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本編
50 宿った命(前半リヒトside・後半セレスside)
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──汚い。
汚い、汚い、汚い、汚い、汚い、汚い、汚い、汚い、汚い……自分以外の男に抱かれたセレスが、汚らわしくてたまらない。
そんなことを考えながら、抵抗するセレスを強引に横抱きしてバスルームから出る。そのまま彼女を乱暴にベッドに放り投げると、貪るようにその薄紅色の唇に吸い付いた。
「んぅっ……ふ、あぁ……」
口内に舌を挿入し、歯列をなぞり、息をつく間も与えないほど舌を蹂躙する。
敢えて大げさにびちゃびちゃと音を立てて舌を絡めると、やがてセレスは嫌がりながらも呼吸を荒くし、顔を赤らめた。
その反応を見て、やはり彼女は弟である俺とこうしている時が一番性的興奮を得られるのだと確信し、今度は柔らかな乳房に手を伸ばす。
「やっ……駄目……リヒトぉ……胸は駄目……そこ、駄目……っ」
「胸だけじゃないだろ? お前は、もう全身が性感帯だよな?」
「……っ!」
「俺がそうしてやったんだ。感謝しろ」
屈辱のあまり押し黙るセレスに向かってそう返し、にやりと口の端を吊り上げてみせる。
右手でむにゅむにゅと乳房を揉みしだきながら、左手で肉芽をこりこりと刺激してやると、セレスは先程の屈辱感など忘れたかのように甘い嬌声を上げた。
「ひぁ……あぁんっ!」
──ああ……この声をいつまででも聞いていたい。
もう、心なんか手に入らなくても構わない。最愛の姉と、ずっとこうやって体を重ねていたい。
俺が彼女に『必要とされる理由』がもうそれしか残っていないのなら、このまま二人で快楽の淵へと堕ちてしまいたい。
悦楽に酔いしれつつもセレスの舌を翻弄していると、ふと彼女の部屋を訪れる直前にズボンのポケットに入れた魔法薬の存在を思い出した。
これは先日、王都の魔道具屋で購入した所謂『媚薬』だ。飲めば性欲を増進させる効果が得られる他、飲用後は六~七時間ほど体力が無尽蔵になる効果まで得られるという優れた品である。
──これを使って、今度こそセレスを孕ませてやる。
そう考えながら、セレスを組み敷き、ポケットの中に手を突っ込んで媚薬が入った小瓶を取り出す。
そして手早く蓋を開けると、中に入っている赤い液体を口に含みセレスに口移しでそれを飲ませた。
「……っ!? ん、んぐっ……」
セレスが媚薬を飲み干したことを確認すると、俺はポケットからもう一つ小瓶を取り出し、今度は自分でそれを飲み干す。
ふとセレスのほうに視線を移すと、早くも媚薬が効いてきたのか、彼女は物欲しげに恍惚とした表情で俺の顔を見つめていた。
その要求に応えるように、彼女の蜜壺に指を挿入し出し入れを繰り返してやる。すると、セレスはそれだけで達してしまったらしく、全身をぴくぴくと痙攣させ、やがて快感の余韻に浸るように虚ろな目で天蓋を見上げた。
頃合いを見て彼女の秘部に自分のいきり立った肉棒を挿入し、ずんずんと子宮口を突き続けていると、セレスは僅かに残った理性で抗うように小さい喘ぎ声を上げた。
そんな彼女を見て、ふと名案が浮かぶ。
──そうだ。あいつに触られた部分を、自分の体液で浄化してやろう。
せっかく、媚薬の効果で繰り返し射精することが可能になったのだ。セレスの体のあらゆる部分に自分の精液をかけて、清めてやればいいのだ。
「さあ、言え。どこをどう触られた? あいつに触られた部分を早く浄化しないとな」
「い……嫌ぁ……やだぁっ……!」
元々の強情な性分が勝っているのか、セレスは尚も媚薬の効果に抗い続けた。
全く……強情にも程がある。こうなったら……膣は勿論のこと、顔、口、胸、腹、手足──といった具合に、虱潰しに自分の体液をかけてやろう。
そこまで考えて、俺ははっとして気がつく。
ああ、そうか。俺は、別に彼女の体を清めることに拘っていたわけではないのか。
確かに、俺はネイトに抱かれたセレスを汚らわしいと感じている。だが……きっと、本当は清めることが重要なのではなく、あいつに触れられたこの肢体を再び自分色に染め上げたかっただけなのだろう。だからこそ、自身の精液をかけて印を付けようなどという発想が浮かぶのだ。
そう思った俺は、射精寸前に膣から自身を引き抜き、一先ずセレスの胸に吐精する。
そのまま白濁にまみれた胸に手を伸ばすと、白い乳房と薄桃色の乳頭に付着した自身の精液をまんべんなく胸全体に塗りたくった。
「や……やめっ……ふあぁぁ……!」
美容オイルのごとく精液を塗りたくりながら、両胸を鷲掴みにし、揉みしだいてやる。すると、流石に快感に抗えなくなったのか、セレスは体をくねらせてよがり始めた。
「ふ、ぁ……リヒトぉ……も、駄目……これ以上……弄っちゃ、……やだぁ……──あぁんっ!」
言葉とは裏腹に、セレスの喘ぎ声は止まらず、やがて彼女の視線は俺の股間に注がれた。
うるうると潤んだその藍緑色の瞳を見れば、「嫌だ」と言いながらも彼女が目の前の男の怒張した肉棒を欲していることは一目瞭然だった。
どうやら、飲ませた媚薬は効果覿面のようだ。
「安心しろ。全身にぶっかけたら、ちゃんと中にも出してやるからな? ……そして、今度こそ俺達の子供を作るんだ」
そう耳打ちしてやると、セレスはますます瞳を潤ませ、その表情はすっかり陶酔しきったものへと変わっていった。
「あぐっ……うぅ……あ、赤……しゃん……リヒトと……わらひの……赤しゃん……」
「ああ、そうだ。俺とセレスの子供だ。きっと、凄く可愛いぞ。俺は、やっぱり女の子が欲しいな。セレスはどっちがいいんだ?」
媚薬の効果とはいえ、呂律が回らない口調で「赤ちゃん」と連呼するセレスは、完全に精神が崩壊しているか、見様によっては俺に服従しているようにも思えて──途端に自分の中にある支配欲が満たされていくのを感じた。
だが──
「あかしゃん……できひゃう……きょうだいなのに……リヒトは、わらひの……おとうとなのにぃ……あぐっ……ひぐぅっ……」
その矢先、セレスの口から出たのは尚も俺との子作りを拒絶する言葉だった。
「ああ……セレス。お前は本当に強情な女だな。媚薬に侵されながらも、断固として俺を拒絶するその姿──最早、絶望を通り越して、快感すら感じるほどだ。……ゾクゾクする」
そう言いながら、ギンギンに張り詰めた肉棒を再びセレスの秘部にあてがう。
「いいだろう。全身にぶっかけるのは後にして、まずはこのいやらしい下の口を精子まみれにしてやる。……お仕置きだ」
「はぁうっ……んんっ……!」
ズブリと最奥まで自身を挿入し、激しく子宮口を突いてやると、セレスは快感のあまり俺の背中に手を回し爪を立てた。
「ひぁぁ……奥っ……! 何か……きひゃう……! きひゃうよぉっ……! だめぇ……やだ、やだぁっ……!!」
「……はぁ、はぁ……セレス……達きそうなのか? いいぞ。一緒に達こう。二人で一緒に気持ちよくなろう」
「やだ! やだぁっ……! ふああっ……!!」
ピストンを繰り返しつつも、ぶんぶんと首を横に振るセレスの頭を宥めるように優しく撫でる。
そんなやり取りを暫くのあいだ繰り返した後、いよいよ俺の射精感も限界を迎えたため、びゅるるっと勢いよくセレスの中に欲望を放った。
「……っはぁ……」
「あうぅっ……! 赤しゃん……できひゃうよぉ……! いやあぁぁぁ……!!」
快感の絶頂へと登ったセレスは、びくんびくんと身を震わせる。
「どうした? 気持ちよすぎて、失神でもしたか? だが、まだ終わらせるつもりはないぞ。……夜は長いからな」
膣内に自身の精が勢いよく放たれる感覚に満足しながらも、俺は意識を手放したようにぐったりと放心するセレスの耳に唇を寄せてそう囁いた。
◆
季節はめぐり、肌寒い初冬が訪れた。屋敷の周辺にある木々の木の葉がすっかり枯れている様を見ると、「もうそんな季節なのか」と、時の流れの早さを感じる。
そろそろ暖を取らなければ、朝方は寒くて凍えてしまいそうだ。アルメルに頼んで、明日からは部屋の暖炉を焚いてもらうことにしよう。
それからまた、代わり映えのしない閉ざされた生活を繰り返しているうちに数週間が経ち、いよいよ本格的な冬が到来した。
──私とリヒトの関係は、もう一生変わらないのだろうか? ネイトの怪我は良くなったのだろうか?
来る日も来る日も、そんなことを考えては、ぼんやりと窓の外を眺める。それの繰り返しだ。
そして……最近は、以前にも増して体調が悪いことに気がついた。
何だか体がだるいし、気分が悪くてろくに食事も取れないのだ。食欲がないのは、監禁されてからずっとだけれど、近頃は食欲がないどころか、吐き気まで催すようになってしまった。
季節の変わり目で、体調を崩したとも考えられるけれど……どうも、違和感がある。
明確な体の異変に気づいたのは、その数日後だった。
そう言えば……もう長いこと、月のものが来ていない。監禁生活が始まったあの日以来、精神的なストレスで生理不順になることもあったけれど、それでも三ヶ月以上来ないということはなかった。
それに、心なしかお腹が出てきた気がする。まともに食事を取れない状況なのに、太るわけがないし……どう考えてもおかしい。
そこまで考えて、ふと嫌な考えに行き着く。
──もしかしたら、妊娠したのかもしれない。
「ああ……どうしよう……」
思わず独り言が零れる。本当に、どうしたらいいんだろう。ついに、恐れていたことが現実になってしまった。
前世含め、私は妊娠した経験が一度もないけれど……このお腹の大きさからして、恐らく妊娠三ヶ月程度といったところだろうか。
リヒトは、まだ私の妊娠に気づいていない。もしこのことを報告したら、きっと彼は凄く喜ぶだろう。
念願叶って私との間に子供ができたわけだし、出産に向けて着々と準備を進めるはず。
──生まれてくる子供に罪はないけれど……私は、実の弟との間にできた子供なんて産めない。……産みたくない。
以前、リヒトに子供ができたらどうするつもりなのかと尋ねてみたことがある。
すると、彼は屋敷の前に置き去りにされていた赤ん坊を拾って自分の養子にしたことにするのだと──そう答えた。
確かに、私の妊娠や出産が周囲に知られないように全て秘密裏に行えば、誤魔化し通すことも可能だろう。
けれど……いずれは、子供に真実を伝えなければいけない日が来ると思う。
私達は二卵性の双子だけれど、容姿が似ている。流石に瓜二つというわけではないが、他人から見ても一目で姉弟だということがわかってしまうほどだ。
そんな風に顔のよく似た、血が濃い私達の間に生まれた子なのだから、当然子供は両親である私達に似てしまうはず。そうなると、必然的に周囲から疑惑の目を向けられるわけだ。
……間違いなく、この子は不幸になる。将来、この子にどう説明したらいいのだろう。
自分の両親が血の繋がった姉弟だなんて……そんな事実を知ったら、きっと酷いショックを受けるに違いない。
そんなことを頭の中でぐるぐると考えながら、自分の腹に宿ったであろう小さな命に語りかける。
──ごめんなさい……私、あなたを幸せにしてあげられない……。
できれば、リヒトに妊娠したことを言いたくない。かといって、このまま隠し通せるものでもない。意を決した私は、躊躇しつつもリヒトに妊娠したことを告げた。
翌日の検査結果は案の定、陽性。予め覚悟をしていたから、結果を知ってもさほどショックが大きくなかったのがせめてもの救いだろうか。
その日以来、絶望に打ちひしがれる私とは対象的に、リヒトは毎日嬉しそうに私のお腹の中にいる赤ん坊に話しかけるようになった。
将来のことを考えて気が狂いそうになっている私をよそに、「名前はどうしようか」とか「男か女、どちらだろう」とか、まるで幸せの絶頂にいる新婚の夫のように振る舞うものだから、ますます追い詰められてしまった。
それから、さらに数ヶ月が経ったある日のこと。
屋敷に意外な訪問者が訪れた。私達双子の叔父であるハロルドだ。
制止するアドレーとアルメルから私の寝室の鍵を強引に奪い取って部屋に乗り込んできたハロルドは、私のお腹を見て絶句していた。
「どうも様子がおかしいと思って来てみれば……」
そう言って頭を抱えるハロルドを見て、最早言い訳など通用しないということを悟り言葉に詰まる。
リヒトが起こした暴行事件を機に、私達の様子がおかしいことに気がついた彼は、手紙のやり取りだけでは納得いかず、直接様子を見に来ることにしたのだそうだ。
「……相手は誰なんだ?」
「……」
「言いなさい」
一向に口を開こうとしない私に痺れを切らしたハロルドは、小さくため息をつき、やがて言い難そうに切り出した。
「まさかとは思うが……リヒトなのか?」
「…………」
お腹の子の父親をずばり言い当てられ、思わず俯く。
「やはり、そうなんだな。ああ、何てことだ……」
ハロルドは顔面蒼白し、再び頭を抱える。この部屋に私が監禁されている事実を知った彼は、事の成り行きを粗方察した様子だった。
普通なら、姉思いの弟がどこの馬の骨ともわからない男の子供を妊娠したリアンの姉を世間から隠すために屋敷に閉じ込めているのだと──そう考えるのが妥当だろう。
だが、リヒトは私が妊娠したことを親族の誰にも教えなかった。問題が起こったのだから、叔父としては相談の一つくらいあってもいいと思ったのだろう。それをしなかったリヒトに対して、懐疑心を抱くのも無理はない。
そのことを抜きにしても、こんな風に屋敷内ですら姉の行動を制限し、さらには部屋に鍵をかけて閉じ込めるなんてやはり異常だ。それに、ハロルドはあの暴行事件が起きた原因の一つが私達の仲違いだということを知っている。
一応、表向きは姉弟喧嘩の末にリヒトが私との契約を一時的に解除し、お互いに頭を冷やすために知り合いに引き渡したということになっている。けれど、それにしては不自然な点が多かったのだろう。
「……明日、親族会議を開くぞ。お前達の処分はその時に決める」
今にも卒倒しそうになっていたハロルドは、少し持ち直した様子で私にそう告げると、険しい表情で部屋を後にした。
汚い、汚い、汚い、汚い、汚い、汚い、汚い、汚い、汚い……自分以外の男に抱かれたセレスが、汚らわしくてたまらない。
そんなことを考えながら、抵抗するセレスを強引に横抱きしてバスルームから出る。そのまま彼女を乱暴にベッドに放り投げると、貪るようにその薄紅色の唇に吸い付いた。
「んぅっ……ふ、あぁ……」
口内に舌を挿入し、歯列をなぞり、息をつく間も与えないほど舌を蹂躙する。
敢えて大げさにびちゃびちゃと音を立てて舌を絡めると、やがてセレスは嫌がりながらも呼吸を荒くし、顔を赤らめた。
その反応を見て、やはり彼女は弟である俺とこうしている時が一番性的興奮を得られるのだと確信し、今度は柔らかな乳房に手を伸ばす。
「やっ……駄目……リヒトぉ……胸は駄目……そこ、駄目……っ」
「胸だけじゃないだろ? お前は、もう全身が性感帯だよな?」
「……っ!」
「俺がそうしてやったんだ。感謝しろ」
屈辱のあまり押し黙るセレスに向かってそう返し、にやりと口の端を吊り上げてみせる。
右手でむにゅむにゅと乳房を揉みしだきながら、左手で肉芽をこりこりと刺激してやると、セレスは先程の屈辱感など忘れたかのように甘い嬌声を上げた。
「ひぁ……あぁんっ!」
──ああ……この声をいつまででも聞いていたい。
もう、心なんか手に入らなくても構わない。最愛の姉と、ずっとこうやって体を重ねていたい。
俺が彼女に『必要とされる理由』がもうそれしか残っていないのなら、このまま二人で快楽の淵へと堕ちてしまいたい。
悦楽に酔いしれつつもセレスの舌を翻弄していると、ふと彼女の部屋を訪れる直前にズボンのポケットに入れた魔法薬の存在を思い出した。
これは先日、王都の魔道具屋で購入した所謂『媚薬』だ。飲めば性欲を増進させる効果が得られる他、飲用後は六~七時間ほど体力が無尽蔵になる効果まで得られるという優れた品である。
──これを使って、今度こそセレスを孕ませてやる。
そう考えながら、セレスを組み敷き、ポケットの中に手を突っ込んで媚薬が入った小瓶を取り出す。
そして手早く蓋を開けると、中に入っている赤い液体を口に含みセレスに口移しでそれを飲ませた。
「……っ!? ん、んぐっ……」
セレスが媚薬を飲み干したことを確認すると、俺はポケットからもう一つ小瓶を取り出し、今度は自分でそれを飲み干す。
ふとセレスのほうに視線を移すと、早くも媚薬が効いてきたのか、彼女は物欲しげに恍惚とした表情で俺の顔を見つめていた。
その要求に応えるように、彼女の蜜壺に指を挿入し出し入れを繰り返してやる。すると、セレスはそれだけで達してしまったらしく、全身をぴくぴくと痙攣させ、やがて快感の余韻に浸るように虚ろな目で天蓋を見上げた。
頃合いを見て彼女の秘部に自分のいきり立った肉棒を挿入し、ずんずんと子宮口を突き続けていると、セレスは僅かに残った理性で抗うように小さい喘ぎ声を上げた。
そんな彼女を見て、ふと名案が浮かぶ。
──そうだ。あいつに触られた部分を、自分の体液で浄化してやろう。
せっかく、媚薬の効果で繰り返し射精することが可能になったのだ。セレスの体のあらゆる部分に自分の精液をかけて、清めてやればいいのだ。
「さあ、言え。どこをどう触られた? あいつに触られた部分を早く浄化しないとな」
「い……嫌ぁ……やだぁっ……!」
元々の強情な性分が勝っているのか、セレスは尚も媚薬の効果に抗い続けた。
全く……強情にも程がある。こうなったら……膣は勿論のこと、顔、口、胸、腹、手足──といった具合に、虱潰しに自分の体液をかけてやろう。
そこまで考えて、俺ははっとして気がつく。
ああ、そうか。俺は、別に彼女の体を清めることに拘っていたわけではないのか。
確かに、俺はネイトに抱かれたセレスを汚らわしいと感じている。だが……きっと、本当は清めることが重要なのではなく、あいつに触れられたこの肢体を再び自分色に染め上げたかっただけなのだろう。だからこそ、自身の精液をかけて印を付けようなどという発想が浮かぶのだ。
そう思った俺は、射精寸前に膣から自身を引き抜き、一先ずセレスの胸に吐精する。
そのまま白濁にまみれた胸に手を伸ばすと、白い乳房と薄桃色の乳頭に付着した自身の精液をまんべんなく胸全体に塗りたくった。
「や……やめっ……ふあぁぁ……!」
美容オイルのごとく精液を塗りたくりながら、両胸を鷲掴みにし、揉みしだいてやる。すると、流石に快感に抗えなくなったのか、セレスは体をくねらせてよがり始めた。
「ふ、ぁ……リヒトぉ……も、駄目……これ以上……弄っちゃ、……やだぁ……──あぁんっ!」
言葉とは裏腹に、セレスの喘ぎ声は止まらず、やがて彼女の視線は俺の股間に注がれた。
うるうると潤んだその藍緑色の瞳を見れば、「嫌だ」と言いながらも彼女が目の前の男の怒張した肉棒を欲していることは一目瞭然だった。
どうやら、飲ませた媚薬は効果覿面のようだ。
「安心しろ。全身にぶっかけたら、ちゃんと中にも出してやるからな? ……そして、今度こそ俺達の子供を作るんだ」
そう耳打ちしてやると、セレスはますます瞳を潤ませ、その表情はすっかり陶酔しきったものへと変わっていった。
「あぐっ……うぅ……あ、赤……しゃん……リヒトと……わらひの……赤しゃん……」
「ああ、そうだ。俺とセレスの子供だ。きっと、凄く可愛いぞ。俺は、やっぱり女の子が欲しいな。セレスはどっちがいいんだ?」
媚薬の効果とはいえ、呂律が回らない口調で「赤ちゃん」と連呼するセレスは、完全に精神が崩壊しているか、見様によっては俺に服従しているようにも思えて──途端に自分の中にある支配欲が満たされていくのを感じた。
だが──
「あかしゃん……できひゃう……きょうだいなのに……リヒトは、わらひの……おとうとなのにぃ……あぐっ……ひぐぅっ……」
その矢先、セレスの口から出たのは尚も俺との子作りを拒絶する言葉だった。
「ああ……セレス。お前は本当に強情な女だな。媚薬に侵されながらも、断固として俺を拒絶するその姿──最早、絶望を通り越して、快感すら感じるほどだ。……ゾクゾクする」
そう言いながら、ギンギンに張り詰めた肉棒を再びセレスの秘部にあてがう。
「いいだろう。全身にぶっかけるのは後にして、まずはこのいやらしい下の口を精子まみれにしてやる。……お仕置きだ」
「はぁうっ……んんっ……!」
ズブリと最奥まで自身を挿入し、激しく子宮口を突いてやると、セレスは快感のあまり俺の背中に手を回し爪を立てた。
「ひぁぁ……奥っ……! 何か……きひゃう……! きひゃうよぉっ……! だめぇ……やだ、やだぁっ……!!」
「……はぁ、はぁ……セレス……達きそうなのか? いいぞ。一緒に達こう。二人で一緒に気持ちよくなろう」
「やだ! やだぁっ……! ふああっ……!!」
ピストンを繰り返しつつも、ぶんぶんと首を横に振るセレスの頭を宥めるように優しく撫でる。
そんなやり取りを暫くのあいだ繰り返した後、いよいよ俺の射精感も限界を迎えたため、びゅるるっと勢いよくセレスの中に欲望を放った。
「……っはぁ……」
「あうぅっ……! 赤しゃん……できひゃうよぉ……! いやあぁぁぁ……!!」
快感の絶頂へと登ったセレスは、びくんびくんと身を震わせる。
「どうした? 気持ちよすぎて、失神でもしたか? だが、まだ終わらせるつもりはないぞ。……夜は長いからな」
膣内に自身の精が勢いよく放たれる感覚に満足しながらも、俺は意識を手放したようにぐったりと放心するセレスの耳に唇を寄せてそう囁いた。
◆
季節はめぐり、肌寒い初冬が訪れた。屋敷の周辺にある木々の木の葉がすっかり枯れている様を見ると、「もうそんな季節なのか」と、時の流れの早さを感じる。
そろそろ暖を取らなければ、朝方は寒くて凍えてしまいそうだ。アルメルに頼んで、明日からは部屋の暖炉を焚いてもらうことにしよう。
それからまた、代わり映えのしない閉ざされた生活を繰り返しているうちに数週間が経ち、いよいよ本格的な冬が到来した。
──私とリヒトの関係は、もう一生変わらないのだろうか? ネイトの怪我は良くなったのだろうか?
来る日も来る日も、そんなことを考えては、ぼんやりと窓の外を眺める。それの繰り返しだ。
そして……最近は、以前にも増して体調が悪いことに気がついた。
何だか体がだるいし、気分が悪くてろくに食事も取れないのだ。食欲がないのは、監禁されてからずっとだけれど、近頃は食欲がないどころか、吐き気まで催すようになってしまった。
季節の変わり目で、体調を崩したとも考えられるけれど……どうも、違和感がある。
明確な体の異変に気づいたのは、その数日後だった。
そう言えば……もう長いこと、月のものが来ていない。監禁生活が始まったあの日以来、精神的なストレスで生理不順になることもあったけれど、それでも三ヶ月以上来ないということはなかった。
それに、心なしかお腹が出てきた気がする。まともに食事を取れない状況なのに、太るわけがないし……どう考えてもおかしい。
そこまで考えて、ふと嫌な考えに行き着く。
──もしかしたら、妊娠したのかもしれない。
「ああ……どうしよう……」
思わず独り言が零れる。本当に、どうしたらいいんだろう。ついに、恐れていたことが現実になってしまった。
前世含め、私は妊娠した経験が一度もないけれど……このお腹の大きさからして、恐らく妊娠三ヶ月程度といったところだろうか。
リヒトは、まだ私の妊娠に気づいていない。もしこのことを報告したら、きっと彼は凄く喜ぶだろう。
念願叶って私との間に子供ができたわけだし、出産に向けて着々と準備を進めるはず。
──生まれてくる子供に罪はないけれど……私は、実の弟との間にできた子供なんて産めない。……産みたくない。
以前、リヒトに子供ができたらどうするつもりなのかと尋ねてみたことがある。
すると、彼は屋敷の前に置き去りにされていた赤ん坊を拾って自分の養子にしたことにするのだと──そう答えた。
確かに、私の妊娠や出産が周囲に知られないように全て秘密裏に行えば、誤魔化し通すことも可能だろう。
けれど……いずれは、子供に真実を伝えなければいけない日が来ると思う。
私達は二卵性の双子だけれど、容姿が似ている。流石に瓜二つというわけではないが、他人から見ても一目で姉弟だということがわかってしまうほどだ。
そんな風に顔のよく似た、血が濃い私達の間に生まれた子なのだから、当然子供は両親である私達に似てしまうはず。そうなると、必然的に周囲から疑惑の目を向けられるわけだ。
……間違いなく、この子は不幸になる。将来、この子にどう説明したらいいのだろう。
自分の両親が血の繋がった姉弟だなんて……そんな事実を知ったら、きっと酷いショックを受けるに違いない。
そんなことを頭の中でぐるぐると考えながら、自分の腹に宿ったであろう小さな命に語りかける。
──ごめんなさい……私、あなたを幸せにしてあげられない……。
できれば、リヒトに妊娠したことを言いたくない。かといって、このまま隠し通せるものでもない。意を決した私は、躊躇しつつもリヒトに妊娠したことを告げた。
翌日の検査結果は案の定、陽性。予め覚悟をしていたから、結果を知ってもさほどショックが大きくなかったのがせめてもの救いだろうか。
その日以来、絶望に打ちひしがれる私とは対象的に、リヒトは毎日嬉しそうに私のお腹の中にいる赤ん坊に話しかけるようになった。
将来のことを考えて気が狂いそうになっている私をよそに、「名前はどうしようか」とか「男か女、どちらだろう」とか、まるで幸せの絶頂にいる新婚の夫のように振る舞うものだから、ますます追い詰められてしまった。
それから、さらに数ヶ月が経ったある日のこと。
屋敷に意外な訪問者が訪れた。私達双子の叔父であるハロルドだ。
制止するアドレーとアルメルから私の寝室の鍵を強引に奪い取って部屋に乗り込んできたハロルドは、私のお腹を見て絶句していた。
「どうも様子がおかしいと思って来てみれば……」
そう言って頭を抱えるハロルドを見て、最早言い訳など通用しないということを悟り言葉に詰まる。
リヒトが起こした暴行事件を機に、私達の様子がおかしいことに気がついた彼は、手紙のやり取りだけでは納得いかず、直接様子を見に来ることにしたのだそうだ。
「……相手は誰なんだ?」
「……」
「言いなさい」
一向に口を開こうとしない私に痺れを切らしたハロルドは、小さくため息をつき、やがて言い難そうに切り出した。
「まさかとは思うが……リヒトなのか?」
「…………」
お腹の子の父親をずばり言い当てられ、思わず俯く。
「やはり、そうなんだな。ああ、何てことだ……」
ハロルドは顔面蒼白し、再び頭を抱える。この部屋に私が監禁されている事実を知った彼は、事の成り行きを粗方察した様子だった。
普通なら、姉思いの弟がどこの馬の骨ともわからない男の子供を妊娠したリアンの姉を世間から隠すために屋敷に閉じ込めているのだと──そう考えるのが妥当だろう。
だが、リヒトは私が妊娠したことを親族の誰にも教えなかった。問題が起こったのだから、叔父としては相談の一つくらいあってもいいと思ったのだろう。それをしなかったリヒトに対して、懐疑心を抱くのも無理はない。
そのことを抜きにしても、こんな風に屋敷内ですら姉の行動を制限し、さらには部屋に鍵をかけて閉じ込めるなんてやはり異常だ。それに、ハロルドはあの暴行事件が起きた原因の一つが私達の仲違いだということを知っている。
一応、表向きは姉弟喧嘩の末にリヒトが私との契約を一時的に解除し、お互いに頭を冷やすために知り合いに引き渡したということになっている。けれど、それにしては不自然な点が多かったのだろう。
「……明日、親族会議を開くぞ。お前達の処分はその時に決める」
今にも卒倒しそうになっていたハロルドは、少し持ち直した様子で私にそう告げると、険しい表情で部屋を後にした。
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