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第17話

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「閨のレッスン……? ごめんなさい、言っている意味がよくわからないのだけど……」
「そのままの意味だよ。俺と姉さんで『夫婦の営み』の練習をするってわけ。姉さん、公爵家に嫁ぐつもりなんでしょ? それなら、オスカー様をがっかりさせないように床上手になっておかないと」

 もっともらしく、淡々とこれから行う『レッスン』について説明をするカイルを見て、メイジーは頭を抱えてしまう。
 もしこの先、本当に公爵夫人になるつもりなら、確かに閨房に長けていたほうがいいだろう。
 けれども、その練習相手がカイルでなければいけない理由なんてない。
 ましてや、カイルは小さい頃からずっと一緒に育ってきた家族であり弟だ。いくら血の繋がりがないからといって、倫理に反する行為だろう。
 メイジーが返答に困っていると、カイルは半ば強引に部屋に入ってきた。
 そして、メイジーをベッドに座らせると、自分も隣に腰を掛けた。

「ま、待って! 私、練習するなんて一言も言ってないっ……!」

 狼狽しながらそう訴えると、カイルはメイジーの口に人差し指を当て、小悪魔のように妖艶な笑みを浮かべた。

「大丈夫。優しくするから。性知識がないまま初夜を迎えて、オスカー様の前で恥をかくのは姉さんなんだよ? だから、やっぱり弟である俺が一肌脱がないと」

 そう言ってカイルはメイジーが着ているネグリジェの裾を捲り上げ、下穿きの上からそっと右手で秘所に触れる。
 花芯を円を描くように優しくなぞられ、メイジーは思わずびくんと身を震わせた。

「……っ」

 あまりの気持ちよさに、メイジーは快感の吐息を漏らしてしまう。
 先日は箒の柄で秘所を刺激されるだけだったが、今はカイル自身の手でそこを触れられている。
 それだけでも顔から火が出るほど恥ずかしいのに、彼はメイジーの耳に唇を寄せ、「どう? 気持ちいい? 姉さん」なんて囁いてくる。

「ねえ、カイル。お願い、やめて。私がロペス公爵家に嫁ぐことを良く思っていないのはわかるけど……それにしたって、こんな風に意地悪しなくても……」
「意地悪? 人聞きが悪いな。俺は、ただ姉さんの役に立ちたいだけだよ。気が変わったんだ」
「気が変わった……?」
「うん。俺、姉さんの結婚を応援することにしたんだ。それで、さっきも言ったけど姉さんが初夜で上手く立ち振る舞えるように練習相手になってあげようと思って」
「……だ、だから! それは、カイルの役目じゃない……っていうか! そもそも、姉弟でこんなことをするのはおかしいわけで……!」
「大丈夫。姉さんの純潔までは奪わないから安心して」

 再び耳元で囁かれ、メイジーの顔はさらにカッと熱くなってしまう。

「ほら、触って」

 カイルはそう言いながらメイジーの手を取り、自身の股座へと導いた。
 初めて触れる弟のそこは、随分と熱を持っているように感じた。

「男は性的に興奮すると、ここが硬くなったり大きくなったりするんだ」
「なっ……そ、それくらい……私でも知ってるわよ!」

 メイジーは馬鹿にしないでほしい、という意味も込めてカイルに言い返した。

「ふーん……でも、それ本か何かで読んだだけだよね?」
「……ええ、そうよ」
「それじゃあ、実際に見たことはないよね。見てみる?」
「い……いい! 見せなくていいからっ……!」

 メイジーは火照る顔を両手で押さえながら、必死にカイルを制止した。
 けれど、カイルはメイジーが止めるのも聞かず、寝衣の下で窮屈そうにしていた男性器を露出させた。
 むくりと起き上がったその雄は、メイジーが想像していたよりもずっと大きく、女性のように綺麗な彼の顔立ちに似つかわしくないほど立派だった。
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