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本編
44 咎められぬ想い
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「ネイトくん……ごめんなさい……」
こんな精神状態で行為に及ぶことに申し訳なさを感じつつも、私はネイトに身を任せる。ネイトは私のナイトガウンを脱がせると、それを枕元に置きゆっくりと私を押し倒した。
「……あっ……」
後頭部が枕につくと同時に、耳介にちゅっと口付けられた。
「セレス……愛してるよ。本当にいいんだね……?」
耳元で甘く囁かれ、赤面しつつもこくんと頷いてみせる。
「わかった。それじゃあ、下も脱がせるね」
ネイトはそう言うと私のショーツに手をかけ、するすると脱がせていった。そして、ショーツを丁寧に畳むと先程と同じように枕元に置いた。
こういった動作一つ一つからも、どれだけ私を気遣ってくれているかが伝わってくる。
「凄いよ、セレス……本当に感じやすいんだね。もう、ぐっしょりだ」
ネイトはそう言いながら自分も服を脱ぎ、右手で私の秘部に触れた。彼はそのまま割れ目に沿って指先を走らせると、花芯をぐりぐりと刺激し始めた。
「キ……キス……された、ときから……ずっと、こうなっていて……ふ、あ……んっ……」
最後まで言い終わらないうちに、膣内に指を挿入された。その途端、体に電流が走ったような快感が襲う。
皮肉なことに、夜毎犯され続けていた私の体は中に指を入れられただけでも身悶えするほど淫乱な体に開発されてしまったようだ。
ネイトにこんな姿を見せてしまって、「はしたない女だな」と思われていないだろうか。ふと不安に思った私は、恐る恐るネイトを見上げた。
「あの……こんな姿……見せちゃって、ごめんね……」
「どうして?」
「だって……こんな……声、すぐ出しちゃって……凄く下品だし……」
再び涙目になりながら、ネイトの顔を見つめる。ネイトは小首を傾げているが、私の心の中は羞恥心でいっぱいだ。
「そ、それに……私、もう処女じゃないから……だからっ……」
そこまで言った途端、ネイトは膣内に入れた指をかき混ぜるように激しく動かし始めた。
「ふあっ……! ネ、ネイトく……ん?」
「お仕置きだよ」
「ん……ふ、ぅ……お仕置き……?」
少し意地悪な笑みを浮かべたネイトに、そう聞き返す。
「本当に僕がそんなことを気にすると思う? もし今までそう思っていたのだとしたら、僕を見くびりすぎだよ」
「ネイトくん……」
「僕はセレスがどんなに汚れていようと構わないし、変わらず愛し続けるよ。とはいえ……僕は君が汚れているなんてこれっぽっちも思っていないけれどね。寧ろ、こんな反応をしてくれて嬉しいくらいだし、凄く可愛いと思っているよ」
ネイトはそう言い終えると、私の乳房を愛おしそうに揉みもう片方の乳房に唇を寄せた。そして、そのまま乳首に吸い付き優しく舌で転がすと、甘い声を上げている私を攻め立てるようにさらに強い力で乳房を揉み始めた。
「や、あ、ふぁ……! ひゃ、あぁんっ……!」
「セレス……本当に可愛いよ。この綺麗な体をいつまででも眺めていたい……」
一頻り乳房と乳首を攻めた後、漸く私から離れたネイトは、うっとりとした表情で私を見下ろした。
「残念なことに、前世の君の裸は見れないまま死んでしまったけれど……さぞかし綺麗だったんだろうね。ああ、そう言えば……前世の君は胸が大きかったから、いつも目のやり場に困っていたよ。もっとも、付き合い始めてからは、君に向けられる周りの男子生徒達の視線が気になってそれどころじゃなくなったけれどね……」
「周りの男子って……私、そんなに見られていたの……?」
「うん。『一見地味だけれど、よく見ると可愛いし胸も大きい』って、一部の男子の間で大人気だったよ」
「そ、そうだったんだ……」
ネイトは自分が前世でどれだけ嫉妬に駆られていたかを告白すると、両手で私の乳房を鷲掴みにした。
「ひゃ……あぁっ……!」
「でも……僕が一番嫉妬していたのは、望だけれどね……。絶対、彼には渡さない……もう二度と君を傷つけさせないよ」
ネイトはそう言いながら、私の乳房を強い力で揉みしだき、指先で乳首を転がした。
「あ、……やんっ……駄目ぇ……そんなに弄ったら……私、おかしくなっちゃうよ……!」
「ふふっ……いいよ。このまま二人でおかしくなっちゃおうか」
「ふ、ぁ……」
「僕も、もう限界なんだ」
ネイトはそそり立った一物を私の秘部に押し当てる。
「あっ……」
秘部にあてがわれたそれはとても硬く、熱を帯びていた。上体を起こしよく見てみると、すっかり硬くなった男根が青筋を立て、私の中に入りたそうにぴくぴくと震えていた。これまでの私は弟としか男性経験がなかったため、男性のペニスの標準的なサイズはわからないが、個人的には大きいと思うし、少なくともネイトのものがリヒトに負けず劣らずの大きさであることは理解できる。
ふと自分の白金色の陰毛に視線を移すと、僅かに彼の体液が付着しており、ネイトが性的に興奮している様が見てとれた。
今からこれが私の中に入るのだと思うと、ますます高揚感が高まる。
そのままネイトを受け入れる準備をしていると、彼はポケットから錠剤のようなものを取り出し、手早く口に含んだ。恐らく、今ネイトが飲んだのはこの世界で言うところの男性用の避妊薬だろう。
この世界では、男女共に魔法の力が込められた高い避妊効果を誇る薬が売られているのだ。
「これ、旅立つ前に女将さんが持たせてくれたんだ。女将さんのお節介がこんな時に役立つなんて思わなかったよ」
「そうなんだ……?」
「別に、僕はセレスとの子供なら大歓迎なんだけれどね。でもほら、よく考えたら僕達はリアンだし、結婚できるとはいえ子供ができたら何かと困るだろう?」
確かにそうだ、と私も頷く。リアンとはいえ、私だって結婚をして子供を産み家庭を持ちたい気持ちはある。けれど、私は親族から疎まれて逃げるように隠居した上、その隠居先からも逃亡した問題児だ。何より、病んでしまった弟を置いてきた薄情者である私に幸せになる資格なんかあるはずがない。
「それじゃあ……中に入るよ?」
優しく耳打ちしてきたネイトに対し、「いいよ」と返事をする。
──でも、今だけは……今だけはどうか愛する人と結ばれることをお許し下さい、神様。
心の中で、神に許しを請うように祈る。その途端、ネイトのものが肉襞を押し開くように中に入ってきた。彼は根元まで自身を挿入すると、ゆっくりと私の中で動き始めた。
「ふ……はぁっ……ん……」
「セレス……好きだ。君が大好きだ。僕は、前世で君が死んでしまってからもずっと君の幻影を追っていたんだ。だから……漸く現世で巡り会えて、こうして結ばれることができて本当に嬉しいよ」
「ネイ、ト……くん……あぁっ……」
少し上ずった声で愛を囁くネイトに向かって、息を切らしながらも「私もそうだよ」と頷いてみせる。
──強制ではなく、自分から求めた相手と繋がることはこんなにも気持ちがいいものなんだ……。
そう思いつつ、私はネイトの背中に手を回す。勿論、リヒトとの性的な相性の良さは否定できない。だから、私が彼との行為を「気持ちがいい」と感じてしまったことは紛れもない事実だ。けれど、やはり心と体を許した相手と結ばれる気持ちよさに勝るものはないと思う。
ネイトが動く度に亀頭が子宮口にぶつかる。私は快感のあまり、泣きそうになりながらネイトの頬に触れキスを求めた。
それに気づいたネイトは先程と同じように私に唇を寄せ、舌を絡ませてきた。キスをしながら繋がっていると、「大切にされている」という実感が湧く。
「セレス……僕、もう……」
ネイトが切なげに息を吐き、限界を訴えた。私は「うん」と頷き、再びネイトの背中に手を回した。彼が快感の吐息を漏らすと同時に、私の膣内に精が放たれる。
私達は抱き合ってお互いの愛を確かめ合うと、そのまま一緒に眠りについた。
◆
「う……ん……」
柔らかな陽光と心地よい鳥のさえずりに気づき目を覚ますと、すでに朝になっていた。
ふと隣に視線を移すと、気持ちよさそうに眠っているネイトの姿が目に入った。
──昨夜、私達は結ばれたんだ。夢じゃなかったんだ……。
そう思った途端、なぜだかわからないけれど、これから前向きに生きていけそうな気がした。
きっと、心も体も許した相手と結ばれたことやその相手に「君は汚れてなんかいない」と言って貰えたことで自信がついたのだと思う。
けれども……何かが引っかかる。一体この引っかかりは何なんだろう。そう考えながら、服を着るためにベッドから下りてひんやりとした床に足をつける。
手早く着替えを済ませた私は鏡台の前に立ち深呼吸をすると、「さあ、今日も一日頑張りますか」と小さく呟き気合いを入れた。今はもう気分も落ち着いているし、何とか仕事に支障をきたさずに済みそうだ。
……そのはずだった。そのはずだったのに、状況は一転した。どういうわけか、突然よく知った少年の声が頭の中に響いたのだ。
──今日、俺とお前が繋がったという事実をこの先もずっと忘れるな。
「……っ!?」
それは、いつかリヒトが私に向けて言った言葉だった。
「どうして……? どうして、あの時あなたに言われた言葉を思い出すの……? だって……私、自信がついたから、これから頑張ろうって……そう思っていたはずなのに……どうして……? もう嫌……いやぁぁぁ……」
半狂乱になりながら、思わずその場にうずくまる。
「あなたの言葉と、この心のつかえが何か関係あるとでも言うの……?」
尚も頭の中で木霊し続けるリヒトの声に悶え苦しみつつも、私は心につかえている『何か』の正体を必死に探り始めた。
──ああ、そうか。そうだったんだ……。
暫く考えた末、漸く私はある一つの結論を導き出した。
私は『実の弟と交わった自分』を穢れてしまったと思っていた。汚れてしまった自分の体が嫌で嫌で仕方がなかった。
でも、それよりももっと嫌だと思っていたことがあった。それは──『そんな自分を嫌悪してしまう自分』だったのだ。
なぜかと言うと、私が実弟であるリヒトと肉体関係を持った自分を『穢らわしい』とか『汚れてしまった』と思えば、彼の好意を否定してしまうことになるからだ。
あの時、リヒトは自分と繋がった事実をずっと覚えていてほしいと願った。今考えると、あの言葉には色々な想いが込められていたように思う。当時の私は「どうしてそんな酷いことが言えるんだろう?」とリヒトを憎くすら感じていたけれど、きっと彼なりの主張が込められていたのだろう。
思うところは沢山あるけれど、リヒトが一貫して私に伝えたかったことは「自分の恋心を否定しないでほしい。認めてほしい」という強い渇望だったのではないかと、幾らか生活が落ち着いた今になって思う。
リヒトのやったことは間違っている。でも、だからといって、彼の想いを否定するようなことをしてはいけなかったんだ。
なぜなら……たとえ弟が姉に本気で恋をしたとしても、それが世間から奇異の目で見られる道ならぬ恋だったとしても、その好意自体に罪はないと思うから。そして、その一途な想いは誰も何も咎められないと思うから。
……私は、リヒトの純粋な恋心を否定する自分が何よりも嫌だったんだ。
それに気づいた途端、ほんの少しだけ心が軽くなった気がした。
こんな精神状態で行為に及ぶことに申し訳なさを感じつつも、私はネイトに身を任せる。ネイトは私のナイトガウンを脱がせると、それを枕元に置きゆっくりと私を押し倒した。
「……あっ……」
後頭部が枕につくと同時に、耳介にちゅっと口付けられた。
「セレス……愛してるよ。本当にいいんだね……?」
耳元で甘く囁かれ、赤面しつつもこくんと頷いてみせる。
「わかった。それじゃあ、下も脱がせるね」
ネイトはそう言うと私のショーツに手をかけ、するすると脱がせていった。そして、ショーツを丁寧に畳むと先程と同じように枕元に置いた。
こういった動作一つ一つからも、どれだけ私を気遣ってくれているかが伝わってくる。
「凄いよ、セレス……本当に感じやすいんだね。もう、ぐっしょりだ」
ネイトはそう言いながら自分も服を脱ぎ、右手で私の秘部に触れた。彼はそのまま割れ目に沿って指先を走らせると、花芯をぐりぐりと刺激し始めた。
「キ……キス……された、ときから……ずっと、こうなっていて……ふ、あ……んっ……」
最後まで言い終わらないうちに、膣内に指を挿入された。その途端、体に電流が走ったような快感が襲う。
皮肉なことに、夜毎犯され続けていた私の体は中に指を入れられただけでも身悶えするほど淫乱な体に開発されてしまったようだ。
ネイトにこんな姿を見せてしまって、「はしたない女だな」と思われていないだろうか。ふと不安に思った私は、恐る恐るネイトを見上げた。
「あの……こんな姿……見せちゃって、ごめんね……」
「どうして?」
「だって……こんな……声、すぐ出しちゃって……凄く下品だし……」
再び涙目になりながら、ネイトの顔を見つめる。ネイトは小首を傾げているが、私の心の中は羞恥心でいっぱいだ。
「そ、それに……私、もう処女じゃないから……だからっ……」
そこまで言った途端、ネイトは膣内に入れた指をかき混ぜるように激しく動かし始めた。
「ふあっ……! ネ、ネイトく……ん?」
「お仕置きだよ」
「ん……ふ、ぅ……お仕置き……?」
少し意地悪な笑みを浮かべたネイトに、そう聞き返す。
「本当に僕がそんなことを気にすると思う? もし今までそう思っていたのだとしたら、僕を見くびりすぎだよ」
「ネイトくん……」
「僕はセレスがどんなに汚れていようと構わないし、変わらず愛し続けるよ。とはいえ……僕は君が汚れているなんてこれっぽっちも思っていないけれどね。寧ろ、こんな反応をしてくれて嬉しいくらいだし、凄く可愛いと思っているよ」
ネイトはそう言い終えると、私の乳房を愛おしそうに揉みもう片方の乳房に唇を寄せた。そして、そのまま乳首に吸い付き優しく舌で転がすと、甘い声を上げている私を攻め立てるようにさらに強い力で乳房を揉み始めた。
「や、あ、ふぁ……! ひゃ、あぁんっ……!」
「セレス……本当に可愛いよ。この綺麗な体をいつまででも眺めていたい……」
一頻り乳房と乳首を攻めた後、漸く私から離れたネイトは、うっとりとした表情で私を見下ろした。
「残念なことに、前世の君の裸は見れないまま死んでしまったけれど……さぞかし綺麗だったんだろうね。ああ、そう言えば……前世の君は胸が大きかったから、いつも目のやり場に困っていたよ。もっとも、付き合い始めてからは、君に向けられる周りの男子生徒達の視線が気になってそれどころじゃなくなったけれどね……」
「周りの男子って……私、そんなに見られていたの……?」
「うん。『一見地味だけれど、よく見ると可愛いし胸も大きい』って、一部の男子の間で大人気だったよ」
「そ、そうだったんだ……」
ネイトは自分が前世でどれだけ嫉妬に駆られていたかを告白すると、両手で私の乳房を鷲掴みにした。
「ひゃ……あぁっ……!」
「でも……僕が一番嫉妬していたのは、望だけれどね……。絶対、彼には渡さない……もう二度と君を傷つけさせないよ」
ネイトはそう言いながら、私の乳房を強い力で揉みしだき、指先で乳首を転がした。
「あ、……やんっ……駄目ぇ……そんなに弄ったら……私、おかしくなっちゃうよ……!」
「ふふっ……いいよ。このまま二人でおかしくなっちゃおうか」
「ふ、ぁ……」
「僕も、もう限界なんだ」
ネイトはそそり立った一物を私の秘部に押し当てる。
「あっ……」
秘部にあてがわれたそれはとても硬く、熱を帯びていた。上体を起こしよく見てみると、すっかり硬くなった男根が青筋を立て、私の中に入りたそうにぴくぴくと震えていた。これまでの私は弟としか男性経験がなかったため、男性のペニスの標準的なサイズはわからないが、個人的には大きいと思うし、少なくともネイトのものがリヒトに負けず劣らずの大きさであることは理解できる。
ふと自分の白金色の陰毛に視線を移すと、僅かに彼の体液が付着しており、ネイトが性的に興奮している様が見てとれた。
今からこれが私の中に入るのだと思うと、ますます高揚感が高まる。
そのままネイトを受け入れる準備をしていると、彼はポケットから錠剤のようなものを取り出し、手早く口に含んだ。恐らく、今ネイトが飲んだのはこの世界で言うところの男性用の避妊薬だろう。
この世界では、男女共に魔法の力が込められた高い避妊効果を誇る薬が売られているのだ。
「これ、旅立つ前に女将さんが持たせてくれたんだ。女将さんのお節介がこんな時に役立つなんて思わなかったよ」
「そうなんだ……?」
「別に、僕はセレスとの子供なら大歓迎なんだけれどね。でもほら、よく考えたら僕達はリアンだし、結婚できるとはいえ子供ができたら何かと困るだろう?」
確かにそうだ、と私も頷く。リアンとはいえ、私だって結婚をして子供を産み家庭を持ちたい気持ちはある。けれど、私は親族から疎まれて逃げるように隠居した上、その隠居先からも逃亡した問題児だ。何より、病んでしまった弟を置いてきた薄情者である私に幸せになる資格なんかあるはずがない。
「それじゃあ……中に入るよ?」
優しく耳打ちしてきたネイトに対し、「いいよ」と返事をする。
──でも、今だけは……今だけはどうか愛する人と結ばれることをお許し下さい、神様。
心の中で、神に許しを請うように祈る。その途端、ネイトのものが肉襞を押し開くように中に入ってきた。彼は根元まで自身を挿入すると、ゆっくりと私の中で動き始めた。
「ふ……はぁっ……ん……」
「セレス……好きだ。君が大好きだ。僕は、前世で君が死んでしまってからもずっと君の幻影を追っていたんだ。だから……漸く現世で巡り会えて、こうして結ばれることができて本当に嬉しいよ」
「ネイ、ト……くん……あぁっ……」
少し上ずった声で愛を囁くネイトに向かって、息を切らしながらも「私もそうだよ」と頷いてみせる。
──強制ではなく、自分から求めた相手と繋がることはこんなにも気持ちがいいものなんだ……。
そう思いつつ、私はネイトの背中に手を回す。勿論、リヒトとの性的な相性の良さは否定できない。だから、私が彼との行為を「気持ちがいい」と感じてしまったことは紛れもない事実だ。けれど、やはり心と体を許した相手と結ばれる気持ちよさに勝るものはないと思う。
ネイトが動く度に亀頭が子宮口にぶつかる。私は快感のあまり、泣きそうになりながらネイトの頬に触れキスを求めた。
それに気づいたネイトは先程と同じように私に唇を寄せ、舌を絡ませてきた。キスをしながら繋がっていると、「大切にされている」という実感が湧く。
「セレス……僕、もう……」
ネイトが切なげに息を吐き、限界を訴えた。私は「うん」と頷き、再びネイトの背中に手を回した。彼が快感の吐息を漏らすと同時に、私の膣内に精が放たれる。
私達は抱き合ってお互いの愛を確かめ合うと、そのまま一緒に眠りについた。
◆
「う……ん……」
柔らかな陽光と心地よい鳥のさえずりに気づき目を覚ますと、すでに朝になっていた。
ふと隣に視線を移すと、気持ちよさそうに眠っているネイトの姿が目に入った。
──昨夜、私達は結ばれたんだ。夢じゃなかったんだ……。
そう思った途端、なぜだかわからないけれど、これから前向きに生きていけそうな気がした。
きっと、心も体も許した相手と結ばれたことやその相手に「君は汚れてなんかいない」と言って貰えたことで自信がついたのだと思う。
けれども……何かが引っかかる。一体この引っかかりは何なんだろう。そう考えながら、服を着るためにベッドから下りてひんやりとした床に足をつける。
手早く着替えを済ませた私は鏡台の前に立ち深呼吸をすると、「さあ、今日も一日頑張りますか」と小さく呟き気合いを入れた。今はもう気分も落ち着いているし、何とか仕事に支障をきたさずに済みそうだ。
……そのはずだった。そのはずだったのに、状況は一転した。どういうわけか、突然よく知った少年の声が頭の中に響いたのだ。
──今日、俺とお前が繋がったという事実をこの先もずっと忘れるな。
「……っ!?」
それは、いつかリヒトが私に向けて言った言葉だった。
「どうして……? どうして、あの時あなたに言われた言葉を思い出すの……? だって……私、自信がついたから、これから頑張ろうって……そう思っていたはずなのに……どうして……? もう嫌……いやぁぁぁ……」
半狂乱になりながら、思わずその場にうずくまる。
「あなたの言葉と、この心のつかえが何か関係あるとでも言うの……?」
尚も頭の中で木霊し続けるリヒトの声に悶え苦しみつつも、私は心につかえている『何か』の正体を必死に探り始めた。
──ああ、そうか。そうだったんだ……。
暫く考えた末、漸く私はある一つの結論を導き出した。
私は『実の弟と交わった自分』を穢れてしまったと思っていた。汚れてしまった自分の体が嫌で嫌で仕方がなかった。
でも、それよりももっと嫌だと思っていたことがあった。それは──『そんな自分を嫌悪してしまう自分』だったのだ。
なぜかと言うと、私が実弟であるリヒトと肉体関係を持った自分を『穢らわしい』とか『汚れてしまった』と思えば、彼の好意を否定してしまうことになるからだ。
あの時、リヒトは自分と繋がった事実をずっと覚えていてほしいと願った。今考えると、あの言葉には色々な想いが込められていたように思う。当時の私は「どうしてそんな酷いことが言えるんだろう?」とリヒトを憎くすら感じていたけれど、きっと彼なりの主張が込められていたのだろう。
思うところは沢山あるけれど、リヒトが一貫して私に伝えたかったことは「自分の恋心を否定しないでほしい。認めてほしい」という強い渇望だったのではないかと、幾らか生活が落ち着いた今になって思う。
リヒトのやったことは間違っている。でも、だからといって、彼の想いを否定するようなことをしてはいけなかったんだ。
なぜなら……たとえ弟が姉に本気で恋をしたとしても、それが世間から奇異の目で見られる道ならぬ恋だったとしても、その好意自体に罪はないと思うから。そして、その一途な想いは誰も何も咎められないと思うから。
……私は、リヒトの純粋な恋心を否定する自分が何よりも嫌だったんだ。
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