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二章 強さの道筋
三十五話 種類の偏り
しおりを挟む司会者の男がいなくなった後、周りの冒険者達もぞろぞろと自分が受けたい訓練の場所に向かって歩き出す。
「じゃ、私達もここで一旦お別れだね~。テル君はやっぱり武術?」
「ああ、シエはどうするんだ?」
「私はね~……能力にする!」
少し悩む様子を見せた後、シエはそう宣言する。
「魔術じゃなくていいのか?」
「うん!どの道、魔術を極めるには絶対に通らなきゃならない道だしね!じゃ、いってきます♪」
シエは俺の俺の肩をポンポンと叩いた後に能力の書かれた看板に向かって行った。
シエを見送った後、俺も武術の訓練場所に向かう。
どうやら全体の割合的に武術の訓練に参加する人が一番多いようだ。まぁ当たり前か。冒険者になる人のほとんども能力は身体強化系なのだから。
紋章の能力にも種類があり、偏っている割合がある。
この世の約五割以上の紋章は『黄』ランクで、『身体強化系』と呼ばれる能力だ。
名称通り身体を強化する能力で、例えば腕力を強化したり、脚力を強化したりする能力が多い。
少しレアならあの時の盗賊のような身体を硬化する能力もあるが、ほとんどが身体強化系で魔力での身体強化の補助程度の能力が普通であり、一般的な能力だった。
実際、この場にいるほとんどの人が能力として身体強化を持っているだろう。特に武術訓練に参加した殆どは。
次に多い能力の種類は約三割しか存在しない『緑』ランクで、『付与系』だ。
これも名称通り物体、もしくは魔力体に目に見える形で何かを付与する能力に分類される能力だ。
それはまさにゼロスの能力がこれに当てはまり、身体を炎で包んだり、もしくは武器に炎を纏わせたりする能力が該当する。
中には魔術に能力を付与することで威力を上げたり能力の効果で擬似的に二属性魔術を放ったりなんてことが出来る能力だ。
因みに俺の能力がこれに分類されるかは微妙な所だ。
そして次に約一割以上が『青』ランクが分類されることが多い『特殊』系。
実はその半分近くは貴族出会ったりする。
特殊系は今までの身体強化や炎を纏う、なんてわかりやすい能力では無い。
有名な能力だと物体の大きさを変えられたり、自分の見た目を全くの別人に変装できたり、物を何も使わず動かしたり等だ。
そして最後の約一割以下は『赤』と『紫』ランクに分類されることが多い『特異系』。
例として、相手の心を読んだり、見るだけで相手を石に変えたり、自身の身体を別の物に変化させたり……等だ。
特異系に関してはほとんど伝説に近いが、紫ランクの冒険者は特異系の能力持ちも存在するし『七紋章の血族』にも稀に産まれる。
そして『虹』ランクに関してだが、これは歴史上『虹』ランクの能力を持っている人物は一人しか確認されていないので割合には入っていない。
一説によるとその能力はこの世に紋章を授けた能力なのではないかと言われてたりする。
「さて、集まったなお前ら。じゃあまず武器をしまってこの鍛錬用の木でできた武器を持て!まずはお前らの実力を確認する!」
気がつくと全員が別れ終わり、それぞれ訓練が始まった。どうやら使う武器は訓練用の武器のようだ。
用意された木の武器が置かれた場所に向かい木刀を取る。
俺以外取る様子はない。やはり本数的にやはり刀は人気がないのだろうか?
気にしてもしょうがないので俺は刀を背中に背負い、木刀を腰に備えた。
実は紋章の器の最も大きいと言われる弱点の一つ、紋章の機能である『収納』に器は入れることができないのだ。
ならそこらに置いとけばいいのでは?とも思うかもしれないが、器は持っておかないと紋章の能力を使えない。
器を奪われたとしても感覚的にどこにあるかわかるが、戦場で敵に奪われたりすれば武器と能力を同時に奪われた事になり、圧倒的に不利になってしまう。
その分持っていれば通常の能力より強力な能力を持ち、絶対に壊れない武器を使えるという利点があるが、戦場では無い日常生活に影響を与えてしまうのが器のデメリットだった。
まぁ収納できないものは仕方ない。収納の中がいっぱいで入らないって事にしよう。
「よし、全員準備で来たな。次は二人一組になれ!持っている武器が同じではなくてかまわん!」
これは困った。周りの冒険者は同じパーティの人や仲が良い人と組んでいるようで、そんな人は俺には一人もいなかった。
くっ、まさかこんなところで俺の人付き合いのなさが露見するとは……。
「ちょっといいですか~?なんで二人一組なんて面倒くさいことをするんですか~?」
「ん?ああ、先にやることを説明すると、二人一組で軽く武器の打ち合いをしてもらう。本当に軽くな。とは言っても手を抜けと言っているわけではないぞ。あくまで武器の打ち合いなので倒すわけじゃないからな?これはさっきも言った通りお前らの実力を見るためにやってもらう。一人一人確認するのは時間の無駄だからな。あ、身体強化以外の能力の使用も無しだ」
指導者の戦士っぽい冒険者は三度も念を押すが……なんというか、一人だけ結果が見えてるような……。
っと、そんなことはどうでもいい。早く俺も誰かと一緒に組まないと完全にボッチになってしまう!
「ねぇ、君。空いてるなら僕と組んでくれないかい?」
そんなところに救世主が現れる。振り向くと木の槍を持った青年が立っていた。
「もちろんだ」
「よかった!実は仲のいい冒険者があまりいなくて困っていたんだ」
「ああ、俺もこの街に来たばかりでいなくて困っていたところだ」
「ふふっ、僕と同じだね!」
青年はニコッと笑う。その笑顔は青年というより少年と言った方がいい気がするぐらい幼さを感じられる笑顔だった。
これが世に言うショt……
「あ、今絶対僕の事子供っぽいってバカにしたでしょ」
「……」
……俺はそんなに顔に出やすいのだろうか?
どうやら俺は賭け事など向いていないようなのでカジノ等は行かない様にしようと誓ったのだった。
♦♦♦♦♦
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『女神様からもらったスキルは魔力を操る最強スキル!?異種族美少女と一緒に魔王討伐目指して異世界自由旅!』という作品も連載してます!ぜひ読んでみてください!
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