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四章 罪の元凶

百五十六話 僕の能力

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「あんたは調子に乗ってるんじゃないのか!?このクソ野郎が!」
「言葉がなってねぇ様だなぁ、このクソガキ!俺が教育してやるよ!」

 初めて使う下品な言葉使い。それによって自分に喝を入れて、痛む体を無理やり動かす。

 完全に痛みも恐怖も忘れて戦わなきゃ、勝てるものも勝てないんだ!

 今までも本気だと思っていたけど、きっとどこかで僕は躊躇していた。
 
 責任を押し付ける訳じゃないけど、姉が本気で魔物達を殲滅している光景を見たことがあるのが原因の一つだと思う。
 僕も魔銃を撃ったら簡単に命を奪うんじゃないかって。

 でも改めて考えると……そんなの傲慢にも程がある話だよね。
 連射に重きを置いた性能の『魔機関銃』なのに、明らかに頑丈な魔物をを貫く姉上と自分を一緒にするなんてどうかしてる。
 
 大丈夫だ、大丈夫だよ僕。少なくとも目の前の男は……。

「簡単に死ぬなよ!!」
「殺れるもんならやってみやがれ!」
 
 僕は魔銃を構えながら頭をフル回転させて次の動きを考える。

 殺意を乗せて攻撃できるようになった分、威力は増したと思うけどそれだけじゃ無駄だ。
 きっと全て弾かれて終わると思う。

 ならばどうするか。闇雲に撃つ?ダメだ、無意味でしかない。逃げる?そんなのは論外だ。

 その時、ふと僕はテルさんがグランという男と本気を出して戦っていた様子を思い出す。

 テルさんは自分の持ち得る全てを武器にし、自分の限界すら忘れ、一瞬ではあるが自分の器さえ捨ててでも勝利を狙いに行った。

 その戦いで、強者とは必ずしも才能に溢れた者では無いということを僕は知った。

 勿論テルさんだって才能が無いわけじゃない。むしろ才能はある方だ。ただ、天才ではないだけ。

 僕は恵まれてる。恵まれているのにテルさんみたいに限界以上を求めようとせず、持ってない物を得ようともせずに無い無いと嘆き続けた。

 ……傲慢だ。吐き気がするほどに僕は傲慢だ。目の前の男の事を言えないぐらいに。

「喰らえ!!」
「はっ、どこ撃ってやがる!……っ!?」
  
 僕は魔力を器に込め、それと同時に能力を発動する。
 今までこの能力の使い道なんてないと思ってた。だけど今、僕は決心した。

 僕は僕の持ちえる力全てを使い、目の前の理不尽を叩きの滅す!上手く使えない?使ったことがない?知った事か!

 僕の放った三発の魔弾は男とは見当違いの方向に飛んでいく。しかし、それは全て計算済み。

 放たれた魔弾は全て壁や地面にあたり、全て跳ね返っていく。
 そして、魔弾は全て男に直撃する。

「カハッ……!?ち、跳弾だと……?」
「どうだ!」

 死角から直撃した魔弾により驚きと痛みで男の動きを強制的に止めさせることに成功する。

 上手く跳弾させるために威力を抑えた為に殺傷能力はそこまで無いけど、相手の意識の拡散や不意打ちにかなりの効果がある筈だ!

「これがお前の能力か……!だが、この程度の能力じゃ俺は殺せねぇぞ!」
「だったらどうした!」

 僕は能力を発動したまま撃ち続ける。
 魔力がゴリゴリと持っていかれるが、そんなことを気にしていてはすぐに男の接近を許してしまう。

 しかし、魔弾が男に当たろうとしたその時、男の周りに数本の刀が宙に現れて男の周りを回転して魔弾を全て弾かれてしまう。

「どこから来るか分からねぇなら、全方向から守ればいいだけだ!」
「そうか……だけど、関係ない」

 刀を生み出して操る。それが男の能力なのだろう。
 確かにそれなら僕の跳弾の殆どは対処され、僕の能力はほぼ無効化されてしまうだろう。

 それが僕の能力の本領だったならの、話だけどね。

 得意げに自分を中心に刀を回転させる男に向けて、僕は一直線に魔弾を放つ。
 今の男なら回避なんて選ばすそのまま刀で弾くだろう。

 それが、罠だと気付かずに。

「……『爆魔弾』!」 
「……は?」

 僕が放った魔弾が男の刀に弾かれた瞬間、周りの刀を吹き飛ばしながら爆発する。
 
 何故か?それは僕が魔弾にそういう性質を。ただそれだけ。

 男は突然の爆発に理解が及ばす、吹き飛んだ刀を戻すことすらなく硬直する。
 爆発で跳弾も吹き飛んでしまったので、そのまま爆魔弾を連続で撃つ。

「っ!?うおおお!!」
「……そんな簡単には倒せないか」

 しかし、すぐに気を取り直した男はバックステップを取りながら刀を前方に生み出して身代わりにする。
 そうすることで直撃を避けたのだ。
 
 僕は即座に魔弾の性質を切り替え、もう一度跳弾を繰り出し男を狙う。

「くっ、どういうことだ!お前の能力は跳弾《コレ》じゃねぇのか!?」
「そんなこと、一言も言ってない!」

 魔弾に壁に当たれば反発して軌道を変える効果を持たせたのは確かに僕の能力だ。だが、付与できる性質は反発だけじゃない!

「これが僕の能力!『想考せし英傑』だ!!」
「な、何ぃ!?」

 僕は頭の中で色んなことをイメージする。この能力で最も大切な事はイメージなんだ。
 
 今まで見た事のある魔術や能力、自然現象等をより鮮明に思い浮かべる。
 能力の副効果なのかな?ものすごい勢いで色んなことを思いつくことが出来た。

 でも、今の僕の能力の限界や魔力量のせいで出来ないことの方が多い。
 だからギリギリ可能な範囲の能力を厳選していき、一発一発で能力を切り替え連射していく。

『跳魔弾』と『爆魔弾』を初めとし『風魔弾』、『光魔弾』、『音魔弾』……と、色々な魔弾を連射し続けた。

 男は防戦一方。僕の連続かつ不規則な攻撃に太刀打ち出来なくなっている……ように見えたが、そんな甘くはなかった様だ。

「……ぐぐぐ。ダァァァ!!」
「うっ!?な、なんて魔力量……!?」
「うざってぇなぁ!!そんな半端な攻撃じゃ効かねぇつってんだろうがァァ!!」

 男は爆発的な魔力を放ちながら、少し苦悶の表情を浮かべながら接近してくる。
 もしかして紋章が痛むのか?だが、今の僕にはそれは関係ない。

 男の言う通り、今まで大して能力の練習をしてこなかった僕が闇雲に能力を付与した魔弾を放ち続けても決定打に欠けている。

 だから急所以外の防御を捨てた男に僕の攻撃は通らなくなってしまった。

 考えろ考えろ考えろ。僕は何をすればいい?魔弾に何を付与すれば……。いや、待てよ?なんで魔弾に固執してるんだろう?

 一度見た事のある僕の能力が書かれた鑑定書。あそこに魔弾限定だなんて書いてなかったじゃないか!

「死ねやぁ!!」
「……どうにでもなれぇ!!『付与《モード》:魔散弾銃《ルビー》』!」
「……な、にっ!?」

 僕は能力を魔弾にではなく、器である魔拳銃に付与する。そしてイメージするのは僕の姉でありムイシス家三女『ルビー・ムイシス』の器。

 近距離に置ける威力に特化した『魔散弾銃』だ!

「もう一発!」
「くっ!」
「離れるなら!『付与《モード》:魔機関銃《ダイア》』!!」
「高速連射だと!?ぐぁぁぁ!」

 もう一発魔散弾銃で撃とうとしたが、即座に男が後退してしまったのでこちらも即座にモードを切り変える。

 次は……長女である『ダイア・ムイシス』の器である『魔機関銃』だ!

 魔弾には能力を付与していないので、単純な威力は十分!
 想像以上に魔力を持っていかれるが、男の防御を貫いて確実にダメージを与えて行った。

 姉様達の器を再現してるとはいえ、威力は流石に一緒じゃない。
 でも、それぞれの特徴を再現しており今までじゃできない戦い方を可能にした。

「ぐぅ、止めやがれ!」
「っ!はぁ!!」

 防御では僕の連射を止められなと思ったのだろう。
 少し自分の防御を割いてまで、遠隔で僕に向けて刀を飛ばす。

 流石にこれは無視は出来ない。でも、だからと言って連射を止めても撃ち落とすのは間に合うだろうか?

 僕は一瞬の思考の後、一つの思い出しとそれによる防御の手段を思いつく。
 そうだ、武器は何も魔拳銃《器》だけじゃないんだ!

「な、ナイフだと!?」
「僕だって器持ちの貴族だけど……、器に縛られたりなんかしない!」

 僕は一度連射を辞めて、即座に紋章の収納からナイフを取り出して刀を弾いた。
 適当に放った程度の刀なら簡単に弾ける!

 貴族には、特に七紋章の血族には自身の器が最も強く他の武器は使っては行けないと言ったような謎の暗黙の了解がある。

 僕はそれに関しては最初から疑問に思っていたし、テルさんだって短剣を使っていた。
 だから、そんなテルさんに憧れて爺やからナイフを貸してもらっていたんだ!

 僕は限界まで深く集中し、少し姿勢を低くしてナイフの先端を男に向ける。
 そして、その左腕で魔拳銃を持つ右手を安定させるようにして構えた。

 武器も能力も戦い方も違う。だけど、その構えが誰かを強く意識しているのか恥ずかしくなるぐらい一目瞭然だと思う。

 例えどれだけ相手が強かろうと、絶対に勝つ!

「……なんだそれは。なんだその構えは!なんだその目は!!……ハァ、ハァ!ああああ、吐き気がする!辞めろそれを!辞めろ辞めろ辞めろ!と同じ構えを、同じ目をするなぁァァ!!!」
「『付与:魔散弾銃』!」

 今まで以上の感情の荒ぶりと発狂したかのように魔力を放ち迫り来る男。
 もはや痛みなんて感じていない様だった。

 僕は連射速度は落ちてしまうが、威力の強い魔散弾銃に切りかえ何回も男に向かって撃つ。
 だが、狂ったように着き動く男は傷つく身体を無視して動き続けた。

「ば、化物でしょそれは!?」
「うがぁぁぁぁ!!」

 天才と凡人では体の作りも違うの!?そんな事を思いながら銃を撃つのをやめ、僕は一か八かで足に銃口を突きつけた。

 いくら魔銃と言えど、能力さえ乗れば攻撃以外もできるはず!

「上手く行け!『加速化魔弾』!」
「死ねやぁ!!」
「っ!行ける!」
 
 僕が足に撃ったのはぶつかった対象の部位の速度を上げる効果を持った魔術。
 その結果、想像通り僕の足の速さが一気に跳ね上がり男の攻撃を避けることに成功する。

 しかしその直後、後ろから強烈な殺気を感じ取る。

「だからどうしたぁ!!」
「い、痛っ!?」

 なんとかその殺気に反応して回避するが、僕は左腕を切り裂かれてしまう。
 
 僕が回避した場所の後ろにはこの広場から出る通路があり、そこに刀を隠しておいたようだ。
 多分、僕が逃げ出した時の為だろう。

「うう……、『回復魔弾』!」
「隙だらけだなぁ!!」
「しまっ!?」
「遅ぇ!」
「ぐっ……!?」
 
 僕は加速化魔弾を使った要領で損傷した部位を治す魔弾を左腕に放つ。
 上手くいった。そう思うのも束の間、いつの間にか移動していた男の接近を許してしまう。
 
 僕は即座に魔銃を撃つが……咄嗟の攻撃など意味をなさず、簡単に回避され僕の首を掴み持ち上げられる。

 息が真面に出来ず、思考能力が落ちていく。ナイフや魔銃を使い足掻こうとするが、圧倒的な戦闘経験差のある男には無意味。

 魔銃を持つ右腕は捕まれ、ナイフは刀によって弾かれてしまう。

「苦労させやがって……もういい。お前はここで死にやがれ……!」
「……ぇだ」
「ああ?」

 強まっていく首の締まり。本気で殺そうとしているのを感じながら、薄まっていく意識を奮い立たせて大声で僕は言い放つ。

 奥の手はまだ残ってるんだ!

「……負け、るのは、お前だ!!……『転送、魔弾』!」
「……は?」

 僕は一瞬にして男の手の中から消える。そして同時に男は気がついただろう。

 その手で握っているのが、魔弾であるということに。

 そう、僕の切り札とは放った魔弾と自分の位置を入れ替えるという能力!

 そして、戦いにおいて最も隙を晒す瞬間とは相手にトドメを刺す瞬間なんだ!

「ぐら、えぇぇ!!」
「……ガ、ハッ」
 
 直前まで潰されかけていた喉の痛みを無視し、転送した瞬間を逃さず僕は魔散弾銃をぶっぱなす。

 完全に隙を突いた攻撃は男の背中に直撃。そうして、男は意識を失いその場に倒れる。もう、起き上がる気配はなかった。

「ハッ、ハッ……。勝った……!」

 白目を向いて倒れる男を見て、僕は気が抜けて尻餅を着く。
 勝った。目の前の理不尽に対し、初めて自分の全てを出し尽くして勝った。

 その達成感と同時に感じる脱力感に抗えず、だんだんと薄くなっていく意識。

「よくやったな。やっぱりお前は……」

 聞き覚えがある声を聴きながら、ゆっくりと僕は意識を手放したのだった。


 
  ♦♦♦♦♦



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 二千文字程度なので良ければ見てみてください!

 
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