見せるだけの器官となっていた。
「ぁ……っ、ぁ、」
さらに発汗し、身体を蹂躙される感覚が強まっていく。もがけばもがくほどに絶望感が増すということは身をもって知っているのに、折られた腕が無意味に空を掻いた。終わらない罰を受けている。身体をひっくり返され、穢れた身体を使われ続けると昨日の記憶と現在が混ざり合い、わけのわからない感情に頭が支配されていった。のけぞって浮いた身体にも容赦なく楔を打ち込まれ続け、境界のような物が消えていく。
「んんん……、」
中に熱い物が吐き出されて、抜かれても、まだ何か中で渦巻いているような感覚が残り続けて、身体震え続けた。中の熱さに反比例するように急激な寒気が襲い掛かり、気持ちが悪いのに気持ちがいいような感覚で満ちて、必死で溺れないように呼吸をする。
そうして、地面に捨て置かれたと思うと、再び身体を支えられるようにして起こされた。触れられるだけでビクンビクンと身体が跳ね、言うことを聞かない身体が地面にしゃがみ込まされる。縛られているせいで、結び目の部分が痛み、強く脈打って、無理な姿勢をとらざるえなくなる。
「な、に……」
「無暗に犯されないようにしておいてやるよ。」
「あ…?」
熱い肉襞にまた何かあたっており、それはしゃがみこんだ太ももを推されることで、姿勢が下がり、ズブズブと簡単に中に押し込まれていった。
「あ゛……が、は、う……」
俯いた視線の先で地面から、どす黒いディルドのようなものがグロテスクにそびえたち、身体がそれを咥え込んで、半分程度が肉の中に消えていた。力を抜けばさらにそれが中まで挿入され、余韻の残る熱い身体が貪るようにその無機物に吸い付いて、離さず、勝手にゾクゾクと感じ始めた。信じられない。
「ん……い、……嫌だ、もう、……こんな、ぁ」
嫌だと言うと余計に身体が反応して、きゅうと中を締めるのだった。ふざけた身体だった。
「別に抜きたきゃ勝手に抜けばいいが、そこのさかった奴にブチ犯されても俺は助けてやらんぞ。親切心で俺以外に犯されんように塞いでやってるんだ。」

二条の指さす先で、ノアがすぐそばをぐるぐると回るようにして歩き回り、無の視線を送ってきていた。アルコールも手伝い混濁した意識の中だったが、勃起させたノアの旋回を見てようやくここがどこで、側にいるのが二条だけではないことを思い出した。結われしゃがみ込んだことで開かされた脚、中心で一物がまた勃起し、二条の脚がもっと足を開いて見せてみろというように太ももにのって体重をかけ、爛れた肉を異物が引っ掻いた。

悲鳴を上げかけた口内を誰かに犯され始めていた。視界が男の下半身で覆われ暗くなる。緩やかに使われているだけというのに、上から下から犯されまくっているような感じともどかしさにたまらなくなり、はあはあと、陰茎と唇の隙間から、熱い息が漏れ出ていった。口内が酒と臭い匂いで満たされて呼吸をしたくない、もっと雑に、してくれれば、しごきたい、誰かしごいてくれ、いや、馬鹿げてる、酔った脳が進んで厭な快楽を求め、喉を鳴らした。ぬぽ、と口内からペニスが引き抜かれ、口から川名に命じられた言葉が零れ落ちていった。
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