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恋する乙女の恋愛相談
心音
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天崎さんから、今さっきのことについて、ラインで説明を受けた。
彼女の耳は以前に比べ、ある程度回復しているということ。
彼女の耳に異常があることは、出産前から分かっていたことらしく。
そこから手術等を経て回復をしたっていうのは、なんだか素晴らしいことだ。
授業もある程度聞こえていて……あ、でも数学の山崎先生のボソボソ声は聞こえないらしい。
そしてそもそも彼女は、人とコミュニケーションを取るのが難しいといこと。
耳が聞こえないことを理由に人と会話することを避けてきたのが理由だとか。
せいぜい会話できるのは、両親くらいらしい。
だとしたら、私に話しかけてきた時、呼吸が荒かったのも納得だ。
相当な覚悟を持って、私のところへ来たのだろう。
私の親に、家に入る許可を貰い、私の部屋を聞いて。私の部屋まで来た。
……もちろん。筆談で。
これは、素直に頑張ったねと褒めて、同時にごめんねと謝った。
こういう天崎さんが抱える事情を聞いて。
そして今、一段落ついた……。
……というわけではなく。
『伊奈さん。私があなたの部屋の前に立った時、妹さんと間違えましたよね? なんでですか?』
謎に、問い詰められています……。
……そういえば、こういう人だったかもしれない。
当日ラインをした時だって、こんな感じだったような。
『あれはですね。えっとですね。楓花はいつもそれくらいの時間に帰ってくるものですからね。うん。だから間違えましたすみませんでした』
『なんで敬語なんですか。……私、部屋に入る前、メッセージ送りましたよ? 「今から、私のことを知ってもらいますから」って。それ、なんかすごく恥ずかしかったんですよ? もちろん。送信取消をしましたが』
……あ。
そういえば、ドアの前に私も立った時、スマホが鳴ったような。
それ。そんなことを送ってきてたんだ。
『すみません! あの時は、手元に携帯が無かったから、ついつい楓花と勘違いをしてしまって……』
『そうですか、許します。……ところで。思ったのですが。私のことは「天崎さん」で、妹さんは「楓花」って呼んでますよね……。なんですか、その情報格差』
……情報格差?
なんにせよ。なんだか面倒くさい彼女の様だ──って。
……彼女。彼女かぁ。
思考が、一気に別のベクトルへと飛んで行くのをちょい気にして、それでも結局その事について思いを巡らせてみる。
「うーん……」
考えてみれば彼女。みたいなものなのかな。
だって。私たちって両想いなんだよね。
だから。名前で呼ぶのって、案外普通なことなのかな。
えっと。天崎さんの下の名前は……心音だっけ。
いい名前だよね。心の音って。
親がどういう意図で名付けたのかが、だいたい察せる。
「心音さん。心音……さん」
名前の響き。良い。好き。
『既読無視ですか? 伊奈さーん。まだですかー』
一分経過。ふと届いたメッセに目を通す。
そんなせっかちな文字に「ふふ」と笑みを零しつつも。私は。
『ごめんごめん。ちょっと考え事してた! えっと……心音……さん?』
『さん抜きでお願いします』
……心音も私の事、さん付けじゃん。
そう、思いながらも。
『じゃあ、心音!』
語尾にエクスクラメーションなんかつけてみた。
『きゃ。好き』
……好きって。
よく普通に好きって言えるな。
どうやら心音は、私の心臓に不意打ちするのが好みらしい。
……まぁ。でも。
心音の中でも。
私に、ど直球な想いを伝えて、何か吹っ切れたような思いがあるのかもしれない。
…………。
『私も。好きだよ』
こう返せば。心音は喜んでくれるかなって。
そんな期待を抱きつつ──。
彼女の耳は以前に比べ、ある程度回復しているということ。
彼女の耳に異常があることは、出産前から分かっていたことらしく。
そこから手術等を経て回復をしたっていうのは、なんだか素晴らしいことだ。
授業もある程度聞こえていて……あ、でも数学の山崎先生のボソボソ声は聞こえないらしい。
そしてそもそも彼女は、人とコミュニケーションを取るのが難しいといこと。
耳が聞こえないことを理由に人と会話することを避けてきたのが理由だとか。
せいぜい会話できるのは、両親くらいらしい。
だとしたら、私に話しかけてきた時、呼吸が荒かったのも納得だ。
相当な覚悟を持って、私のところへ来たのだろう。
私の親に、家に入る許可を貰い、私の部屋を聞いて。私の部屋まで来た。
……もちろん。筆談で。
これは、素直に頑張ったねと褒めて、同時にごめんねと謝った。
こういう天崎さんが抱える事情を聞いて。
そして今、一段落ついた……。
……というわけではなく。
『伊奈さん。私があなたの部屋の前に立った時、妹さんと間違えましたよね? なんでですか?』
謎に、問い詰められています……。
……そういえば、こういう人だったかもしれない。
当日ラインをした時だって、こんな感じだったような。
『あれはですね。えっとですね。楓花はいつもそれくらいの時間に帰ってくるものですからね。うん。だから間違えましたすみませんでした』
『なんで敬語なんですか。……私、部屋に入る前、メッセージ送りましたよ? 「今から、私のことを知ってもらいますから」って。それ、なんかすごく恥ずかしかったんですよ? もちろん。送信取消をしましたが』
……あ。
そういえば、ドアの前に私も立った時、スマホが鳴ったような。
それ。そんなことを送ってきてたんだ。
『すみません! あの時は、手元に携帯が無かったから、ついつい楓花と勘違いをしてしまって……』
『そうですか、許します。……ところで。思ったのですが。私のことは「天崎さん」で、妹さんは「楓花」って呼んでますよね……。なんですか、その情報格差』
……情報格差?
なんにせよ。なんだか面倒くさい彼女の様だ──って。
……彼女。彼女かぁ。
思考が、一気に別のベクトルへと飛んで行くのをちょい気にして、それでも結局その事について思いを巡らせてみる。
「うーん……」
考えてみれば彼女。みたいなものなのかな。
だって。私たちって両想いなんだよね。
だから。名前で呼ぶのって、案外普通なことなのかな。
えっと。天崎さんの下の名前は……心音だっけ。
いい名前だよね。心の音って。
親がどういう意図で名付けたのかが、だいたい察せる。
「心音さん。心音……さん」
名前の響き。良い。好き。
『既読無視ですか? 伊奈さーん。まだですかー』
一分経過。ふと届いたメッセに目を通す。
そんなせっかちな文字に「ふふ」と笑みを零しつつも。私は。
『ごめんごめん。ちょっと考え事してた! えっと……心音……さん?』
『さん抜きでお願いします』
……心音も私の事、さん付けじゃん。
そう、思いながらも。
『じゃあ、心音!』
語尾にエクスクラメーションなんかつけてみた。
『きゃ。好き』
……好きって。
よく普通に好きって言えるな。
どうやら心音は、私の心臓に不意打ちするのが好みらしい。
……まぁ。でも。
心音の中でも。
私に、ど直球な想いを伝えて、何か吹っ切れたような思いがあるのかもしれない。
…………。
『私も。好きだよ』
こう返せば。心音は喜んでくれるかなって。
そんな期待を抱きつつ──。
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